IS ~銀色の彗星~   作:龍之介

5 / 69
携帯での執筆のため4000字程度が限界です。


第5話

暫くは此処で世話になるのも良いかも知れない。

 

「分かりました。明日の朝の検査でISが動かせるなら入学します。ダメでも教官ぐらいならやりますよ。織斑さんにこれくらいでしか恩を返せませんから」

 

そう言うと織斑千冬は笑い始めた。

 

「気にするな。何処か分からない場所に一人でいるのは辛い。ましてや異世界だと思われるなら尚更だ。それと私の事は千冬で良い。だが仕事中は織斑先生だ。ところでマツナガは何歳なんだ?」

 

千冬は上機嫌みたいだ。

 

「俺は20歳ですよ。千冬は?」

 

年齢を言うと千冬は驚いていた。

 

「なんだ私と殆ど変わらないじゃないか私は21だ。マツナガはもう少し下だと思っていたんだがな。マツナガも飲むか?」

 

千冬はビールを差し出してきた。

 

「では頂きます」

 

ビールを受け取り一気に飲み干す。向こうと味はさほど変わらない様だ。

 

「良い飲みっぷりだな!もう一本どうだ!」

 

さらにビールを出してきた。千冬は3本目に突入。

 

「明日の検査は影響無いのですか?」

「大丈夫だ。起動の確認と動いた場合は模擬戦だ。特に数値をとる訳じゃない」

 

いや…十分不味いだろ。機体を動かすのに前日に飲酒とか…

まぁ千冬の機嫌も良いことだし付き合おう。

 

「了解です。付き合いますよ」

 

掃除の時に冷蔵庫を開けたがビール祭りだった。ビールが9摘みが1。

 

「マツナガ。戦争ってのはどういうものなんだ。私達の世界は私が思うに微妙なラインに立っていると思う。ISって言うのはアラスカ条約で軍事利用が禁止されている。だが実際には軍事利用されている。戦争になると今の学生も国がヤバくなれば駆り出されるだろう。だが私は戦争と言う物を知らない。教えて欲しい」

 

千冬は急に真面目になった。

戦争…俺がの世界は地球と木星の戦いだった。お互いに正義があり主義主張があった。

 

「はっきり言ってろくな物じゃありません。戦争に勝つために必要なことは相手の補給を断つ事が最も手っ取り早いです。補給を断つと言うことは工場を攻撃する事です。一般人が働いているんです。攻撃されれば恨みが起こり殺せと叫び、また殺し、また叫ぶ。負の連鎖です。俺も同期が初陣で何人も死にました。やはり仲良くしていた分恨みは起きました。ですが敵の正体を知ったら恨めなくなりました」

 

ここでビールを呷る。

 

「敵の正体とは木連の人々の事か?」

 

千冬も呷る。

 

「はい。開戦当初は木星の方角から蜥蜴の尻尾の様に切っても切ってもやってくることから木星蜥蜴と呼ばれていました。しかしある時、木星蜥蜴の正体が月と火星で独立運動を行った者達が追放され木星圏に逃げて行った者達の末裔と分かりました」

 

千冬の顔が驚きに染まる。

 

「そして彼らは恨みをもって火星の住民を虐殺したと思われます。私が乗っていたナデシコの当初の目的は火星住民の救出と資源の回収でしたが、敵の圧倒的な戦力の前に敗退し命からがら脱出しました。コロニーはことごとく破壊されていたそうです」

 

ビールを呷るが無くなった。千冬が渡してくれる。缶を開ける。

 

「結局どちらも恨みによる虐殺をしているようなものなのです。私も何人かは殺していますが最初はおかしくなりました。人を殺した罪悪感で狂いそうでした。戦争は技術発展は促しますが人として大切なものを捨てることになります」

 

ベッドに座りながら天井を見上げる。最後に自爆をした敵は脱出は出来たのだろうか。

 

「そうか…すまなかった。つまらん話をさせてしまったようだ。私もIS操縦者だがいつ戦争になるのかと恐怖を感じている。学生達はアラスカ条約のお陰でスポーツだと思っているが真実は兵器なのだ。そこら辺を分からせたい」

 

千冬はビールを見つめている。

覚悟の話だな。いつか人を殺す可能性がある、その覚悟。

 

「チャンスがあれば教えます」

 

俺は笑顔で答えた。覚悟は経験によって生まれる。初陣は覚悟ではなく我慢だ。恐怖に打ち勝つ我慢。

 

「たのんだ」

 

千冬は笑顔だった。

それから俺たちは色々と話しながら飲んだ。

俺の世界の事。

千冬の世界のこと。

ナデシコとは。

俺の世界の兵器の事。

白騎士事件。

地球連合軍宇宙軍。

 

俺はふとエリナから預かったイヤリングを思い出してポーチを開けるとそこにはなぜか装飾されたイヤリングがあった。

イヤリングの青色の宝石は変わらないがシルバーの花の装飾にはめられていた。

イヤリングにしては大きすぎる。ブローチとでもいうのだろうか。

 

「イヤリングが変化している」

 

「まさか…マツナガ…これを身に付けてそこの壁を透視するイメージをしてみろ」

 

千冬が急に怪訝そうな顔をながら指示をしてくるので従ってやってみる。

すると壁の向こうの状況がX線画像みたいに見えた。驚いた。

 

「ち、千冬さん向こう側が見えましたよ!何ですかこれは!?」

 

千冬さんは頭を抱えていた。

 

「468機目のISだ…」

 

 

え?

 

「なぜ俺の所に?」

 

まともな質問だと思う。

 

「私が知るか。篠之乃束に聞いてくれ」

 

條之乃束、ISの発明家にして天才にして『天災』らしい。未だにISのコアは篠之乃博士しか制作出来ないらしい。兵器としては落第だ。

 

「明日の検査でそのISも調べてみよう」

 

そう言ってビールを飲みほす。

そして次の缶に手を着ける。

俺も続く。

まさかISまで持っているとは。何が起きているんだ?

何も考えずに飲もう!

千冬と時間を気にせずに飲み明かした。

 

 

朝起きたら一緒のベッドにいたのには焦ったが千冬が酔いつぶれてただ一緒に寝ただけだったようだ。

 

 

 

 

 




2015.07 改編

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。