緋弾のアリア~装備科の剣士   作:春秋時雨

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はい、前回私的な理由で切らせてしまって申し訳ありません

続きですどうぞ!


第8話 決着

キンキン・・キンッ

 

闘技場(コロッセオ)に刃と刃が打ち合う音が木霊し続ける

 

「はあ・・はあ・・はあ」

「ふう・・どうした神崎?もうスタミナ切れか?」

「・・うるさいわね」

 

実際、神埼は善戦している

距離を開けることは遠隔斬撃の

大技を放とうとすれば強烈なカウンターの餌食になるこの状況で

攻めに攻めきれないことがプレッシャーとなり

それが時間の経過とともに累乗していく

 

これが神崎に対し反撃を警戒させる(・・・・・・・・)ように戦闘経験(・・・・・・・)を積ませた結果だ(・・・・・・・・)

  天地風式(アマチカゼシキ) 風舞(カザマイ)

相手はつかず離れずの距離を自分から保ったままどんどん不利な状況に追い込まれていく

ただでさえ、小太刀とはいえ日本刀(重いモノ)を持っているのに

精神的にも追いつめられていく

考えを巡らせようにも

ここまで接近していては

それは命取りだ

 

(まあ、正直見ていて心が痛むけど、誇っていいよ俺にここまでさせたのは

 お前が初めてなんだから)

 

キィン!

 

俺は神崎の刀を大きく弾き距離をとる

 

「・・・?」

「仕切り直し、させてあげる

 そっちのタイミングで初めて良いよ

 銃に切り替えてもよし

 策を練ってから挑むもよし」

「情けを掛けようって言うの?」

「おおざっぱに言えばね、それにこれは訓練なんだ

 俺の戦術にキミ(Sランク)がどう対応してくるのかを見たい」

「後悔しないわよね?」

「うん、でもギャラリーの皆さんも退屈になるだろうし・・・

 3分、3分だけこっちは待つよ」

 

言いながら俺は刀を鞘に戻す

 

「・・・・・・・・・」

 

神崎は俺の戦術には気づいてる

問題は俺が一度だけ放った“断空(ダンクウ)”についての考察だろう

 

・・・俺は俺でさっきから気になったことを記憶の中でだけど検証してみるか

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2分半が経過しようとする中

 

「・・・・いいわよ」

「ん?そっか」

 

神崎の中で答えが出たのだろう

こっちもちょうど記憶の中の検証が終わった所だ

あとは実際に確かめるのみ!

 

「!」

 

バンッ バンッ

 

「おっと」

 

キンッ キンッ

 

神崎は銃撃を選択してきた

そして・・・

 

ガキンッ

 

良し!このまま・・・

そこで俺は気づいた・・・

神崎の目が何かを必死に見ようと見開かれていることに

 

(やっぱし確証はなし・・か)

 

そうと分れば話は早い

俺は断空を放つフリ(・・)をしてそのまま駆ける

 

「!?」

 

見えない刃が来ると思った神崎は驚きながらも

咄嗟に抜いた小太刀で切り結ぶ

 

ギギ・・キンッ

 

つばぜり合いになったが俺はすぐに距離をとる

神崎の手には俺が距離をとる前から拳銃が無い

二刀流の厄介さは手数の多さ

かの宮本武蔵も二刀流を用い多くの敵を相手取ったとされるのは有名な話・・・

それほど二刀流というのは侮れない

今もつばぜり合いを続けていたら斬られていただろう

 

「はあっ!」

 

今度は神崎が斬りかかる

俺は左の小太刀を右にを受け流しつつ

回転しながらの左切り上げを放つ

 

これも先程とは似て非なる技

 

受け流しながらの回転切り

ここまでは同じ・・・しかし戦略とは

虚実を織り交ぜた裏のかき合い!

 

一度見た攻防の再現に神崎は機敏に反応しバックステップで距離をとり

反撃(カウンター)を仕掛けようとする・・・が!!

 

天地風式(アマチカゼシキ) 追い風(オイカゼ)!)

 

俺は刀を振りぬいた勢いを殺さずに

左足を右側に踏み込みつつ

逆袈裟へ回転斬りを放つ!!

 

反撃に出ようとしていた神崎は

攻から守への切り替えができずに

俺の一太刀をなすすべなく受け・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺の勝利でこの戦いは幕を閉じた・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・なんでよ」

「ん?なにがだ?」

「なんで最後の一撃、峰打ち(・・・)にしたの?」

 

アリア(・・・)は痛む右肩を抑えながら今にも叫びだしそうな調子で質問する

そう俺は最後の一撃の瞬間刃を返し峰打ちにしていたのだ

 

「・・あ~それな、・・・だってああしないとお前死んでたぞ?」

「え?」

「俺の初太刀でブラウスが切れてたろ、俺の刀は防刃布ですら易々と斬れる。

 峰打ちにでもしないと、お前に致命傷を負わせて(・・・・・・・・)俺の反則負けだ」

 

俺の説明に納得したのか

アリアは黙る・・・

 

「・・・ねぇ、聞いても良い?」

「・・質問の内容によるな」

「結局アレ、何だったの?」

「・・・イロイロやったから何をアレと言っているんだかわからないんだが」

「察しなさいよ!・・ほらアンタが出した見えない斬撃・・・アンタ超能力(ステルス)持ちなの?」

 

ああ、なるほど、それね

 

「いいや、俺は超能力(ステルス)持ちじゃあないよ

 あれはどちらかといえば技能(スキル)だ」

「スキル?」

「ああ」

 

俺はアリアに断空についておおざっぱに説明する

 

「・・・そうだったの・・・・」

「習得は諦めた方がいいぞ」

 

アリアが熟考しているので俺は釘をさしておく

 

「え!?」

 

この反応図星か・・・

 

「あの技は・・・ハッキリ言って自分自身の精神を、技術を、肉体を

 心・技・体を洗練させなくちゃ使えるような技じゃないし

 そもそも、天地の剣はあれだけじゃない」

「・・・そうなの」

「天地の剣は空飛ぶ剣・・・そんなに安いもんじゃないんだよ」

 

俺は天地の本質についてぼかしつつ

 

「言っとくがこっから先は企業秘密だからな」

「・・・・」

 

今まさに聞こうとしていたらしく押し黙る

 

「状況が仕方が無かったとはいえ断空を使っただけでも大サービスなんだ

 これ以上は今は話せない」

「今はってことはいつかは話してくれるの?」

「まあ、いつかはな・・・切り札は誰かに知られた時点で切り札足りえなくなるからな」

「・・・それもそうね」

 

アリアはまたしても押し黙る

なんか・・・こう妙に聞きわけがいいとこっちも調子が狂うな・・・

 

「・・・意外だな」

「え?」

「いや・・・お前のことだからもっと根掘り葉掘り聞いてくるんじゃないかと

 身構えていたんだが」

「あたしはそこまで安っぽくはないわよ?」

 

アリアがさっきの俺の言い回しを使って返してくる

じゃあこっちも質問させて・・・いや確かめさせてもらうか・・・

 

「・・・なあアリア」

「え!?」

「・・・なんでそこまで驚く」

「だってアンタあたしのことずっと“神埼”って」

「ああ、それか。・・・もう認めたからな」

「え?」

「だから、お前のことを認めたってことだよ」

 

俺は基本的に二人称には苗字を使う

・・・名前を使うのは親しい者、認めた者にたいしてだけだ

 

「そっか・・・」

 

あ~もうホント調子狂うな

 

「それでアリア」

「あ・・な、何?」

「俺もちょっと聞きたいことっていうか確認したいこと(・・・・・・・)があるんだが・・・」

「?何?言ってみなさい」

「・・・その・・そのためにお前の小太刀をちょっと貸してくれないか?」

「え・・・?」

 

どうしても・・・というわけじゃあ無いが、やはりモヤモヤは晴らしたい

 

「・・・いいわよ」

「ホントか?」

「あたしは実際負けたし、負けた身の上で質問にも答えてくれた

 これ以上恥の上塗りはしたくないの」

 

なるほど・・・ね

 

「そっか・・・アリア。すまなかった」

「え・・ちょ、ちょっと何よ」

 

イキナリ頭を下げた俺にアリアが戸惑う

 

「いくらSランク武偵の実力を見たいと思って一昨日の様な事を口にしたこと

 すまなかったな」

「え・・ああ、あのことね」

 

案の定アリアはご立腹のようだ

 

「正直腹に据えるとはこのことだと思ったけどアンタはしっかりと謝罪した

 アタシの当初の目的もアンタの実力を測るっていうのは達成できなかったけど

 もう充分に達成できたわ」

「俺が謝罪したのは何も罪悪感だけじゃない。お前は一本筋が通っているからな

 根がねじ曲がったヤツなら謝罪はしないよ・・・と、ともかく小太刀貸してくれるんだな?」

 

俺の確認に

 

「ええいいわよ・・・でも、何に使うの?」

「いや、使う訳じゃ無い。ただ、確認するだけだ・・・そうだ、アリアも来るか?」

「え?」

「俺の部屋」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

PM.04:25

 

 

俺の部屋で俺はアリアの小太刀を分解していた・・・

 

「それで?刀を分解して何かあるの?」

 

アリアが口を挿んでくる

 

「その何かを確認するんだよ」

「それもそうね」

 

アリアは言いつつも周囲を見回す

 

「それにしても・・・箱が沢山あるわね~」

「ん?ああいじるなよ、とってもいいが絶対にちらかすなよ」

「はーい、って何、コレ」

「ん、ああ、それは玉鋼。簡単にいえば刀の原料だ・・・っとできた」

 

俺は二本の小太刀の分解を終えた

そして・・・用のあるのは刀の(なかご)のほう

そこには

 

 

 

天地ノ二十三代目也

 

と書かれていた・・・うん・・・やっぱしね

 

「・・・何?コレ?」

 

アリアはこれを見るのは初めてらしい

 

「これは(なかご)っていってな柄のなか(・・)()めるから

 (なかご)っていうんだ

 んで日本刀において作成者はここに銘を切るのがならわしなんだ」

「へえ~、それで?」

「ん?」

「この二十三代目って誰のこと?」

「ああ、俺だよ」

「へ?」

「改めまして

 刀鍛冶兼剣客の一家、天地二十三代目次期(・・)当主。天地驟一です

 よろしく・・・・まあつまり、俺がこの刀の作成者」

 

 

 

「え・・・ええぇぇぇ~~~~~!!?」

 

 

アリアの絶叫が夕暮れの第三男子寮に木霊した

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ようやく
書ききりました

ふう~ようやく主人公「アリア」って呼べたよ~
今まで何回“神埼”と打つところを“アリア”と打ちかけたか・・・

明日は投稿できなさそうです
すみません

誤字脱字の指摘があればお願いします
それくらいの手直しだったら短い時間でもなんとかなりそうですので

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