緋弾のアリア~装備科の剣士   作:春秋時雨

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はいどうも~
春秋時雨です

いやはや・・・アンケートの〆切を指定した途端に皆さんからの返信がドサドサと・・・
締め切っといてよかったと思っています

さて・・・今回は志乃vs麗!
実況解説は間宮あかりちゃんでお送りいたします
さて、バトル開始!




みんな友達!

 

 

・・・・どうしてこうなったんだろう?

あたしの目の前には険悪なムードの友達二人

 

「あなたなんかにあかりさんを渡しません」

 

物干し竿を構え相対する人物に敵意をむき出しにして睨みつける志乃ちゃん

 

「渡してくれなくて結構よ。だって、もう私のお友達だもの」

 

志乃ちゃんの視線を受け、逆に睨み返している高千穂さん

 

「ふ、二人とも。決闘何かやめようよ・・・」

「あかり。決闘は別に校則違反ではないの

 非推奨行為だから誰かに見られれば内心に響くけど」

「止めないでくださいあかりさん。私の戦姉(アミカ)の受け売りですが

 女には退けない時があるんです」

 ・・・高千穂麗。先日のあかりさんに対する不埒な行為・・有罪です」

 

志乃ちゃんが刀を抜き居合の構え・・・燕返しだ

 

「私とあかりの友情行為を邪魔したお前の方こそ、有罪よ」

 

高千穂さんも背中からレイピアを取り出し構える

 

「私が探偵科(インケスタ)だからって舐めないでください

 ・・いいんですよ、銃を使っても」

「それじゃあ秒殺しちゃうでしょ、まあ

 私はフェンシングでもJr.(ジュニア)インターハイで優勝した事があるけどね!」

 

「高千穂さんが素早くレイピアを突き出す・・・だけど多分当らない(・・・・・・・・・)

 

「遅い!」

 

志乃ちゃんは反時計回りに回転しつつ、突きを繰り出す

その動作は、シュウ先輩の上弦の月に似ているけど

先輩の上弦の月は刀の先端(正確には鞘)で相手の刀を弾き、二の太刀に移行する技

二の太刀を前提としたこの技(上弦の月)とは対照的に今の技は回避しつつの反撃

 

「はあっ!」

「くっ」

 

しかし、流石の強襲科《アサルト》Aランクは伊達では無い

志乃ちゃんの変則突きを防御する

 

「・・・まさか、探偵科のお前がここまでの技量を持っていたとは・・ねっ!」

 

キイン!

 

「・・・非常に忌々しいことですが、週に2回ほど格上の相手と手合わせをしているので」

 

そう、いつぞやの決闘で勝利した先輩の出した命令は

『それじゃあ、週に2回くらい俺と手合わせしてよ

 巌流を間近で見たいからさ』

という要求が通り志乃ちゃんはそれを渋々ながらも受けた

一部では、学校一の剣士と謳われている先輩と手合わせを続けているのだ

志乃ちゃんにとってアレくらいの剣速はとても遅く感じるのだろう

 

「へぇ・・・どうやら刺突を出しても無意味なようね・・なら!」

 

軽いレイピアの特性を生かした連続攻撃

もともと、剣に分類される刃物は突きに優れ

刀に分類されるものは斬撃に優れている

高千穂さんの振るうレイピアは細く尖った形状からも分る通り突きに重点が置かれている

・・けど、それは突きに重点が置かれているだけで斬ることを軽視している事とは違う

今目の前で展開されているように、素早い斬撃を連続で繰り出す事も出来る

・・・だけど、それこそが志乃ちゃんの狙い(・・・・・・・・・・・・・)

 

「・・っ!!」

 

ギイン!

 

高千穂さんのレイピアが志乃ちゃんの伝家の宝刀(燕返し)によって宙を舞う

居合切りの初太刀は本来は必殺技では無い。だけど、志乃ちゃんの巌流ではその一撃必殺を

極めてきた一族だ。だけど、それも警戒されれば必殺に成らなくなる

そこで、居合と同じモーションから複数の技に発展させれば本命(居合)が通り易くなる

 

「・・・まだまだ!」

 

高千穂さんは武器が無くなったにも関わらず一歩踏み込み志乃ちゃんとの距離を詰める

そう、間合いは近すぎても遠すぎてもいけない(・・・・・・・・・・・・・・)

遠ければ勿論当らないし、近すぎれば攻撃の威力が半減するだけでなく

その武器相応の回転率、これが一番の問題だ

間合いが近すぎればこちらが一回の攻撃の間に

相手は2手、3手の攻防ができる

そして、志乃ちゃんの得物は長い

一度距離が開けば、もう一度距離を詰めるのは至難の業だ

高千穂さんの行動は正しい・・・正しいからこそ誤っている(・・・・・・・・・・・・)

 

「甘いですよ!」

 

志乃ちゃんは燕返しの勢いそのままに右肩からタックルをかます

・・・あれは、天地の技が一、逃げる相手を追うのは追い風

武偵という職業上、相手を殺す事が出来ずどうあっても居合切りは武器や腕を飛ばす程度に留まり

居合後の隙を晒すことになる。その隙をついて向かってくる相手に対し有効な技・・それが

天地風式(アマチカゼシキ) 向い風(ムカイカゼ)

むうー・・・まあ、同じ剣士なんだから教え合うこともあるよねー

 

志乃ちゃんのタックルをモロに受けた高千穂さんだけど、吹っ飛ばされた勢いに逆らわず

バックステップで距離を取りつつ体勢を立て直す

 

「・・・正直お前がここまでやるとは思わなかったわ

 けど残念・・私にはまだコレがあるのよ!」

 

高千穂さんがスカートのホックに手を掛け、内側にしまってある銃を抜

 

ガタン!

 

『!!』

「あ・・ち、違うんです。覗いてたんじゃないんですっ」

 

け、決闘を見られた!

 

「こ、ここの珍しいワンワンが住み着いてたみたいで・・・

 今日はいないから上かなと思って探してて・・!」

 あっ」

 

目撃者・・確か、宗宮さんの眼鏡がずり落ち

それをキャッチしようとした宗宮さんが空中へ・・・!!

気が付いていたらあたしは駆け出してた

・・・あたしが飛びこんで空中で宗宮さんをキャッチした後

上にいる二人に目がけてワイヤーを投げる・・・コレだ!

 

「あかり!」「あかりちゃん!」

 

二人があたしを呼びとめる声が聞こえるけどそれでもあたしは飛びこむ、だって・・・

 

 

空中であたしが投げたワイヤーをこれまた空中で志乃ちゃんが受け取り

志乃ちゃんもまた高千穂さん目がけてワイヤーを投げる・・

そして、あたし達は空中で静止した

 

・・・だって、信じていたから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宗宮さんを近くのベンチに寝かせた後

あたしは絶賛お説教中だ

 

「なんて危ないことをするのお前は!」

「そうです!あかりさんにもしもの事があったら私・・・!」

「ごめんね、ほんとごめん」

 

もうそれを言うしかない

 

「でもあたし、高千穂さんと志乃ちゃんが助け合うこと。信じてたから」

『!?』

「さっきの高千穂さんと志乃ちゃん。とっても息が合ってたよ」

 

あたしがそう言うと二人同時に顔を見合わせ・・

プイ・・って顔を背けるタイミングも同じだ

 

「・・でね、あたし決闘の理由も中途半端にしか分ってないんだけど

 ・・・志乃ちゃんとあたしは友達」

 

あたしは志乃ちゃんの手を握る

 

「高千穂さんとも友達」

 

高千穂さんの手も握り二人の手を合わせ

 

「だから、みんな友達!」

 

そういって二人に笑顔を向ける

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、意識を気を失っていた宗宮さんに手を振って別れる

 

「志乃。あかりの考えを先に理解して飛び降りたのはお前だった」

 

ドルドルドル

 

「あかりへのお前の()が私に勝ったという事よ!」

『!!』

 

あ、愛って・・・表現がスゴイよ・・・

 

「でも私。あかりとの友情行為を諦めていなくてよ!

 あかり、気をつけなさいよ、志乃だってきっとお前と」

 

ブォン!

 

「とか」

 

ブォン!

 

「とかいんぐりもんぐりとかしたいと思ってるのよ!?」

 

ドルドルドル!

 

「を忘れず持ち歩きなさい!予防は大事よ!」

 

・・・遠山先輩と下着姿の女子を乗せたバイクがすぐ傍を通り過ぎて行ったせいで

ほとんどが聞こえなかった・・・・なに。今の先輩・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふ~ん、そういう事があったんだ」

「はい、そうなんです」

 

その日の夕方

シュウ先輩との訓練を終えて今日あった事を話した

 

「・・・まあ、高千穂ちゃんも志乃ちゃんも

 世間とは切り離されて・・・とまでは言わないけど

 それでも、他の人たちとは違う環境で育ったわけだからね

 考え方とか、価値観が違うんでしょ。うん」

「そういうものなんですかね?」

 

うーん、それにしても高千穂さんが言ってた愛・・・友情愛のことなのかな?

 

「・・・そういえばあかりちゃん」

「は、はいっ」

「この前言ってた将棋とチェスの話ね」

「ああ・・・」

「あれ、もう考えなくてもいいよ

 ・・・何も考えていなくても、あかりちゃんはしっかりと分ってるから」

「?・・??・・・どういうことですか?」

「まあ、そのまま純粋なあかりちゃんでいて欲しい・・・ってことだよ」

「???」

 

何だろう?

余計に気になる・・・

 

「それはそうと、近々武偵ランクの定期外考査があったね」

「!!」

「あかりちゃんならCランクは固い・・・頑張ってね」

「・・・はい!」

 

そうだ、もうすぐランクアップ出来るかもしれないんだ・・・「頑張らないと」

 

「張り切るのは結構だけど、頑張りすぎて空回りしないようにね」

「!?・・・はい・・・」

 

・・・どうしてだろう

内心を見透かされて恥ずかしいのに

こんな日が続けばいいなって思ってる・・・?

 

 




はいっ
ここまで!
次回、武偵ランク定期外考査に入りキャストオフテーブルに入ります!

・・・これを書いててふと思ったのですが・・・
なんであかり・志乃・高千穂が採血に呼ばれなかったんでしょうか?(小夜鳴の血液集め)
三人とも高名な人の末裔ですよね?
あかりは間宮林蔵(おそらく)志乃は佐々木小次郎(巌流、佐々木より)
高千穂は親が武装弁護士(どんな役職かは分らないが武装検事とライバルである様子から
相当に強いと思われる)
・・・ホント、何で呼ばれなかったんですかね?

とにかく!
また次回、こうご期待!

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