緋弾のアリア~装備科の剣士   作:春秋時雨

43 / 77
はいっ
春秋時雨です

今回は本格的なあかり強化シーン
なんやかんやでシュウは助言しかしていなかったので
今回は日常風景を描いていこうと思います
時系列的にはアドシアードが終わり理子が色仕掛けをする前です

では、どうぞ!


第41話 訓練

「じゃあ、取りあえず始めようか」

 

そんな一言から始めた今日の訓練は特別メニューだ

先日あかりちゃんは置いて行かれたくないと言った

そのために今日は心を鬼にして泣きたくなるような訓練メニューを組んできた

 

「それじゃあ、あかりちゃん。覚悟はいいかい?」

「はいっ!よろしくお願いします!」

「うん、いい返事だ・・・それじゃあ、鷹捲やってみて」

「えっ?」

「えっ?じゃないよ、今日の第一目標は“鷹捲を100%使えるようになる”

 だからね、不発のリスクが付きまとう武器は実践では使えない

 だから、己の持つ技は100%使えるようにならなくちゃいけないんだよ

 幸い、俺は鷹捲が使えるから何か悪い点があればすぐに指摘出来るしね」

「わ・・分りました・・」

 

少し戸惑いながらもあかりちゃんは鷹捲を打つ構えを取る

そして、一歩の助走の後、矢のように飛ぶ・・・しかし、標的にした藁人形(・・・)には

傷一つ付かず変わりに

 

バキ!

 

人形を支えている棒が折れ、清々しく藁人形と激突したあかりちゃんは涙目だ

 

「・・・分ったよ、あかりちゃんが鷹捲を失敗するわけ

 ・・簡単に言えばフォームが崩れていたから

 そして、単純に回転数が足りないんだよ」

「フォームと回転数?」

「うん、あかりちゃんの構えにはちょっと乱れがあるのと

 物体を破壊するだけの出力が足りていないってかんじかな」

 

鷹捲は生体内に存在するパルス(微細な電流による振動)をジャイロ効果により安定させ

それを相手にぶつけることで万物を破壊する技だ

※ジャイロ効果は自転回転する物体が姿勢を安定させる効果をいう

(Wiki、その他ネット調べ)

 

㊟①ジャイロ効果は現代科学ではまだ未解明な部分を含みます

 ②この作品ではただ“回転する物体は安定する”という設定で進めていきます

 

あかりちゃんの場合パルスを安定させる土台とパルス自体が作れていない

その原因は構えにある。恐らく本人の鷹捲のイメージと

実際に鷹捲が成功する構えにズレがあるのだろう

だから、成功率が100%に遠く及ばなかった

俺は最初、ただ回転数を上げるように指導したが

今考えなおして見るとこっちの方を先にやっておくべきだった

 

「成功のイメージと成功したケースとのズレですか・・・」

「うん、俺もじっくりと失敗例(・・・)を見ないと分らないほどの些細なズレだけど

 鷹捲は技の効果に反して繊細な技だからね

 この辺はあかりちゃん(本家)のほうが良く分ってるでしょ」

「・・ハイ、分ります・・・それで、どうすればいいんでしょうか?」

「こういう場合は他人に頼らず、まず自分で考えろ

 と言いたいんだけど、これ(鷹捲)はケースがケースだからね

 説明するよりも、一度、体験した方が早い・・あかりちゃん、構えを取って」

「はい」

 

あかりちゃんが構えを取る

俺は近づいてあかりちゃんの足を少しずらす

そうすると、当然、あかりちゃんの足に触れるワケで・・・

 

「ひゃうっ!」

「あっ・・ゴメン。けど、ガマンして、あかりちゃんの構えを

 最適な形に矯正する・・これは、ほんの数ミリ単位のズレだから

 自分の手で調節しないと難しいんだ」

「わ・・・分りました・・・・・」

 

あかりちゃんは赤くなってしまうが、これは真剣にやらなければ、これは仕方のないことだ

俺はそう言い聞かせてあかりちゃんの足を最適な形に整えていく

ここまで繊細な作業は刀の鞘に塗る微細な模様を描く時より繊細だ

 

「・・・これでよし・・あかりちゃん、放って見て」

「・・・・・・分りました」

 

スウ・・

とあかりちゃんは一旦息を整えてから

目標の藁人形がけて跳ぶ

結果は・・成功

 

 

「やった!やりました!!」

「安心するのはまだ早いよ。一回成功したからって100%にはならない

 はい、あと九体連続、行ってみようか」

「はいっ!!」

 

その後は最後の一体はダメだったものの今までの成果を考えれば

十分な進歩だ

 

「あとは、この構えに馴染むことだね

 慣れてくればもっと自然に鷹捲が使えるようになる

 ・・あとは、太極拳や合気道なんかを取り入れた訓練をしていこうか」

「太極拳と合気道・・ですか?」

「うん、あかりちゃんの基本は後の先だ

 その為には円運動を使って攻撃をいなす太極拳と

 相手の流れを読み攻撃を流す合気道がベスト

 特に、あかりちゃんみたいに小柄な者が格闘戦をやる時は

 常に投げの意識を持っておくのが肝心だよ」

 

無論、それだけではないが、それを今この場で言うべきではないので黙っておく・・・が

 

「・・小柄・・・幼児体型・・・・」

 

・・・・・・地雷を踏んだか

 

「あー、あかりちゃん?」

「・・小学生・・・子供パンツ・・・・・貧乳・・・」

 

・・・なんだか、ワードがきわどくなっている気がする

俺は清水の舞台から飛び降りる気持ちで再度、あかりちゃんに声をかける

 

「あかりちゃん!」

「はい・・・なんでしょうか・・・」

 

反応はしたけど・・・暗い

いつもの明るいあかりちゃんを見ているせいか一層そう感じる

・・・が、声をかけたはいいモノの、かける言葉を用意していなかった

 

「あー・・あかりちゃんが小柄なのはイイコトなんだよ」

「いいことなんてありませんよ・・・所詮あたしは幼児体型ですし」

「あー、もう暗い!

 いいかい、あかりちゃん。小柄ってことは軽いってことだ

 そして、軽いということはそれだけ早く動ける(・・・・・・・・・・・・・・・・・)

「早く?」

「そう、一口にはやさ(・・・)と言ってもその意味には色々ある

 最高速度、加速度なんて単純にスピードと呼ばれるものから

 反射神経、判断速度、思考速度に構えていない状態から臨戦態勢を整えるまでの

 移行速度・・こんなものでもはやさ(・・・)

 それで、軽いということは総じて加速力が良い

 重いモノを動かすのと軽いモノを動かす事

 同じ力なら軽い方が速く動ける

 それは、あらゆる動作において発揮できる」

「あらゆる・・動作・・」

「うん、簡単に言うとあかりちゃんの軽さは

 早く・速く・疾く。それは攻撃にも守りにも使える強みだ」

「強み・・・」

 

まだ、信じ切れていないみたいだな

まあ、小柄な事はあかりちゃんのコンプレックスの様だから

・・・仕方が無い、この遠山の秘術(・・・・・)(?)は使いたくは無かったが

俺はあかりちゃんを抱きしめ耳元に口を寄せる

 

「え・・・?先輩?」

「・・・あかりちゃん」               ①

 

声は低く、甘く囁くような声で

 

「大丈夫、あかりちゃんなら             ②

 自分の弱みを強さに変えられる

 あかりちゃんは、そんなに自分が信じられない?」  ③

「えっ・・そんなことは・・・」

「あかりちゃん・・安心して             ④

 あかりちゃんなら大丈夫だよ            ⑤

 十分にあかりちゃんは強いから           ⑥

 何せ〔むかんの間〕を耐えたんだからね

 あかりちゃんにはできる              ⑦

 弱さを強さにすることが・・・」

 

この催眠術(・・・)の名前は〔呼蕩(コトウ)

人は独特な声色や息遣いを交えた異性の声に弱い

今やったように自分の名前を繰り返し呼ばれ耳元で甘く、優しく囁かれると

段々と朦朧として来て様々な判断を男に委ねる

これを、遠山は代々伝えてきたのだ

けど・・・この術にはとある欠点がある

 

「先輩・・・・」

 

そう・・・この術をかけた後(・・・・)が問題なんだよな

俺がこの後どうするかを考えていると

 

「あ・・・あかりちゃん!!?」

「お・・オイオイ」

『あ』

 

そこにいたのは志乃ちゃんとライカちゃん

・・・詰みだなこの状況

 

 

 

 




はいっなんとか日曜中に仕上がりました
今回使った呼蕩!
いや~
使ってみたかったんですよね~この術
さて、次回は修羅場(?)になってしまったシュウとあかりと志乃
(ライカはあかりLOVEでないので対象外)
あかりを掛けて決闘することに・・?

次回、こうご期待!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。