IS ~銀色の彗星~   作:龍之介

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遂に50話まで来ました。
お気に入りも550件overです。
駄文を読んでいただきありがとうございます。
現在文章力を強めるべく勉強していますので今後改善を行う予定ですので今後とも宜しくお願いします。


銀と黒 の章
第50話


クラス対抗戦の1回戦は翌日から行われたが無観客試合となった。その為学園内が何処と無く暗い雰囲気になっている。特に顕著にその光景が現れるのは食堂だ。普段なら朝、昼、晩と学生が沢山集まりわいわいと楽しそうに食事をしていたのだが今はその賑やかさがあまり見られない。明かされない情報に苛立ちまた、次にまた襲われるのではないかという恐怖を押さえ込んでいるのだ。仕方の無いことだ。

 

「何だか学園内の華やかさが無いですね。今まではうるさいと感じていましたがこうなると寂しく感じてしまいますよ」

放課後の生徒会室で虚さんとお茶を飲んでいる。窓の外では部活動の掛け声が聴こえてくる。今日は千冬に呼ばれてここに来ている。

「そうですね。私もこんな学園は初めてです。年の最初のイベントが潰れてしまいましたからね。しかも商品付ですから…それともUnknownが侵入したという事実からでしょうか」

虚さんも少し悲しげ表情を浮かべる。きっと学園始まって以来の事件なのだろう。しかも襲撃だ。いくら箝口令をひいても目撃している者は沢山いるだろう。そして『ここだけの話』をする者も沢山いるだろう。恐怖と憤りは伝染するものなのだ。

「なんとかしたいものですね」

「次のイベントは個人戦の学年別トーナメントですか…その間に雰囲気が戻ってくれれば良いですね」

お茶を啜りため息をついてしまう。

「そうだな…何か景品を用意出来ればいいのだが…」

虚さんと俺は無言で考えるがなかなか

良い案がでない。

そこで突然生、徒会室の扉がバン!という大きな音と共に開かれた。俺と虚さんは体をビクッとさせて扉の方へ向き直る。

「さすが副会長ね!景品を考えたわ!!私に任せて!」

そこには楯無が扉から自分の席に向かい歩きながら大声で言っている。

「何か良い景品でも有るのですか?」

虚さんが楯無に聞いているが楯無は扇子で口許を隠して笑っているだけだ。

何故かは分からないがとても不安に感じる…

「会長…何を考えているのですか?」

「優勝者と準優勝者に景品を考えたのよ」

俺の質問にも楯無は目を合わせることなくそっぽを向いている…答える気は無いみたいだ。

 

「それで、今日呼び出された理由は知ってるかい?」

「知らないのよ。そうそう、一つ教えておくことが有ったわ。5日後日にドイツからの転入生が来るのよ。名前はラウラ・ボーデヴィッヒ…」

「あぁ~知ってるわ。織斑先生から聞いてる」

楯無の説明を遮り知っている事を告げると楯無は頬を膨らませて不満げな顔をしている。こういう顔はなかなか歳相応を感じさせる。早い話が可愛いのだ。

「ぶぅ~ぶぅ~!こう言う話は最後まで聞くものよ!性格に難有ってことは?」

「知っている。軍以外の世界を知らないのだろう?」

「そうなのよ…監視をお願いしちゃいたいなぁ~」

またまた可愛い声を出しているが今回はわざとらしいので可愛くない。

「そんな声出しても可愛くないぞ。もっと素直になれば可愛いんだかなぁ」

俺の発言を聞いた楯無はキョトンとしたあとに顔を赤くしている。隣の虚さんはそんな楯無を見てクスクスと笑っている。

「なっ…可愛い…急になに言い出すのよ!お姉さんを誘惑するならそんなんじゃ足りないわよ?」

楯無が扇子で顔をを仰いでいる。なんというか…誤魔化すという感じだな。

「何を言ってる…私の方が年上だろう…素直が一番だと言っている。」

「う…そうね。ところで模擬戦はいつしてくれるの?もう…トウヤさんの機体は公表されたでしょ?他の人に見られても問題ないのでしょう?」

…まただ。先日にもシャルからお願いされたんだよなぁ。

「そうだな…近々やろうか。俺が勝てるとは思えないが…さすがに国家代表に勝とうとは思わないよ」

「またまた謙遜を…『元』日本代表に勝っておいて何を言ってるの?」

やたらと『元』のところを強調していたが何なのだ?

「それじゃあ近いうちにアリーナを取っておくから宜しくね?」

「わかった。お手柔らかに頼むよ…」

あまり気乗りがしない。楯無のIS、ミステリアス・レイディ…情報を集めてみたがかなりの曲者だ。ナノマシンを使って水を制御する?どんな仕組みなんだよ!!そんな技術は俺の世界にも無かったぞ!実弾系の武装しか無い俺には勝つ方法が検討がつかない。例えビーム兵器があったとしても水によって減退させられるだろう。近接戦闘からの一点突破…かなり危険だがこれぐらいなのだろう。

 

俺が思考に陥っていると生徒会室の扉が開かれた。入口の方を見ると千冬が入ってきた。

「すまない。待たせたか?」

そう一言謝ると俺の隣に座った。

「今日集まってもらったのは先日のUnknownの解析結果が大まかにだが出たので知らせておくためだ」

千冬の言葉に楯無の表情が真面目なものになる。

「あの機体はISでは無かった。そして本体の人形にはジェネレータらしき物がなく推進は背中の黄色い物が行っていたと思われる。そして…パイロットらしき者はいなかった。一応コックピットは有ったが誰も居ないので学園内に侵入した者は居ないと判断する…というのが公式見解だ。楯無、お前はマツナガの素性は知っているな?」

千冬の問いに楯無は無言で頷いた。

「あの機体はマツナガの世界の物だ。機器が使われていて解析不能な部分が多数発見されている。そして篠ノ之束にあの機体について問い合わせたが知らなかった。そして背中の黄色い物、マツナガの世界では『バッタ』と呼ばれている物に制御されているのではないか?と言っていた。つまり未来の機体だったと言うことになる」

「話は分かりましたが何でマツナガさんの世界の機体がここに?」

楯無がこちらに尋ねてきた。

「すまないが私にも分からない。私の世界にはボソンジャンプというワープがあるのだがそれが関係しているのかも知れない。だが私が跳ばされる以前からボソンジャンプは使われていた。デビルエステバリスの件以前はあのような機体は出ていなかったのか?」

「私の知る限りでは知らない」

楯無が答えた。

「ならば関係が無いかも知れないな。ボソンジャンプ以外には考えられる事は思い付かない」

俺達は暫く無言になってしまった。

「今後も出現すると考えておくべきかも知れないな。マツナガ、済まないがわかる範囲で構わないからマツナガの世界の機体の情報をくれないか?口頭で頼む。文章にしてしまうとどこで情報が漏れるか分からないからな」

千冬の頼みを了解して皆に俺の世界の機体情報を喋る。機体の特徴や武装など俺の知る限りを話する。

 

 

「以外と厄介なのが多いな…エステバリスのディストーションアタックか…シールドバリアでは出来ないものかな。それとジンタイプが出てきたら厄介だ…集団戦闘が前提か。…そうだ!今回の学年別トーナメントはツーマンセルにするか!そうすれば個人戦闘が前提のISも集団戦闘の勉強になるな」

 

千冬の言葉に俺達は驚いている。

ツーマンセルか…確かに集団戦にはとても有利に、対応が早くなる。

 

「良いですね。そうすれば集団戦の利点に気付くかも知れません」

俺が賛同すると楯無と虚さんも縦に首を降った。

「よし…では職員会議で議題として挙げておこう。では私からは以上だが…マツナガ、ラウラは4日後に転入するので宜しく頼むぞ?」

「分かりました」

このあと楯無と千冬が何故か言い争いを始めたので俺は虚さんに会釈をしてから逃げ出すように生徒会室を出た。

 

何故千冬と楯無は仲が悪いのだろうか…


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