新原紲の魔法相談室   作:ゼガちゃん

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ども、はじめましての方は初めまして。

二次創作では「Rewrite if」なんてのを書かせていただいてます。

今回はオリジナルという事で書かせてもらいます。随分と無愛想な説明文を見ても足を運んでいただけたら感激で気絶しそうだ。

では、是非本編をお読みください。


1
プロローグ


 この世界には科学の他に『魔法』という力がある。

 いつの頃から『魔法』があったのかは覚えてない。気付けばそこに転がっていた。

 言うなれば新しい技術を発見したのと状況は似ている。『魔法』という技術を人々は見付けた。

 

 

 

 元々は人間に『魔力』があるのだととある研究者が証明し、『魔法』がフィクションの中ではなくて現実にある事を世に伝えた。

 それが世界へと広がり、瞬く間に『魔法』は浸透し、『魔法』を扱うものは『魔法使い』と呼ばれた。『魔法』という名前だけなら知る者も多いので意外と受け入れられるもの。

 

 

 

 しかしながら勿論の問題は発生する。

 最初に人間以外の知的生命体の存在が発見された事だ。これはおとぎ話やマンガ、ゲームなんかにも有名な龍、エルフ、鬼、人魚etc.etc といった種族が反映している事が分かった。

 けれど、この問題はすぐに解決の一途を辿る。それぞれの種族が「共存したい」と申し出た。丁度『魔法』だなんて非科学的なものを鵜呑みにし始めた時期に現れたのであっさりと和平を結ぶ。最も初期に起こり、すぐに解決した問題だった。

 

 

 対称的に永遠に悩まされ続けるだろう案件が『魔法使い』による犯罪だ。

 当然と言えば当然と言える。『魔法』なんて人智を越えた力を存分に奮いたいと思う人の欲求が爆発した結果だ。

 それを阻止すべく警察には『魔法使い』を対策する課の設立をする。

 

 

 

 また他種族を含めた子ども全員に『魔法』を習える環境を作る為の学校も造られた。

 何かと慌ただしい事柄もあったが世界は『魔法使い』を受け入れ、『魔法』を扱える人が世界全員となったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だからといって統治された世界で万事上手くいくだなんて事はない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夕方の公園。そこに小学生が数人倒れ、唯一倒れていない少年が1人腰を抜かしていた。

 

 

 

「最近のガキは根性がないな」

 

 

 

 少年は倒れ伏せたクラスメイトに目もくれずに目の前の、今文句を垂らした人物を見た。

 ジーパン、それに白のポロシャツを着た無精髭を生やした男だった。仁王立ちで腕組みする姿は悪魔にさえ見えた。

 

 

 

 ―――何がどうしてこうなったんだっけ?

 

 

 

 少年は今の今までいじめられていた。彼の扱う『魔法』は全てが微妙なものばかり。その事を突かれてからかわれていた。

 『力』を手にしたばかりの子どもは隠れて『魔法』を使いたがる。

 それは「人に向けて使いたい」という欲求になり、矛先は必然と力の弱い者に突き付けられる。クラスで舐められていたのは微妙な『魔法』しか使えずに、普通の『魔法』すら使えない少年に向けられた。

 

 

 

 はっきり言えば大怪我には繋がらない『魔法』。大人からすれば大したことのない力でしかない。そうだとしても『魔法』を使い始めた子どもには新しい玩具を貰ったのと同様の感覚だ。

 だが、貧弱な力しか持たない少年には脅威。しかも子どもとは言っても複数の同年代に襲われるとなると脅威は何倍にも膨れ上がる。

 

 

 

 普段なら学校の厳しい校則で校外では『魔法』は使えない。バレれば罰則が待っている。それ以外にも理由はあるが……まあ、今日は1人だった。

 そして本日は新たな『魔法』を習得したクラスメイト達が試したくなったのか学校で1人の所を複数に誘われて公園まで拉致られた。

 

 

 

 ろくな『魔法』を扱えない少年に抗う術は無い。だから、サンドバックにされるしかないと思っていた。

 だけど、少年に魔法が当たる寸前に先程の男が間に入った。数秒の後に男はクラスメイトを全員倒してしまう。

 かなり乱暴だが恩人に変わりない。

 

 

 

「あ、あの!!」

 

 

 

 少年は声を掛ける。ただ一言「ありがとう」と言うだけ。

 

 

 

「礼なら要らんぞ。俺はこいつらがムカついたからタコ殴りにしただけだ」

 

 

 

 男は誇らしげな表情で言うが、大の大人が子ども相手に勝ってドヤ顔しても反応に困る。

 

 

 

「ったく、ガキの癖に人様に『魔法』を使うなんて頭涌いてるんじゃねえか?」

 

 

 

「俺が変な『魔法』しか使えないから……」

 

 

 

 少年が暗い顔をして呟く。目敏く反応した男は「ほう?」と答えを続けるように促す。

 

 

 

「俺って学校で習う『魔法』が使えない上に、使える『魔法』が微妙なんだ」

 

 

 

 学校で教わる『魔法』は誰でもが扱えるもの。人の動作で言うのならば「物を投げる」とか「前転をする」などの訓練を行えばできるようになる事柄なのである。

 子どもでも使えて、危険の少ない『魔法』を小・中と教わる事となる。

 だからこそ誰でも扱える『魔法』を“使えないと断言する少年に男は疑念を抱く。”

 

 

 

 まずは少年が自分の扱えると言った『魔法』が如何なるものかを教えてもらえば、少年の『魔法』は「微妙」よりも「地味」が正しい。

 しかし、男は「ふむ」と途中から考え出した。それは少年がいつに魔法を覚えたのかという点において。聞けば小学生に上がる頃に魔法を2つも同時に扱えるようになったとか。今はその2つしか使えないようで。

 男は不適な笑みを浮かべる。何となく……嫌な予感がした。

 

 

 

「そしたら俺が直々に鍛えてやる。感謝しろ」

 

 

 

「は、はい?」

 

 

 

 男の唐突な提案に少年は戸惑う。

 

 

 

「安心しろ。俺が誰にも負けない『魔法使い』に仕立ててやるからよ!!」

 

 

 

 言うなり少年の襟首を掴んで引き摺っていく。少年に抗う術は――無かった。

 

 

 

「俺は神坂幹太(こうさかかんた)だ。お前は?」

 

 

 

「き、紲……新原紲(にいはらきずな)

 

 

 

 こうして新原紲の波乱万丈な人生の幕が開けた――――引きずられながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




まだプロローグなのであまり触れてない部分もあります。

この後も続けるんで、できれば父親がごとき温かい眼差しで見守っていて下さい

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