緋弾のアリア~装備科の剣士   作:春秋時雨

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はいっ
春秋時雨です

今回はあかりの修行です(精神的に)
・・・正直・・・これって監禁にならないかちょっと心配ですが
まあ、合意があるなら大丈夫でしょう・・・・きっと

でわ、どうぞ~


第27話 自分の心

 

・・・・何も見えない・・・何も聞こえない・・・

・・・何にも感じない・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~数時間前~

 

 

「・・・〔むかんの間〕・・・?」

 

先輩に案内されたのは先輩の家の地下にある一つの扉の前

 

「そう、むかん・・・って言うのには何も感じないから無感

 なにもないから無間・・・まあ、簡単に言えば一つの広間みたいなものだよ」

「そうですか・・・」

「むかんの間はホントに何にもないからね。何も聞こえず何も見えず何も感じず

 まあ、話し相手は自分かな?あかりちゃんの特訓はここに朝までいることだよ」

 

・・・え?

 

「先輩・・・それって」

「みなまで言わなくても言いたいことは分るよ

 ただ、あかりちゃんが強くなるにはやっておかなくちゃいけないプロセスなんだ

 ・・・あまり詳しくは言えないけど俺を信じてほしい」

 

先輩は・・・申し訳なさそうな、それでいてとても真摯な目であたしを見てくる

 

「・・・分りました。先輩を信じます」

「・・・ありがとう、あかりちゃん・・・それじゃあ詳しい説明だけど

 ・・基本的にここに居て欲しいだけだよ。ただし、トレーニングとか

 体をなるべく動かさないこと、静かに朝を待ってて・・・言っとくけど寝ないでよ?」

「え・・・っと・・・ここにずっとい続ければいいんですか?」

「うん、なるべく静かに・・・ね」

 

?先輩のことは信じているけど・・・これはちょっと訳が分らない

先輩の意図は後になって分ることが多いから今回もそうなのかな?

 

「質問はここまでかな?・・・それじゃあ・・開けるよ」

 

ギィィィ

 

先輩はそう言い、扉を開けたそこにあったのは

 

 

 

・・・・・・・何もなかった

灯りも、窓も・・・ただ、壁と天井と床があるだけの空間

何も無いのにあたしにはそこが何か・・・とても怖い物があるように感じた

 

「・・・真ん中に座布団があるから、そこに行って朝まで待っていること

 ・・・朝になったら、迎えに来る・・・約束するよ」

「先輩・・・分りました。先輩、信じてますから」

「うん、まあ、話し相手としては・・・自分と存分に話すといいよ」

 

ギィィィィ

 

先輩がそう言いながら扉を閉めていき・・・

 

ガチャン

 

シャー

カチャン

 

扉を閉じた

 

 

 

・・・そして、何も見えなくなり、何も聞こえなくなった

・・・ホントにむかん(・・・)って感じがする・・・無限に空間があるように感じるし

何も無いように感じる・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                ~シュウ視点~

 

 

さてさて・・・始まったか荒療治(・・・)が・・・

 

俺は今、虚空を使ってあかりちゃんの意識から外れて気配を消している

この部屋のカギは中からでも外からでも開けられる・・・ただ・・・相手に

カギが掛かっていることを印象付けるためのアクセサリーだ

・・・にしても、自分で使っといて何だが・・・この技は使い勝手がいいよ

はたから見てもただ忍び寄っているようにしか見えないからな~

流石に前から行くと怪しまれるが、後ろからなら殆ど違和感を感じさせない

 

この〔むかんの間〕は、本来精神に異常をきたした者に対する、懲罰・矯正の為の間だ・・・

何も無い中で、人は平静ではいられなくなり、理性と衝動の対立が始まる・・・

正直、これは賭けだ。ここで気が狂い、朝を迎えずに死んでいった者も多く、あかりちゃんには

まだ早いと思う自分がいる・・・けど、あかりちゃんは耐えられるし強くなるにはこれが一番と

分っている・・・

 

声を掛けることは出来ない・・・けど・・・自分の中と存分に話し合うといいよあかりちゃん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                   ~あかり視点~

 

 

「ひっく・・・ひっく」

 

・・・まだ、朝は来ないのかな・・・もう何時間も過ぎているような感覚がある

そんなことは無いはずなのに、先輩はホントに来てくれるのか疑っている自分がイヤになる

 

(あたしはセンパイに騙されている)

 

!!・・そんなことない!!

あたしは先輩を信じてる!

 

(向こうはそう思っていないかもよ?

 だた、自分が楽しめそうなオモチャだからセンパイは自分の為にこんなことをやっているんだ)

 

先輩はそんな自分勝手な人じゃない!!

先輩はイラズラ好きで、あたしのこともからかって楽しんでる・・・けど

先輩はあたしのことを思ってくれている!!

 

(センパイ、センパイうるさいね・・・あたしとセンパイを繋ぐものなんて

 学校の訓練制度・・・アミカくらいでしょ)

 

・・・あなた・・・は・・?

 

(あたし?・・・あたしはあたしだよ・・・間宮あかりだよ・・・)

 

そんなことない!!間宮あかりはあたし!!

 

(そう、あなたも間宮あかり・・・けど、あたしも間宮あかり・・・

 人間は、理性だけでは出来ていない、あたしは差し詰め間宮あかりの影・・・

 普段は表に出てこない裏の部分・・・)

 

裏・・・

 

あんな人(天地驟一)を信用できる?何回か救ってもらったくらいでお姫様気分?

 いつ裏切るか分らないよ?)

 

そんなことない・・・

 

(ライカや志乃ちゃんも信頼できるの?ライカはあたしがEランクだから

 あたしの近くにいると自分が引き立つから近くにいるだけかもしれないよ

 志乃ちゃんにいたっては、訳の分らない理由であたしを襲ってきた

 とっても自己中心的なお嬢様だよ?)

 

そんなことない・・・二人は、あたしの友達だもん!!

 

(そう思っているのは自分だけかもね

 あたしにはそれを確かめる術はないし、なにより・・・・

 

  あたしとあの二人では・・・住む所が違う(・・・・・・)

 

 少し考えれば分ることでしょ?)

 

うるさい・・・黙って

 

(いい機会だからね、黙らないよ・・・隠そうとしたって無駄

 あなたはあたしなんだもの・・・現にさっきからあなたは否定するだけで反論しない)

 

「黙って・・・」

 

(あなたは・・・本当はとっても強い

 けど・・・武偵はそれを生かせない・・・母さんの教えは何の役にも立たなかった・・・)

 

「黙れ・・・黙れ・・・」

 

(あなたは本当は分っている・・・仮初の平和の中で、青春ごっこをしたかっただけ

 気が迷って、平和な日常にあこがれて武偵高(あんなトコ)に通っている)

 

「黙れ黙れ黙れ」

 

(あなたは分っている・・・自分は殺し殺される世界でこそ輝ける・・・

 だから・・・センパイに指摘されるまで家のことを隠し続けてきた)

 

「!?っち・・ちが」

 

(何が違うの?あこがれの日常が崩れるのが・・・やっと見つけた場所が

 崩れるのが怖かったから?)

 

「・・・・」

 

(あなたに分っているようにあたしにも分る・・・だって

 ふと怒った時・・・例えば高千穂麗にお友達を笑われた時・・・殺したいって無意識に思った)

 

「そんなことはない・・・」

 

(隠しても無駄だって・・・あなたはあたし・・・それに、無意識に思ったことは

 無意識であるあたしの領域・・・あのときあなたは確かに思った・・・

 

 

  () () () () () () () ()

 

 

 

 

 

「いいかげんにしてっっっ!!

 分ってる!!あたしと、ライカ、志乃ちゃんとは住む世界が違うことぐらい!!

 確かに、あたしは怖かった!あたしなんかを受け入れてくれないと!

 けど、そんなことなかった!

 確かにあの時、高千穂さんを殺してやりたいって思ってしまった!

 けど、そうせずに、正々堂々と勝負するべきだと思った!

 なにより・・・新しい世界見られた・・・そのキッカケをつくってくれた

 シュウさんを、あたしは信じる!!」

 

(そう・・・あなたの気持ちは分った・・・

 それで?あなたは信じてどうしたいの?)

 

「あたしは・・・

 あたしは・・・」

 

(信じる信じる・・・それだけで中身が無いのがあなた・・・

 殺人の技を使いたくが無いために実力が出せず、強くなりたいがために

 信じていると言葉を紡ぎ、言いなりになって楽をしようとしている・・・)

 

「あたしは・・・」

 

(もう、自分の気持ちに正直になって、気に入らない者を殺せばいい・・・

 武偵3倍法とか・・・あたしを殺しに来る者も殺してしまえばいい・・・)

 

「あたしは・・・武偵高強襲科(アサルト)Eランク、間宮あかり!!

 あたしはあたしの為に強くなってののかを・・・みんなを守るために強くなる!!」

 

(守るために強くなる・・・ね・・・

 それも良いけど、弱いあなたで守れるの?)

 

「今はまだ、守れない・・・けど、あたしは強くなって、大切な人たちを守る!」

 

(そのために、人を殺せる?)

 

「あたしは・・・殺さない・・・」

 

(あなたなら、凶器なんて使わずに人を殺せるし

 殺しても、正当防衛が認められる場合もある)

 

「それでも・・・あたしは、殺さない・・・

 間宮の技は必殺・・・だけど・・・半分だけ決めれば相手を文字通りの半殺しにできる・・・

 だから、あたしは殺めの技で相手を生かし・・・殺す技で皆を守って見せる!!」

 

(・・・そう・・・それじゃあ、あたしを・・・躊躇いを捨てられる?

 殺すうんぬんじゃなくて、相手を攻撃するだけでもあなたは躊躇っている

 躊躇いある強さなんて・・・あっても邪魔なだけ・・・言い訳の材料にもならない

 弱い方がまだマシ)

 

「殺す事は躊躇う・・・けど・・・相手を倒すためなら・・・あたしはもう

 躊躇わない!!」

 

(そう・・・それがあなたの答え・・・ね)

 

・・・あれ?なんだか・・・頭が重く・・・なって・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                ~シュウ視点~

 

・・・・・・・驚いたな・・・

この間は本来は修行部屋・・・それが懲罰・矯正の部屋になったけど

やることは同じ・・それは・・・無意識を制御下に置く・・・というもの

あかりちゃんには、強くなりたいと思いつつもそれを躊躇う仕草が目立った

それは、自分が強くなれば、相手を殺してしまうのではないかという不安

だからこの修行である程度自身を開放する術を身につけられると踏んだ

けど・・・予想以上だった

 

腕の中であどけなく眠っているこの子をみて再度思う

 

最終的には受け入れることが目標だけど

そこまで行ける者は本当に稀有だ・・・

大抵は自身の心の中に押しつぶされて狂人になってしまう

 

暗い絶望する思考の中・・・それでも自分を見失わない覚悟

・・・しかと・・・見させてもらったよ・・・本当に

この子の将来が楽しみだ

 

 

さて、しばらくは起きないだろうからそれまでにあかりちゃんの好きな物をそろえておこうかな

・・・なんたって、今日は合宿の仕上げだからね

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はいっ
あかりの修行(?)でした!!やっぱり人を殺すことには躊躇いがあると思うので
まずはそれを克服させようと書いてみました

・・・ちなみに、シュウは割と頻繁に虚空を使ってます・・・具体的には
人を驚かせる時などです (例 ラクーン台場【サブタイトル】でイキナリ現れた時など)

でわ次回vs高千穂班やっていきたいと思います

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