緋弾のアリア~装備科の剣士   作:春秋時雨

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はいどうも~
一週間ぶりですね春秋時雨です

そうそう、要所要所でドイツ語を織り交ぜていますが
あれは自分が特に強調したいものだけ表記しているだけで
この追憶編(仮)は基本的にドイツ語での会話です

ではどうぞ!


職人商売

               ~アニエス視点~

 

 

さて、一旦寮に戻り使う銃弾を選択し種類ごとにマガジンにロード

愛銃のM93Rには通常弾をロードしていく

(そういえば、あっちは刀を扱う職人(マイスター)

 こっちは銃弾を扱う職人(マイスター)

 陳腐な因縁ではあるけれどあちらを納得させるには十分なのかな?)

あたしが今からやろうとしている学校内での戦闘行為には大別して2種類ある

学校からの許可を受け、先生立ち会いの下で戦う模擬選

学校からの許可を受けずに私闘を行う決闘

しかし、決闘をするにはリスクが高すぎる

決闘は非推奨行為である以上に多くの学生と文化交流を行っている人物を決闘のターゲットにした

まあそんなことをすればあたしの評価が少なからず下がることになる

・・・と走ってきた生徒とすれ違った瞬間に聞こえてきた会話にあたしは足を止める

 

「早くこいと!あの日本人の剣。今、強襲科(アサルト)闘技場(コロッセオ)

 試し切りをやっているんだぞ!」

「はいはい、分ったから少しは落ちつ・・・けないか・・・待てないのなら先に行けよ」

 

・・・凸凹コンビ?

まあいい・・とりあえず本人を探す前に件の刀

見せてもらおうか

 

 

 

 

 

 

闘技場についたあたしは驚愕した

 

「おおっ、スゲーな。また真っ二つだぞ!」

 

そう、色々な物が真っ二つにされていた

ざっと見る限りでも剣、鎧、試し切り用の人形

武偵高の様々な物には防弾・防斬処理が施されている

それを無視するほどの切れ味・・・日本刀は弾丸を斬れるという触れ込みも

あながち間違いではないみたい

野次馬の中に知り合いの情報化(インフォルマ)の生徒がいたので話を聞いてみると

思った以上の収穫があった

 

「彼は、強襲科に来てこう言ったの

 『俺が戻ってくるまでここで試し切りしてていい』・・・てね!

 あ、でも。刀を壊しちゃったら弁償とも言ってたっけ」

「日本刀の扱いについての簡単なレクチャーもやってたよ」

「うんうん!確か、円状の軌道で剣を振るうコツみたいなのを!」

「強襲科の連中は交代で使うってことで落ちついたみたいだけど

 そろそろ装備科(アムド)の連中が来て作成者に話を聞きに行く

 ・・・そういえばアニエス。アンタって剣に興味があったっけ?」

 

などなど、少なくとも強襲科ないでは高評価を得ている

(あたしには真似出来ないかなぁ。こういうデモンストレーション)

素直に関心さえする。おそらくいや絶対。あの男子の仕業だろう

武器を物の価値が分る装備科にではなく強襲科に持っていったのは

使い手と売り手。両方の顧客を得るためで間違いないだろう

強襲科(使い手)に高評価を得ることが出来れば

『俺も使いたい』『また使いたい』という声が上がること必至・・これが第一の顧客

そして、今出回っている情報がそう遠くないうちに装備科に届いたならば

『是非、この武器を扱いたい』と言いよってくる連中が多く集まるだろう・・これが第2の顧客だ

(これは・・急ぐべきだろうね)

恐らくあの男子は長くここにはいない

ここに居続ける気であるならば態々卸売業者(装備科の連中)を顧客にしたりはしない

 

「まあ、一先ずは情報収集かな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                ~シュウ視点~

 

(・・・ドイツの代表的な剣は両手持ち諸刃のロングソード

 剣術は日・雄牛・鋤・愚者と呼ばれる基本的な構えとそこからの派生形

 ・・・正直なところ、日本刀に活かせる要素はあまりないかね

 諸刃剣の一例程度の認識で十分だろう・・・・ん?)

図書室(ココ)に向かって走ってくる足音・・・一人

(強襲科か装備科かはたまた情報科か

・・・どれにしても上手く利用できるように言い包められるような

論理武装は一応してあるから大丈夫)

そう判断して読んでいた資料を元あった場所に戻し

 

バン!!

 

静寂に包まれていた図書室を一つの音がブチ壊す

幸いだったのは俺一人しかここに居なかったことだろう

さて、随分と慌ただしい客だと思いながら振り向き、光の奔流がやってきた

 

 

 

 

「!!?」

 

咄嗟に目を覆うがもう遅い

俺は驚きながらも遮蔽物になりそうな本棚に背中を押しつけ息をゆっくりと吐き

気持ちを落ちつけながら、図書室にある全物体とその配置を鮮明に思い出す

 

トッ・・トッ・・トッ・・・

 

警戒した歩みで襲撃者が近づくが無駄

足音によって相手の位置が此方にばれてしまっている・・・素人か?

叩きのめす事も出来るだろうが

ここは仮にもよその学校だ

フラッシュバンを使ってきたとはいえ穏便に済ませるに越したことは無い即ち・・

(三十六計逃げるに如かず!)

本来、閃光手榴弾は光と共に爆音を発生させる(・・・・・・・・)

さっきの閃光に爆音は伴わなかった

つまり、相手も必要以上の騒ぎを求めていない事になる

俺は苦無を一本取り出し、持ち手の部分から落ちるように

また、相手に見えないであろう方に放る・・・苦無が落ちた瞬間音も無く駆け別の本棚に移る

あえて物音を立て、相手が気を取られている内に行動する・・・古いてだ・・・が

相手の次の一歩は此方へ向いていた

(引っかからない・・・少々、侮っていたかね?)

さっきのミスディレクションに引っ掛からなかった以上。次の一手は・・・迎え撃つ

(三・・二・・今!)

俺は本棚に向かい跳躍。本棚を倒さないように加減しながら本棚を足場に跳躍

さらに天井を蹴って上下逆さの格好で襲撃者と相まみえ・・・って

(さっきの女の子!?)

 

「くそっ」

 

俺は鞘に収まったままの刀を腰から抜き鞘の中間部分を握り込み大きく体を捩じる

そして、一気に解放と同時に腕を振るい十分な剣速の確保に成功

(長柄物は専門外で不安だったけど出来るもんだなぁ)

振るわれた刀は突風を巻き起こし俺をほんの一瞬対空させ失速させ両足から床に降り立つ

(天地風式 旋空・・その長柄番・・・昔からよく見ていたしなんとかなるものだな)

 

「さて・・・っと」

「あ・・あはははは~」

「イキナリなんのアトラクションかな?」

「え~~~っと~~~その~~・・・・・・」

 

沈黙・・・それは先程の静寂とは非なるもの

強いて相違点を上げるならば・・沈黙にはある種の気まずさと言うものがあることだ

・・・女の子が後ろに手を回しクイズ番組に使うようなフリップボードに

棒を取り付けたお手性感あふれる・・・何て言ったけ?

バラエティー番組で見かけるRPGにあるような看板を手持ちにしたようなあれ

・・・そして、お決まりと言うべきかその看板にはこう書かれていた

 

   Großer(グローサー)Erfolg(エアフォルク)!(直訳;大成功!)

 

「・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・」

 

時が止まったと錯覚するほどに静かだった・・・道路を走る車の音も

銃声や人が話す声も何も聞こえない・・・・・

 

「あ・・あははははは・・・・それじゃ!!」

「あ、ちょっと!?」

 

・・逃げられた・・・

 

「けどま・・・これもまた想定ないか」

 

俺は窓を開け屋上へと上って行くことにした

・・・高いところの方が見つけやすい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                ~アニエス視点~

 

 

(何やってんの何やってんの何やってんのあたし!!?)

本来ならば、目を押さえて悶絶するあいつに拳銃を突き付けて

『ちょっとつきあってくれるかな?』と言うはずだったのだが・・・

(まさか、閃光を自分で食らうことになるとは・・・時限装置の設定ミスったかな?)

呻りながらも廊下を歩くその先にさっきの日本人がいた

 

「!!!??」

「そう驚くなよ、さっきの事で少し聞きたいことがあるんだけど」

 

マズイ・・・猶予が無いとはいえ一日程度は間を置きたかったのに

 

「結局・・・なんなの、君は?」

「・・・そういえば。ちゃんと名乗っていなかったね

 あたしの名前はアニエス・L・アルノルト

 ベルリン武偵高に飛び級した凄腕銃弾職人(バレティスタ)だよ」

「俺の名前は天地驟一

 日本から来た刀鍛冶屋だ・・・まあ、よろしく」

「・・・・・きかないの?

 あたしが何故あなたを襲ったのか?」

「武偵関連じゃあよくある話だよ

 動機が気になると言えば嘘になるけどね」

 

それは絶対に言えない・・・あたしを軽く見られていたと感じていたなんて絶対に

 

「まあ、大体の想像はつくけどね」

「へっ!?」

「大方、このベルリン武偵高についた時点で俺がさよならしたおかげで

 自分のことを軽く見られていることに無性に腹が立って襲撃した物の失敗

 顔を真っ赤にして逃げたことから自分自身が招いた単純なミスが失敗の要因

 ・・ってとこかな?」

 

大正解である

(なんでここまで詳細にこっちのことがわかるの!?)

 

「だって、そうなるように誘導したのだもの」

「・・・・・」

「俺だってああいう扱いをされれば腹が立つ

 ・・・だからこそやった(・・・・・・・・)

 

その説明で十分だった

あたしが動かされたことも

心理戦ではあたしの完敗だということも

 

「さて・・・っと

 じゃあ殺り合おうか」

「・・・はい?」

「だってその為に襲ってきたんでしょ?」

「・・・・・」

 

そうであるそうだともそうなんだけど!

はい三段活用!

だけど!

 

「・・・襲ってきた相手によくそんな申し込みができるよね」

「ドッキリされるよりは真正面から早めに対処しておこうと思ってね

 ああ、奇襲が好きなら今闘わなくてもいいよ?」

「ほっほっほ~」

 

まあここは、挑発に乗っておきましょうか

 

「いいでしょう・・・正々堂々と決着をつけてあげる

 ついてきて・・・闘技場まで案内してあげる」

「言っとくけど・・俺は強いよ?」

「大丈夫。あたしも強いから」

 

言の刃を交わしながらあたしたちは闘技場へと向かっていく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はいっここまで!
さてさて・・・スミマセン
前回の後書きで《次回はシュウvsアニエス》とかいっときながら
その一歩前で終わってしまいました!

まあ気を取り直して次回こそシュウvsアニエス&追憶編終幕です
では次回こうご期待!!






Ps.最後の言の刃は間違いでは無くワザとです
  なんかこう言の葉という響きが好きで攻撃的なら言の刃の方がピッタリくるかなぁと
  ハイ。自分の趣味全開です混乱した方はスミマセン

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