緋弾のアリア~装備科の剣士   作:春秋時雨

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はいどうもお久しぶりです春秋時雨です
いやはや~中々オリジナルストーリーが形にならなくて
最初は志乃を中心に組み立てようと考えていたのですが
・・・やっぱ夏休みくらいまで待つべきじゃね?
と思いお蔵入りにしてオリキャラ路線で行っていようと思います
以上、言い訳終了

さて、言い訳した通り今回はオリキャラ・・アニエスの話です
2巻の時にちょろっと出しただけで完全に空気だった子ですが
どうか忘れないでやってくださいね

では、どうぞ!


追憶

 

 

「アニエスってシュウとはどう知り合ったのよ?」

 

昼休み、学食で弁当をつついているとももまんを頬張っていたアリアが聞いてくる

最初こそアニエスを魔剣(デュランダル)だと疑っていたが

今では友人程度の付き合いはある・・気さくなアニエスの性格120%があるからこそだと思うが

 

「そうだな・・・まあ、とっても刺激的な出会いだったと言っておこうか」

「あたしがまだドイツで普通に暮らしていた頃に一目惚れしたのが始まりだよ」

「ひっヒトメボレ!?」

 

アニエスめ、人がせっかく誤魔化そうとしたのに

 

「スラッとしたフォルム。無駄というものが一切無い機能美。まるで濡れているような輝き

 ヨーロッパ(こっち)の鍛冶師が生涯かけても実現できないような切れ味・・・はふ~」

 

さて、違和感というものもここまでくると清々しいものがあるな

 

「あんた・・・それって・・・」

「日本刀のコトか?」

 

アリアとキンジが交互に同じ内容をリレーする・・・息ピッタリだ

 

「モチのローン!あたり前田のクラッカーだよ!!

 あの日までのあたしはただただ銃弾を弄るのが得意な銃弾職人(バレティスタ)

 ・・・だけどあの日あの場所で。私は刀に恋したんだよ!!!」

 

・・・ツッコミ所が多すぎて対処しきれん

(しっかし。もう3年くらいになるのかね・・・)

俺と父さんの『妹探し()グルメツアー()俺の修行世界一周ツアー』

・・・優先順位にショックを受けるがもうそれも笑い話だ

その一環で、俺は世界中の刀剣について現地で触れて回った

刀鍛冶師として刀には当時から自信はあったが西洋の様々な刀剣の設計思想を日本刀に取り入れる

そうすることでより自分に合った刀に進化させると同時に多種多様なオーダーに応える

あの時俺は、ドイツの両手剣、剣術を学びにベルリンを訪れていた

 

「あの日あたしは町で日用品と素材を買っていてね~」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                ~アニエス視点(3年前)~

 

「フン、フフフーン♪」

 

あたしは上機嫌で鼻歌を歌う、銃弾に使う各種薬品を安く買い叩くことが出来たからだ

(粉塵爆発を意図的に起こすために使う金属粉の目処は大体付いた・・・

 相手の視界を遮りつつ爆発ようの粉を撒き散らす粉塵弾(パウダー)は問題なさそう

 後は発火用の発火弾(マッチ)の開発を・・・)

 

ドッ

 

考え事をしていたせいかフードにマスクをした人とぶつかってしまう

(マズ、短気な人だったらどうしようか)

そんなあたしの懸念は外れて

 

「ンッアイムソーリー」

 

咳を堪えながら少しガラガラした声で謝れた

(英語?それにしては発音がおかしかったけど・・・まっいっか)

気にしない事にして再び歩き始めた一秒後・・・

 

ドサッ

 

「あいでででででででで!!な」

「何するんだとか話で。あんたは日本人の三流スリ師ってことが分っている

 ・・・目の前で見たからな」

(・・えっ?)

 

慌てて振り向きさっきの人があたしと同年代の男の子に間接を極められ

女物の・・・あたしの財布を取り上げられ・・・あれ?

 

「流石にドイツの法に詳しくは無いが人を殺す・人を犯す・物を盗む

 っていうのは罪だぜ?」

「あだだだ!!悪かった!逃げたりしないから話してくれ!!」

 

なんと男の子はその要求を受け入れ当然スリ師は逃走を開始し・・・

 

シィーーン

 

静寂を現す擬音ではない

男の子が剣を抜きスリ師の首元に刃を当てただけ

 

「逃げたり・・・何かな?」

「・・・キレイ・・・」

 

自分が財布を掏られた被害者だとか、スリ師の生殺与奪が男の子に握られていることとか

そういうことを忘れて・・・ただ見惚れた

あたしは銃弾職人だけど、刀剣類に関しての知識も一応はある

・・・まあ、素人以上玄人未満って感じだけど

そんなあたしでも一目で分る。今学校にある刀剣が全て鈍らに成り下がる

それほどまでの業物が。今、目の前にある!

 

「ちょっと」

「わーーー!!?」

 

何、何、何、一体何!?

 

「そんなに驚かなくても・・・これ、君の財布?」

 

言われ差し出されたのはあたしの財布

 

「あ・・ありがと」

「どういたしまして。でさ、見返り(・・・)ってわけじゃないんだけど」

 

『見返り』・・・そのワードが出てきた時点で頼みごとがあるのは確定

そしてこちらには財布を取り返してもらった恩がある

要求次第では丁重に断って逃走する他ないだろう

(さっきみたいな失態があったって。あたしだって装備科(商売人)なんだから)

 

「・・・・・・・・・要求は簡単、ある場所までの道案内をしてもらいたい」

「そう」

 

まだだ、そのある場所が分らなければとてもじゃないけど道案内は

 

「ベルリン武偵高までの道案内何だけど・・頼めるかな?」

「・・・・・いいよ。あたし、そこに通っているし」

「へぇ?・・・」

 

男の子は驚く仕草だけしたかと思えばあたしの荷物を持っていた・・・いつの間に

 

「道案内してもらうんだ。これくらいさせてくれ」

「・・・・いいわよ。じゃあ持ってくれるかな紳士さん(ジャントルメン)?」

「かしこまりました。お嬢さん(マドモアゼル)

 

軽口をたたき合いあたし達はどちらからともなく握手を交わした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

歩くこと数十分

一目見ただけでは大きめの高校と変わらないベルリン武偵高の正門前に到着した

 

「・・・ホントに辿りついた・・・」

「何よ、案内できないと思ったの?」

「いやいや、そこまで疑っていた訳では無くて。俺と同じ中学生くらいなのに

 武偵高の場所を知っているとは・・・って思っていただけ

 ・・・もしかして、インターン?」

「正解・・・と言っても実際のところは飛び級に近いかな

 あたしに敵う人がいないからレベルを合わせるために高校に来ているって感じ

 まあ、ここにきても中学よりはマシレベルなんだけどね」

(正直、あたしと同じ道を進もうとしている人は結構いるけど

 今あるものを作って満足しているような連中・・・張り合いないんだよねー)

 

あたしは銃弾職人

それも通常弾から特殊弾(・・・)までなんでも作れるオールラウンダーだ

けど、最近の機械はかなり精密に安定した質で銃弾を供給できるから

銃弾職人に残された道は特殊弾の開発とそれに伴う特許の申請によって稼げる収入

いくら機会が精密に物を作れると言ってもそれには限度がある

オートメーション化のメリットは『単純な物を多く作る』

デメリットとしては『複雑な物を作るのに向かない』

特殊な物を作るのには一々それ専用の規格に変えるなんてザラにある話だ

そう言う意味では日本の町工場は素晴らしい

オンリーワンの技術のオンパレード

まさしく職人(マイスター)の精鋭が多く集まり

日々新しい技術を開拓していく

同じ技術者として尊敬して

 

「・・・ええ~・・っと大丈夫?」

「え!?・・ああ、大丈夫。ちょっと不満を頭の中で言っていただけ」

「・・・なんなら聞こうか?」

「・・・いいよ。さっき会っただけの見ず知らずの他人に話す内容じゃない」

「あっはっは~穴の中に言いたいことを言う。そんな童話があったと思うよ

 職人(同業者)なんだしね」

 

・・・なんで同業者って分るんだろう

 

「・・・疑問が増えた

 何で同業者だと思うの?」

「手だよ」

「手?」

 

まさかの即答に思わず聞き返す

 

「さっき握手を交わした時の手・・・あれは技術屋の手だ

 それも、おそらくとても細かい金属を扱うもの

 だけどそれだけじゃない。荷物、そして服なんかに染みついた薬品の臭い

 金属と薬品の混合製品・・・そんなの武偵高(ココ)に通っている時点で限られるでしょ」

 

なんてこと無いように言っているけど

なんて観察力の高さだ・・・あたしも感じた

この人はあたしと同じ職人だと

だけど、職人であることは分ってもそれがなんなのかは分らなかった

この人は、手の平、指の先の僅かな感触から細かい金属を使うと推測し

臭いで薬品を扱うことを見抜いた・・・普通そんなとこまで気は回らない

 

「・・・そこまで警戒しなくてもいいじゃん

 なんか、仲間意識を作って悩みを聞こうかなと思ったけど

 これじゃあ逆効果だよ」

 

残念そうに言ってるけど

あたしはますます警戒を強める

いや、恐らくはもうこの人の手のひらの上

情報は取得し活かすことで真価を発揮する

最も多い使い方は一旦秘匿しいざというときのカードとして使うこと

他にも、あえて与えることで相手の動きをコントロールするという手法もある

この人は言外にこう言ったのだ

『君が何の職人なのかすぐに分るだけの観察眼を持っている』と

それを何のためらいも無くひけらかして見せるその態度に恐怖した

 

格上(・・)

 

そんな言葉が頭をよぎる

(いやいや、呑まれてどうするんだあたし!)

 

「それで、ここの装備科ってドコに・・・俺なんかした?」

「いいえ、何も。どうかした?」

「なんか怒り顔だったからさ・・・もしかして何か癇に障ることを言った?」

「いや別に・・・装備科はあっちだけど・・・あなたは剣士でしょう?

 得物もさっき見た刀だし。うちの装備科に用があるとは思えないんだけど?」

「ああ。確かに俺は剣士だ。けど、同時に刀鍛冶師でもある」

(・・多分だけど嘘は言っていない)

「へぇ、自分で作った刀を自分で使うか」

「家の風習でね・・・それじゃあさよなら」

「へっ?」

 

思わず素っ頓狂な声を上げる

あれ?

もう終わり?

 

「?・・ベルリン武偵高には着いたし道案内はここまででいいよ

 じゃあ改めてさようなら~」

 

そう言って男の子は装備科の方へ歩いて行った

(・・・・・・・ほっほっほ~う)

あたしに色々考えさせておきながらどこ吹く風で用済みになったらポイ?

(そんなの・・・)

 

「レディーに対して失礼だよね~」

(決めた!絶対あいつを泣かしてやる!!」

 

方針を決めたあたしは一先ず自分の部屋へ

(・・・丁度いい・・・あたしの試作弾も試してやるよ・・・

 やっぱり、実践データが一番信頼できるよね~)

そんなことを考えながらも歩みは緩めない

頭の中では今までに作ってきた数々の弾丸の中でどれを使おうか思案していた・・・

 

 

 

 

 

 




はいっ
長らく休んでいた割には短いです
次回!
男の子(シュウ)vsアニエス!

・・・さて、お気づきの方も多いと思いますが今回から()の使い方を変えてみました
基本的に台詞中と文中気にせずに使う
さらに積極的に使っていこうと思います

ではまた次回!
いつ投稿になるか分りませんが読者の皆さんが気長に待ってくれることを願いつつ
書いていこうと思います

お楽しみに~

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