緋弾のアリア~装備科の剣士   作:春秋時雨

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はいっ

春秋時雨です

さてさて・・・前回は全部あかり視点で書いたのですが
・・・書ききって投稿した後にAAはあかりを中心に色々な人物視点で描かれていることに
気づきました
そのため、AA編では基本はあかり、変更の時は〇〇視点と訳していきます
ではどうぞ!


第18話 契約完了

              ~ライカ視点~

 

決着・・着いたな・・・

強襲科(アサルト)で何度か無双しているところを見たことがあるから

相当に強いっていう感想はあったんだけど・・・

最終的にはEランクのあかりにも手加減抜きかよ・・・

 

「ぷっ・・くくっ・・あっはっははは!」

 

アタシが若干退いているとシュウ先輩は腹を抱えて笑いだした

 

「ちょっと、先輩。その態度はあんまりじゃないですか?」

 

志乃のヤツが殺気を出しながら先輩を睨む

アタシも気持ちは同じだ、精いっぱい戦ったあかりに対して

笑えることなんて一切ない!

そうやってアタシも睨んでいると

 

「?・・ああそういうこと」

 

先輩は高笑いをやめてあたし達に向き直り左胸を指さす

 

「この通り、俺は負けたんだよ」

 

一瞬言っている意味が分らなかった

誰が勝者か誰にも分るはずなのに

志乃も同じなのかワケが分らないって顔してる

 

エンブレム(・・・・・)

 

!!

その一言でアタシ達は気づく

・・・シュウ先輩の胸にエンブレムが無い!!

 

「御覧の通りさ・・・あかりちゃんは俺の本気を受けながらも

 エンブレムというルールを忘れなかった

 こっちは、柄にもなく熱くなってこの結果・・・

 いや~、まさか本気出して負けるとは思わなかったな~

 いやはや、ホント。実にあっ晴れってとこかな?」

 

説明されてようやく理解する

あの高笑いは敗者(あかり)を嘲るものじゃ無くて

純粋に面白いと思ったから・・・!?

 

「面白い子だよホント」

 

そう言いながら先輩はあかりを抱きかかえる

 

「ちょ・・あかりちゃんをどこに連れていくつもりですか!」

「ん?・・作業場」

「え・・?」

 

志乃の問いに先輩は淡々と答える

 

「気絶してるし、体のいたるとこには打撲がある

 ここからなら救護科(アンビュラス)より俺の作業場の方が近いし

 道具も一式揃ってる・・・ああ、賭けの事を気にしてるんなら来る?

 俺の作業場」

 

そう言う先輩にアタシ達はついていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                ~あかり視点~

 

 

 

「ん・・・んん・・」

 

ユラユラ揺れる感覚であたしは意識を取り戻した

ああ、あたし・・・戦妹(アミカ)になれなかったのかな・・・

ぼんやりとする視界の中でぼんやりとシュウ先輩の顔をながめ・・て・・・

 

「ん?目が覚めた?」

 

あ・・・あれ・・?

やけに顔が近・・ていうか・・コレ・・・

お姫様だっこ!!?

 

「え・・い・・いや・・あの・・その・・・」

 

何か言おうとするけど言葉にならなくて・・・痛っ

 

「・・・ちょうどいいか

 あんまり、無理はしない方がいい

 今、俺の作業場に向かってる

 細かい話はそこでするよ・・・」

 

最初の方は聞き取れなかったけどあたし・・・失格になったのかな・・・

 

『まずは、ともあれ

 合格おめでとう、あかりちゃん』

「ひゃわあ!!」

「!?どうした?あかり!」「あかりさん!?」

 

ライカと志乃ちゃんが驚いてる

 

「ご・・ごめん・・・ちょっと驚いただけ・・・」

「そ・・そうか・・・先輩、あかりのヤツを下ろした方が」

「あかりちゃんになるべく負担はかけたくないし

 運ぶならこっちの方が効率いいからね~」

「そ・・それなら・・お・・おんぶとかどうですか?」

「時間がもったいないし、このままでいいよ」

 

二人の提案をことごとく断って行く先輩

 

『というのは建前で、ホントはこうしてあかりちゃんと話がしたかったんだよ』

 

さっきは、イキナリで驚いたけどこれは・・・

 

『・・・先輩がなんで“骨話(コツワ)”を使えるんですか?』

 

これは、あたし達、間宮(・・)の秘匿話法

それを、なんで先輩が使えるんだろう

 

『これも一種のテストみたいなもんだよ

 あかりちゃんが骨話を知っている=間宮の子っていう方程式が

 成り立つからね』

 

迂闊だった、骨話の名前を出すなんてあたしは間宮ですって言っているようなものだ

・・・それよりも!!

 

『なんで先輩は間宮(・・)を知っているんですか!』

 

「着いたよ」

 

あたしの問いを無視して先輩が二人に言う

着いたって・・・え?

 

「ここっスか?」「・・・・」

「お・・大きい」

 

そこは武偵高にしてはやたらと広い作業場に見えた

 

「普段はここで鍛冶仕事をしてるんだ

 ・・・で、その隣の掘っ立て小屋が目的地」

 

先輩は掘っ立てって言ってるけどそこには立派な家があった・・・

 

(学園島にこんなトコがあったんだ・・・)

 

ライカや志乃ちゃんも思っていることは同じらしく

あんぐりと口をあけている・・・あたしもだけど・・・

 

ガチャ

 

「ほら、入るよ」

 

先輩はあたしを抱えたまま器用に家の扉を開ける

 

 

 

 

 

 

 

 

中に入ってみるとホントに家としか言いようが無かった

玄関から続くリビングに台所、寝室、シャワールームまである

以前に見学した学生寮ほどではないが一人暮らしくらいなら難なく出来そうな気がする

 

「ちょっとまってて」

 

そういってあたしを椅子に座らせ寝室に向かっていった

 

「・・・なんか・・・イイトコだよね・・・ココ・・・」

「ああ・・先輩・・ここに住んでるのか?」

「そうなんでしょうか」

 

あたし達はこの家の事について話し合う

 

「準備できたから、いくよ」

 

そう言ってまたあたしをお姫様だっこする

・・・ううっ・・ライカと志乃ちゃんの視線が向いているのが分って

すっごく恥ずかしい・・・

 

あたしを布団に寝かせた先輩は次にあたしの服に手を掛け(・・・・・・・・・・)

 

「ちょ、ちょっと先輩!?何やっているんですか!?」

「何って、服を脱がせようとしているんだけど?」

 

堂々と言い放つ先輩・・・

 

「警察呼びますよ?」

「・・・何を言っているんだ?キミは?」

 

怒る志乃ちゃんに何が何だか分らないといった風の先輩

 

「何って、なんであかりちゃんの服を脱がそうとしているんですか!!

 セクシャルハラスメントですか!!」

「?いやいや、そんなワケないでしょ

 むしろ俺は、あかりちゃんの苦痛を和らげようとしているんだけど」

「く・・苦痛を・・・和らげる・・!?」

 

何か、どんどんヒートアップしていく志乃ちゃんに淡々と返す先輩

 

「怪我の治療をするためにまず服は邪魔でしょう?」

 

その一言で志乃ちゃんは一気に熱が冷めて

 

「・・・それなら私たちがやりますから

 先輩は出て行って下さい」

「?・・ああ、そういうこと。ゴメン、デリカシーが無かったね」

 

デリカシー・・?

その一言であたしがどんな状況だったかをようやく思い出す

あ・・あたし・・先輩にふ・・服を脱がされようと・・・

で・・でもそれは治療目的であって・・・やましいことは一切なかったっていうことで・・・

 

「?あかりちゃん、体調悪いの?真っ赤っかだけど」

 

混乱しているあたしに今度は顔を近づけてくる

え・・・ちょ・・・イキナリ・・・

 

コツン

 

「ん~ちょっと熱あるね、ついでに熱さまし持ってくるよ」

 

・・・・お・・おでこで熱を測ったのか・・・

 

「なんて言うか・・・大胆ってより・・・天然な先輩だな」

「・・・そうですね」

「う・・うん・・・とりあえず、お願い」

 

そう言ってあたしは服を脱ぎ始めた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

治療を終えた後、コンコンというノックの音が聞こえたので

 

「どうぞ」

 

ガチャ

 

「はい、熱さまシート」

 

ピタッ

 

言いながらあたしおでこにシートを貼る・・・ヒンヤリしていて気持ちいい・・・

 

「それで、説明してくれるんですよね・・・あなたの事を」

 

志乃ちゃんが剣呑な雰囲気で話しかける

 

「そう睨まなくても良いよっていうのも無理か・・・

 ざっくばらんに言うけど、俺の・・家の流派は天地流っていうんだ」

「天地流?」

「うん、細かい説明は省くけど天地の剣は最高を目指す・・・それは

 どんな環境、どんな相手でも、常に自分自身の最高を貫くんだよ

 俺の場合、相手の動きの先の先を読む・・・

 相手の言動、性格、戦闘スタイル、構え、力量、身長、体重

 そういったさまざまな情報を総合して次の一手を読んでいく

 俺はその戦術を戦術分析(タクティカルプロファイリング)って呼んでる

 そのために主要な剣術・拳法の動きなんかは頭に入ってる

 その内、自分に合いそうなものは積極的に自分でも使ってるって訳

 幸い、日本に昔からあるものの文献は実家に大量にあったからね

 これが、俺が巌流の一部を使えたワケ」

 

結構長かったけど要は、勉強してたってコト?

 

「・・・そうですか」

 

志乃ちゃんは一応納得したみたい

 

「さてさて、合格祝いってことで何か作ろうか・・・リクエストある?」

「えっと、先輩・・合格って?」

 

そういえばさっきも合格って言ってたような

 

「ん?・・・ああ、あかりちゃんはもう戦妹(アミカ)・・・つまり

 戦兄妹試験勝負(アミカチャンスマッチ)に合格したってコト」

 

・・・え・・・

 

「ええ~~~~!?」

「・・・そんなに、自分に自信が無いの」

「い・・いや・・そのだって・・・ええ!?」

 

あ・・あたしが・・ご・・合格!?

 

「とりあえず、パンプディングでも作ってくるね」

 

そう言って今度は台所に向かう先輩

 

バタン

 

「え?・・あ・・あたし・・合格したの!?」

「おう、おめでとう、あかり」

「おめでとうございます、あかりさん」

 

そっか・・・合格したんだ・・・良かった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから5分くらいして

 

コンコン

 

『どうぞ』

 

ガチャ

 

「おまたせ、はいどうぞ・・熱いから気をつけてね」

 

そう言って出されたパンプディングは・・・絶品だった・・・

 

「お・・おいしい!」「うまいな!」「おいしいです」

「ん、気に入ってくれて良かった」

 

ホッとしたような表情を見せる先輩

 

・・・・・・・

 

「あ・・あの・・・先輩・・すいませんでした!!」

「・・・イキナリ謝られても困るんだけど・・・」

「あ・・・」

 

イキナリ謝ったあたしに先輩は困惑してる

ライカと志乃ちゃんもポカンとしている

 

「え・・えっと・・その・・・

 あたし、ホントはアリア先輩に戦姉妹(アミカ)契約を申し込もうと思っていたんです」

 

あたしの告白に先輩は目を細め二人は驚く

 

「・・けど、強襲科(アサルト)で先輩の姿を見た時

 なんでか分らないんですけど、この人だって思ったんです

 ・・・おかしな話ですよね・・・憧れだった先輩より

 何にも知らない先輩の事を選んだんですから

 ・・・先輩は、こんなあたしでも、戦妹(アミカ)にしてくれますか?」

 

あたしの言葉に先輩は深々とため息をつく

あたしはキュッっと目を瞑って先輩の一言を待つ

 

「・・・勿論、大歓迎だよあかりちゃん」

「え・・・」

「何?拒絶されるとでも思った?

 生憎だけど俺が本気を出した時からもう戦妹(アミカ)にするつもりだったよ」

 

先輩の言葉にあたし達は全員?を浮かべる

 

「俺の言葉を思い返してごらん、俺はあの時

 “今から君をこのエンブレムで試す

 ルールは、君がエンブレムをとったら君の勝ち

 エンブレムをとれずにリタイヤすれば勿論失格”

 っていったんだよ。さて、俺はいつ、君が勝ったら戦妹(アミカ)にするって言った?」

「え?」

戦兄妹試験勝負(アミカチャンスマッチ)はその人となりを知るためのものだからね

 あんまり広がっていないんだけど、戦妹(アミカ)になるには二つの方法がある

 一つは、戦兄妹試験勝負(アミカチャンスマッチ)に勝つこと

 もう一つは、兄が妹を認めた場合だよ」

 

先輩の説明にあたし達は顔を見合わせる

・・・つまり・・・最後の攻防の意味って

 

「ああ、最後の攻防はハッキリ言って俺の気分ってトコかな

 その前の問答であかりちゃんがあっさり諦めれば、戦妹(アミカ)にはしなかった

 そういうテストのつもりだったんだけど・・・

 思いのほかあかりちゃんが強いってことが分って

 自分を抑えきれなくなりまして」

「で・・・でも先輩、コイツのランクはEランクですよ?

 それが強いって」

「強さとは単純な力の事?俺が強いって認める相手は、単純な強さだけじゃなく

 心の強さも持っている人を俺は認める。それが正であれ負であれ・・ね」

 

つまり先輩はあたしの実力だけじゃなくて、心も認めてくれたってこと?

 

「それに、ここ1年で俺に交叉を出させた物はいなかったんだ

 それだけでも、十分に評価に値するよ」

 

先輩はそう言ってあたしに笑いかける

と思ったら真面目な雰囲気を出して

 

「・・・さて、質問はもう終わりかな?

 じゃあ、こっちも色々と質問させてもらう前に

 ・・・あかりちゃん、ちょっと確認したいんだけど」

「は・・はい」

 

一体何を聞かれるんだろう?

 

この二人はあかりちゃんに(・・・・・・・・・・・・)とって信頼(・・・・・)できる?(・・・・)

 

そんなことを聞いてきた

 

 

 

 

 




はいっ本日はここまで!

次回、あかりがシュウに惹かれた理由が明らかに!
こうご期待!

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