仮面ライダーβ   作:King Kazu

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この作品はやや中二的な雰囲気が若干あります。
仮面ライダーを心から愛し、オリジナル仮面ライダーなんて絶対許さない!!
なんて方がいらっしゃいましたら、それはもう、すいません。


選神使編
プロローグ&第1話~選ばれし戦士~


プロローグ~選ばれし戦士~

 

西暦2089年,8月1日 日本国 東京都新宿区

 

午前の新宿駅は夏休みの初日というだけあって、かなり混雑していた・・・。

「電車が参りまぁーす。お下がりくださぁい!」

駅員の声が微かに聞こえるが人々の声にすぐに掻き消され、最後までは聞き取れない。

 

そんな人混みの中、1人の少年がいた。神崎大翔(かんざきひろと)16歳。彼は両親を幼い時に亡くしている為、祖母に育ててもらっていた。

大翔は山手線のホームにいた。

あまりにも人が多い為、誰もが気持ち悪くなりそうであった。

そんな中、既に電車はホームへと滑り込んでいた。電車の風圧で我に返る人々・・・。

やがて、ホームドアが開き車両ドアも開いた。列の先頭にいた大翔は後ろの人達に押されて車内へと、入った。

車内は思った以上に暑く、苦しく密閉されているため、更に圧迫感を感じる。

大翔は山手線内回りを利用して、新宿駅から東京駅へいくつもりだったが、新宿の次の渋谷で降りることにした。しばらく走っていると、車内アナウンスが渋谷にそろそろ着く事を告げた。

大翔はほんの1分弱乗っていただけなのに、2日位乗っていた気分になった。

そして電車は渋谷駅のホームに入っていった。どんどん減速する車両。

停車位置まで3m程だった。が、次の瞬間。

ドドン!! 

凄まじい音が突然、車内に鳴り響いた。乗客の悲鳴がうるさい。

「どうやら、前の車両が爆発したようだな・・・。」

と、大翔は察した。

そして大翔の予想通り、大翔の乗っていた車両の前の車両とその前の車両が、爆発していた。 

「ちっ、面倒だな・・・。」

大翔は小声で、そう呟いた。

 

第1話~未確認生命体「テイラー」~

 

大翔は渋谷での爆発事件の後、この手の事件はあまり関わらない方がいいと考え、さっさと

渋谷駅を後にし、タクシーで東京駅へと移動した。

彼が東京へと足を運んだのには、特に深い理由などは無かった。

行き着けの武器屋があるから、ただそれだけである。 

もちろん武器屋とは、その名の通り危険な武器を扱っている。

なので、一般人や警察の目に届かないような、路地裏にありそして、会員制の店なのである。 

もちろん大翔は常連客の為、場所など地図を見なくても分かる。

彼が、この店と出会ったのは4年前,大翔がまだ中学生の頃、大翔の家が火事で全焼し、祖母が色々な物件を訪ねていた時、東京まで行って来ると祖母が言い、心配になってついて行った所、大翔は東京駅で祖母とはぐれ、駅構内をウロウロしていた所をスーツを着た男に連れ去られ、辿り着いたのがこの武器屋であった。

そして大翔は殺されると思い、覚悟をしていたらスーツの男が大翔に刃渡りが30cm程のサバイバルナイフを渡したかとおもうと、東京駅の迷子センターへ大翔を連れて行き、そのまま去っていった。以来、大翔はひきつけられるようにこの店の虜となり、常連客となった。 

しかし、初めてこの店を訪れた時のスーツの男はそれ以来1度も見ていない。 

そして現在、大翔はこの店へと足を踏み入れた。

店内には珍しく客がいた。大翔と同じ位か、もしくは少し下位の年齢の少女である。

大翔は少女に問いかけた。

「アンタ、見ない顔だがここ来んの、初めて?」

少女は無言で小さく頷いた。 2人の間にしばらく沈黙が続く。すると今度は向こうから、

「あなたは?」

と、問いかけてきた。 大翔は慌てて思わず訳の分からない事を口走った。

「うぇ?ああ、俺はここに来て、たったたくさんだな。」

大翔はチラッと少女の方を見た。 大翔には一瞬、少女が笑ったような気がした。

また沈黙が続く。 するとまた向こうから、

「私の名前は桐縞華梨(きりしまかりん)。15・・じゃない、今日で16歳よ。」

やっと会話になれてきた大翔は、

「へえ、俺は神崎。神崎大翔だ。同い年の16歳だ。ちなみにさっきは言いそびれたが、俺はここの常連さ。」

と簡単に自己紹介した。

「常連さんかぁ。ちょっと、ここの武器について教えてくれる?私、こういうのよくわかんなくって・・・。ほら!こいうのって、男の子とか好きでしょ!?」 

突然の質問に大翔は戸惑ったが、彼女の役に少しでも立ちたいと思い、ありったけの知恵を出し切った。

「ええと、まずこの拳銃がグロック17 Gen1で・・・」

大翔が説明を始めた途端、もの凄い音が鳴り響いた。急いで外の様子を大翔は見に行った。路地裏から全速力で走って、大通りに出た。

「・・・」

大翔は目の前の光景に絶句した。 

そう、そこは地獄と言っても過言ではない程の光景が待ち受けていた。

ビルなどの建物は全て倒壊し、焼けて人々も血だらけで体がもの凄い勢いで、燃えていた。 

そして、その光景の中で大翔は奇妙な物を目にした。

「ベルトの・・・バックル?」

気になり、拾い上げようとした。しかし、そのバックルらしきものは、どうやら金属製でとてつもなく重かった。

「うおおおおおおお!!!」

全力で大翔はそれを持ち上げた。すると眩い光がバックルから放たれた。

思わず大翔は手をはなしてしまった。 しばらく目を閉じていた大翔はゆっくりと目を開けた。 するとなんと、大翔の腰にあのバックルが装着されていた。そして、しなやかな鉄製のベルトも、大翔の腰を巻いていた。

「何なんだよ!?これ!!」

思わず大翔は叫んでしまったが、それ以上に驚く光景が大翔の前に広がっていた。

見たことの無い奇妙な生物が大翔の周りを囲っていた。その生物は大翔の身長と同じ位の二足歩行の生物であった。

「な、何なんだよ!?お前等!!」

必死で叫ぶが、謎の生物は答えずただ、じっと大翔を睨んでいる。

そのうちに、大翔を囲っていた謎の生物の一体が大翔目掛けて、飛び掛った。

「うわあっ!!?」

再び、目を瞑る大翔。

すると何処からか、声が聞こえてきた。

「我が名は、・・・。」

「!?」 

驚いた大翔はゆっくりと、目を開けた。

そこは何も無い暗闇であった。 自分の足元さえも見えない。

「誰なんだ!!?」

大翔が叫んでいると、再び謎の声が聞こえてきた。

「我が名はβ(ベータ)。」 「は!?β!?」

大翔は突然の応えに混乱し、思考を巡らせる余裕がなかった。

「貴様が望むのであれば、我は貴様に力を授けよう。」 

「望むって、何をだよ!? 力って、何だよ!!?」

ますます訳が分からなくなる大翔。

「では、簡潔に問う・・・。貴様は・・・助かりたいか・・。」

大翔の頭の中が急に整理された。もちろん、浮かんだ答えは1つしか、なかった。

「ああ・・。助かりたい・・・!!」

自分でも何を言っているのか大翔はよく分からなかった。 

でもあの、絶体絶命の状況を乗り越える方法はこれしかないと、考えがまとまった。

「ならば、我を呼ぶ唯一の呪文を授けよう・・・。こう唱えろ。」

βが静かに言った。

「変身と・・・。」

大翔はもう一度目を閉じ、そして開けた。

謎の生物はすぐそこまで、来ていた。大翔は叫んだ。

「変身!!」

大翔が叫んだ瞬間、ベルトが反応し、大翔の周りに眩く、神々しい神秘の光が生まれた。

光は大翔に飛び掛っていた謎の生物を吹っ飛ばし、大翔の周りにいた何体かの謎の生物も吹き飛んだ。

光が大翔を包み込み、ベルトが変身音を発する。

そして、変身音が鳴り止むと同時に、光も消えた。

光の中から現れたのは、全身を超金属で包み込んだ、仮面の騎士、「仮面ライダーβ」であった。

変身した大翔は不思議と気持ちが高鳴って、興奮していた。

大翔は今ならどんな事でも出来る。 どんな世界も変えることができる。 そう、信じていた。

そして思い切り謎の生物に殴り掛かった。

「うおおおおおぁぁぁぁぁっっ!!!!」

今までに発した事のない、雄叫びを上げる。

βの鉄拳が、謎の生物の腹に食い込む。メキメキッ!

殴った謎の生物は吹っ飛んでいった。

大翔は今までに、感じた事のない快感を味わっていた。

大翔は気が済むまで、とにかく周りにいた謎の生物を殴り続け、蹴り飛ばし続けた。

大翔が我に帰った時には既に、大翔の周りにいた謎の生物は全滅していた。

「これがフルボッコって奴かぁ・・・。」

それが戦いが終わり、大翔が初めて発した言葉であった。

「神崎君!!」

呼ばれて振り返ると同時に、大翔の変身が解けた。

大翔の先には華梨がいた。

「どうした?」

大翔はけろっとした顔で華梨に問いかけた。

「さっきの戦い、すごかったね!」 「なんだ、見てたのかよ。」

大翔が驚いて言うと華梨がそうそうと、いった顔で、ある資料を大翔に見せた。

「なんだよ?これは?」大翔がすぐ質問すると、

「そう、それよ。それ。」

と、華梨が説明を始めた。

「この資料に載っているのはさっき、神崎君が倒した怪人、テイラーよ。」

華梨が言うと、「か、カイジン?」

と、大翔が言った。

「怪獣の怪に、日本人の人。それで怪人よ。」

華梨が混乱している大翔にそう言うと

「ああ、なるほど。それで怪人と。」

と、大翔も納得した。

「んで、そのテイラーっていう怪人は一体何なんだ?」

再び話が進み始める。

「うん、そのテイラーはどうやらアメリカのカリフォルニア州で、1度発見されているみたい。あと、ロシア北部でもね。日本で発見された記録は残ってないわ。」

「なるほど。テイラーは既に誰かが発見しているが、日本では俺達が第一発見者って事か。」

「そういうことになるわね。」

「ていうか待てよ。」

大翔が急に思い出したように言った。

「どうしてそんな情報をお前が知っている?」

「ああ、そのことね。すっかり言うのを忘れていたわ。」

華梨も思い出したように言った。

「大きな音が鳴り響いて、あなたが外へ飛び出していった後、私はすぐに部屋にあるPCに気が付き、すぐさま調べると、1つのファイルがあった。テイラーと表示されたファイルがね。」

「んで、そん中にテイラーの情報が入っていたと。」

「そう。それで、そのファイルをすぐに印刷してこの資料を作った。」

「しかし妙だぞ。」大翔が話を一旦、止めた。

「普通はそんな大切な情報は、頑丈なセキュリティーを施して保管しておくモンだろ?」

「うん。そこは確かに私も引っ掛かったけどあそこ結構ボロくて寂れてるし、まずそもそも、あの店自体があんまり人目の付かない場所にあるじゃん。」

「確かに言われてみれば・・・。」

大翔が納得しかけたのを確認し、華梨がいった。

「説明を続けるよ。まず、テイラーは主に、3つのタイプに分かれていて、1つが幼体と呼ばれる一番弱い奴、2つ目が熟成体と呼ばれるかなり強い奴、そして3つ目が究極完全体と呼ばれる3つの種類の中で一番強い最強とされる奴。」

華梨が一旦そこで話を区切ると、大翔が続きを話すよう促した。

「その3つのタイプの中で最も簡単なのが、幼体。幼体は1種類しか存在しないの。その名もノーマルテイラー。だからもう幼体=ノーマルテイラーね。」

「確かにムチャクチャ簡単だな。」

大翔が理解すると、華梨は続けた。

「でも、テイラーの中で一番弱くて簡単な代わりに一番、生息数が多いんだけどね。」

「それで、その幼体が進化すると次のタイプ、熟成体になるの。」

「数が多くて、その上進化までするのかよ!?厄介だなぁ、ノーマルテイラーは。」

大翔は心底、嫌そうにそう言った。

「でも熟成体も厄介よ。熟成体が3つのタイプの中で、一番種類が多いんだから。」

「はあ!!?テイラーってマジで何なんだぁ!?」

「まあ、熟成体の種類については出くわし次第、説明するとして・・・。」

「次は3つ目の完全究極体。これは熟成体の中でも選ばれしテイラーだけが進化できる最強のタイプよ。種類はたったの3種類しかないわ。」

「おおこれは重要だな。続けてくれ。」

「1つ目がゴッドテイラー。まさに、破壊神のような力を持つテイラー。こいつにかかれば、地球なんて一瞬にして宇宙の塵になるわ。」

「そして2つ目がマスターテイラー。こいつはかつて、世界を滅ぼしたという記録が残っているわ。そんな事、奴にとってはお遊びに過ぎないでしょうね。」

「そして3つ目がエンペラーテイラー。このテイラーは幼体と熟成体の全てのテイラーを服従させ、操ることが可能よ。」

「と、まあ完全究極体については、こんな所かしら。どう?結構恐ろしいでしょう?」

華梨は大翔の恐怖を煽るように言った。

「ああ。でも俺にはこのベルトがある!こいつさえあれば、俺はどんな困難にも打ち勝てるさ!!」

大翔は力強くそう言った。

こうして大翔と華梨の旅が始まった。

 




僕がこの小説を書こうとした理由は沢山ありますが特に書きたいと、強く思った理由は僕は仮面ライダーがとても好きだった事です。
特に好きなシリーズは「仮面ライダー龍騎」、「仮面ライダー555(ファイズ)」「仮面ライダーカブト」、「仮面ライダーW(ダブル)」の4つの作品でした。
その作品は全て共通点があります。
それは、主人公がそれぞれ自分の過酷な運命と戦い打ち勝つという所です。
だから僕はその4つの作品にとても惹かれました。
そして僕は小説も大好きでした。特にミステリー小説なんかは読んでいるだけで1日が終わってしまうなんてこともありました。
そこで僕は思いついたのです。
「仮面ライダーと小説、両方を合わせたらどうなるのだろう。」
しかし、その答えは既にありました。
小説仮面ライダーシリーズが既にあったのです。
ならばそれをも超える究極の作品を作ろう。
そう考え、辿り着いた答えがこの作品です。

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