神の捕喰は程々に   作:4416

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甘いよ


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───某日 14:30

 

[ラウンジ]

 

 

エリナ「ねぇ ムツミちゃん

    お弁当のおかずって 何が良いのかな?」

 

ムツミ「お弁当のおかず?

    無難に玉子焼きとか ミートボールがいいんじゃないかなぁ」

 

エリナ「うーん… 普通のでいいのかなぁ…」

 

ムツミ「急にどうしたの? お弁当を作らなきゃいけないの?」

 

エリナ「うん そうなんだけど… その…」

 

ムツミ「…もしかして ブラッドの隊長さんのため?」ニヤニヤ

 

エリナ「えっ!?ち 違うよ!

    いや 違わないけど違うの!えーっと…!」

 

ムツミ「隠したってダメダメ〜

    顔に書いてあるんだもん♪」

 

エリナ「えぇーっ… そんなに顔に出てた…?」

 

ムツミ「顔に出なくてもバレバレだよ〜」

 

エリナ「うぅ…」

 

ムツミ「それで なんでお弁当を作るの?」

 

エリナ「うん… この前 先輩から 来週の休日に一緒に 聖域の畑の様子を見に行かないかって誘われて」

 

ムツミ「ふんふん」

 

エリナ「その… 話を詳しく聞いてみたら 私と先輩の2人だけで行くらしくて…」

 

ムツミ「おぉ〜」

 

エリナ「これって… もしかしなくてもデートだよね!?」

 

ムツミ「2人っきりとなると… デート以外考えられないね〜」

 

エリナ「でも先輩だと ホントに畑の様子を見ただけで終わりそうで…」

 

ムツミ「それでお弁当を作って 是が非でもデートにしようって算段というワケなのね」

 

エリナ「…よくそんな言葉知ってるね」

 

ムツミ「お弁当作りは奥が深いからね!

    私も協力するよ!」

 

エリナ「ありがとね ムツミちゃん」

 

ムツミ「まずは お弁当のおかずをリストアップしてみよう!」

 

エリナ「そうね… まずはさっきの玉子焼きとミートボールに」

 

ムツミ「タコさんウインナーなんかもいいかなぁ」

 

エリナ「野菜も必要よね… ミニトマトやブロッコリーとか」

 

ムツミ「きんぴらごぼうという手もあるよ!」

 

エリナ「きんぴら…?聞いた事はあるような…」

 

ムツミ「あとはほうれん草の煮浸しや カボチャの煮付けも 彩りのバランスに一役買うからオススメだね」

 

エリナ「なるほど 見た目も重要と…」

 

ムツミ「他にも ちょっと手間はかかるけど 筑前煮もいいかも」

 

エリナ「ちくぜんに…?」

 

ムツミ「極東の伝統的… な料理だよ!」

 

エリナ「さっきの間は何?」

 

ムツミ「ところでご飯はどうするの?」

 

エリナ「強引に話題変えたね」

 

ムツミ「さすがに白米だけだと味気ないかも」

 

エリナ「うーん… でも 混ぜご飯だと手間がかかるし…」

 

ムツミ「ふっふっふ〜 そこで佃煮の でばんですよ〜」

 

エリナ「つくだに?」

 

ムツミ「具材を甘辛く煮込んだ料理で ご飯との相性もバッチリ!

    ふりかけみたいなものだよ〜」

 

エリナ「う〜ん… ドリアみたいな感じ?」

 

ムツミ「ちょっと違うかなぁ〜」

 

エリナ「でも ご飯と合うものかぁ〜

    たまに梅干しがのってるのを見るけど アレってどうなんだろ?」

 

ムツミ「梅干しは好みが別れるかな〜

    ちなみに隊長さんは 梅干し単品を食べる派だよ」

 

エリナ「先輩は大丈夫なんだ…

    私は1度食べたことあるけど アレは好きになれないかなぁ…」

 

ムツミ「とっても酸っぱいからね〜

    私はハチミツ漬けの梅干しなら食べられるよ」

 

エリナ「そんなのもあるんだ… 後で食べてみよ」

 

ムツミ「それはさておき 他の候補は──」

 

エリナ「やっぱり見た目を考えると──」

 

 

ワイワイガヤガヤ(約2名)

 

 

エリナ「ん〜… いろんな候補が出たのはいいけど」

 

ムツミ「多すぎてまとめ切れないね…」

 

エリナ「もしかするとこの中に 先輩の嫌いな物もあるかもだし」

 

ムツミ「むぅ〜 こうなったらリサーチするまで!」

 

エリナ「リサーチって… どうするの?」

 

ムツミ「簡単なことだよ〜

    私がさり気な〜く訊くだけ!」

 

エリナ「それだと 何か企んでるのかバレそうな気が…」

 

ムツミ「ふっふっふ〜 私は皆のご飯をここで作ってるんだよ〜?

    ご飯を食べに来た隊長さんに ご飯の話題を振るだけ!」

 

エリナ「なるほど… 確かにそれなら怪しまれないね」

 

ムツミ「ではまた後日 ここで落ち合いましょう…!」

 

エリナ「…なんかスパイみたい」

 

キグルミ「………!」ガタッ

 

エリナ「ぅわあっ!び ビックリしたぁ…!

    …というか ずっとそこにいたの?」

 

キグルミ「………」コクン

 

エリナ「……じゃあ あなたは何も聞いていない いいね?」

 

キグルミ「………」コクン

 

 

───同日 19:20

 

 

4416「ハラヘッタ」

 

シュン「よお!お前もメシか?」

 

4416「んだ」

 

タツミ「隣空いてるぞ」

 

ムツミ「今日もお疲れさま〜」

 

4416「っべー タツミとムツミちゃんが1字しか違わねぇ所為で紛らわしい

   マジ っべー」メタァ

 

シュン「おぉー ホントだ

    お前ら兄妹だったりすんのか?」

 

タツミ「そんなワケないだろぉ」

 

ムツミ「あはは… それで隊長さんは何が食べたい?」

 

4416「そうだな… 疲れ気味だから サッパリしたもので」

 

ムツミ「はーい 少々お待ちを〜」

 

タツミ「あんたが疲れ気味って珍しいなぁ

    なんか強いヤツとでも相手してたのか?」

 

シュン「おう まだまだ実力不足ってところかぁ?」

 

4416「かもなぁ ムダに手こずらせやがってなぁ」

 

シュン「ふぅ〜ん」ニヤニヤ

 

4416「あの犬」

 

シュン「犬!?」

 

タツミ「…アラガミを相手にしてたんじゃないのか?」

 

4416「まっさかぁ ゴッドイーターじゃあるまいし」

 

シュン「じゃあ お前は何だよ!?」

 

タツミ「いや待て 確かあんたはアラガミのことをあだ名か何かで呼んでたな

    それで犬というと… ガルムかマルドゥークのどっちかか?」

 

4416「ノンノン ルビが振られてないから犬は犬だぞ」メタァ

 

タツミ「マジで犬と闘ってたのか…」

 

シュン「相変わらず ワケわかんねー…」

 

4416「ところで タツミとシュンがいるってことは 他の3人もいるのか?」

 

タツミ「あぁ ブレンダンは用事済ませてから行くって行ってたから もうすぐ来るんじゃないか」

 

シュン「ジーナは相変わらずアラガミ相手にブッ放しに行ったな

    カレルは知らねぇ」

 

4416「ほーん」

 

ブレンダン「待たせたな」

 

タツミ「おっと 噂をすれば」

 

4416「やあやあ ブレンダン」

 

ブレンダン「隊長は今日も変わらず 平常運転…には見えないな」

 

シュン「分かるのかよ…」

 

ブレンダン「大方 犬でも相手していたのだろう?」

 

シュン「マジで何で分かるんだよ!?」

 

4416「\すげぇ/」

 

ブレンダン「いや さっきの会話を聞いていただけだ」

 

タツミ「だよなぁ」

 

4416「盗み聞きとは お主もワルよのぉ〜」

 

ブレンダン「そうか?」

 

ムツミ「お待たせしました〜

    鮭の昆布茶漬けと ナスの田楽味噌和えです」

 

4416「ナスは嫌いな"の"で"ず"!!

   と言いたいところだけど 最近ナスが食えることに気付いたから頂くよ」

 

タツミ「旨そうだなぁ」

 

ブレンダン「そうだな… 俺にも同じ物を」

 

ムツミ「は〜い」

 

シュン「ナスが嫌いって 子供かよ」

 

4416「まあ さすがに煮てベチョベチョなナスは厳しいけど

   焼きナスや炒めたナスはいけるようになった」

 

ムツミ「そういえば隊長さんは 好き嫌いは多い方?」

 

4416「多いっちゃあ多いなぁ

   トマトにカブに キノコ全般 あとはカリフラワーや白菜も苦手だな」

 

シュン「野菜嫌いとか ますます子供かよw」

 

ブレンダン「キノコは野菜ではない」

 

4416「肉や魚は一部除いてウェルカム

   根菜も基本的に歓迎なり」

 

タツミ「好きな味とかはどうなんだ?」

 

4416「好きな味かぁ… 旨けりゃ何でも食うからそういうのは気にしないな

   逆に酸っぱいものや甘すぎるのはノーサンキュー」

 

ムツミ「え?前に梅干しを食べてたような…」

 

4416「梅干しとポン酢は何故かいけるんよ」

 

タツミ「変わった趣向してるなぁ」

 

4416「いやぁ〜 それほどでも〜」

 

タツミ「褒めてねぇよ…」

 

ブレンダン「…俺は梅干しを好きにはなれないな

      あの強烈な酸味がどうにも…」

 

ムツミ「梅干しといえば お弁当によく入ってたりするよね」

 

4416「そうだなぁ でも弁当の梅干しはちと苦手だな

   ムダにしょっぱいのがあるし 米に味が侵食するし」

 

タツミ「そうそう!梅干しが染み出たご飯!

    アレ 気になるよなぁ〜」

 

ムツミ「もし お弁当にどんなおかすが入っていたら嬉しい?」

 

4416「ウ〜ン やはり定番は玉子焼きだけど

   個人的には揚げ物かな」

 

シュン「いやいや ミートボールだろぉ

    それに最近じゃあ ハンバーグやコロッケなんかも入ってたりするぞ」

 

ブレンダン「シュンの方がよっぽど子供っぽいな」

 

シュン「あんだとぉ!」

 

タツミ「俺はやっぱり ヒバリちゃんの作った弁当なら 大歓迎だなぁ!」

 

4416「イナゴの佃煮でも?」

 

タツミ「もちろん!」

 

4416「ミラノ風ドリアでも?」

 

タツミ「当たり前だ!」

 

4416「がやうるのどうがらざ柘けでも?」

 

タツミ「全部受け入れr 何だって?」

 

4416「がやうるのどうがらざ柘け」

 

タツミ「何それ」

 

4416「わかる人にはわかる」

 

タツミ「まあ 何か分からないけど ヒバリちゃんが作ったものなら無問題!」

 

ムツミ「ブレンダンさんの分 お待たせしました〜」

 

ブレンダン「あぁ ありがとう ムツミ

      俺は そうだな… アスパラのベーコン巻きがいいか」

 

4416「いいね アスパラベーコン」

 

ムツミ「私はポテトサラダがいいかなぁ〜」

 

4416「ポテトサラダかぁ

   コーンのシャキシャキとかがええよなぁ」

 

シュン「おいちょっと待て

    お前 ポテサラにコーン入れるのかよ?」

 

4416「え?何か問題でも?」

 

シュン「大アリだ!コーンなんて入れる必要ねぇだろ!」

 

4416「…ほほぅ これはちょっと避けられない戦いになりますねぇ……」

 

タツミ「2人とも落ち着け

    対立する度に張り合ってたらキリがないだろ」

 

ブレンダン「そうだ これは単なる個人の好みの問題

      他人に強要すべき事ではない」

 

シュン「……わかったよ

    ただし ポテサラにコーンは認めたワケじゃねぇからな」

 

4416「では自分も ポテサラにコーンは認めることで妥協しよう」

 

シュン「妥協になってねぇ…」

 

 

───翌日 16:40

 

 

ムツミ「昨日 聞き出した内容をまとめると──」カクカクシカジカ

 

エリナ「なるほど おかずの幅はそれほど狭くはないね」

 

ムツミ「でも お弁当に揚げ物はちょっと…」

 

エリナ「揚げ物って エビフライとか唐揚げよね

    確かに お弁当のおかずとしては重い気が…」

 

ムツミ「エビフライはまだいいけどねぇ」

 

エリナ「うーん… やっぱりまだ情報が少ないかなぁ」

 

ムツミ「もう少し詳しく訊いてみる?」

 

エリナ「うん お願いするね

    あと 私の方でも何か役に立つ情報がないか 調べてみるね」

 

ムツミ「ついでに 他に隊長さんに訊いておきたいことってある?」

 

エリナ「え?えーっと… じゃあ 和食か洋食 どっちが好きか でいいかな」

 

ムツミ「はーい」

 

エリナ「先輩って 大体のものは食べるから 何が好きなのかイマイチ分からなくて…」

 

ムツミ「うん そうだね〜

    私が作った料理も 嫌いなもの以外は食べてくれるし」

 

エリナ「先週 ナナさんが作った得体の知れないお菓子も 青ざめつつも食べてたし」

 

ムツミ「この前出したほっけの塩焼きも 皮はもちろん 骨まで食べてたよ」

 

エリナ「ほ 骨まで…」

 

ムツミ「隊長さん曰く『すり潰すように食えばいい』って」

 

エリナ「うぅ〜… だとしても口の中で骨が刺さりそう…」

 

ムツミ「うんうん 骨でチクッとなるのはいやだよねぇ〜」

 

エリナ「…そういえば先輩は 昨日 何を食べたの?」

 

ムツミ「昨日は鮭の昆布茶漬けと ナスの田楽味噌和えを出したよ」

 

エリナ「和食かぁ」

 

ムツミ「なんでも ナスは嫌いだったけど 今は食べられるとかなんとか」

 

エリナ「今までナスが嫌いだったのね…」

 

ムツミ「鮭の皮はもちろん ナスのヘタも平らげてたね」

 

エリナ「もうそれ 食器しか残らないじゃん…」

 

ムツミ「『なんだこれ…』って言いながら食べてたのは 強く印象に残ってるよ〜」

 

エリナ「うん… だいたい想像できる…」

 

 

───同日 19:50

 

 

4416「アイム ハングリー」

 

リンドウ「よーぅ 隊長さん

     どうだ 一緒に呑まねえか?」

 

4416「お断りしますです」

 

ムツミ「今日も1日お疲れさま〜

    今日は何にする?」

 

4416「そうだなぁ じゃあ豚肉を使ったもので」

 

ムツミ「は〜い」

 

リンドウ「豚肉っつーと 生姜焼きだな!」

 

4416「いいッスね〜 生姜焼き」

 

リンドウ「でも俺はやっぱり牛肉かなぁ

     最近 牛のニンニクバター焼きにハマっててさぁ〜」

 

4416「あぁ〜 想像しただけでヨダレが〜」

 

リンドウ「そりゃあもう匂いかいだだけで食欲全開ってもんよ

     箸とビールが止まらねえぇ〜」

 

4416「もうすっかりオッサンになってるじゃないですか」

 

リンドウ「ハハハ… まあ 実際オッサンだしなぁ」

 

4416「飯は食っても 歳は食いたくないもんですな」

 

リンドウ「だなぁ」

 

アリサ「食わず嫌いはダメですよ リンドウさん」

 

リンドウ「よう アリサ」

 

4416「どーも アリサ」

 

アリサ「えぇ こんばんは」

 

4416「アリサも飯か?」

 

アリサ「そうですよ

    "誰かが"放ったらかしにした書類を片付けていたので 予定よりも遅くなっちゃいましたけど」

 

リンドウ「うぐっ」

 

4416「ほーん」

 

ムツミ「お待ちどおさま〜 豚肉の生姜焼きです」

 

4416「ktkr! ライス大盛り!ライス大盛りで!」

 

ムツミ「そう来ると思って すでに用意してるよ〜」

 

4416「OK! じゃあ後は頂くのみ!」

 

リンドウ「おっほ いい食いっぷりだなぁ」

 

アリサ「見てるこっちも食欲が湧く… には絵面がちょっと……」

 

リンドウ「まるでハムスターみたいになってら」

 

4416「ハムッ ハフハフ、ハフッ!」

 

ムツミ「アリサさんは何が食べたい?」

 

アリサ「そうですねぇ… ミートパスタをお願いします」

 

ムツミ「は〜い」

 

4416「モグモグウマウマ

   パスタは腹持ちいいし アレンジしやすいしで けっこう便利だよなぁ」

 

リンドウ「だなぁ ペペロンチーノとか旨いよなぁ」

 

ムツミ「麺類は世界中の料理に使われてるからね〜

    ところで 皆さんは和食か洋食 どっちが好き

?」

 

4416「ん〜 自分はどっちも好きだけど…

   ぶっちゃけ中華のが好きだな」

 

リンドウ「俺は和食かなぁ

     まあ 俺もどっちでもいいんだけどな」

 

アリサ「私は洋食ですね

    和食は馴染みが薄いのでなんとも…」

 

ムツミ「綺麗に分かれたよ〜 これはどうなるかな〜?」

 

4416「三 國 志」

 

リンドウ「中華繋がりか?」

 

4416「そんなところ」

 

ムツミ「隊長さんはよく和食を食べるから 中華好きなのはちょっと意外かも」

 

4416「中華料理旨いじゃん

   ラーメンに始まり 餃子やシューマイ 麻婆豆腐に青椒肉絲」

 

リンドウ「小龍包やチャーハンもいいよなぁ」

 

4416「まあ 和食は和食の良さが 洋食は洋食の良さがあるってもんよ」

 

リンドウ「だな 十人十色ってヤツだ」

 

4416「一部 なんでこれを食おうと思ったんだ ってのもあるけど」

 

アリサ「例えば?」

 

4416「有名どころではタコかな

   極東では寿司ネタになるぐらい一般的だったけど 他では『悪魔の魚』って呼ばれてたとか」

 

アリサ「た タコ…?」

 

4416「こんなの」カキカキ

 

アリサ「…ホントになんでこんなのを食べようと思ったんですかね」

 

リンドウ「タコわさ旨いぞ〜

     酒のつまみに引っ張りダコになるぐらいに旨いっ」

 

4416「タコだけに」

 

アリサ「リンドウさんは何にでも酒に繋げようとしてますね…」

 

リンドウ「旨けりゃいいだろぉ」

 

アリサ「いいですけど 程々にしてくださいよ」

 

ムツミ「ミートパスタ お待たせしました〜」

 

アリサ「ありがとうございます ムツミちゃん」

 

4416「ウーロン茶くらはい」

 

ムツミ「はーい」

 

リンドウ「お茶までこだわり持ってんのか」

 

4416「いや特に

   ただ 飯の後のウーロン茶はウマいってぐらいで」

 

リンドウ「ほーん」

 

4416「ぶっちゃけ お茶に関しては ブレンド茶以外は大体飲めーる

   緑茶と紅茶 どちらもおk」

 

アリサ「ブレンドのお茶は苦手なのですか?」

 

4416「うむ 十〇茶や爽〇美茶 飲んでみたんだけど『なにこれ』としか言いようがなかった…」

 

ムツミ「紅茶といえば エミールさんの淹れる紅茶はすごくおいしいよね〜」

 

4416「そうだなぁ

   クッキーとタッグ組んで 胃袋掴みにきやがる程だわさ」

 

アリサ「私もご馳走になったことがあります

    香りが素晴らしくて 匂いだけで美味しいと感じたのは初めてでした」

 

リンドウ「へぇ〜 そんなに美味いのか〜」

 

4416「なんか より美味しくする方法を試してるとか何とか」

 

アリサ「いったい何でしょうか…? 気になりますね」

 

4416「まあ エミールのことだし ちょっとしたジンクスか何かだろうけど

   それでも美味いことには変わりない」

 

ムツミ「隊長さん けっこう信頼してるんだね〜」

 

4416「そりゃな 濃縮渡してくれるし 誤射も少ないしで

   意外と優秀だからな」

 

ムツミ「信頼ってそういう…」

 

リンドウ「俺はどうなんだ?な?」

 

4416「誤射がヒドイ」

 

リンドウ「 」

 

 

───翌日 15:20

 

 

ムツミ「更なる情報を仕入れてきたよ〜」

 

エリナ「情報屋じゃあるまいし…」

 

ムツミ「昨日はこんなことがあって〜──」

 

エリナ「なるほど お茶にも好みがあったのね」

 

ムツミ「ご飯の後はウーロン茶がいいらしいよ」

 

エリナ「ウーロン茶ね」

 

ムツミ「それと 和食か洋食かなんだけど まさかの中華派だったよ〜」

 

エリナ「うぇ〜… そう来るの〜…?」

 

ムツミ「でも 特にこだわりはないらしいから 大丈夫じゃないかなぁ〜」

 

エリナ「だといいけど…

    せっかくだから 1番いいのを食べてもらいたいし…」

 

ムツミ「うんうん わかるよ〜」

 

エリナ「あ それでね 私の方でも調べてみたんだけど

    先輩にピッタリの『のり弁』がいいかなと思って」

 

ムツミ「ほほう のり弁!」

 

エリナ「揚げ物を食べさせてあげたいけど 何がいいかな〜 と探してたら見つけてね」

 

ムツミ「いいね〜 たしかに味も具材もレパートリーが多くて アレンジもしやすい!

    まさにピッタリ!」

 

エリナ「それで さっきのムツミちゃんの話しを聞いて 食後のデザートもいいかな〜 って思ったんだけど」

 

ムツミ「そうだね〜 時間をおいても美味しい物なんかがいいんじゃないかなぁ」

 

エリナ「なるほどね…

    じゃあ これについても後で調べてみるね」

 

ムツミ「私も隊長さんに それとなく訊いておくよ〜」

 

エリナ「ところでのり弁って 何を入れた方がいいの?」

 

ムツミ「一般的には白身魚のフライとちくわの天ぷらかな?」

 

エリナ「えっと… それ以外に」

 

ムツミ「んー… そこはエリナさんの入れたい物でいいんじゃないかなぁ

    お弁当はそういうものだから」

 

エリナ「そう言われても どれがいいか悩むなぁ…」

 

ムツミ「大丈夫だいじょーぶ

    私の料理を美味しく食べて エリナさんの料理を美味しく食べないハズがないよ〜」

 

エリナ「…うん そうだよね

    美味しく食べてもらえるように努力して方がいいよね」

 

ムツミ「その意気だよ!」

 

エリナ「とはいっても 選択肢が多いという意味で やっぱり悩んじゃう」

 

ムツミ「んー じゃあ いくつか候補を作ってみて 自信のあるものにした方がいいよ〜

    食べ合わせや見た目 おかずの配置なんかにも参考になりやすいかも」

 

エリナ「なるほどねぇ 確かに1度作ってみるのが良さそうね」

 

ムツミ「おかずの作り方が聞きたかったから いつでもきいていいよ〜

    コツやポイントさえ掴めば 誰でも美味しい料理が作れるよ」

 

エリナ「うん 何度もありがとね ムツミちゃん」

 

 

───同日 17:10

 

 

4416「もう5時かぁ

   小腹空いたなぁ」

 

ナナ「やっほー たいちょー」

 

4416「やっほ^^」

 

ムツミ「今日は早いねぇ

    何かあったの?」

 

4416「何かあったというより 何もしてない

   今日は1度も出撃しとらんのだ」

 

ムツミ「どうして?」

 

4416「神機のメンテ

   クロム鮎川と競合してないかとか 神機に悪影響を及ぼしてないかとかで」

 

ナナ「あーっ もしかして前に言ってた 喋る神機のことー?」

 

4416「そうそれ

   とにかく暇で暇で」

 

ナナ「だったらいい物があるよー」

 

4416「どうせロクな物じゃないのはわかってるけど…

   なに?」

 

ナナ「へへーん ナンクルナイザーを改良して 味の変化に特化させた物だよー」

 

4416「いい加減懲りろし」

 

ムツミ「またリッカさんに怒られるよぉ?」

 

ナナ「まあ さすがにハズレの味は入ってないよ

   好き嫌いまでは考えてないけど」

 

4416「ほーん

   んで どう変わったんだ?」

 

ナナ「まず 味をぎゅっと詰め込むために 回復成分をまるまる取り除いたところだねー

   完全にお菓子として楽しめるようにねー」

 

4416「薬の形をしたお菓子…

   ヨーグ〇ットとかの類かな」

 

ナナ「そして ハズレの味はなくして 色んな味を詰め込んだんだー

   味わったことのない味に出会えるかも?」

 

4416「んじゃ 早速1粒」パクッ

 

ナナ「どう?何味だった?」

 

4416「まあ 待て

   これは… 肉…の焼き加減という名の風味からして…」

 

ナナ「うんうんっ」

 

4416「………?」

 

ナナ「?」

 

4416「……ドネルケバブ?」

 

ナナ「………?」

 

4416「?」

 

ナナ「じゃあ次は私の番ねー」

 

4416「おー」

 

ムツミ(今のやりとりはなんだったんだろう…)

 

ナナ「むむっ これは…!」

 

4416「お?」

 

ナナ「ナッツ…にも似た独特な風味からして…」

 

4416「うむ」

 

ナナ「………?」

 

4416「?」

 

ナナ「……ピスタチオ?」

 

4416「………?」

 

ナナ「?」

 

4416「よし ワンモア」

 

ナナ「おっけー」

 

ムツミ(なんだろう コレ…)

 

4416「これは えーっと… リンゴ?

   それにヨーグルトにコーヒー……」

 

ナナ「あっ それはカレーの隠し味だね」

 

4416「カレー無しで カレーの隠し味とはいったい」

 

ナナ「細かいことは気にしないー!

   私の方は… ソーダ味のこんにゃくゼリー味かな?」

 

4416「細かいなオイ」

 

ナナ「細かいことは」

 

4416「気にしない」

 

ナナ「そういうことー」

 

4416「まあ 茶番はこのくらいにして…

   ムツミや メシはまだかのぉ?」

 

ムツミ「あらやだぁ 昨日食べたじゃないー」

 

4416「毎日食わせろし

   んで ボケは置いといて なんか手軽につまめるものある?」

 

ムツミ「う〜ん ドーナツならあるよー

    砂糖をまぶしたリングドーナツ〜」

 

4416「ほほう…?じゃあそれで」

 

ナナ「私もわたしもー!」

 

ムツミ「はーい」

 

4416「あ ドリンクはアイスコーヒーで

   砂糖無し牛乳多め 塩ひとつまみ 豆はブレンド以外なら何でもの深煎り」

 

ナナ「細かいね

   私はアップルティー!甘いのでー!」

 

ムツミ「はいは〜い まずはドーナツから〜」

 

4416「ふーむ 見た目は至って普通のドーナツ

   まずは1口…」

 

ナナ「モグモグ…

   んん〜♪あま〜い♪」

 

4416「ハンバァァァーーグ!!」

 

ナナ「口の中に広がる甘味… 砂糖とドーナツの二段攻撃〜!」

 

4416「冷めていてもなお劣ることのない甘さ…

   油の量を極力減らし 酸化を可能な限り防いでいる…!」

 

ムツミ「よくわかったね〜

    ハイ アップルティーとコーヒー お待たせ〜」

 

ナナ「待ってました〜!

   あぁ〜 おいしい物を食べるってしあわせ〜」

 

4416「んんっ ドーナツの甘味がコーヒーの苦味を強く感じさせるっ

   右と左が正反対でありながり相性抜群であるのと同じように 甘味と苦味もまた 互いを引き立てるのに一役買う」

 

ナナ「あー コーヒー飲んで甘い物食べるというのはよく聞くねー

   でも私はそういうの ちょっと苦手かな〜」

 

4416「んー そういうのはブラックコーヒーが1番なんだろうけど

   酸味苦手な自分は牛乳だばーじゃないとなぁ」

 

ムツミ「隊長さん ブラックコーヒー苦手なんだ〜」

 

4416「何度か挑戦したけど全敗

   二度と飲むまいと思いつつも ふとやっぱりいけるじゃないかなと思い」

 

ムツミ「それでまた負けると…」

 

4416「まあ 胃が痛くなるから ブラックは飲めなくても問題ない

   紅茶はどストレートでもいけるんだがな」

 

ナナ「コーヒー牛乳なら私も飲めるよー」

 

ムツミ「お菓子と飲み物の組み合わせによっては とても美味しいものもあるよね〜」

 

4416「ポテチとコーラとか

   まあ 自分はいつだってコーヒーだけど」

 

ムツミ「隊長さんはお菓子を食べてる姿をあまり見ないけど

    どんなお菓子が好きなの?」

 

4416「んー 甘すぎないもので サクサクしたものかなー

   クッキーしかり スティック菓子しかり」

 

ナナ「私はチョコレート!」

 

4416「チョコか… チョコも甘すぎないのがいいな

   甘いのは喉がやられるぬら」

 

ムツミ「私は飴玉かな〜

    イチゴやリンゴとかの果物の味がいいな〜」

 

ナナ「私もアメは好きー!」

 

4416「飴はハッカ飴が好物です」

 

ナナ「えー?あのスースーするのー?

   アレ甘くないから苦手ー」

 

ムツミ「私も…」

 

4416「よく味わってみたらほんのり甘いぞぉ

   慣れると更なる爽快感が欲しくなる…!」

 

ナナ「ホントにー?」

 

4416「うん

   2粒同時に食ったりとかな」

 

ムツミ「うわぁー 想像しただけで辛そう…」

 

4416「グフフ 今ちょーどハッカ飴があるのだよ

   突き抜ける冷感 嫌という程味わわせてやr」

 

ギル「何をしようとしてるんだ…」

 

4416「被害者一名 追加入りマース」

 

ギル「勝手に増やすな」

 

ムツミ「ギルさん 今日もお疲れさま〜」

 

ナナ「お疲れ〜」

 

ムツミ「ギルさんも早いねー

    何もなかったの?」

 

ギル「いや 隊長の神機のメンテナンスに付き合ってた

   まさか本当に喋るとはな…」

 

4416「もーっと褒めるがよいぞ!」

 

ギル「しかしあの神機 なぜ関西弁なんだ?」

 

4416「さあ?

   風の噂では 普通に喋らせるのもインパクトがないから とりあえず関西弁にしたとか」メタァ

 

ナナ「たしか 黄金のグボロ・グボロだったよねー

   神機になる前から話せたんだっけ?」

 

ギル「あらゆる偶然が重なって起こった奇跡なのか

   あるいは隊長の血の力による必然的な出来事なのか…」

 

4416「ネタ不足とツッコミ不足による救済措置」メタァ

 

ナナ「まあまあそんなことより ギルもドーナツ食べるー?」

 

4416「ハッカ飴もあるぞ!」

 

ギル「ドーナツだけいただく」

 

ムツミ「飲み物はいる?」

 

ギル「あぁ ムツミに任せる」

 

4416「そうそう 最近スケボー始めたんだけどさ トリックがなかなか上手くいかなくてな

   基礎的なトリックすら出来ずにちょっと挫折してたりする」

 

ナナ「いつも板みたいなの持ってると思ってたら あれスケボーだったの?」

 

4416「うん」

 

ギル「隊長は運動神経は悪くないハズだが…

   そもそもやり方が間違ってるという可能性は?」

 

4416「合ってると思うんだけど 一向に成功しないんだよなぁ 超加速」

 

ギル「…超加速?」

 

ナナ「傾斜に差し掛かる直前にボードを呼び寄せて乗る加速方法だったっけ?」

 

4416「それそれ

   壁加速 ポセイドンは割りと出来るのになぁ」

 

ナナ「もしかして坂の角度が足りないとか?」

 

4416「あー かもしれぬ」

 

ギル「…俺の知ってるスケボーと違う……」

 

ムツミ(スケボーじゃなくてヌケボーだからね…)

 

 

 一方そのころ……

 

 

[エミールの部屋]

 

 

エミール「この僕に頼みがあると?」

 

エリナ「うん イヤなら別にいいけど」

 

エミール「何を言う この僕が断るとでも?

     助けの手を差し伸べるのは 騎士として当然の義務!」

 

エリナ「そういうのいいから

    …それで 紅茶の入れ方なんだけど」

 

エミール「む?さてはエリナも あの伝統技法に興味があると…」

 

エリナ「何でもいいから アンタがやってるっていう美味しい紅茶の入れ方を教えてほしいんだけど…」

 

エミール「無論 拒む理由などない!

     むしろ この技法を広めようかと思案していたほどだ!」

 

エリナ「じゃあ手短によろしく」

 

エミール「うむ いいだろう

     だが 言葉で説明するより 実際に見てもらった方が幾分か判りやすいだろう」

 

エリナ「………」

 

エミール「まずは紅茶の入れ方の基本 これは変える必要はない

     より美味しくする方法は 湯を注ぐ時にある言葉を唱えるだけだ」

 

エリナ「言葉?」

 

エミール「そう!極東では『言霊』なる事象が存在する!

     言葉の持つ力 これを紅茶に注ぐという訳だ!」

 

エリナ「コトダマねぇ…

    詳しいことはいいから その唱える言葉を教えて」

 

エミール「うむ 何も難しいものではない

     これもまた 極東に伝わる呪文だ」

 

エリナ「一応 メモっとこ」

 

エミール「聞き逃しても いくらでも復唱してあげよう

     唱える言葉は…」

 

エリナ「………」

 

エミール「『おいしくな〜れ♪おいしくな〜れ♪』」

 

エリナ「……え?」

 

エミール「『おいしくな〜れ♪おいしくな〜れ♪』」

 

エリナ「いや 聞き逃したわけじゃないから…」

 

エミール「む そうか

     どうだ しかと耳に刻み込んでくれたかな?」

 

エリナ「……こんなので美味しくなるの?

    ていうか ちょっと引いた…」

 

エミール「僕も最初は半信半疑だったが 試したところ 心なしか より美味しく感じたのだ!

     ポイントは 飲んでもらう人の笑顔を思いながら唱えることだ!」

 

エリナ「うわぁ…

    まあいいや 帰ろ」

 

エミール「真心をこめる… 人との触れ合いに重要なおもてなしの精神…!

     心も温まる魔法の言葉!それが 僕の目指す更なる騎士道への鍵!」

 

 

[エリナの部屋]

 

 

エリナ「…えっと 飲んでもらう人の笑顔を 想像しながら唱える と……」

 

エリナ「………」

 

エリナ「お おいしくな〜れ おいしくな〜れ…」

 

エリナ「……うぅ///」

 

 

───翌日 13:30

 

[ラウンジ]

 

 

ジュリウス「──それは巨大なヒキガエルのような姿

      しかし ただ大きいという訳ではないことを その化け物が持っている槍を見るだけで理解するだろう」

 

4416「ムンビ来ちゃったよ」

 

ジュリウス「血の滴る槍を 原型を留めていない死体から引き抜いたかと思うと 探索者のいるこちらを向いた

      顔── そこには目も口も無く 無数の触手のような物が蠢いていた」

 

カノン「そ それって本当に生き物なんですか…!?」

 

ジュリウス「こちらを視認したと発覚するのに 特別目を見張る必要はなかった

      なぜなら 槍を高々と掲げて 怖気が走る唸り声をあげたからだ」

 

リヴィ「………」

 

ハルオミ「おっそろしいな」

 

ジュリウス「この世に想像もし得ない 気味の悪い怪物が目の前にいる…

      そんな状況に遭遇した全員はSANチェックだ」

 

4416「ちょっと待って SAN値21しかないんだけど」

 

リヴィ「初期値はいくつだ?」

 

4416「25」

 

ハルオミ「あと1で不定の狂気か?」

 

ジュリウス「時間を考えるとそうなるな

      成功で1 失敗で1d6の減少だ」

 

4416「どうあがいても発狂」

 

カノン「私《精神分析》持ってますので 安心して発狂して下さい!」

 

ハルオミ「カノンちゃんも発狂したら どうしようもないけどな」

 

4416「えぇい ままよ!」[13]

 

リヴィ「運良く成功か… でも発狂は免れない」

 

ジュリウス「では 不定の狂気の種類を決める

      1d10を振ってくれ」

 

4416「何が出るかな 何が出るかな [8]

   8ってーと 『心因反応』?」

 

リヴィ「精神分裂病がそれにあたるな

    主な症状は幻覚 幻聴 異常行動等だ」

 

4416「うーん なるほどなるほど」

 

カノン「では私も… それっ! [6]

    成功ですっ」

 

ハルオミ「そういえばカノンちゃんのSANの初期値は80だったな

     んで 減っても現時点で78… 多いな」

 

リヴィ「次は私だ [85]

    うっ… 失敗だ…」

 

ハルオミ「俺はどうなるかな〜っと [4]

     おっと成功だ」

 

4416「ハルさんの現SAN値 32ぐらいじゃなかったスか?」

 

ハルオミ「神は言っている…

     ここで発狂する運命ではないと」

 

リヴィ「減少値は… [5]

    あっ……」

 

ジュリウス「SAN値が5以上減ったか

      一時的狂気を決める 1d10振ってくれ」

 

リヴィ「流石にこれ以上 状況を悪化させる訳にはいかないが…」[9]

 

ジュリウス「9は…『異食症』だな」

 

4416「じゃあ ムンビを異様に食いたがるってことで」

 

 

───

 

 

ムツミ「──と これが昨日手に入れた情報だよ〜」

 

エリナ「なるほどね」

 

ムツミ「情報はもう揃ったも同然!

    あとは時間との勝負だよ!」

 

エリナ「うん ちゃんとおかずもある程度は選定したし

    あとは実際に作って どれをお弁当に入れるか決めるだけ」

 

ムツミ「それで 何を作るの?」

 

エリナ「リストに書くぐらい多いけど ざっとこんな感じ」

 

ムツミ「うわぁ 多いー」

 

エリナ「1度決めたからには 退くわけにはいかないっ

    そうでも思わないと 自信作なんて作れないと思うし」

 

ムツミ「その心意気… しかと受け取ったぞよ!」

 

エリナ「…どうしたの ムツミちゃん?」

 

ムツミ「さっそく戦に参るでござる!

    料理は戦い!いざ出陣!」

 

エリナ「…いったい何に感化されたの?」

 

 

───

 

 

 愛ゆえに

 

 愛する人に

 

 愛されたいために

 

 

 腕を上げ

 

 腕を振るい

 

 腕によりを掛ける

 

 

 そう 全ては

4416「鉄血メイスはどこだぁ~!上の写真立てに飾っていただろぉ!?

   あっ クーラー付けないで!止まれの標識置いてないから!」

 

リヴィ「あぁ あのカエル… 美味しそうだ…

    そうだ カエルは鶏肉のような味がするんだ…」

 

ハルオミ「これはヒドイ」

 

カノン「ある意味これもSANチェックものですね」

 

ジュリウス「では」

 

カノン「しませんっ!」

 

 

───ピクニックの日 11:20

 

[エリナの部屋]

 

 

エリナ「…よし 出来る事は全部した…

    あとは結果次第…」

 

エリナ「忘れ物は無いよね…?

    何度も確認したけど 見落としがあるかもしれない…」

 

エリナ「………」

 

エリナ「あっ!お箸が無い!

    あ あぶないところだった〜…」

 

エリナ「他にも忘れ物 無いかな…?」

 

エリナ「………」

 

 

───道中すっ飛ばして

   同日 12:25

 

[聖域内耕作地 野菜エリア]

 

 

4416「んー いい色だー

   全然わかんねぇけど」

 

エリナ「このトマト いい感じに育ってるねー」

 

4416「一方カボチャは全然育たないなぁ

   まだまだ青い」

 

エリナ「ナスとキュウリはそろそろ食べ頃かな〜」

 

4416「ネギとニラやべぇ

   雑草にしか見えん」

 

エリナ「ちょっと詰めすぎた感じかなぁ

    色もちょっと薄い気がするし」

 

4416「間隔を気持ち広めにと… メモメモっと」

 

エリナ「…ホントに様子見に来ただけなの?」

 

4416「んー 半分は見に来ただけ

   もう半分はデート的な」

 

エリナ「…もう はっきり言っちゃって」

 

4416「いかんのか?」

 

エリナ「別にいいけど…」

 

4416「いいのか(困惑)」

 

エリナ「そこは否定されるところなの?」

 

4416「ノリというかなんというか」

 

 

───13:05

 

[聖域内耕作地 小屋]

 

 

4416「──と まあこんなモンかな」

 

エリナ「お疲れさま」

 

4416「そんな疲れてないけど まあ あんがと」

 

エリナ「それで 帰りはどのくらいになるの?」

 

4416「割と余裕取ったから 早くても1時間後かな」

 

エリナ「……あのね 先輩…」

 

4416「うん?」

 

エリナ「お弁当作ってきたんだけど… よかったら食べる…?」

 

4416「………」

 

エリナ「べ 別にいらないならいらないでいい けど…

    その…」

 

4416「ちがう」

 

エリナ「え?」

 

4416「さっきのセリフ『食べる』を『たべりゅ』に変えてワンモア」

 

エリナ「えぇ…」

 

4416「ワンモアーッ!」

 

エリナ「わ わかったから!」

 

4416「はい」

 

エリナ「えっと… お弁当作ってきたんだけど…

    た たべりゅ…?」

 

4416「たべりゅぅぅぅうううう!!」

 

 

 

エリナ「はい 先輩のお弁当っ」

 

4416「んんっ のり弁とは分かっておるのぉ」

 

エリナ「飲み物にウーロン茶をたくさん入れてきたから 遠慮しないでね?」

 

4416「ええじゃないか!ええじゃないか!」

 

エリナ「ふふっ♪じゃあ いただきますっ」

 

4416「全力でいただかせてもらう」

 

エリナ「この為に 頑張って練習したんだけど どうかな?」

 

4416「旨いッッッ!!魚のフライのサクッとした歯応えッ!

   弁当だというのに 衰えることなき食感はいったい…!?」

 

エリナ「ふふん ヒミツ♪」

 

4416「守りが堅い!っと ここでちくわの天ぷらに移った!

   さあ 容赦なく食らいつきます!」

 

エリナ「なんだか実況みたい」

 

4416「んっ これはスゴイ!フライとは対照的に弾力のある歯応え!

   良いちくわを最大限に活かしている!」

 

エリナ「でしょー?」

 

4416「さあ ここは一旦下がります

   箸休めにゴボウの金平に目を付ける!」

 

エリナ「こんなに美味しく食べてくれるなんて

    頑張って作った甲斐があるかも」

 

4416「おっと!ここでまさかの白米!

   スタジアム(弁当箱)の白い悪魔!ライス!」

 

エリナ(…でも なんでこんな実況風に解説するんだろう?)

 

 

───

 

 

4416「ふいー ごちそうさん」

 

エリナ「はい お粗末さまー

    食後のデザートもあるけど どうする?」

 

4416「ほう?何ぞ何ぞ?」

 

エリナ「ちょっぴり苦ーい アイスサンド!

    といっても 苦いのは先輩の分だけだけど」

 

4416「いいぞいいぞ!早速いただく!」

 

エリナ「はいはいー

    あっ 紅茶もあるけどいる?」

 

4416「うんうん いるいる」

 

エリナ「はーい」

 

4416「んんっ しっとり冷たく ほのかに苦い

   ここで紅茶をグビッと… うまぁい!」テーレッテレー

 

エリナ「良かったぁ〜

    紅茶も美味しく入れられたか不安だったけど その心配はないみたいね」

 

4416「仮にヘマやらかしても だいたいの物は旨いと感じるから 大丈夫だいじょーぶ」

 

エリナ「もうっ 1番美味しいのを振る舞いたいの〜」

 

4416「ンなるほどっ」

 

エリナ「…好きな人と美味しい物を食べるって いいね」

 

4416「セヤナー」

 

エリナ「また今度 こういう機会があったら お弁当作るね♪」

 

4416「いいぞ。」

 

エリナ「でも たまには先輩の作ったものも食べてみたいかな…?」

 

4416「大半が辛いものになるけど それでいいなら」

 

エリナ「…えっと せめて私の好みぐらいは知ってほしいかな〜…」

 

4416「おや 失礼」

 

エリナ「ところで 私の好物って知ってたっけ?」

 

4416「………

   知ってるよ」

 

エリナ「今の間はなに?」

 

4416「スミマセン 知りません」

 

エリナ「もうっ」

 

4416「フォッフォッフォッ」

 

エリナ「笑ってごまかさないのっ」

 

4416「サーセン」

 

 

───

 

 

4416「んふぅ 腹が幸せで満たされた」

 

エリナ「そう?よかった♪」

 

4416「いやしかし ワガママだとは自覚しているが 少々甘いものを口にしたいのう

   エリナのアイスサンド 半分でもいいからちょーだい」

 

エリナ「ゴメン もう食べちゃった」

 

4416「Oh」

 

エリナ「私の分はそこまで多くなかったからね」

 

4416「ぬーん まあ仕方ないか」

 

エリナ「……そうかな?」

 

4416「うん?」

 

エリナ「ホントに 甘いものがないのかな?」

 

4416「………(アイデアロール [96](ファンブル))

   サッパリわからん」

 

エリナ「…1つだけ 確認できる方法があるよ」

 

4416「うーん?」

 

 

 

   「…キス……しよ……?」




ここまでで1度も出てきていないキャラ一覧(生存者且つ今後の絡みが予想される者のみ)

 ユノ
 サツキ
 レア
 良い方の局長
 テルオミ
 ウララ
 ダミアン
 外部居住区の人達
 よろず屋
 ハルさんの愉快な仲間達
 その他(予防線)

案外いる

4416「オペレーター2人とユノ 局長は出てくる可能性は高い」

気まぐれ

4416「…んで よろず屋との絡みてなんだ」

回復錠のまとめ買いとか

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