緋弾のアリア~装備科の剣士   作:春秋時雨

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はいどうも!
春秋時雨です

シュウが合法的に覗きをしちゃいます
気になる方は速く読んでくださいね~

では、どうぞ!


白狼強襲

何故だ・・・

悪くも悪くも俺の顔が一見すれば女の子に見えると言うのは認めよう

だからと言って・・・なんで俺がメイドをやらなければならないんだ!!!

 

そう絶叫してから数日

ちなみに、その時の理子に言い分(言い訳)

 

『キーくんもアリアも武偵として知れ渡っているからね

 相手の油断を誘うためにも一般人を装った人員が必要なんだよ~

 ってなワケでこれはシュウシュウにしか託せない事なんだよ!!』

 

と熱く語っていたが

その魂胆は

 

面白そうだから女装させちゃえ!

 

に違いない

・・・主夫スキルが総じて高く

そこいらの女子よりも料理・掃除・洗濯が上手いため

時折女子から嫉妬と敗北感を交えた視線を向けられるのには一応納得はしている

俺の顔が童顔で服装と仕草を変えれば女子に見えない事も無いということも

事実として(・・・・・)認識している・・・がしかし!

だからどうして俺が女装などせにゃならんのか!

・・・どちらにしても、依頼主(理子)のオーダーがそれなのだから

従うほかない、女装してくれなかったからなどというふざけた理由で

小鳥の情報を黙秘されても困る

 

「・・・大丈夫ですか天地君?

 やはり、これは私が持ちます。

 天地君が手伝ってくれたおかげで私は大分楽ができましたし」

「ああ、いえ。大丈夫です小夜鳴(サヨナキ)先生

 ちょっと悩み事がありましてそれを考えていただけです

 気を回してもらってすみません」

 

この人は小夜鳴徹(サヨナキトオル)先生

武偵高救護科(アンビュラス)の非常勤講師だ

スラっとしたイケメンで女子に人気が高い

先生が救護科棟の第7保健室で行われる女子たちの再検査で

採血をするそうだから、通りがかった俺はその手伝いをしている

 

「そうですか・・天地君、悩みがあるのであれば

 私でよければいつでも相談に乗りますよ?」

「あははは。お気持ちだけ受け取っておきます・・っと着きましたね」

「ああ、本当ですね。天地君ありがとうございました」

 

 

がら

 

「それで、先生コレは机の上に置いとい・・・て・・・」

 

そこにいたのは

アリアや理子を始めとする武偵高女子達、ただし下着姿(・・・)

 

「こ、コラッ・・しゅ、シュウ!!」

「・・・何やってんだ、アリア?」

「なななな、何見てんのよ!?

 風穴開けられたいの?」

「それ以前に服を着ろ。この再検査は採血だけだって聞いたんだが?」

「うるさい!・・・とっとと出てけ!」

「はぁ・・・」

 

何を言っても意味がなさそうなので俺は

机の上に機材を置き、踵を返さない(・・・・)

 

「ちょっとシュウ!

 用が済んだならとっとと出て行きなさい!」

「ああ、いや。そうしたいんだけど・・・

 獣が一匹・・いるんでね!」

 

俺が駆け出すと同時にいくつかの事が立て続けに起きた

レキがロッカーに歩み寄りロッカーを開放

中にいたキンジと武籐を引きずり出す

そして、そのロッカーを狙ってきたのは

美しい白狼・・・流石に種類までは分らないが

こんな場所(武偵高)にいる時点で十中八九調教されているだろう

俺は壁を蹴り鞘を使ったフルスイングを狼にお見舞いする

・・・重い!

流石は大型犬(?)だ

狼は多少ひるんだようだが

その眼差しは真っ直ぐに俺を射ぬいている

 

「くっ」

「銃を使うな武籐!

 女子が防弾制服を着ていない!」

 

ん?

この状況でそんな指示が出せると言う事は

キンジ、なってるな?

まあ、女子の下着姿を覗いていたのならやむなしか

だけどねキンジ・・・

 

「それじゃあ、40点だ!」

 

俺は大きくバックステップをすることで

狼との距離をあける

狼は俺にもキンジや武籐女子には目もくれず

この場で最も弱いモノを標的にさだめた・・・非常勤講師、小夜鳴先生を

俺は納刀したまま旋空を放つ

抜刀すれば斬撃が発生し周囲に被害が出るが

納刀状態ならば強い旋風が吹き荒れるだけだ

巻き起こった風によって先生に跳びかかっていた狼はバランスを崩し勢いを無くした

俺は回転の勢いを殺さずに鞘で払う

 

「ナイスよ、シュウ!」

「どーも、アリア・・キンジ!武籐!

 三方から囲むぞ!女子達は俺の後ろに!」

 

男三人で包囲陣を組み

近接特化の俺は女子達の守りにつく

流石にこの状況は不利と悟ったのか

狼は踵を返し(?)

割って入ってきた窓から脱出する

 

「逃がすか!」

 

俺はすぐさま震脚からのダッシュ   ※震脚:中国武術の用語、地面を強く踏みつける動作を言う

一足で窓枠に着地勢いそのままに跳躍

逃走する狼相手に追いかけっこ・・・うん、フツーに無理

元々の速さが違いすぎる瞬発力はこっちに分がありそうだが

流石に四足歩行動物、走るための部分の数が違うな

こうしている間にも俺と狼との差はグングン伸びていく

すると、狼が曲がった・・・しめた!

 

「ショートカット・・っと!」

 

俺は近くにあるビルをほぼ真っ直ぐに駆け上がる

ほぼ、というのは実際にはジグザグだからだ・・・その幅が極端に小さいだけで

窓のさんに足を掛け跳躍。次に窓のさん(横)を三角飛びの要領で蹴る

この繰り返しでビルを駆け上がる

・・・よゐこは絶対真似しちゃいけません・・・・別の何かにならなかったか?

 

「っ・・っ・っと

 え~っとさてさて・・・見~つけた」

 

始めからこうすれば良かった

一度上ってしまえば後は簡単

ビルの屋上から屋上へと飛び移り狼を追跡する

逃走先は・・・工事現場か・・ん?

 

ブオオォォ

 

バイク?

ってあれはキンジにレキ(下着姿)?

ああ、あっちも追跡してたのね

んで一緒に見えたが何でこんなとこに

あかりちゃん、志乃ちゃん、高千穂ちゃんがいるんだ?

それからベンチに横たわっているえっと・・・そうそう宗宮ちゃんだ

なんかこう、危なっかしい雰囲気の救護科の一年生だ、そして獣医学専攻

今あかりちゃん達を気にしていても時間のロスなので

引き続きビルからビルへと飛び移る・・・?

狼が来た道を後戻りし始めた、それも後ろ向きで・・!?

まさかが的中し狼は物影に隠れる・・・賢いヤツだ

けど、隠れるってのは隠れる所を見られたら隠れるとは言わないんだよ!

俺はロープなどを使わず一気に飛び降りる

全身の関節を柔らかく使い衝撃を分散

四肢全てを使って猫のように着地する

そして懐から鎖鎌を取り出しヒュンヒュンと回転させ遠心力を使い

さらに手首のスナップを効かせて投げる

鎖鎌の本来の用法は錘のついた鎖で相手の武器を絡め取り鎌で敵を打つ

だが、遠心力と長さ、そして障害物を利用すれば死角にいる相手(・・・・・・・)に攻撃することができる

しかし、狼はそれを跳躍、さらに飛びかかってきた

当然だろうイヌと聞いて真っ先に思い浮かぶのは良く効く鼻だ

だが、イヌは聴覚も人間とは比較にならないほどに鋭い

ましてや狼は犬の親戚。その聴覚が優れている事は容易に想像できる

ならば、人間程度に聞こえる鎖鎌を振り回す音など聞こえて当然

今の攻撃は見えていなくても視えている

ならば、それをかわされる前提で戦術を組み立てればいい

例えば・・()躍して動きが限定された獲物を仕留める(・・・・・・・・・・・・・・・・・・)とか

 

ブン!

 

刀を納めたまま俺は鞘を振るう

使い古された表現を使うなら俺は無益な殺生はしない

なるべく生かして捕えるために鞘で顎を狙ったのが仇になった

俺の打ちこみは体を捩じられてかわされ俺達はすれ違う

 

ブオオォォ

 

キンジ達の到着か

 

「シュウ!?」

「キンジ!レキ!仕留めるぞ!」

 

コイツは強敵だ、単純な重さに加えて俊敏さ、知能の高さを合わせ持つ

よく調教されているので無駄な騒ぎは起こさないだろうがこんなヤツを野放しにはできない

今ここで仕留める・・・が

狼は多勢に無勢と見たのか身を翻し大きく開いたクレバスを飛び越えた

なるほど、10メートルはあろうかというこの幅は超えられない

超えたら走り幅跳び世界最高記録更新だ・・・走り幅跳びならば

俺は工事現場の足場用の木材に飛びかかりそれを足場にする

 

「お先に!」

 

バンッ!バンッ!

 

すぐ後ろで発砲音

バランスを崩さないように後ろを見ると

倒れかかった木材の落下軌道をキンジが銃弾で軌道修正

即席のジャンプ台にしてこっちに飛び移ってきた・・・ってオイオイ

俺は着地すると同時に横に転がる・・・なぜなら

 

キキィィィィ!!

 

大型バイクが突っ込んでくるからだ

 

「オイコラバカキンジ!・・・ってオイオイ」

 

今度は口に出して言う

レキがシートの上に事もなげに立っていた

バランス感覚いいな、その上で狙撃銃を構えられるなんて

銃に関してはトーシローの俺でも、銃の重心くらい見れば分る

まあ、毎日のように触っていれば自分の手足のように使いこなせると思うが・・・

 

「私は一発の銃弾―――――」

 

それは、レキの唯一といっていいクセ

 

「銃弾は人の心を持たない。故に、何も考えない」

 

狙撃をする時に紡ぐ詩

 

「ただ、目的に向かって飛ぶだけ」

 

タアン!

 

レキの放った弾丸は

狼の背中を掠めて飛んで行った

 

「・・・少し嬉しいよ」

「・・どうした、キンジ?」

「いや、レキもやっぱり人間だと分ってな

 可愛いところもあるなってな」

「・・・あ~キンジ」

「なんだ、シュウ?」

「ん~・・やっぱいい、見た方が早い」

「??」

 

俺達は工事中のビルの屋上に逃げたと思われる狼を追い

屋上にやってきた。見立て通りプルプルと足を振るわせ

ドサッと倒れた

 

「・・・やっぱりね」

「やっぱり・・・?

 お前、こうなる事が分ってたのか?」

「脊椎と胸椎を掠めるように狙撃することで瞬間的に圧迫

 今、あの狼は首から下が動かせない状態にある」

 

かなりの高等技術だ、手刀で相手を気絶させるのよりも難易度高いぞ

 

「その通りです。ですが、5分ほどすればまた動けるようになるでしょう

 逃げたければ逃げなさい。ただし次は。2キロ四方どこへ逃げても

 私の矢があなたを射抜く」

 

狼に言い聞かせるようにゆっくりとした口調でレキが狼に語りかける

 

「主を変えなさい。今から、私に」

 

狼は立ち上がりヨロヨロとした足取りでレキに近づく

キンジが銃を構え、万一に備えているが、無駄だろう

狼はレキに服従している

狼はレキの太腿に頬ずりをする

レキはしゃがんで狼の背中をなでる

 

「・・・で、どうするんだ。その狼」

「手当てして飼います」

「は?・・・か、飼う?」

「そのつもりで追いましたから」

「・・・でも、女子寮はペット禁止だぞ」

「では武偵犬という事にしておきます」

「そいつは犬じゃないだろ」

「まあまあキンジ。狼も犬も似たようなものだって、ここはレキに任せよう」

「・・・そうだな・・・だがレキ。そろそろ、服を着てくれないか?」

 

そう言ってキンジはレキに上着を羽織らせる

 

さて・・・狼か・・・あの時もわんさか出てきたな・・・

 

 

 

 

 

 




はいっここまでです!

いや~なかなか長くなりましたね
本音はもっと短くなるかな~なんて思っていました

シュウは不可抗力で覗いてしまいました。心を乱していないからセーフ?ある意味アウト?
まあ、今のところシュウは恋愛を見て楽しむ側ですからね~

さて次回!シュウの技巧が冴えに冴えます!(過大)
こうご期待!

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