東方暇潰記   作:黒と白の人

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なんか読み直すとなんかなあーと思ったので大幅に変えました。すいません


第24記 後の賢者との話

俺は森を散策している

 

「……」

 

何かに見られてる

こらそこ自意識過剰乙とか言わない

 

その空間を視る、そこからこちらを覗いている何かと目が合った気がした

 

「そこに居るのは誰だい?」

とりあえず呼び掛けてみる

 

「そこに居るのは分かってるんだでてきてくれないか?」

 

袖口から短刀を取り出す

 

「あまり怖い顔をしないでくださいな」

 

女性の声と共に空間が裂ける

裂けた空間から赤いリボンのついた白い帽子を被りその下から覗く金髪は二つほど赤いリボンで束ね、その女性はフリルのついた紫色のドレスを身に纏い降りてくる

 

「君は?」

「初めまして私は八雲紫(やくもゆかり)

 

八雲紫と名乗った妖怪は紫色の日傘を畳み一礼する

 

「それではこちらも、黄昏虚と言う者だ」

「この度は不快にしてしまったことを謝罪いたします」

「出てきてくれたし気にしてないよ」

 

俺は短刀を袖口に戻しながら答える

「で?俺を監視するような真似してたんだ、なんかあるんだろ?」

 

俺は八雲紫を睨み付けるように視る

 

「ええ」

 

彼女は一拍置く

 

「率直に言わせていただければ黄昏虚殿、私の式になってはいただけませんか?」

 

式とは主の命令に従えば主から力を貸し受けることが出来るようになる主従関係を結ぶこと、確かそうだったはずだ

 

「式?なぜまた俺を?」

「私の夢のためにです」

「なら、聞かせてくれないか?アンタの夢って奴を」

 

彼女の夢はやはり幻想卿の創設であった

妖怪と人間が共存する世界

人と妖怪が仲良く手を取り合う理想郷

 

「無理だな到底不可能な夢物語だ」

 

俺はそう断言する

 

「……」

「妖怪は畏れを集めて力を保つ、そして畏れるのはほとんど人間だ、身近に居る若しくは被害が来ない妖怪に対して畏れるか?この時点で共存なんかできやしないだろ?」

「えぇその通り」

「へぇ肯定するのかい」

「ええそれは間違いがない事実」

 

八雲は続けるように言う

 

「だけど最古の妖怪とも言える貴方ならわかっているはずです、人とは進化することを」

「……」

「ならば自ずとわかるはずです。いずれ人間は妖怪をも越えて畏れなくなると言うことを」

「全く持ってその通り、でその幻想卿とやらを創ると言う訳かい」

「はい、式となれば貴方にも利点はあるはず……」

「恐らくだが利点はないな」

「……」

 

俺は真っ直ぐ八雲の目を見据える

 

「俺のほうが強いから」

「私より貴方のほうが強いと?」

 

正直に言おうか……怖いです、物凄く、美人さんが怒ると怖いと言うのは本当だな、とか言う現実逃避は置いといて

 

「ああそうだね……」

 

俺はそう言いながら指を弾き抑えていた妖力を解放する

 

「っ!?……予想とは越えられるものですね……」

「俺が無理だって言った理由わかったかい?」

「ええ、これでは私が主になるのは無理ですね」

「式になることは出来ないが手伝いくらいなら出来る」

 

俺は解放した妖力を抑える

 

「え?」

「その幻想卿とやら俺も一枚噛ませてくれと言っているんだ」

「ありがとうございます!黄昏殿」

 

先程まで暗い表情が嘘のように明るくなる

 

「虚で構わないよ」

「それでは虚殿」

「殿とかもいらん堅苦しいのは抜きにしよう」

「わかった虚、私も紫でかまわないわ」

「そうかい?ならお言葉に甘えて紫と呼ばせてもらおう」

 

紫は扇子で口元を被いながら言う

 

「しかし紫、アンタは俺になにをやらすきだ?」

「貴方には妖怪と人間の間を取り持つのと幻想卿で住んでも良いと言う人間と妖怪を探して欲しいの」

 

ただの人にとって妖怪の見分けかたは外見だからか……

 

「……ちなみに聞くがその幻想卿とやらは俺以外にどんな奴等が入るんだ?」

「今は天狗の一族を勧誘して話し合いの状態よ」

 

扇子で顔を隠して目をつむり言う

 

「ん、了解したこっちでもそれとなく聞いて回る」

「お願いいたします」

 

彼女はまた空間を開く

 

「今日は面白い話が聞けた」

「こちらこそ色好い返事をありがとう」

「いやいいよ俺もこんなかわいらしい美人さんと話せたしね」

「ふぇ!?」

 

彼女は少し目を見開き扇子ですぐ顔を隠したためあまり顔色は伺えないが

俺の化物並の動体視力を甘く見るないでもらいたい少し顔が赤くなっていたのが見えた

 

そのあと彼女は逃げるように空間に入った

 

「行ったか」

 

照れて可愛いねぇ

 

俺は紫が去った空間を見つめながらそう思った

 

 


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