春秋時雨です。
今回は前回のフラグを回収していこうと思います。
フラグなんてあったか?
と言う人は一旦前回を読み直すか
最後まで見て言って下さいね~
俺、キンジ、アリアの三人で学校に向かう途中
ナイフの刺さった掲示板の前に人だかりが出来ていた
そしてその中に足に包帯を巻き松葉杖をついている銀髪美人
・・ジャンヌがこちらに気づき手招きしてくる
「アンタが武偵高の預かりになったのは知ってたけど
・・・似合うじゃない、制服」
「私は遠山を呼んだのだ
神崎・H・アリア。お前に用は無い」
「アンタに無くてもこっちのはあるの
ママの裁判、アンタもちゃんと出るのよ?」
「分っている。元々それも、取引の一つだからな」
「・・・ま、ケガしてるみたいだし
イジメるのはまた今度にしといてあげる」
「・・・私は今すぐでも構わないぞ?」
「構わないって・・・アンタ杖ついてるじゃない」
「足の一本程度丁度の良いハンデだ
それにこの杖にはデュランダルが仕込まれている
以前星伽白雪とそこの天地に斬られた後
寸を詰めて
「・・・そっか~。造り替えちゃったのね・・・」
「? どうした、シュウ?」
「いや、出来れば元のままのデュランダルを
ジックリと鑑賞したかったんだよ」
「・・・そこまで落ち込む事か?」
「落ち込む事だよ!!
いいか、キンジ!デュランダルは元々クレイモア
分類で言えば大剣に分類される
いくら業物とはいえイロカネアヤメに匹敵する切れ味を見せたんだぞ!」
「・・・業物なら切れるんじゃねえの?」
「無知!無理解!そして無神経!
剣だって言ったろ!剣は刺突に優れた武器
それなのに斬撃であそこまでの切れ味を出せるのは
超上質な鉱石と一級品の刀鍛冶のなせるこれこそ業!
年季が入ってる?古めかしい?大いに結構!!
それはつまり、何百年もその切れ味を維持し続けてたことに他ならない!
武器でありながら家宝だったのだろう!
大切に扱われてきたのであろう!
しかし、それでは説明のつかないほどの逸品!!
いくら仕方の無かった事とは言え
デュランダル本来の形を失ってしまったのは
これは世界の損失なんだ!!!」
「・・・ちょっとキンジ
シュウはどうしちゃったのよ
なんか・・・ヘンなスイッチ入っちゃってるみたい何だけど」
「あー。そうみたいだな
こうなると収集がつかないんだよな
・・・オイ、ジャンヌ
どうにか話題を逸らして・・・」
キンジの視線の先には泣きながら目を輝かせ
体中から喜びのオーラを出しているジャンヌの姿
「・・・これほどまでに
デュランダルのことを分ってくれる者に出会えたとは・・・
しかし。それならば何故聖剣を斬ったのだ?」
「いやさっきも言った通り
仕方が無かったんだよ・・・
あれが一番有効だったからな・・・」
「有効・・・ってどういうことだ?」
「・・・なあ、キンジ少しは超能力について調べとこうぜ
超能力っていうのは簡単に言えば
己の体力と精神力を消費して発動しているんだ
だから相手の心の依り代の武器や防具を破壊することは
かなり有効なんだ」
「ほう。そんな情報、どこから仕入れてくるんだか
・・・そういやジャンヌ
その足どうしたんだよ?」
「あぁ、これか?
・・・・・虫が・・・な」
『虫?』
話題の軌道修正に成功したキンジと全員がハモってしまった
ハッピーアイスクリーム!・・・と言いたい気持ちをガマンガマン
「道を歩いていたらコガネムシのような虫が膝に張り付いたのだ
それ驚いた私は道の側溝に足が嵌まり
・・・そこにバスが通りかかってな・・・全治2週間だ」
それはそれは・・・・
某異能を打ち消す右手の不幸な青年でもそこまではいかんぞ
「・・・それはそうと遠山
お前の名前がここにあったぞ」
「え?」
そこにあったのは
一学期 単位不足者一覧表
武偵高では民間からの
その難易度に応じた単位をもらえる仕組みで
簡単な任務でもコツコツやっていれば余程の事が無い限り留年はしない
ちなみに留年の基準として一学期間で2単位取得出来なかった生徒は留年する
にしても1.9単位ってほぼ2単位じゃねーか・・・うん
キンジは驚いて掲示板に跳びつく
「なにキンジ、アンタ留年するの?バカなの?」
「キンジ。
「うっせえ!!」
「どうやらお前は色々な意味で問題児のようだな、遠山。しかし安心しろ」
そう言ってジャンヌが指示した別のプリントには
夏季休業期・
と書かれている
これはよくある単位不足を (よくある時点でこの高校は問題有りだが)
解消するために割引価格で任務を沢山請けてくれるのだ
任務を申請する側は割安で問題を解決できる
生徒は任務を請けることで留年を回避できる
これぞまさにWIN・WINというヤツか・・・
キンジはその張り紙に跳びつく
・・・必至だな。まあ、1.9単位も稼が無くちゃいかんのだから仕方のない事か
横から緊急任務表を見てみると港区で
砂金に砂鉄、砂礫と砂系の物が盗まれているようだ
・・・というかキンジよ砂金の盗難は1.7単位なんだから
一発逆転の1.9単位を狙うよりもそっちをやってから0.2単位の
簡単な任務を受けた方が効率が・・・
「これだ・・・!!」
「嘘!?」
1.9単位も取れる任務あるのか!?
港区 カジノ〔ピラミディオン台場〕 私服警備
(
要・帯剣、帯銃。必要生徒数5名。女子を推奨。被服の支給有り
とあった
ピラミディオン台場とは近年合法化された公営ギャンブル施設の一つで
会場には融通のきく武偵を用心棒として雇うことが多いが客同士のトラブルが殆どで
武偵が出張るような荒事は殆ど起こらないため[腕が鈍る仕事]と言われている
だが
キンジはすぐさま携帯を開き登録希望のメールを送る手を止めてアリアを見る
そして―――――
「アリア。お前もこの
・・・絶対意識してるな
恋愛的ではないだろうが
心配してる時点でアリアは特別と認めるもんだぞ
・・・本人は絶対認めないだろうが
「なんでよ。アタシは単位不足してない」
「パートナーだろ」
その台詞に一瞬驚くアリア
そして腕を組み横を見る
・・・オイ絶対に即決したろ
断る理由が無い
「ふーん。キンジがアタシを仕事に誘うなんてね
明日は夏なのに雪が降るのかしら?ま、良い傾向ね」
おーいおいおいアリアさんや
横顔がすっごくにやけておりますが?
嬉しい、けどそんな表情見せらせない・・・と考えているのが手に取るようだ
「最低5人って書いてあるし・・そうね。パートナー同士
困った時はお互いさま。やってあげてもいいわよ?」
「だったら俺もやるよキンジ
カジノって一人じゃあ行きづらいからな
コレを機に日本のカジノがどんな雰囲気なのか見ておきたい」
「遊びじゃないだぞ?」
「分ってるって。ただ、古くから賭場周辺はイザコザが絶えないからねぇ
まあ、色々と見ておきたいだけだよ・・・それにお前。誘える
・・・というのは建前
キンジとアリアが組むと絶対に
「・・・まあ5人必要だからな」
よっし。交渉成功
そうして今日の朝は過ぎていく
時は午後
急ぎの仕事も、道具の整備も、玉鋼の発注も
やることは全て終わっているので
スケッチブックを取り出し
イラストを描いていく
「?おーシューイチ
何描いてるの?」
いつもと違うことをやっている俺を
目ざとく見つけたアニエスが話しかけてくる
「いや、特にやる仕事が無いからデザインを考えてた」
「デザイン?日本刀の?」
「鞘だよ」
「鞘?・・・ああ
「鞘のデザインをバカには出来ないんだぞ
富裕層に売る模造刀なら飾り付けるために鞘の注文をしてくる客も多い
刀の鞘と聞いて殆どのヤツが想像する漆塗りの黒鞘一つとっても
ツヤを出したり乾燥させて味を出すもの両方合わせて
模様を作ったりと多岐にわたる」
「・・・けどそれって、スケッチブックを使うほど?
そんなカラフルな
「まあ、俺が考えてるのは黒鞘じゃなくて
もうちょっと凝ったヤツだからな金箔や銀拍を貼ったり
顔料系の塗料を使ったりな。因みに俺のオススメは命名〔月夜の桜〕だ!」
「・・・何?そのやたらと恰好のいいネーミングセンス」
「煩いな・・・黒ツヤの鞘をベースに
宝石店などから廃棄予定のタイガーアイやトパーズなんかを格安で仕入れ
それを粉末にして散りばめることで金色の月光を表現
さらにその上から銀粉を掛けることで月の神秘性を表現!!
此方がなんと標準サイズの日本刀で6万円也!」
「意外と高い!?」
「・・・まあ、本来はもう少し安いんだがな
ここ最近銀の相場が上がってきててな
それに含めてやっぱ宝石を使っている分どうしても価格は高くなる
・・・という設定」
「やっぱり安く出来るンジャン!」
「値切り交渉は受け付けるが
今の文句であっさり納得するヤツがなかなか多い・・あ、サンプル写真見るか?」
「ほうほう・・・これは今の価格を提示されても納得のいく美しさだね
・・・それはそうとシューイチ
なにやら強襲科の方で盛り上がっているみたいだよ?」
そう言いながらアニエスは
携帯の画面を見せてくる
「なんでも、サッポロ?
の武偵高からの生徒がアリアさんをボッコボコにしているんだって~」
その言葉は俺の耳に入らなかった
なぜなら、その画面に映っていたのは
・・・カナさんだったからだ!!
(あの時は一旦退くような
発言をしていたがここまで早く手を打ってくるとはね!)
「悪いアニエス。急用が出来た、先生が見回りに来たら
帰ったと言っといてくれ」
「え?ちょっとシューイチ!?」
俺は窓から外へと踊りだし強襲科に向かう
ピリリリリ
と携帯の着信が鳴る
・・・ライカちゃんからだ
俺は走りながら電話に出る
「もしもし先輩ですか!?」
「やあ、ライカちゃん
アリアがすごい事になってるってホント?」
焦った様子のライカちゃんにいつもの少し惚けた調子で話す
後輩に俺の焦りを伝えるわけにはいかない
「いえ、アリア先輩もすごい事になってるんですけど
それよりもあかりが!!」
「ん?あかりちゃんがどうかした?」
「あかりが突然やってきたヤツに
ケンカふっ掛けられてボロボロに・・・」
「・・・・・そんなの、強襲科じゃあよくある話でしょ
冷たい言い方だけどそれくらいあかりちゃん自身で対処しないと」
「違うんです!!」
「・・・ライカちゃん、一旦落ちついて
冷静さを失えば能力は半減する
焦らずに簡潔に説明してみて
そうすれば伝わるから」
「・・・ハイ
・・・・・あかりにケンカをふっ掛けたヤツなんですけど
ヤツが勝ったら先輩との
「そんなの受理する必要がない
もうとっくに
「・・・?それでもヤツはあかりの事を
ふさわしくないとか言って襲いかかってきたんです
・・・一応他校との交流戦という名目で闘技場の一つでやってますけど」
「なんとも礼儀正しい襲撃者だな・・・それで、そいつの名前は?」
「あ、いや。ただ
「・・・っ!
分った今すぐに向かう!」
「え?先ぱ」
ピッ
通話を切り前を見据える
強襲科 闘技場、通称コロッセオ
そこでは
体の各部分に青痣や切り傷を負い
既に満身創痍のあかりちゃんと
余裕の表情とそれでいて隙のない構えをとり
悠然と構える小鳥の姿があった
はいここまでです!
いやはや・・・なかなか大変でした
今回でシュウの欠点
刀の話になると熱くなる (名剣などになるとさらに)
シュウ自身もこの悪癖は理解していますが止められない、止まらない!
さらにシュウのこだわり(=自分のこだわり)も書いてみました
正直、こんなのあったらいいなという妄想全開なので笑って下されば
それでOKです
それでは次回は視点を変えて
あかりがどのように小鳥との勝負を受けたのか
書いて行こうと思います
それではこうご期待!