IS ~銀色の彗星~   作:龍之介

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今日は資格の試験だったのですが正直勉強不足でした。

勉強は大切ですね。


第43話

寿司屋の前まで来るとシャルの笑顔が消えてなんというか覚悟を決める前の様な息を飲む顔になっていた。なぜそこまで意気込むのか少しだけ理解は出きるが寿司にこだわらなければ良いと思うのは良くないのだろう。

「シャル?店に入っても良いのか? 生物が駄目でもかんぴょう巻きとか卵焼きとかがあるから少し食べて別の店に行くって事も出来るからな?」

俺の言葉を聞いたシャルは少しだけ頷くと意を決したのか

「よし!行こう!」

そう言うと俺の手を掴んで寿司屋に入っていった。

 

 

 

おのれ…あの小娘…私のトウヤをと二人っきりで買い物だと…。職員室で書類を書いているが手につかない。午前中にデュノアの模擬戦を行った。その時に色々と話をしたが…あいつは敵だ!話は7割がトウヤの事だったし聞いてくる事もトウヤの事ばかりだった。頭に来た私はボコボコにしてやった。少し大人げないとはいえ私も人だ。仕方ない、よな?

最近の私とトウヤは話をする機会がメッキリ減ってしまった。立場上仕方ないがメールぐらいはしてくれても良いではないか!

これでうるさい小娘が2匹なに増えてしまった。デュノアに更織だ。デュノアが同室で更織が生徒会会長。どちらも私よりアイツといる時間が長い。

私は左腕の時計を見る。今朝、トウヤから貰った腕時計だ。思わず笑みが溢れてしまう。トウヤが私のために買ってくれた物だ。とても嬉しかった。

早くトウヤを一人部屋にしないと…トウヤの為にも私の将来の為にも。フフフ…

 

 

 

寿司屋で寿司を食べているが突然背中に悪寒が走った。後ろを確認するが特に異常があるわけでは無かった。

シャルは以外と生の魚が食べられる様だった。今も烏賊を食べて柔らかいのに甘くて歯応えがあって美味しいと言っている。鮪の赤身を食べたときは顔が蕩けそうになっていた。

お会計を済ませて駅へと向かうと。シャルは満足したのかとても良い笑顔になっていた。

「トウヤさん!今日はありがとうございました」

「いいよ。シャルも知らない土地だと買い物も苦労するだろう?フランスでのお礼だと思ってくれ」

「そっか。じゃあ次回は望めないか…」

シャルは言葉を小さく呟くと少しだけ俯いた。

 

 

翌日も朝からいつものメンバーにシャルを加えたメンバーで食堂で朝食だ。シャルは今日は制服を着ている。俺の左隣はシャルが、右隣はセシリアが座っている。本来は両手に花と言う状況なのだろう。だがなんとも過ごしにくい…二人ともやたらとくっついて来てさらに俗に言う「あーん」をしてくるので周りの視線が痛い。目の前の一夏と箒は苦笑いをして眺めている。

「シャルロットさん?少しトウヤさんに近くなくて?トウヤさんが食事をしづらいですわ!」

「セシリアこそ近いよ?トウヤは右利きなんだから近すぎて肩が縮こまってるよ」

なんだって俺を挟んで言い合いを始めるかな。少し鬱陶しくなってきたので小言を言うことにした。

「二人とも、それ以上続けるならば俺は明日から一人で食べる事にするぞ?仲良く食べろよ?」

言い終わると二人は静かにご飯を食べ始めた。

 

 

朝食が終わるとシャルは職員室、俺らは教室に向かう。シャルは予想通り今日が紹介の日になるそうだ。

予鈴がなると山田先生と千冬が入ってきた。

「おはようございます。今日は転校生を紹介します。デュノアさん入って来てください」

山田先生がシャルを呼ぶ扉が開き中に入ってきた。

「シャルロット・デュノアです。フランスから来ました。不馴れな事が多々あるとは思いますが皆さん宜しくお願いします」

そう言うとペコリと頭を下げた。クラスからは拍手が上がりシャルは何回かお辞儀をすると山田先生に空いている席を指示されて席へと向かった。席は俺の左後ろ、つまり窓際の最後尾だ。羨ましい。

シャルは少しだけ身を乗り出して俺に小さい声で話し掛けてきた、

「トウヤさん。宜しくね」

言い終わった後にウインクをしていた。俺は小さく頷くと前を見る。すると目の前に鬼が立っていた…千冬なのだがその千冬は後ろに黒のオーラを発しており目は赤く光っている…

「マツナガ…貴様はショートホームルームの最中にナニをやってイル?」

千冬の言葉が何かおかしな事になってきてる…

思わず軍にいた頃を思い出してしまった。席から立ち気を付けの姿勢をとる。

「もっ申し訳有りません!マァーム!」

「キサマハワタシノハナシヨリアノコムスメのホウガダイジナノダナ!?」

視界に入っているクラスメイト達は皆座ったまま前を向いて震えている。

「滅相もありません!!申し訳有りませんでした!マァーム!!」

ついでに敬礼をする。

すると少しだけ落ち着いたのかオーラが小さくなった。

「次は無いぞ。分かったかぁ!!」

「イエス!マーム!」

千冬が教壇の方へと歩いていく。教壇にいたはずの山田先生は泡を吹いて倒れていた。

「ではホームルームを終わる!」

千冬はそう言うと山田先生の首根っこを掴むと教室を出ていった。

クラスに沈黙が続いた…

「みんな…すまなかった…」

俺が謝罪の言葉を皆に投げ掛けるとやっと周りからため息と安堵の声が聞こえるようになった。

「いやぁ~流石は織斑先生だね。正直、少しチビるとこだったよ」

「え?私は少し出た…」

「やば…鼻血出てきちゃった…」

「濡れた…」

…どうやら被害は甚大のようだ…

本鈴がなり全員が席に着いてしばらくしても1時限目の山田先生がやってこない。きっとまだ起きていないのだろう。

15分後になって千冬がやって来た。

「遅れてすまない。山田先生は諸事情で遅れているため私が授業を行う」

千冬は至って冷静に授業を開始したがクラスの雰囲気は最悪だ。みんな緊張して教室は張り積めた空気に満たされている。時々額の汗を拭う者もいる。千冬に指された者は名前を呼ばれた瞬間に起立、気を付けをしている。こうして長い…とても長い1時限目は終わった。

 

全員が休憩時間に疲れ果てたのは言うまでもない…

 

2時限目以降は山田先生の授業でとても和やかな雰囲気であった。

 

 

放課後を迎えると実機訓練を行う一夏達に付き合う事にした。セシリアとシャルもだ。

 

 

第2アリーナで待ち合わせをして全員が揃った。

「さてと、今日は何をしようかな。」

俺がメニューを考えているとシャルが手を挙げて

「いきなりだけど僕はトウヤさんと模擬戦してみたい!」

と言い出した。

「うーん。してあげたいけど今はちょっとなぁ…出来れば今度の機会の方が助かるかなぁ」

俺がそう言うとシャルは残念そうな顔をしている。

「ごめんな、今度ね」

そう言うとシャルは頷いてくれた。

するとセシリアが少し前に出ると

「デュノアさん。トウヤさんとの模擬戦は覚悟しておいた方がよろしいですわよ。本当にトウヤさんはお強いです。入学時の織斑先生を倒したと言う噂は本当ですわ」

と言い出した。シャルはそれを聞くと目を見開き

「え!?織斑先生を倒したの!?世界最強だよ!?」

そう言いながら俺の方に詰め寄ってきた。

「シャル、落ち着け!確かに倒したけど相当なハンデがあったんだよ。まずむこうは打鉄でこっちは専用機。むこうはこちらの武装を知らない。特性や癖も知らない。これだけあれば十分な敗因になるだろう?」

俺がそう言うとシャルは考える仕草をするが納得いってないようだ。

「そうかな…知らないなら知らないなりの対処があるよ?特に打鉄は防御に定評があるし武装だってイコライザで色々と増やせた。対処は幾らでも打てたよ?」

…む。そう言われると困るな。確かにその通りだ。初見だからと言って負けが決定するわけでは無いのだ。さっきシャルが言ったとおり武装の幅を持たせることによって対処が出来るのだ。

「確かに言う通りだ。だが織斑先生の面子もあるからそう言うことは言わないであげてくれ」

シャルは納得がいってないようだが頷いた。

「よし。ならば今日は一夏はシャルと簡単に模擬戦だ。その後に箒とセシリアだ。シャルは一夏に機動射撃をメインに相手をしてやってくれ。セシリアは箒をなるべく近づけない様に移動をしながら射撃をするように。そして箒はセシリアに的を絞らせない様に常に動き回って近接戦を仕掛けるんだ。一夏は…とにかく機体を自分の手足にするんだ。では始めようか」

俺の号令で一夏はとシャルは空へと上がり模擬戦の準備を始めるのだった。

 

 


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