IS ~銀色の彗星~   作:龍之介

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第24話

 更織家のメリットを考えながらインターネットでデュノア社について調べてみる。

ISの開発わ行っているフランスの企業で代表的なISは第2世代型ISのラファール・リヴァイブで量産型の傑作機である。このラファールのおかげで会社は成長した。

しかし第3世代型ISの開発に遅れEUによる統合防衛整備計画『イグニッションプラン』から外されそうな事態になっているようである。

 

しかしそれにしても…余りにも計画がお粗末すぎる。目的は第3世代型の情報。それとデュノア社の宣伝。シャルルが女で目的が正解ならばシャルルが転入してきた時点でデュノア社は終わってしまう。

「こらは…どうしたらいい…」

思わず呟いてしまった。

 

携帯を取り出すと楯無にコールする。

「マツナガさんどうしました?」

楯無はすぐに携帯に出た。

「先程、織斑先生からフランスの御曹司の話と監視のを聞いたのだが御曹司は隠れお嬢様って話は確実なのか?」

ひとまずは聞いてみよう。利益の話はどう転ぶか分からないけど。

「それを聞いてどうしますか?」

楯無の口調は変わらない。しかしいつもより冷たく感じてしまうのは楯無の考えが分かっているからだろうか?

「…すまない楯無。俺には更織家に与えられる利益が無い。しかし俺はスパイではない。だから監視対象が護衛する価値があるならば相手の人生を守ってやりたいんだ。そうだな、遠回りな質問は止めよう。シャルル・デュノアはシャルロット・デュノアなのか?シャルロット・デュノアならば彼女は守るに値する人物なのか?そしてデュノア社は本気でこの計画が成功すると思っているのか?」

なぜか妙に腹立たしく思えてきた。決め付けで動いては失敗するが今回の件は当たっている気がしてならない。

「マツナガさん。あなたは何がしたいのですか?私達があなたにお願いしたいのは監視てすよ?それ以上の事は望んでいません。確かにシャルルはシャルロットでしたがシャルルでもシャルロットでも監視してスパイ行為があれば捕らえるだけです」

シャルルはシャルロットだった

やはり楯無は暗部の人間だ。損得の計算は出来ているか。

「でもなスパイでも無理矢理やらされている人間だっている。シャルロットはどうなんだ?そんな人を捕らえるなんてしたくない。もし君がピンチの時は俺は手を差し伸べる。デュノア社ではなくシャルロット・デュノアを救うには今しかない!頼む楯無!力を貸してくれ!」

俺は縋る思いで楯無にお願いをする。

「…はぁ〜。あなたはどれだけお人好しなのですか。呆れてしまいますね。分かりました、お手伝いしましょう。まず、シャルルはシャルロットと言うのは確定情報です。その理由は第3世代型の情報です。シャルロットを学園に転入させようとしているのは社長婦人のようですね。シャルロットは妾の子であり本妻との子はいません。シャルロットの母が亡くなるとシャルロットは社長に引き取られましたが本妻が激昂したらしいです。そして恐らく社長婦人の命令を受けた社長の部下がシャルロットを学園に転入させようとしています。今のまま放って置いたらマツナガさんの考える通りデュノア社は潰れシャルロットは収監されるでしょう。正直言いまして私も悩んでいました。シャルロットの元々住んでいた町の者の話を聞いてみるとシャルロットや母親はスパイを進んでするような人物ではなく社長の事も良い人物なのです。放っておいて良いような話ではなく思います」

楯無の声は先程と変わり柔らかく感じる。楯無も悩んでいたのだな。

「ならば先に手を打ちたい。俺に考えがある。まとまったら連絡を入れるので少しだけ待っていてくれ」

「分かりました。お願いします」

楯無との話を終えて携帯をしまうと俺はベットに横になった。厄介な話だ。 ネルガル重工のアカツキ会長の話を思い出した。彼は10歳の時に初めて命を狙われたと言っていた。実の兄から会長の座を狙ってだ。その話を聞いたとき背中がゾワっとしたことを今でも覚えている。俺の予想だが兄と弟に派閥ができていたのだろう。そしてアカツキ会長の暗殺も大人達が勝手に起こした事なのだろう。兄は結局、事故死してしまいアカツキ会長が会長となった。大人は勝手に子供を巻き込む。

 

俺も大人の一人だが…大人の事情に子供を巻き込みたくない。

なんとかシャルロットだけは救ってあげたい。

 

 

コンコン。

ドアがノックされた。

「はい?」

「一夏です。夕飯に行きませんか?」

一夏が夕飯に誘ってきた。

俺はそのまま出れる状況だったので廊下に出ると箒もいた。

「あのマツナガさん。先ほどは済みませんでした」

箒は会うなり謝ってきた。

「気にするな。それに俺は謝られる筋合いじゃないだろ?もう済んだ事だし一夏と仲直りしたならそれで終わりだ」

そう返すと箒は笑顔になり、はい!と頷いた。

 

 

3人で食堂で思い思いの食事を注文して席に座る。ここの食堂は本当にメニューが豊富だ。和洋西中何でも揃っている。ナデシコの食堂もホウメイシェフのこだわりでメニューが豊富だったがそれを越すメニューが並んでいる。厨房には一体何人が働いているのか不思議だ。

それとここの食堂のデザインもどこかのレストランの様にこじゃれた雰囲気になっている。座席も4人掛けの円卓のようなボックスシートから多人数用のテーブル席など多様に用意されている。観葉植物がおいてあり窓もガラス張りでとても明るく作られていて学校の食堂とは思えない。日本政府も随分と予算を使ったようだ。

 

食事を進めているうちに一人の女生徒が俺達の前に立つと話しかけてきた。リボンの色から2年生と分かる。

「君が噂の一年生達だよね?」

一夏が反応して先輩の方へ振り向いた。

「多分そうだと思いますよ」

「君、代表候補生と戦うんだって?私が教えてあげよっか?」

この女生徒はどうやら日本人のようだ。恐らく興味からの申し出なのだろう。

「結構です。一夏には私から教える事になっていますので」

箒が断った。

一夏はこの驚きの顔を見るに申し出を受けるつもりだったのだろう。

「マツナガ君だったよね?君は?専用機持ってるみたいだけど私達とどっちが操縦時間長いの?」

どうなのだろう?エステバリスの操縦時間ならもう覚えていないぞ。

「ありがたいですが私は問題ありません」

「そっか、一夏君はそちらの1年生から指導を受けてうまくなれると思ってる?」

まぁ…最もな意見だわな。

「私は篠ノ之束の妹ですから」

箒の顔が歪むのが分かった。本当は言いたく無かったようだ。

「グッ…そう、なら仕方ないね」

そう言うと女生徒は背を向けてどこかに消えて行った。

ん?そもそも此処は一年生食堂だよな?わざわざ此処に来たってのか?

「なぁ箒?なんで断ったんだよ」

一夏が箒に尋ねているが箒は無視して食事を続けている。

「一夏はまず箒から徹底的に剣道を教わるんだ。あと体力作りだ。戦いに必要なのは体力と何よりも精神力だ。恐怖に打ち勝ち、かつすり減りにくい精神力だ。だからこの一週間は徹底的に剣道をやるんだ。箒もこの意味は理解出来るよな?」

箒は俺の言葉を聞くと大きく何度も頷いた。

「ISの訓練は?」

「それは最終日に徹底的に1日で行う。一夏、ISを動かすのは人だ。人の動きをISが検知してISが動く。それはつまり人間がしっかり動かなければISはうまく動かないんだよ。一夏は剣術で箒に勝てるのか?射撃でオルコットに勝てるか?機動で俺に勝てるか?恐らくどれも無理だろう?だったら今出来ることを徹底的にやるんだ。効率良く短時間でね。なのでこの一週間のトレーニングは全て箒に従うんだ。これが最善の道だ」

押し付けになってしまったが箒も喜ぶだろうな。

「ちなみにたまに俺も参加するよ。今更だが俺は生徒会副会長に就任したんで宜しくな」

一夏と箒に伝えると二人して驚いていた、って周りのギャラリーも驚いていた。

 

俺もそのギャラリーの多さに驚いた。

 

 

 

 

 

 

 


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