「ごちそうさまでした」
俺は手を合わせてそう言う
「どうでしたか?」
「美味しかったよ」
早苗が少し不安そうに言い、俺がそう返すと早苗は花が咲きそうな笑みを浮かべる
「それじゃあ下げますね!」
「いや、俺がやるよ昔は俺の仕事でもあったし」
「えっ?虚さん諏訪子様と結婚されてたのでは?」
「……政務は諏訪子の仕事、家事は俺と巫女の仕事だったんだよ」
「それでも悪いですよ」
「早苗ちゃんは諏訪子達と話してて、それじゃあね」
俺は手早く諏訪子と神奈子の皿を取り台所へと持っていく
よし話の追及から逃げ切った
俺は長めの廊下を歩いて勝手場に向かう
東風谷早苗
虚さんは私と諏訪子様達の皿を目に見えない速度で取り台所へと持っていった
「逃げたね」
「速っ?!」
諏訪子様は平然としていて神奈子様は驚いた声をだす
凄い!残像がありました!!アニメみたいです!!
「諏訪子様!諏訪子様!」
「ん、なに興奮してるのさ?早苗」
「虚さんって何者なんですか!?」
諏訪子様は手を口許に当てて唸る
「んー何者、か……難しいね、虚が来たのも突然だったし面白そうだから近づいたらいつの間にか好きになっていたからね」
心なしか諏訪子様の頬が赤く染まっているような気がします
「一目惚れです!一目惚れですね!」
「まぁその通りだね」
諏訪子様はクスクスと笑う
「虚さん、自分のこと妖怪だって言ってましたけど本当なんでしょうか?」
諏訪子様や神奈子様から聞く妖怪像と虚さんはかけ離れている印象があります、人を襲って食べて恐怖を集めて力を得る、虚さんはそんなことをしている印象はありません……でも妖怪なら私と会う前はそんな風に誰かを食べていたのでしょうか…?
「虚は妖怪で間違いないよ……でもだからどうしたって言うのさ、神が妖怪を好きになって何が悪いんだい?ねぇ神奈子?」
「私に振るのかい?!」
神奈子様はテレビを見ながらお酒を飲んでいて突然話を振られてびっくりしたように声を大きくしました
「だって同じでしょ?」
「……否定はしないよ」
神奈子様の頬が赤いのは照れているのかお酒を飲み過ぎたせいなのかは分かりません
「素直になりなよ、ほら本音を言いなよ、ほら!」
神奈子様は杯にお酒を注ぎ煽るように飲みました
「あぁ!そうだよ!私は黄昏虚が好きだよ!これで良いかい!」
待ってくださいよ……虚さんは諏訪子様と結婚していて神奈子様は虚さんのことが好き、ここから導きだされる結論は一つ!
「修羅場です!修羅場です!虚さんを巡っての血みどろの決戦です!」
お昼のドラマみたいにドロドロとした修羅場が繰り広げられるのですね!
「まぁ修羅場だけどね、私は別に虚が複数いても良いって立場だけど、問題は永琳って人なんだよね……」
「永琳さん……って誰ですか?」
「虚が嫁さんって呼んでる人のことだよ」
神奈子様は少し機嫌が悪そうに言う
「あれ?諏訪子様と虚さんは結婚されているのでは?」
「ちょっと違うかな、永琳って人が虚の嫁さんでお妾さんが私達ってわけ」
私は頭にはてなマークを浮かべる
「要するにね、虚と結婚してたのは永琳って人、私達は虚の浮気相手ってことだよ」
「それで確かまだいるんだよねぇ?諏訪子」
「らしいね」
諏訪子様達と話していると古時計の大きな音がなる
「あっもうこんな時間かい、早苗明日も学校あるんだろ?もう寝な」
「はーい」
私はそう返事をし自分の部屋に戻る
東風谷早苗END