FAIRY TAIL~元勇者の生きる道~ 作:ヌラヌラ
永世中立国フィオーレ王国。その東方に位置する街マグノリア、魔法と商業の盛んな都市である。
その街の名物は二つある。一つは街の中心に聳え建つカルディア大聖堂。
そしてその中では1人の僧侶が神に祈りを捧げていた。
「あぁ、神よ。今日も我らに祝福を与えお救いください」
ブロンドのロングヘアにオレンジの上下一体の服を身につけ、その上に白い十字架の入った青いローブを羽織った少女。リリカ・ホーラルは今日も祈る。人々の為、そして自分の為に。
「どうかお願いします神様……割ってしまった壺を神父様が気付かないでください!」
僧侶として未熟であり、人間としても至らない部分の多いリカは今日も失敗をして司祭の説教を恐れていた。
そんな時、窓の外から強い光が差したのに気がついた。
「ん?なんだろ、今の光」
つい先ほどまで抱いていた不安も好奇心が勝り、リリカは外へと出る。しかし探せど探せど異変は見つからなかった。
「えっと……こっちだと思ったんだけど……なぁっ⁉」
目を凝らして林の方を見ると、緑色の服を着用し、服のそれよりも明るい緑色の髪をした男がうつ伏せで倒れていた。端から見たら死体にしか思えないように。
「しっ……神父さまぁぁぁ!」
平和なカルディア大聖堂に、リリカの声は響き渡った。
「全く……死人がいるなんて言うからなんだと思ったら……倒れていただけじゃないですか」
青を基調とした暑苦しいような服を着た初老の男は溜息をついて呆れた声を出した。男の被った帽子にはリリカのローブと同じ十字架が刻まれていた。
「だっ……だってだってあんな所で倒れてたら誰だって死んでるって思うよぉ~」
リリカは手をブンブンと振り、神父に訴える。その様子を見て神父はまた溜息をついた。
「うっ……ううっ……」
1人で騒ぎ立てるリリカの声に反応したのか、倒れていた男の意識が戻り、瞼を開けた。
「あーっ、起きた起きた!ねぇねぇ、キミどこから来たの?なんであんなところで倒れてたの?あとねあとね」
半身を起こした男に顔を近づけてリリカは質問を投げかけた。とっさの事で男は何もわからずただ、リリカの勢いに驚きを隠せずにいた。
「リリカ、彼も起きたばかりで状況がよくわかっていないでしょう。落ち着かせるためにお水を汲んで来てください」
リリカは元気な返事を返すと、小走りで台所の方へ向かった。小気味の良い足音を残して部屋には静寂が訪れた。
「さて、落ち着いて話をしましょう。ここはマグノリアのカルディア大聖堂です。私は神父をしているサイラス・トレイルと申します。さっきの彼女はリリカ・ホーラル、ここで私の手伝いをしてもらっています」
静寂を破ったのはサイラス神父だ。普段から悩める人の話を聴く仕事をしているせいか、どこか話し方には落ち着きがある。
「マグノリア……大聖堂……?
なんだよ……また金を半分分捕られて生き返らせられたのかよ?」
「はい?あなたはそっちにある林で何も持たないで倒れていましたが……それより、名前を伺ってもよろしいですか?」
サイラス神父は男の発言に怪訝な表情を浮かべるが、記憶が混乱しているのだろうと判断する。まずは名前を思い出すかを試してみる事にした。
「俺は……ソロだ。神父さん、エンドールかサントハイムって国は聞いたことありますか?」
「いえ……申し訳ありませんが私は存じません」
ソロと名乗った男はそうか、と言うと再び黙り込んでしまった。
再び訪れた静寂を破ったのは扉をノックする音だった。
「お待たせー!お腹も空いてると思ったからパン持ってきたよ。さあ、食べて食べて!」
リリカが言い終えるのとソロの腹の虫が間抜けな声を上げるのはほぼ同時だった。
「すっ……すいません、いただきます‼」
「ぷっ……あはははは!神父さま!この人面白いね!」
照れ隠しの為、すぐさま差し出されたトレイの上のパンを急いで食らうソロ。その姿が可笑しかったのかリリカは笑ってしまった。
「こらこらリリカ、人をそう笑うものじゃありません。
……ソロ君、私はさっき君が言った国の事を知らないけど、"あの人"たちなら誰か知っているかもしれませんね」
マグノリアの名物、もう一つは。
「
魔導士ギルド、