東方暇潰記   作:黒と白の人

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主人公の名前やっとだせた


第2記 出会い

八意永琳(やごころえいりん)

 

私は薬効のある草や花を摘み取りながら森を散策する

都市で育てるのが難しかったり、育成コストが割りに合わない薬草はそれなりの数があり、それらは現地で調達することになってしまう

部下に任せるのも考えたのだが、極希によく似ている擬きや薬効成分の低い粗悪品を持ってくる者がいるために私自らが調達に来ている

と言うのはただの建前、本当はずっと研究室に居ると息が詰まるから気分転換のための口実に使わせて貰ったのだ

 

薬効のある植物が密集しているポイントを周っていくと木を背にして眠っている男を見つけた

 

都市でもそこまで珍しくもない黒髪に歳は二十前後

服装からして都市の外の人間とは考えられない

でも何故寒さと無縁の暖かい春の今にコート……?

 

私は弓を構えて辺りを警戒する

 

攻撃はされてない?何かが動く気配も感じない

 

私はその男をもう一度見る

何も警戒していない安らかな寝顔で寝ている

 

まただ、また胸が痛くなる、心音が高くなっていく

 

もう一度辺りを警戒するが結果は同じであり気配らしきものは一切感じられない

 

攻撃ではない?

 

心音が高くなるにつれて呼吸も乱れてくるため私は深く息をすって吐き出してと呼吸を整えていく

 

「……辺りに気配はない撒き餌の可能性も限り無く薄いわね、じゃあなんでこんな場所で……?自殺志願者かしら……?」

 

私は眠っている彼を起こしてみることにした

 

 

八意永琳END

 

 

「もし……もし……そこのお方」

 

眠っていると声がした、目を開けるとそこには

美少女が居た青みがかった銀色の髪に傷のない真っ白の肌、整った顔立ちで歳は17、8程だろうか?

 

少なくとも生前これほどの美少女をテレビなども含めて俺は見たことはない

 

「あの?大丈夫ですか?」

 

彼女が心配そうな顔で俺の目の前で手を振って尋ねている

 

「あ…あぁ申し訳ない頭がまだ少し寝ぼけているようだ」

 

俺は彼女の心配を取り除くために急いで応える

彼女は口元を隠してコロコロと笑う

その後何かに気づいたのか彼女は慌てて俺に尋ねた

 

「ここで何をなさっていたのですか?」

 

さてどうしたものか……これまでの事を言えばほぼ間違いなく変人扱いされるだろう

 

「それがよく分からない、気がついたら道の真ん中にいて歩いて疲れたからここで眠ってしまっていた」

 

と俺はぼかして答える

 

「そうですか、なら……なら私のところに来ませんか?」

 

彼女は一つ頷いて俺に手を差し出してそう言った

 

「いや自分で言うのもなんだがこんな怪しい奴を招くのはどうかと思うんだが……?」

 

その時ガサガサと草が揺れて何かが飛び出してきた

それは蜘蛛だった。ただの蜘蛛ではない全長5mはありそうなでかい蜘蛛だ

 

「なんだよこいつ!?」

 

俺は叫んだその時、何か鋭い物が蜘蛛の赤い目らしき場所に刺さった、それは矢だった

蜘蛛は甲高い鳴き声を上げて怯む

 

「え……」

 

俺が暫く呆然としているとさらに数本腹や頭など急所らしき場所に矢が刺さりその蜘蛛は動かなくなった

 

「大丈夫ですか?」

 

気がつけば彼女の顔が目の前にあった自分でも顔が赤くなるのがわかるくらい顔が熱い……ふと目をそらしたら彼女の片手には弓が握られていた、どうやら先ほどの矢は彼女が放ったもののようだ

 

「だだだ大丈夫です!」

 

声が物凄くうわずっている

おそらく俺の顔は今ゆでダコのように真っ赤だろう

少し冷静になろうでなければ完全に変人だ

 

「もし貴方が私に何かしようとしても大丈夫ですよ返り討ちにできますから」

 

先程の俺の質問に彼女はニッコリと笑いそう答えて、再度俺に手を差し出す

 

先程の光景からその言葉は事実なのだろう、華奢に見える彼女はとてつもない程の弓の名手で、邪な考えで彼女に何かしようものなら俺は蜘蛛の二の舞になってしまうのだろう

 

「あハハ…ハお言葉に甘えてもいいですか?」

 

内心の怯えを悟られないように俺は平静に答えたが声が若干震えている

俺は彼女の差し出す手に掴まって立ち上がる

 

「よいしょ、はい、そう言えば自己紹介がまだでしたね私は八意永琳(やごころえいりん)と言います貴方は?」

「おっと失礼しました私は…」

 

黄昏 虚(たそがれうつろ)と言います


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