IS ~銀色の彗星~   作:龍之介

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大変おそくなり申し訳ありません。
筆が進まなくて遅れました。
書いてて気付いたのですが楯無はチート過ぎませんか?


第53話

『サンドイッチ事件』の数日後の放課後、俺はアリーナにエステバリスを纏って楯無と対峙している…

「やっと…やっとあなたと戦えるのね♪」

ミステリアス・レイディを纏った楯無がうっとりとした表情を浮かべている…。実はこいつはバトルジャンキーなのか?

『ではこれから楯無お嬢様とマツナガ副会長との模擬戦を開始します。この模擬戦はあくまでも非公式ですので例えマツナガ副会長が勝っても会長の交代は行われません。宜しいですねお嬢様?』

今回の模擬戦の立会人兼オペレーターとして虚さんに管制室に居てもらっている。

「う〜ん…出来れば会長は変わって欲しかったけどそれが条件じゃ仕方ないわね♪」

「マツナガは了解です」

『レギュレーションは通常の模擬戦ルールと同じくシールドエネルギーが残り二割を先に切った方の敗けとします。では試合を開始します』

アリーナ内には超満員の観客が集まっている。無観客を希望したのだが楯無に阻止されてしまった。楯無曰く、

「無観客にしても万が一私が負けた映像が出回った場合に学園内の雰囲気はトウヤさんが会長であるべきと言う流れになってしまいます。だったら非公式試合と言うことにして観客を入れてしまった方が良いんじゃない?」

との事だったが…正論だ…。何も言い返せなかった。

『3、2、1、スタート』

ブザーが鳴り響くと同時にアリーナ中が歓声に包まれて、二機が急速に距離をとった。

 

「「え!?」」 

 

俺と楯無の声が被った。完全に二人して詠み違えた。

俺は右手にレールガン、左手にラピッドライフルを呼び出し楯無に撃ち楯無も四門のガトリングを備えたランス、蒼流旋を呼び出し此方にバルカンを撃ってきた。お互いに縦横無尽に動き回り紙一重で直撃弾を避けている。

「くっ…さすがはロシア代表だ!当たらない…」

「トウヤさんも凄いですね♪なんて流れるような機動なんでしょう…惚れ惚れしちゃうな♪」

楯無には余裕が感じられる。それともそう見せているだけなのか…。

お互いの距離を一定に保ちながらアリーナ内をぐるぐると飛び回る。しかしそれぞれが撃っている弾は当たらずに地面や観客席を守るシールドバリアに当たっている。観客席は試合開始時と違い静まり返っている。皆が息を飲んで見入っているのだ。

「切りがない!」

このままでは試合が進まない…俺は状況を変えるべく両手の武器を仕舞うとフィールドランスを呼び出し楯無へと突撃をする。直線的には飛ばずランダムに上下左右に小刻みな動きを取り入れる。楯無も俺が近接戦闘に切り替えたと分かると蒼流旋のバルカンの射撃をやめて蒼流旋の回りを回転した水を纏わせた。

(あれが…ナノマシンを使って水を制御しているのか)

本当に水を制御していることに驚きを覚えるが俺は構わず楯無に突きを入れる。楯無は避けることなくそのままの突きを受け入れたが水に阻まれた!

「くっ!水が厄介だ…!」

完全に水で貫通力を奪われた…

俺は一端距離を開けてから再び楯無に突きを入れる。また楯無は避けることなくそのままの受け同じように水に阻まれた。

「ったく水を制御ってどれだけチートなんだよ…」

俺が愚痴ると楯無は口許を吊り上げて微笑んでから口を開いた。

「あら…珍しく言葉が汚いですね。そんなトウヤさんも悪くはないですが…」

俺は楯無から距離をとる。

「ふざけんな…こっちは打つ手が無いってのに余裕かましやがって!ところで…さっきからなんでさっきから水蒸気を回りに漂わせているんだ?」

離れてから気付いたのだが楯無の回りだけが妙に湿度が高く少しだけ白く靄がかっている。

「あら…気付いちゃったの?それはね…ヒ・ミ・ツ♪」

楯無の余裕の喋りに思わず頭に血が昇った…だがすぐに冷静さを取り戻した。

「切り札か…」

何が起こるか分からないので迂闊には近づけない。フィールドランサーを仕舞い再びレールガンを呼び出すと楯無に向けて撃つ。楯無は身軽に避けると再び蒼流旋で反撃をしてくる。また二人はぐるぐると回りながらの射撃戦が始まった。俺はなるべく正確に撃つが直撃させることが出来ない。左手にラピッドライフルを呼び出し牽制射を加えてからレールガンで直撃を与えようとするがうまくいかない。ぐるぐると回っているせいか段々と息が上がり始める。

その時一瞬だけ油断してしまったのか左手に直撃をくらいラピッドライフルが手から離れてしまう。離れた瞬間に爆発してダメージをおってしまった。

「ぐ…!ぬかった…」

シールドエネルギーが減っている。俺は再び左手にラピッドライフルを呼び出して打ち続ける。

なんとかしなくては…何か弱点が有るはずだ…ラピッドライフルとレールガンを撃ちながら楯無を観察するが特に不思議な点は無い様に思える。

打つ手が無い…

「この…反則な機体め!」

考えてもしょうがないのでラピッドライフルのマガジンを呼び出して楯無に投げつけそれを楯無の付近に到達した時にレールガンで撃つ。楯無は何が起きるのか分からず避けもしなかったため爆風をもろに食らってしまった。

「え?」

俺もまさか楯無が爆風を食らうと思わず声を出してしまった。

爆煙が収まると楯無の表情が険しいものになっていた。まさかダメージを与えられたのか?

「いきなり何をするのかと思いきやまさか弾薬を爆発させるとは…考えたわね」

どうやら正解のようだ。

もしかして弾速が早い物にはあの水は対応出来ないのか?だから射撃は避けていたのか…

「いや…すまん…まさか避けないとは思わなかった…」

思わず謝ってしまったが対策は見つけた。先程の爆発で楯無の回りの水蒸気は晴れたので俺は再び楯無に接近すべく楯無に向かって突撃をする。楯無も蒼流旋で此方に射撃をしてくるが俺は機体を最小限に動かして避ける。そして楯無との距離が近づいたところで吸着地雷を呼び出し信管を時限にしタイマーを2秒にセットして楯無に向かって投げる。すると楯無が後退するが俺がいつまでたっても吸着地雷を撃たないことに気付き顔をハッとさせた瞬間に大爆発が起きた。楯無は爆炎に包まれて姿が見えなくなった。

 

そしてアリーナは静寂に包まれる。

 

 


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