東方暇潰記   作:黒と白の人

24 / 100
お気に入りが50件突破
こんな駄文でも楽しみにしてくれる人っているんだなー
のんびりやっていきますが今後とも暇潰記をよろしくお願いいたします


第23記 転生する人達

神子のところに遊びにいって数年

豊聡耳神子が倒れたらしい、街でそんな噂話を聞いた

 

「見に行ってみるか」

 

彼女の城に入ると布都が部屋に入るのが見えた

俺はその部屋を開け中に入る

 

「布都ちゃん何してるの?」

「む?虚殿?どうしてここに?」

「神子ちゃんが倒れたらしいから様子を見に来たんだよ」

「物部布都そいつは誰だ?」

 

布都ちゃんの後ろから女性が顔を出す

その女性は頭に鳥帽子を被り薄翠色の髪をして

服も薄い緑色の長いスカートのワンピースのようなものを着ている

 

「君は?」

「名を聞くときはまずそちらからではないのか?」

 

女は警戒して俺を睨むように見る

 

「おっとこれは失礼、俺は黄昏虚と言う」

「私は蘇我屠自古(そがのとじこ)

 

蘇我屠自古と名乗った女性は薄く笑顔を浮かべてひとつ頷く

 

「で、なにをしているんだい?」

「さしずめ尸解仙(しかいせん)になる準備といったところか」

「我等は尸解仙として転生することにした」

「そうかしばらく会えなくなるか」

「うむ」

 

布都は首をたてに降りながら言う

 

「そうか……なら復活したとき酒でも飲もまないか?」

「うむ心得た」

 

布都は大きく頷いて返事を返す

 

「屠自古ちゃんもどうだい?」

「そう、なら頼もうか」

「それじゃね布都ちゃん屠自古ちゃん」

 

俺は軽く手を振ってその部屋を出る

 

「それではの虚殿」

「さよなら黄昏虚」

 

俺は部屋を出て神子の部屋に向かう

 

 

俺は彼女の部屋に入る

 

神子は前のような元気はなくそこにはもう、死を間近とした人間がいた

 

「体はどう?」

 

俺はわかりきったことを聞く

 

「へ?あ、虚さんお久しぶりです」

「ああ久しぶり、でどうしたの?」

「体が耐えられなくなったようです」

 

神子は自分の身体を見ながら言う

 

「不老不死の法か?」

「はい……」

「なにをしてたの?」

丹砂(たんさ)を使った術です」

「丹砂?」

神子はそっと壺を指す

 

俺はその壺の蓋を開けて中身を見る

中には赤い水のようなものが入っていた

この赤い液体は永琳と一緒にいたとき見たことがある

 

硫化水銀

 

前世の知識も使えば

 

別名賢者の石と呼ばれていた物

 

「これを毎日?」

「はい」

 

経口摂取した場合間違いなく即死する劇毒

まだ存命ということは彼女は素手でさわり続けていたのだろう

 

「だから私は尸解仙になります、位は下がりますがやむを得ません……」

「布都ちゃん達もなるっていってたね」

「布都達に会ったのですか」

「転生したら酒でも飲もうと約束してきたよ」

「そうですか」

「神子ちゃんもどうだい?」

「それではその時はご一緒させていただきます」

「それじゃまたね」

「はいまた!」

 

その時の彼女の笑顔はとても綺麗だった

俺は能力を使い森に転移した

 

「ん?あれは…確か霍青蛾だったか?」

 

木の間から様子を見る

そこには霍青蛾と名乗っていた仙人と黒いローブのようなものを被った人らしきものがいた

 

「襲われてる、のか?」

 

端からみれば黒服の何かと霍青蛾が睨み合っているだけのように見える

霍青蛾は苦しそうに顔を歪め額には汗を浮かせている

 

俺は短刀を創り黒服の何かに投擲する

黒服の何かは霧のように消えてしまった

 

逃げられたか……

 

「大丈夫かい?」

「貴方は確か……黄昏虚さん?」

「なんか襲われてたように見えたから黒服の何かに攻撃してみたけど」

 

俺は木に刺さった短刀を抜き鞘に納める

 

「ありがとうございます」

 

霍青蛾は頭を下げる

 

「霍青蛾あれは何?」

「私達の間では使者と呼んでいます」

 

私達と言うことは仙人全体に言えることなのだろうか?

 

「使者?」

「はい私達仙人の敵であれは精神攻撃のようなもので抵抗し返り討ちにしなければ地獄に連れて行かれてしまうのです」

「そう、まぁ助けになったなら良かったよ」

「それと青蛾で構いません」

「そうかい?なら青蛾、俺も虚で構わないよ」

「私も腕が鈍りましたあの程度を返り討ちにできないなんて」

「仙人も大変だね」

「元人間の身で不老長寿を得た代償ですから」

 

不老不死と言わなかったのは使者に連れていかれる可能性があるからだろう

 

「修行頑張りなよ」

「はい、最後に一つ聞いてもよろしいでしょうか?」

「いいよ、なに?」

「貴方は何なんですか?」

 

俺はなになのかね……妖怪?半人半妖?元神様?共通してることは……

 

「俺はそうだね……」

 

俺は黄昏虚 人ならざる者、つまるところ化物だよ

俺はそう言った

 

「神子ちゃん達が転生したら青蛾、君も一緒に酒でも飲まないか?」

「えぇならその時はご一緒させていただきます」

 

俺は森の奥深くに歩いていく

 

 




これにて
一度に十人の言葉を理解する人とその周りの人達の話は閉幕

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。