東方暇潰記   作:黒と白の人

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第16記 一騎討ち

「妬けるねぇ」

「どうだこれが私の旦那だ!」

 

自慢するように胸を張る諏訪子に向かって俺は無言で太刀……では流石に諏訪子がヤバイため袖から短刀を取り出して投げつけた

 

「うわ!?……危ないじゃないか!?」

「……」

 

体を仰け反らせて回避する諏訪子

パチンと指をならして短刀を手元に戻す

 

「なんで無言なのさ、そしてなんでまた短刀を手元に戻して投げつけようとしてるのかな?!」

 

俺はまた短刀を投げる

 

「あっ成る程照れ隠しか可愛いじゃないか、ってごめんごめんだからその冷たい目で私を見ながら短刀投げつけないで!」

投げ付ける短刀の数を少し増やしてみたが全て完璧に避けられた

 

俺は短刀を手元に戻し鞘に納刀し袖にしまう

今さらだが俺の服装は黒の長着に袴そして羽織と和服そのものだ

都市ではジーパン等の現代感を感じる物を着ていたが都市で何かあったとき衣服も消えていたので急いで作成した和服なのは……格好良かったからだ

 

「あーうん夫婦喧嘩もその辺にしといてくれないかね?」

「あぁごめんごめん、それじゃ始めようか!」

 

掛け声と共に諏訪子は手を大地に打ち付け何かを引き抜くように腕を振り上げる

大地から出てきたのは鉄製の輪

以前に諏訪子の能力について聞いたことがある彼女は

 

 

(こん)を司る程度の能力』

 

 

を持っていると聞いた、坤とは地を指しているらしく、大地に関連するのであれば大抵できるらしい土着神の頂点、間違いでもない能力だと思う

 

諏訪子について思い出しているうちに

始まったようだ

諏訪子は作成した鉄製の輪を投げつける

その鉄の輪は外側が刃になっているようで鉄の輪で弾幕を張っている

 

諏訪子は鉄の輪での攻撃に対して神奈子は……なんですかね?あのガンキャノン、いや柱か?御柱とか聞こえるし……

 

御柱と呼んでいる柱で鉄の輪を弾き飛ばしながら諏訪子に投げつけている

 

神奈子の能力については諏訪子から

 

 

(けん)を司る程度の能力』

 

 

と聞いている乾とは天のことを指しているらしく天候を操るのは造作もないらしく詳しくは諏訪子も知らないとのこと……今わかるのはこのくらいか

 

神奈子が御柱を大地に突き立てるそこから生えるてくる何かの蔓らしき植物

その蔓は意思を持つように延び諏訪子の鉄の輪に絡み付く、絡み付かれた鉄の輪から次々と錆びていく

 

諏訪子負けたかなこれは……

 

ずっと空に浮いている神奈子に対しての対空攻撃手段を失った今諏訪子に勝ち目はないだろう……

 

俺は少し確信に近いようなものを感じた

 

諏訪子は鉄の輪を落とす

鉄の輪はボロボロに崩れていった

諏訪子が両手を挙げ何かを神奈子に言っている

しばらくして御柱は消え去った

 

諏訪子がこちらに歩いてくる

 

「ナハハハ…ごめん虚、負けちゃった」

 

諏訪子が力なく笑う

 

「帰るか諏訪子」

「戦後会談は明日だって」

「了解」

 

ヤマトの神々が退いていくのを確認した俺は諏訪子の手を取る

俺は指を弾き戦闘場所から道中を嘘として自室にいたという結果を真実として転位した

 

「あれ…ここは、私の部屋?」

「能力を使ってここに転移した」

「便利だね虚の能力」

「まぁな」

 

俺は諏訪子の手を引いて抱き寄せる

 

「諏訪子、アンタはもう少し俺を頼っても良いんじゃないか?」

「え?」

 

キョトンとした表情の諏訪子

その目には涙が溜まっている

 

「今ならここには俺とお前しかここには居ない」

「っ……っひく……ごめ…っひく…んね……っひく…」

「はいはい」

 

諏訪子は俺の和服を掴みしがみつく

俺は諏訪子の背中を擦る

 

このときの諏訪子は外見相応の少女に見えた

 


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