東方暇潰記   作:黒と白の人

43 / 100
第42記 壊れた勾玉

藍を見送った次の日の夜

 

「これは…」

 

藍に渡した勾玉が壊れた

アレには俺の少ない神力を込めお守りにしていたためどうなったのかはある程度わかる仕様になっている

 

「殺られたのかな……」

 

嫌な想像をしてしまう

 

「死んでたら墓を作るくらいはしてやるか」

 

俺は壊れた勾玉の神力を頼りにその勾玉の場所まで移動する

 

 

 

そこには大人数の陰陽師と禍々しい要石があった

 

「おやまた会いましたね」

 

以前会った優男風の陰陽師が言う

 

「その石は?」

「我々が祓った妖怪の残しものですよ」

 

間に合わなかったか……

 

「やはりあの妖怪を知っていましたか」

 

陰陽師が札を構え始める

 

前に会った所よりかなり離れているこの場所にいる説明がつかんよな…

 

「…だから?」

「仲間意識は無いのですね」

「妖怪は強い奴は生き残って弱い奴は死ぬ、そんな弱肉強食の世界だ、別に仇討ちなんて考えてない……と言えば嘘になりそうだ」

 

優男風の陰陽師以外の陰陽師は霊力を札に込め始める

 

「別にアンタらと殺り合うつもりは今の俺にはないよ」

「妖怪は全て滅する!」

 

優男風の陰陽師の後ろにいた大柄な男が札を投げる

俺は西行妖のときと同じ術式を使い防ぐ

 

「これ以上やるのであれば…」

 

俺は目を細めて袖から短刀を取りだし……

 

「…殺すぞ?」

 

……妖力を開放する

 

「ひぃ!すっ姿を現しよったな!妖怪め!」

「お止めなさい」

 

優男風の陰陽師が大柄な男を腕で制して止める

 

「別に止めなくて良かったのに」

「殺したでしょう?」

「どうだろうね?」

「私達は貴方に関与いたしませんのでお引き取り願ってもよろしいでしょうか?」

「……」

 

俺は短刀と妖力を戻す

 

「ありがとうございます」

 

恭しく礼を取るその男を尻目に俺は踵を返してその場から去る

 

 

 

「死んでしまったか……」

 

暗い森のなかで呟く

 

「あの石砕いてそれを埋めるかな……ん?」

 

血の後が続いているのが目に入った

 

「血?何の……少し、見てみるか」

 

後を辿ると片方は要石があった方向に続いていた

 

 

 

俺は血の後を追う

血は洞窟に続いていた

 

「……おやまぁ」

 

そこには至るところから血を流し

矢が刺さり傷だらけの倒れている藍がいた

 

「確かなんだっけなこう言うの確か生存フラグだっけかな?」

 

俺はそう呟きながら藍を横抱きにして家に連れて帰ることにする

 

「見つけたぞ!妖怪め!」

 

声の聞こえた方向へと目を向けるとそこには先程の大柄な陰陽師と弓を持った男、槍を持った男がいた

 

「へへへ、あの狐もいるじゃねぇか」

「狐を置いていけば命は助けてやるぜ?」

 

弓と槍の順で言う

 

「悪いね彼女は大切な友人なんだ」

「ならば貴様ごと滅せればいいことよ!」

 

陰陽師が札を投げる

俺は術式を出し火の玉を防ぐ

妹紅の方が巧いな

 

続いて矢が飛んでくる

同じく術式で防ぐ

永淋の方がもっと際どかったぞ……いやこれは比べる相手が悪い

 

槍の男が後ろに回り込んで突撃する

術式を移動させる

男は術式に突撃し弾かれる

 

「俺は先程言ったよな?次は殺すと」

 

俺は藍を木に寝かせる

 

「よっと」

 

矢が籃を狙い飛んでくる

矢を掴んで止める

 

続いて火の玉が飛んでくるこれも籃を狙っている

術式で防ぐ

 

槍の男が突撃してくる狙いはまた籃

蹴り飛ばしてに後ろの木に叩き付けてやる

 

「返すぞ」

 

矢を投げ返す

投げ返した矢は弓の男の頭を貫き樹に縫い付けられるように事切れた

 

「ひっ!わあああ!」

 

槍の男は武器を投げ出し背中を見せて逃走した

 

「忘れ物だ」

 

俺は槍を拾い男へ目掛けて投げる

投げた槍は正確に男の心臓部分を貫き樹に縫い付け男は声も上げれずに事切れた

 

「術式が甘いぞ」

 

最後に残った陰陽師には同じ霊力で作った火の玉を投げる

 

「くっ!妖怪ごときに私が負けるなどない!」

 

陰陽師は火の玉を俺の火の玉にぶつける

 

「ばっばかな!」

 

陰陽師の火の玉を俺の火の玉が呑み込み

陰陽師を焼く悲鳴を出すより先にその男は灰となる

 

「弱いねぇ」

 

そう俺は呟き再度藍を横抱きにして家に連れて帰る

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。