緋弾のアリア~装備科の剣士   作:春秋時雨

40 / 77
はいっ
春秋時雨です!

今回はいよいよシュウvsジャンヌです!




第38話 最高の舞台

「ジャンヌ・ダルク・・・」

 

それは100年戦争を終結に導いたフランスの聖女

しかし、その結末は

 

「そんな!ジャンヌ・ダルクは10代で火刑に処された!

 生きてるはずがないわ!」

 

そう、火刑に処され死んだことになっていた

 

「・・・ふふふ、よく分ったな

 いかにも、私はジャンヌ・ダルク30世だ

 しかし、私の名前はそう易々と知ることは出来ないはずだが?」

「別に、俺はただデュランダルについて調べただけだよ」

「・・・だから、私の情報はそう安くはないと・・」

「ああ、魔剣って意味のデュランダルじゃ無くて

 聖剣という意味のデュランダルだ(・・・・・・・・・・・・・・・)

「何?」

「デュランダル・・・ローランの歌にも登場する有名な剣の名だ

 それが誰に渡って行ったのか俺は調べた・・その結果

 最後に所有していたのはジャンヌ・ダルクで

 ジャンヌが火刑(・・・・・・・)に処されたのと(・・・・・・・)同じ時期に消失している(・・・・・・・・・・・)

 っていうことが分った」

「・・・・・」

「そこまで来れば一つの推論が出される

 ジャンヌ・ダルクは生きていてデュランダルもその子孫と共にある・・と

 その証明はさっきアンタがしてくれただろう?」

「・・・なるほど、私はまんまとハメられた・・・ということか

 しかし、この状況はどうする?お前が風を操り斬撃を飛ばすとしても

 そんなものに頼らなければ満足に発動できないような超能力者(ステルス)などに

 私は後れを取らんぞ」

「はぁ・・・何回目だろう・・その誤解を正すのは」

「誤解・・・だと?」

「ああ、俺には超能力なんてものは一切無い

 俺が使ってる断空は

 高速で刀を振るい真空を生み出しそれを作った時に押しのけられる空気を前方へ飛ばすことで

 前に飛ばした空気・真空の刃・真空へと戻ろうとする空気

 の三層を使って斬撃を飛ばすれっきとした技術だ

 勿論、その派生形も同じ理屈ではあるよ」

「・・・・・」

「そう悔しそうな顔をするな、傍から見ているとホントに超能力でも使ってんじゃないの?

 って思うだろうしな・・・断空の飛距離は真空の大きさとその形状に依存するんだよ」

  

そう言って俺は左手を前に出し右腕を弓を引くように引絞る

 

「おいシュウ!?」

「ふふ・・アリアごと放つか?」

「いいや、そんなことはしないさ

 俺はただ・・・時間を稼いでいただけだぜ(・・・・・・・・・・・・)?」

「アリア!」

 

ジャラララ

 

ジャンヌの持つ色金殺女(イロカネアヤメ)が白雪が放った鎖に絡め取られ

取り上げられる

 

『白雪・・!』

 

白雪はコンピューターの上から飛び降り一閃

ジャンヌはそれをアリアを突き飛ばしつつかわすが

アリアにドロップキックをかまされ後退する

 

「白雪・・お前が命を捨ててアリアを助けるとはな・・・」

 

ジャンヌは袖から缶のような物を取り出し放る・・・煙幕か・・・

それに反応してスプリンクラーが作動する

 

「ゴメンねキンちゃん、今やっつけられると思ったんだけど」

「いいや、上出来だよ。流石白雪だ・・・アリア、大丈夫か?」

「やられたわ・・・白雪が二人いるとはね・・・」

 

・・・ダメだな・・アリアの握力はかなり弱まってる

足技だけでどうにか出来る相手じゃない・・・

 

「シュウ、お前やけに対応が早かったな・・・予測していたのか?」

「ああ、ある程度はね・・確証が無かったから言えなかったけど

 俺が白雪の元を離れて調べたのはデュランダルの事だけじゃない・・・

 この前不知火が言ったこと覚えてるか?」

「・・・なるほど、学校の廊下にいた白雪と花占いをしていた白雪

 つまり、白雪が二人いたことになる」

「そう、そこで俺は生徒会長は何処にいるか知りませんか?って聞いて回った

 その結果・・・どう考えても物理的にあり得ない位置に白雪の目撃情報があったんだ

 けど、それを伝えると敵が警戒して出てこない可能性があったから今まで黙ってた

 ・・・作戦開始前に言っておくべきだったな、すまない・・キンジ、アリア」

「別にいいわよ・・アンタがそうすべきだって思ったのなら」

「ありがと・・アリア」

「・・・魔剣(デュランダル)!アンタがジャンヌ・ダルクですって!?

 卑怯者!どこまでも似合わないご先祖様ね!」

「お前もだろう、ホームズ4世・・・」

「・・へくちっ」

 

・・・急激に気温が下がってる・・・となると、冷気(・・)

ふと見上げてみるとダイヤモンドダストが舞っていた・・・

 

「キンちゃん・・アリアを守ってあげて

 魔女の氷は毒のようなもの・・それをキレイに出来るのは修道女(シスター)か巫女だけ

 でも、この氷は(グレード)6から8くらいの強い氷・・私の力で治癒しても

 元に戻るまで5分はかかると思う・・だからその間キンちゃんが守ってあげて

 敵は、私一人で倒すよ」

「水臭いなー白雪」

「えっ?」

「最初は俺がやる・・超能力は急速に体力を消耗する

 出来る限り温存しておくんだ」

「で・・でも・・・」

「大丈夫・・・最高の舞台は整ってる(・・・・・・・・・・)

「・・・分った・・・信じてるよシュウ君」

「おうよ・・キンジ」

「何だ?」

「二人を頼む・・・今からの戦いは、お前たちを巻き込まずに戦うことが難しい」

「・・・了解、危なくなったらすぐに助けを呼べよ」

「おう」

 

アリアの治療を白雪に

二人の護衛をキンジに頼み

俺は進む・・・

 

「・・・さて、改めまして初めましてかな?

 ジャンヌ・ダルクさん」

 

そこで待っていたのは紺碧(サファイア)の瞳を持つ銀髪の美女だった

 

「お前は・・私に勝てるとでも思ってるのか?」

「ああ、俺にも策くらいはあるってことだ」

「ふ・・武偵は超偵に勝てないぞ?」

「普通ならな・・・これ以上喋っても時間の無駄だろう」

「そうだな・・お前を倒し、私の得物を狩るとしよう」

「オイオイ、そう簡単にゃやられねえぞ?」

「しかし、お前を倒せば私の勝ちだ、氷を操る私に浸水してきた水がたっぷりあるこの

 ステージでは、お前に万が一の勝ち目は無い」

「・・・始める前に、三つ誤解を訂正しておこうか」

 

俺は右手を下げ、刀を水に浸け言葉を紡ぐ

 

「一つ、お前はキンジを見下しているが、アイツはとんでもない大器だ

 お前程度じゃ勝てないよ

 二つ、お前は白雪が無抵抗で攫えると踏んでいるようだがそれは違う

 確かにアイツ一人なら無抵抗だったろうさ・・・けど、今白雪のそばには

 アイツが唯一、どんな制約でも破らせるたった一つの存在がいるからだ

 三つ、最高の舞台が整っているのはお前だけだと思うな!」

 

天地水式(アマチミズシキ) 水切り(ミズキリ)!)

 

俺は水に浸していた刀を振り上げる

高速で飛ばされた水はジャンヌ目がけて飛ぶ

 

「何!?」

 

ジャンヌは回避するもののその目には明らかに動揺の色が見える

 

「どんどん行くよ!」

 

(天地水式 篠突く雨(シノツクアメ)

 

ビュビュビュン

 

俺の放った突きが

刀に付着していた水滴を次から次へと飛ばす

しかし、デュランダルを盾にされ防がれる

 

「・・・水を用いた切断術か・・」

「流石に分るか・・天地の剣は最高を目指す剣

 それは、いついかなる状況に陥ってもその場に合わせた最高の戦術を用いることにある

 天地水式・・・全てを受け入れ全てを拒絶する水の力を知れ」

「くっ・・ただの武偵如きが!」

 

ジャンヌは冷気を俺に向かって放つが

 

(天地水式 遣らずの雨(ヤラズノアメ)

 

俺は刀を振り下ろし水面に叩きつける

叩きつけたれた水面は強い波を起こす

人5人程度なら悠々と呑込めるほどの大波を(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)

 

ピキィ

 

「何だと!?」

「言ったろ全てを受け入れ(・・・・・・・)って

 アンタは無尽蔵に氷を生み出しているんじゃない

 冷気を操り水や空気中の水分を凍らしているに過ぎない

 ・・・だったら、凍らせる対象()を目の前にした冷気はそれを凍らせるしかない

 火炎放射機なんかを用意するよりよっぽどお手軽な対処法だと自画自賛するけど?」 

 

俺の防御法が意外だったのか

ジャンヌはポカンとした顔でこっちを見てくる

 

「何かを斬るだけが風や水だと思うなよ

 使い方次第ではこんなことも出来るぞ!」

 

(天地水式 打水(ウチミズ)!)

 

俺はまたしても水面に刀を叩きつける

さっきの遣らずの雨は防御用(・・・)の波を起こすが

今度は攻撃用(・・・)の波を起こす!

起きた波の規模で言えばさっきに比べ大したことはないのだろう

波の高さは精々人の顎に届くか届かないか程度

しかし、高さが無い分その速度はケタ外れに速い

 

「くっ・・・ハアァァ!!」

 

気合一閃

ジャンヌは冷気を開放し波を凍らせて攻撃を防ぐ

 

「いいのか?そんなに超能力を使って」

 

超能力を行使するには尋常ではない体力を消耗する

超能力者が非超能力者を相手にする場合

ある程度力をセーブして戦うが

 

「非超能力者相手にある程度以上に力を使わざるを得ない

 嫌らしいまでのスタミナ責め、根競べと行こうか

 お前の体力が尽きるか・・俺が倒されるかの」

「くそっ」

 

ジャンヌは剣を構え突進してくる

中距離での打ち合いでは明らかに相手が不利

何せ、こっちは体力を消費するもののそれほど消耗しない

しかし、ジャンヌは超能力を使う以上無暗に使うと確実にスタミナ切れを起こす

故の接近戦、故の俺の専売特許(近接戦)

 

キイン

 

「な!?」

 

ジャンヌの剣は俺の刀に弾かれ大きく仰け反る

そ俺の刀はただ立てられているだけどう考えても動作と現象が一致しない

天地水式 破水(ハスイ)

相手の一刀を受けた瞬間に軽く刃を滑らせインパクトの位置をずらしたうえで弾く

軽く弾いたように見えるが相応の腕力が必要なこの技は

恐らく大上段からの振り下ろしには対応できないだろうが・・突進程度なら造作もない

俺は、スキを見せた(大きく仰け反った)相手には容赦しない!

俺はジャンヌ目がけて刀を振るう。狙いは胸部の鎧

しかし、ジャンヌは仰け反った体制に逆らわずにむしろ後方宙返りをして体勢を立て直す

そして今度は大上段に構えて振り下ろしてくる

俺は、刀を立て

 

「その程度で弾けると思うな!」

 

思ってないよ・・ただ

流すだけ(・・・・)

 

(天地水式 滑水《カッスイ》)

 

キン

 

今度は刃が軽く触れ合った程度

しかし、大剣の軌道が逸れ

俺には当たらない

滑水は破水と同じモーションから相手の攻撃を受け流す

前半の刃を滑らせる部分は同じだがその後優しく添えるように軌道を逸らす

俺は再度胸を狙う

さっきと同じ、違うのは相手の重心が前のめりになっていること

 

キン

 

ジャンヌは無理矢理身を捻って回避しようとするが、足りない

胸部を守る鎧は切断され、それはもう半分しかその効果を発揮しない

 

「分ってるでしょ?このまま生け捕りにするからそのつもりで」

 

俺は言うが早いか飛びかかって一閃を見舞う

勿論相手も反撃してくるが・・残念

 

(天地水式 霧刃(ムジン)

 

刀と剣が打ち合うが

相手にはわずかな感触しかない

俺は返しの太刀をさらに返し(・・・・・・・・・・・)

柄を使って鳩尾を突く

 

「ぐうっ!」

 

流石に堪えたのか数歩後退する

 

霧刃は返し技(カウンター)返し技(カウンター)を放つ技

始めの一刀目はまるで霧を言ったかのような錯覚をもたらす事からこの名がついた

ここまでくれば分ると思うが天地水式は返し(・・)

水を使った技という例外はあるが(それは殆ど目くらまし用)

それ以外は返しに関係する

相手の攻撃や防御全てを受け入れ(受け流し)状況に合わせて拒絶(弾く)する

攫めない水を相手にする者は攻撃した後という致命的な隙を曝け出す

攻撃しても防御しても返される

距離を取っても打ち合いは不利

こうして相手を精神的に(・・・・)追いつめる

超能力者はその力を体力と精神力を使って発動させる

ならば、無駄射ちにより体力を削り剣術において精神を削る

こうした心理戦による相手の疲労を誘う戦闘スタイルは

最も嫌がられるがその分確実に弱らせることができる

 

「・・・くっ」

「ああ、氷の壁を作らせて俺を足止め・・・ってんならやめとけよ

 あの程度の壁なら簡単に崩せる」

「・・・・・」

 

何か思案しているようだが生憎それを待っているほど俺はお人よしじゃない

相手が息を吐ききる瞬間・・・それは人が硬直する瞬間

 

「!?」

 

ジャンヌは動かない体に驚きつつも動こうとする・・・が

 

「あっ」

 

転んでしまう

 

天地水式 (サザナミ)

 

足を使って水流を変え足を取らせる大した効果のない小手先の技

しかし、相手が動揺するなどの条件が重なった場合のみ

隙を作ることができる

これで終わらせる

 

「・・・!?」

 

足が・・・動かない!?

 

()ピュセルの枷(・・・・・・)

 ・・・油断したな」

 

足元を見るとヤタガンが刺さっていた

くそっ水面を使って隠してやがった・・・・

 

「ハァ・・ハァ・・・

 認めてやろう、お前は強い・・・純粋な剣技では私など足元にも及ばない・・・が

 私は超能力者だ、しかし同じ剣士としてせめて痛みなく屠ってやろう」

 

あーらら

ここまでか

後は任せたよ・・・

 

 

「さらばだ」

 

大剣が呻りを上げて俺に迫り・・・・・・

 

キィン!!

 

「シュウ君!」

 

白雪に阻まれた

悪いけど、後は任せたよ白雪

 

 

 

 




はいっここまでです!
白雪の奮戦とキンジの真剣白刃取りを使わせるために
シュウには負けてもらいました
さて、ここまで結構なハイペースで書いてきましたが
4月1日から仕事が始まってしまうので
更新がかなり遅れると思います(新入社員なので)
ですので、ある程度時間を作れた時に投稿したいと思います
皆様にはご迷惑をおかけしますが
なにとぞ、ご了承ください

でわ次回、アドシアード編完結!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。