IS ~銀色の彗星~   作:龍之介

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腰痛が酷くて椅子に座っていられず集中が出来ません…きっとヘルニアなのなしょう。
皆さんも暑い日がはしまりますが体長には気を付けて下さい。


第61話

「今日からマツナガ君は会社の方へと行っている為にお休みです。そして彼からの伝言です。『学年別トーナメントの直前に申し訳ありません。ペアについてですが戻るのが学年別トーナメント前夜になりそうですので私は抽選とさせてもらいます』との事です」

 

山田先生がトウヤさんからの伝言を読み上げるとクラス中から歓声が上がった。私はトウヤと組めると思っていたから愕然としてしまった。いつトウヤから声が掛かるかと楽しみにしていたのに…

セシリアの方を見るとやっぱりセシリアも貴族らしくない口を開けたまま動いていない。まるで『信じられませんわ!』と言っているようだ。

 

――――キャアーーーーー ―――――

 

他のクラスからも歓声が上がっている。トウヤの伝言が読み上げられたんだろう。

 

「みなさん、学年別トーナメントのペア締め切りは水曜日までです。遅れた場合は如何なる理由でも受け付けられませんので忘れずに提出してください。良いですね?」

 

僕も誰とペアを組むのか考えなきゃいけなくなってしまった。でも…今はあまりかんがえたくないかな…

 

考える事を放棄しているうちにホームルームが終わってしまった。次の授業の準備をしているとセシリアが僕の席にやって来た。

 

「シャルロットさん…学年別トーナメントなのですけども、私と組みませんこと?」

 

セシリアの言葉にクラス中が静まり返ってしまった。それもそうだよね。専用機持ち同士がペアを組むなんて回りからしたら勝ち目がないよね。

 

「え…え…え?いきなりどうしたの?」

 

「シャルロットさん…私は悔しいのです…トウヤさんが貴方を選らばらたのならば仕方がないと思っておりました。そして私が選らばらたのなら当然だとも」

 

セシリアはやっぱり自信家なんだなぁ…そこまでハッキリと言い切れるなんて…

 

「ですが現実はトウヤさんは抽選を選ばれました!!私たちではなく誰でも良いという事ですのよ!こんなに悔しい事は有りません!私はトウヤさんに信頼されていると思っていたのですが、そうでは無かったのです!」

 

まずい…興奮し始めちゃってる…

 

「セシリア!ちょっと待って!トウヤが私たちを選ばなかったのは他に何か理由があるかも知れないよ?」

 

「一体どんな理由があると言うのです!?」

 

「え…えっとね…例えば…訓練は僕たちばかり教えてもらってるから不満があるとか…?」

 

僕の言葉に回りが頷いた…!?

どうやら不満があったみたいだ…知らなかった…

 

「そっ…それは…否定出来ないですわね…ですが!それならば一言有っても宜しいのでは!?」」

 

「まっ…まあね…けど…うーん…」

 

トウヤのバカぁ!

 

「と・に・か・く!私達で組んでトウヤさんを撃破して見せますわよ!宜しいですわね!?シャルロットさん!」

 

これは…受けないと大変な事になっちゃうのかな!?

 

「分かったよ…なんだか今後の風当たりが強くなるような気がしちゃうのは僕だけなのかな…」

 

トウヤ…帰ってきたら…お仕置きしたいかな…

 

 

 

 

「お久しぶりです。篠田社長、フランスの時以来ですか…」

 

 

「そうですね…お久しぶりですね

。元気そうでなによりです」

 

相変わらずの腰の低さだ。

 

「そして今回は?」

 

「うん。今回は高起動ブースターの試験と新兵器の試験をして欲しい」

 

「了解しました。早速掛かりますか?」

 

俺が聞くと社長は少し困った顔をして

 

「ん…いや…あと2日待っててくれないかな…正直に言うとまだ完成していなくて…済まないねぇ」

 

あれ…なんでか分からないが予定がずれてる?

 

「そうですか、分かりました。では…何しましょう…かね」

 

「それなんだけどね、開発部の研究員達と一緒に仕事をしててくれるかい?彼らから色々と意見を聞きたいと要望が上がっていてね」

 

篠田社長はそう言うとエントランスから社内へと歩いていったのでついていく。

 

「学園生活は大変のようだね。襲撃やテロとか今年に限ってやたらと事件が頻発しちゃってるね」

 

…そうなのだ。『今年に限って』なのだ。去年までは殆ど事件は起きていなかった。なのに今年は公になっていないが2件も事件が起きてしまっている。恐らくは『束博士の関係者』が入学したからだろう。

 

「あぁ…君のせいではないよ。ハッキリ言って篠ノ之博士の関係者が入学したからだろう。君も大変な時期に来てしまったね。はっはっはっ!」

 

篠田社長は笑っているが…笑えないんですよ。警護を任されてる俺的には…

 

「いや…まぁ…本当に事件が多いですね…」

 

「まぁ…あまり気にせずに過ごしてくれ」

 

そう言うと篠田社長はとある部屋に入っていった。この建物はかなりセキュリティが厳しいようだ。廊下にはかなりの数の監視カメラが設置されておりさらに隔壁も相当数設置されている。しかも壁にはセンサーらしき機器も設置されていた。

 

「ここが開発部の部屋だよ。さぁ入ってくれ」

 

篠田社長に促されて中に入るとそこでは10人程の白衣を着た人達がパソコンに向かっていたりしている。

 

「皆!聞いてくれ」

 

社長が声を掛けると皆が此方に向き直った。そして…あからさまに皆の目が見開きそしてワクワクを押さえられない子供のような表情に変わった。

 

「此方が巷で有名なマツナガ・トウヤさんだ。約一週間はここで新開発品のテストをしてもらう」

 

篠田社長に促されて一歩前に出る。

 

「ご紹介に与りましたマツナガ・トウヤです。短い間ですが宜しくお願いします!」

 

挨拶と同時に頭を下げると部屋中から拍手が上がった。

 

「ようこそ、開発部へ。私は部長の木村です。短い間ですが宜しくお願いします」

 

俺よりも身長の低い頭の天辺が少し薄くなったおじさんが頭を下げると握手を求めてきたので握り返す。

 

「はじめまして、マツナガ・トウヤです。短い間ですが宜しくお願いします、木村部長」

 

「本当に会えて嬉しいよ。普段は報告書と映像でしか会ってなかったのでね。我々の開発したレールガンを上手く使ってくれている様だしね。今回の高機動用のブースターも自信作なのだ。宜しく頼みますね」

 

木村部長は握手している手を放さずにもう一方の手で肩を叩いてきた。

それにしても意外と開発部の人数は少いようだ。

 

「ええ!お任せください」

 

挨拶を終えると篠田社長は部屋から出ていきそのまま開発部の人達とミーティングへと移った。

 


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