東方暇潰記   作:黒と白の人

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第63記 祟り神との再会

東風谷早苗と名乗った少女と別れて数日

数日前の公園で立っていると少女が走ってくるのが見えた

 

「おや、また会ったね」

「虚さん!」

 

早苗は嬉しそうに笑いながら俺の名前を呼ぶ

 

「あんまり俺に近づかない方がいいよ」

 

おそらくあの少年少女達のおかげでこの町に妖怪が出現していると陰陽師に知られているだろう、この辺を歩くとき何人かとそれらしき人物とすれ違った

ならばいずれ俺が見つかり下手をすれば早苗まで被害が及びかねない

 

「どうしてですか?」

「また外されるよ?」

 

俺がそう言うと早苗は顔を俯かせ暗くなる

 

「構いません……皆私を見てくれませんから……」

「どう言うことだい?」

「……私は半分神で半分人なんだそうです」

「半人半神ってところか……」

 

早苗は首を縦に振る

 

「はい、だから私のことを皆先祖帰りだって崇めるんです、お母さんもお父さんも私を娘として見てくれない……」

「それは……」

「でも私はそれでも構いません私にとってのお母さんは諏訪子様と神奈子様ですから!」

 

ニコッと早苗は笑ったがその笑みはとても悲しそうな笑みだった

 

諏訪子と神奈子、懐かしい二人の力の匂い、そして東風谷の苗字、確定かな……?

 

「そうかい……さて、そろそろお帰りもう暗くなって来ているから」

「あ、本当ですねもうこんな時間ですか……速いですね時間が経つのは……」

 

空を見上げると日は落ちかけて夜の幄が下りてきている

俺はふむと唸り、早苗に言う

 

「……送っていこうか?」

「え?!」

「流石に女の子を一人で帰すのもどうかと思うからね」

「いえ!悪いですよ!」

「年寄りの言葉は素直に受け取っておきなさい」

「年寄りって虚さんまだ若いじゃないですか」

 

俺は口許に手を当てて笑いを噛み殺すが噛み殺しきれていない

 

「くく、そんなに若く見えるかい?」

「はい、二十代くらいです!」

「ふっくく、そうか、俺の外見年齢はそのくらいに見えるのか、だけど俺は妖怪だよ?」

 

過呼吸になってきて疲れてきた

 

「えっと……」

 

早苗はどうやら意味が少しわかっていないらしく首を傾げている

 

「神奈子や諏訪子が二十代と十代くらいに見えても実際は違うだろ?それと同じ」

「二十代位に見えてるけど本当の年齢とは違うと?」

 

恐る恐ると早苗は言う

 

「そう言うこと」

「いくつくらいか聞いてもいいですか?」

「えっと大体二億位だったかな?」

 

早苗は固まる

 

「えっ……ええええええええ?!」

 

予想通りたがその面白い反応に俺はケラケラと笑った

 

「そんなに驚くことかい?」

「嘘です!ダウトです!紀元前から生きているなんて嘘です!」

「本当だよ」

 

そんな感じに笑いながら歩いていると、ふと懐かしい気を感じて立ち止まる

 

「着いたよ、確かこっちだったかな?」

「そう言えば虚さんはどうして諏訪子様と神奈子様のことそれに守矢神社のことを知っているんですか?」

 

住居区画になっている神社の裏手に回りながら話す

 

「昔に会ったことがあって住んでいたから、かな」

 

俺がそう言い終わったとき懐かしい声が聞こえる

 

「早苗ー遅かっ……た…ね?」

 

金髪をショートボブにし目玉の付いた一女笠が特徴的であり青と白を基調とした壺装束を着た

あのときと全く変わりない諏訪子がいた

 

「……まぁそのなんだ……諏訪子、久しぶり」

「……おかえり虚」

「…ただいま」

 

諏訪子は笑顔で頷く

 

「上がりなよ、神奈子も居るからさ」

「いや、こんな夜中に上がり込むのも悪いから今日は遠慮しておくよ」

「何を勘違いしてるのさ?私は上がれって言ってるんだよ?」

 

いつの間にか諏訪子が俺の前まで移動し続ける

 

「それにね、私達をこれだけ待たせたんだ、まさか怒ってないなんて思ってないよね?」

 

ガシャンと腕に違和感を感じ目線を向けると鉄の輪が付けられていた、手錠のように

 

「え?」

「捕まえた、さぁ上がりなよ」

 

俺は諏訪子に引きずられながら神社の中に入っていく


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