IS ~銀色の彗星~   作:龍之介

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UAが20000件overしました!!
ありがとうございます!!
ストーリーの展開は遅いですが内容は濃くしたく思っています。
皆さんの感想が励みになりますので簡単な一言でも構いませんから感想をお願いします。

今回は新武装を1つ出しました。
ナデシコでエステバリスと言えば!!


第27話

 俺は教室でパソコンと向かい合っている。二階堂さんとの会談を終えて2日後、先ほど富士見技研から早速新武装が届いた。新しい武装とはレールガンだそうだ。

スペック的にはシールドバリアを貫通する能力があるようだ。射出する弾に秘密が有るようで戦車の滑腔砲で使われる弾と同じ仕組みだとの事だ。貫通力が物凄く高くなっていてシールドバリアを貫通するとの事だ。

ちなみに滑腔砲は分かりやすく言えば吹き矢の原理で弾を撃ち出し弾自体に安定翼が付いていてライフル砲みたいに弾を回転させない分ジャイロ効果の弾のずれが少ないのだ。

今回のレールガンはその弾のをフレミングの法則で物体を打ち出す。

カタログを見るにレール“ガン”と言うよりライフルだ。装填は13発でマガジン装填でマガジンも3個用意されていた。

シールドバリアを貫通出来る射撃武器が有るのは物凄くありがたい。戦闘の幅が物凄く広がる。

早速試射したい所だがシールドバリアを貫通すると聞くと模擬戦で使われるのが躊躇われる。オルコット戦でいきなり使ってみようかな…あれだけ悪意をぶつけられては仕方ない、と自分で考えていながら酷い奴だと思ってしまった。

 

今は放課後のSHR待ちだ。今日は放課後に一夏とのISを使用した訓練だ。

「全員席に着け。ホームルームを始める。月曜日は朝からクラス代表決定戦を行う。場所は第一アリーナだ。ホームルームが終了し次第アリーナに向かってもらう。クラス代表決定戦の件はここまてだ。それと明日からは週末だ。外出を希望する者は今日中に提出するように。いいな?」

千冬が話を終えると全員が返事をした。

「質問の有る者はいるか?」

返事はない。

「では解散」

千冬の号令でお喋りが始まった。一夏と箒がこちらにやってきた。

「トウヤさん行きましょう」

一夏が声を掛けてきた。

俺たちはアリーナに向かう。

 

 

「よし!一夏はひとまずISの装着だ。装着が終われば歩いてみてくれ」

俺の指示に従い箒のサポートで一夏が打鉄を装着した。それに続き箒も打鉄を装着した。

そして二人とも歩き始める。

「いいぞ。そしたら二人とも自由に走り回ってくれ」

「トウヤさんはIS展開しなのですか?」

箒が不思議そうに尋ねてきた。

「うーん…俺のISはフルスキンだから顔が見れなくなるから必要な時だけにしとくわ」

一夏と箒はそこら中をバタバタと走り回っている。

「よし!足を動かすのは慣れたな?次は空を飛ぶ練習だ。まずは地面から浮くだけな?やってみてくれ」

俺の指示で二人が宙に浮き始めた。はじめは高度が安定していなかったが徐々に安定するようになった。

「よし!次はその高度を維持したまま前に進んで止まる。そして後ろに進んでまた止まる。その時に注意する事は同じ速度を維持する事!いいな?」

二人は指示されたとおりの動きをしているが速度が安定していない。

「イメージをしっかりとするんだ。そうしないと安定しない。決められた高度速度が守れないと安定した攻撃が出来ない。回避も出来ないぞ!一夏!オルコットは射撃タイプだ!細かい回避運動が勝利の鍵だからな!」

それを聞いた途端に一夏の動きが良くなる。やはり負けず嫌いのようだ。

「安定してきたな!その次は前後左右だ!」

最初はゆっくり。徐々に早くなっていく。

「いいぞ!慣れたら次はダイヤモンドだ!4点を基準にキビキビした動きをするんだ!」

これはストップ&ゴーの訓練だ。効率良く方向転換、瞬間で目的スピードに持っていく訓練だ。

「よしいいぞ!キビキビと動くんだ!」

箒も頑張って付いてきている。ひたすら歯を食いしばってこなしている。

「よし!次は旋回だ!最初はゆっくり同じ速度同じ角度で飛ぶんだ。そうすれば綺麗な円運動になる!」

打鉄二機がゆっくりと円を描いている。なんとも美しい。また徐々にスピードを上げていく。

「スピードを上げても円の半径を広げるな!」

これはかなりきつい運動だ。

「いいぞ!自分の限界を確かめるんだ!そして集中力を切らすなよ!切れたら遠心力で吹っ飛ぶからな!」

俺はパイロット過程の時にこれをやって酔った。

そんなことを考えていると一夏が吹っ飛んだ。そして地面を転がってアリーナの壁に激突した。

「一夏大丈夫か?」

プライベート回線で一夏に確認すると

「気持ちが悪い…目が回る」

やっぱりなったか。

「しばらく休んで再開だ」

さすが箒だ。剣道で培った精神力で保たせているようだ。

「箒!もういいぞ!一夏と一緒に休め」

箒が止まるとフラフラになっている。鍛えられた兵士でもかなりきつい訓練だ。

「二人ともどうだ?」

「かなりキツいですね」

「しんどいっす」

そうだろう。

「いいか?ISとは兵器なのだ。それを扱うと言うことは戦争で人間を殺すことなのだ。人を殺すことはもっと辛い」

俺は戦争をしていた。この辛さは出来れば味わいたくない。

「トウヤさんは兵士だったんですよね?」

一夏がトウヤに尋ねる。

「そうだ。パイロットだったんだよ」

「人を殺したことは?」

さすがに本当の事は言えない。

異世界の人間で異世界で戦争していたなんて。

「殺したことはないがパイロット過程の同期が墜落死した。俺が直接殺した訳じゃないのに物凄く辛かった」

殺した事の方が辛かった。

「そうなんですか。ISはバリアーがあるので墜落死は聞いたことないですね」

素晴らしい技術だな。

「そうだな。だがそれに頼っていてはまだまだだぞ。んじゃもう喋るほど余裕なら訓練再開だな。次はISで掛かり稽古だ!」

 

 

そんな感じで時間目一杯訓練をして一夏もかなりISに慣れたようだ。この1日の訓練は相当効果があるはずだ。

結局は二人とも相当疲れていたようだ。食事も手が進んでいなかったようだし。

 

 

翌日は入学してから初めての週末。今日は午前で授業が終わる。教室はどことなく浮ついた感じになっている。きっと午後から外出する生徒もいるのであろう。

授業は滞りなく進み午前が終わった。

SHRもおわるとみんな一斉に教室を出て行った。

俺は外出の予定も無いので生徒会室に寄ってみることにした。副会長になってから一度も顔を出していなかった。さすがにまずいと思い始めていたからだ。

 

生徒会室の扉を開けると虚さんがいた。

「あっ、こんにちはマツナガさん」

「どうも、虚さん。間を開けちゃってすみませんでした」

「いいえ、マツナガさんは自分の仕事をこなしているじゃないですか。織斑君と篠ノ之さんの護衛をね」

「それもそうですが…会長の書類とか手伝わなくて良いんですか?」

目の前の書類の山脈を見たら誰しも思う事だろう。一週間前に比べてあまり減っていない気がする。

「良いんです。会長は甘やかすとすぐにサボりますから」

楯無さん…気持ちは分かるがそんなんで良いのかな…

「そう言うなら良いですがやばくなったら言ってくださいね?一応は書類仕事も出来ますから」

軍人と言うのは花形の仕事になればなる程書類が増えるのだ。訓練をするにも訓練計画書、資材使用願や訓練結果報告書、飛行日誌など多岐に渡るのだ。

「分かりました。いざという時に声を掛けさせて貰います。織斑君達の訓練は如何ですか」

「篠ノ之は武道の練達者なだけあって覚えが良いですね。一夏も筋は良いです。しかし性格が短絡的なのが痛いです」

一夏はすぐに頭に血が昇ってしまう。そこさえ治ればとても強くなるだろう。あと攻撃するときの無駄な雄叫びだな。

「そうなのですか。なかなか織斑君は苦労しそうですね」

虚さんは上品な笑い方をする。なかなか癒し系なのかもしれない。ってことは姉妹揃って癒し系か。

「ところで会長はまだ来てないのでか?」

「そうてす。まだ来ていないですね。そろそろ来るはずなのですが。マツナガさんはこっちの世界には慣れましたか?」

虚は俺の素性を知っていたのか。

「知っていたのですか。向こうもこっちも基本は大して変わらないんです。違うのは技術と社会の事情だけですから」

「そうなのですか。ご家族は?」

「家族はいませんでした」

俺が返答をすると虚はしまったと言う顔をする。大抵の人が同じ顔をする。

「気にしないでください」

笑顔でそう応えると虚は困った顔をしていた。みんな同じ反応をするものだ。

 

そこで生徒会室の扉が開くと楯無が入ってきた。

「やぁマツナガさん、今日はどうかしましたか?」

「副会長としてたまには生徒会室に顔をだしたのだよ」

「そうだったのですか。そう言えば企業と専属契約を結んだとか?」

さすが楯無だな。耳が良い。

「富士見技研と契約した。しかしそれは御令嬢の件も絡んでてな。恐らく今、デュノア社に技術提携の話を持って行ってるはずだ。そしてそこで社長夫人の暴露話になるはずだ」

俺の顔はきっと悪い顔になっているんだろう。

楯無の顔もニヤリとと笑っている。

虚は引きつった顔をしていた。

「そうですか。なかなか楽しい事になっていますね。正直この件はどうしようか迷っていました。更織で動くにしては益がない。けどシャルロットを見殺しにするには可哀想すぎます。マツナガさん、本当に感謝しています。あなたの言葉がなければ私は決断出来ませんでした。ありがとう」

楯無は頭を下げている。

「頭を上げてくれ。此方こそありがとう。楯無の情報が無ければ動けなかったんだ」

楯無が頭を上げると少し顔が赤くなっている。鳴きそうなのだろうか。

「今後は二階堂さんから連絡が来るだろうから何かあったら連絡するよ」

ひとまずは富士見技研とデュノア社と話をして技術提携をして貰わなくてはいけない。

「そうですね。連絡待ってますね。ところでマツナガさんは昼食は?」

「まだだが?」

「ではみんなで食べましょう」

 

 

俺たちはこのあとは生徒会メンバーで食事を採った。初めて2年生の食堂に行ったが食堂に入った途端に歓声に包まれてさらには食事中も視線に晒されて非常に食べずらかったとだけ言っておく…

千冬にデリバリーサービスをやって欲しいと言ってみようかな。多分怒られるだけだろうけど…

 

 

 

 

 

 


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