東方暇潰記   作:黒と白の人

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一度やってみたかった名前のくだり

天才薬師が一人の男を拾った話
開幕でございます


第3記 都市の事

八意さんの家は高層マンションの一室だった白を基調としていて清潔感のある部屋だった

 

持っていた弓はどう言った原理か七cm四方の四角い箱の中に格納され、その箱を彼女は服のポケットに仕舞った

 

「今お茶をいれますね」

 

彼女はそう言って台所らしきほうへと歩いていった

俺は近くにあるソファに座り部屋を見回した

 

この都市薄々感じてたけどけど生前より遥かに進んでる……

 

「お茶が入りましたよ」

 

不意に彼女の声がした

 

「あ、ありがとうございます」

 

物珍しさとは言え女性の部屋をジロジロと不躾に見ていたのを見られたと思い俺は体をビクッと少し跳ねさせた

 

俺は彼女が入れてくれたお茶を飲みながらこれからどうするか考えた

 

「どうしました?美味しくなかったですか?」

 

彼女が不安そうに聞いてくるので俺は慌てて茶の感想を答えた

 

「いえ、美味しいですよ」

「良かった…このお茶は私の特製で心を落ち着かせる効果があるんです」

 

確かにお茶はからは心が落ち着くような香りがしているその香りを堪能すると少しホッとしたような空気を漂わせて彼女は胸を撫で下ろした

そのとき目が彼女の手を追ってその主張する胸部に行ってしまったのは悪くはないはずだと俺は心の中で自己弁護をしておく

 

「これからどうしようかと思っていましてね…」

「ここに住むのはどうですか?」

 

彼女はふむと少し思案して言う

 

「さすがにそれは八意さんに迷惑をかけすぎているでしょう」

「私はかまいませんよ?」

「ですが……」

「私はかまいませんよ?」

 

有無を言わさぬような笑みを彼女は浮かべて【はい】と言わなければ物語が進まないゲームのように繰り返す

 

「……お言葉に甘えさせていただきます」

「えぇ」

 

ここまでの好意を無下にすることはできず俺は折れて頷くと彼女は花が咲いたような笑みを浮かべ頷いた

 

その後雑談などをしこの家に来るまえにビルなどがあり得ない速さで立っていくのを聞くと

 

「この都市には加速させたり減速させたりする能力を持っている人がいて、例えば人の時の進みを限りなく減速させ思考速度などを加速させる事ができます。あの場合は肉体の運動能力を加速させていたから高速でビルがたっていたのだと思います。私は『加減速を操る程度の能力』と呼んでいます」

 

能力、俺の無から有を創る力と同じ様に力があるのが普通なのだろうか?

 

「そう言えば八意さん」

「永琳」

 

俺が彼女の名字を呼ぶとそう訂正された

 

「えっと…」

「もう一緒に住むのですから永琳と呼んでください」

「永琳さん」

「永琳と……」

これは呼び捨てにしろということだろうか?心なしか彼女の笑みに先程と同じような凄みが出てきたのを感じているのだが……

 

「私の名前を呼ぶのはお嫌ですか?」

 

笑みは消えて少し寂しそうに、そして心なしか彼女の目に涙が溜まっている気がする

 

「いやそう言うことじゃなくてですね、俺は女性のことを名前で呼ぶのに慣れてなくて……」

「やっぱり呼んでくれないのですね……」

「永琳……これで良いか?」

「はい!」

 

彼女は先程のような花が咲くような満面の笑みを浮かべ大きく頷いた

 

「あ……の…あの虚さん?」

 

彼女が何か言いながら俺の目の前で手を振っている、どうやら少し見惚れてしまい放心していたようだ

 

「いやなんでもない永琳」

「そう言えば敬語とれましたね」

「あっすいません」

 

頭を下げて謝り自然と取れていた言葉を急いで元に戻した

 

「ふふっ構いませんよそれに呼び捨てなのに敬語というのもおかしな話ですからね」

 

彼女がクスクスと笑い俺も釣られて笑う

 

「あ!笑いました」

「え?」

「虚さんずっと笑ってなかったんですよ?」

「アハハそれはなんとも…」

 

俺は頭を掻いて目を逸らした

 

「そう言えば永琳っていくつなの?さっきの能力の話だと永琳も凄くとひをとっれいる…?」

 

永琳の指が音もなく俺の口に入り頬を広げて言葉が上手く発せられなくなった

 

「女性の…」

 

ニコニコとした永琳の笑みが深くなり話し出して一番の凄みを感じるような笑みになる

 

「年の事を…」

 

永琳の指が口の中を縦横無尽に撫でる

 

「無闇に聞くものではありませんよ?」

 

俺の舌を永琳は2本の指で挟み引っ張った

 

「いひゃい!いひゃい!いひゃい!ごめん!ごめん!」

「え?なんですって?あぁもっとですか、わかりましたお望み通りにしますよ」

「ひがう!ひがう!」

 

俺の舌が解放されたのはそれからしばらくしてからだった…


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