東方暇潰記   作:黒と白の人

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第73記 絡まれる

俺は道中を(無かったこと)とした

コマ落ちしたかのように視界が切り替わった

移動した場所は早苗の学校の近くにある人気のない裏道、その裏道から出て早苗と同じ制服に身を包んだ人間の少年少女達とすれ違うように学校へとカランコロンと下駄を鳴らして歩く

 

校門の前では緑髪の少女、早苗がキョロキョロと辺りを見て誰かを探していた

 

「やぁ早苗ちゃん」

「虚さん!」

 

俺は片手を挙げて早苗の名前を呼ぶ

すると早苗は此方に気付き小走りに近寄ってくる

 

「迎えに来たよ」

「はい!」

 

俺は早苗に背を向けて来た道を引き返そうとすると早苗は俺の手を掴んだ

 

「……さて帰りますか」

「はい!あっ虚さんお買い物行きましょう!」

 

少しだけ驚いて言葉に詰まってしまったが俺は少しだけ笑ってそう口に出した

早苗はハッと思い出したように手を叩き言う

 

「買い物?」

「そろそろ食材がなくなりかけてたはずなので」

 

俺は指を口許に当てて思い出す

朝の冷蔵庫の中身を思い出すとそれほど食材がなかったことを思い出した

 

「そう言えばなくなりかけてたね……なら買い物に行こうか?」

「はい!」

「元気がよろしい」

 

俺はクスクスと笑い早苗を連れてスーパーに寄る

 

 

買い物が終わり、神社へ帰る途中俺は振り向かず後ろの様子を近くにあったカーブミラーに目線を動かし見る

 

「……早苗ちゃん」

「どうしました?」

「ちょっと寄り道するよ」

 

俺は早苗の手を引き人気の少ない路地裏へと入る

そして後ろから声をかけられる

 

「態々こんな人気のないところに来てアンタ等馬鹿か?」

 

薄ら笑いを浮かべた三人の人間の男達

ピアスをしており髪を金や赤にと染めている

 

「俺達に何か用かい?」

「なぁに、ただそこの嬢ちゃんを好きにして良いって言われてなぁ」

 

一人の男が前に出てニヤニヤと笑いながら言う

 

「中々良いじゃねぇか」

 

右隣にいた男が下卑た笑いをする

 

確かに早苗は可愛らしい容姿の少女だが、それでもランドセル背負った小学生な訳なのだがこの男はロリコンだろうか?いや考えるまでもなくロリコンなのだろうねぇ、それも度し難い程の

 

「この子に手を出すならなら俺も黙っちゃいないよ?」

「ハッ、ヒーロー気取りか?」

 

三人目の男が鼻で笑い言う

 

「虚さん?!」

「うん確かにそうだ、でもさっさと終わらさないと諏訪子や神奈子に、遅い!って俺が怒鳴られそうだからね、後早苗ちゃん少しこれ持っててね」

「……そうですね分かりました!」

 

俺は苦笑いしながらそう言って早苗にレジ袋を渡すと早苗は一瞬キョトンと目を丸くするが直ぐにクスリと笑いレジ袋を受け取った

 

「アンタ等今の状況わかってんのか?全員来いよ!」

 

最初の男が言うと後ろからぞろぞろと別の男達が入ってくるその数最初の男達を合わせて十五人

 

「この人数相手に勝てるとでも?」

「勝てるよ、ほら蟻が何匹集まろうにも象には踏み潰されるだろう?たかが人間がいくら集まろうと雑魚に変わりはないんだよ」

「言ってくれるじゃねぇか……ぶち殺す!!」

 

一人の男が俺に殴りかかる俺は相手の腕の軌道をそらし膝を腹に一撃を入れる

 

「ごふぁ?!」

「ほらまず一人」

「全員でかかればやれる!」

 

残りの十四人が一斉にそして数人ナイフや警棒などの武器を取り出した

一人が走りながらナイフを上から振り下ろす、俺はそいつの懐に入り込み鳩尾を殴る

 

「かっは?!」

「二人目、早苗ちゃん怖いなら目を瞑ってて良いよ君には指一本触れさせやしないから」

 

早苗から返事はない

 

「ガキだ!ガキを人質にしろ!」

「させると思うのかい?」

 

先程殴った人間のナイフを奪い早苗に近づく人間の足に投げる

 

「痛っつ!?」

 

ナイフは右足を掠りその人間は膝をつく

その人間の下に走り顔を蹴り飛ばす

 

「三人目っと」

「うあぁぁぁ!」

 

警棒を振りかぶって近づいてくる男の顔に肘を入れて気絶させる

 

「四人目」

 

腕を挙げて俺を掴みに来るガタイの良い男が一人

 

「和服なんて掴みやすい服着てんじゃねぇよ!」

 

ガタイの良い男が俺の袖を掴もうとするが俺はそれを払い除ける

 

「それは捕まえられればの問題だね」

 

俺はその男を蹴り飛ばし後ろの男達を巻き込みながらその男は吹き飛んだ

 

「八人目ってとこかな」

「おい!聞いてねぇぞ!こんな男居るなんてよぉ!」

「うるっせぇ!俺も聞いてねぇよ!!」

 

二人同時、武器はスタンガンと警棒

スタンガン持ちの男の手首を叩きスタンガンを奪い取りスタンガンを押しあて気絶させ、後ろで警棒を振りかぶっている奴に肘を入れて意識を刈り取る

 

「十人目っと、さてどうする?もう後五人だよ?」

「ちっ、クソが全員退くぞ!」

 

残りの五人は倒れた仲間を置いて路地裏から走り去って行った

 

「早苗ちゃん終わったよ」

「凄いですね数秒で十人も……」

「……俺が怖い?」

「全く!」

 

俺がそう聞くと早苗は元気良く答え

俺の手を握った

 

「それより良いんですか?五人逃げちゃいましたけど」

「早苗ちゃんは少し過激だな」

 

俺は口許に手を当ててクスクスと笑う

 

「いや別に全員血祭りに挙げたりするのかなとか思ってませんよ!」

「……少し君が俺をどういう人物と認識しているのか話し合わなければいけなさそうだね?」

 

俺はジトリと早苗を横目に見る

俺は溜め息を吐き早苗を横抱きにして飛び上がり守矢神社に帰る


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