白髪の老人担ぎ広い庭を歩き回っているとやっとのことで紫を見つけた
紫は桃色の髪の女性と談笑しているようで俺のことにはまだ気付いてないようだ
「あら、遅かったじゃない」
ある程度近付くと紫も俺に気付いたようでそう言った
「さて紫、話をしようか?」
「ど、どうしたの?そんな怖い顔して?」
「アッハッハ、人を放置した挙句に謝罪も無しか」
俺はわざとらしく笑い声を上げて紫の頭を掴み徐々に力を込めて締め上げる
「痛い!痛い!痛い!痛い!ごめんなさい!ごめんなさい!」
「……仕方ない許してやろう」
紫の謝罪の言葉で俺は紫の頭から手を離す
倒れた紫の頭からプシューと白い煙が出ている気がするがきっと気のせいか幻覚だろう
「あらあら~…あれ?妖忌じゃないの~」
桃色の髪の女性はころころと笑っていると俺が担いでいる老人に気がついたようで老人の名前を呼んだ
「ん?この老人のことか?」
「ええ、その人は
最近の庭師は達人並の武術が出来ないとやっていけないのか……
「ここに来る途中に侵入者にされてしまってな悪いが気絶してもらった」
俺は魂魄妖忌と言う老人を畳の上に寝かせる
「あイタタタ……もう少し加減できなかったのかしら」
その頃にやっと紫が復活して愚痴った
「ならもう少し説明してからやれ」
「全く……幽々子この人がさっき話してた黄昏虚そして虚こっちが……」
紫の言葉を待たずに幽々子は口を開いた
「へぇ貴方が……初めまして私は
「こちらこそ初めまして先程紫が言ったように黄昏虚だ」
俺と西行寺が自己紹介をしていると魂魄が呻く
「う……う……」
魂魄が額を押さえながら起き上がる
「私は……そうだ幽々子様!」
「あらあら~、妖忌お目覚めね~」
「幽々子様ここに男が来ませんでしたか!」
「こっちにいるぞ魂魄殿」
「貴様!」
魂魄が腰の刀に手を掛ける
「やめなさい」
先程の間延びした声はなんだったのか、凛としたよく通る声で西行寺は言う
「彼は私の友人の友人であり正式な来客です、無礼な真似は許しません」
魂魄はこちらに向き直ると頭を下げこう言う
「先程はそなたに刀を振った無礼をお許し願いたい」
「あ、あぁ気にしていない俺も魂魄殿を気絶させている」
「あらあら~妖忌やられちゃったの~」
西行寺はまた間延びした声に戻る
それに応じて少し空気が軽くなった気がする
「申し訳ありません幽々子様」
妖忌が気絶したのを西行寺が弄りそれを妖忌が謝るという掛け合いが行われる
「で、紫は何そんなに拗ねてんだよ」
「いいわよ……どうせ私なんて影が薄い女ですよ」
此方に目を向けずに拗ねる紫の頭を撫でて俺は笑う
「拗ねない拗ねない」
「ふぇ?」
少し放っておかれたのが辛かったらしいようで紫は地味に涙目だった
こんなことで泣くなよ……
「紫、件の……えっとなんだっけかな」
「西行妖?」
「そうそれだ、それは何処に?」
とりあえずここに来た理由となる本題に話を戻す
「え、えぇ幽々子」
「な~に?紫」
「ここに来た本題よ、西行妖のところに彼を連れていって頂戴」
「……分かったわ、こっちよ」
俺、紫、西行寺、魂魄の4人は西行妖がある庭へと足を運んでいく