原作入ると色々と進みにくくなりました。
シャワー室の扉を開けようとした俺は突然の轟音に驚いて動きが止まった。バカン!バカン!と何かを突き破る音だ。
腰の拳銃に手を当てながら廊下に出てみると一夏が扉の前でうろたえていた。そして色々と謝っている。
「箒さん!ごめんなさい!後生ですから部屋に入れてください」
何かやらかしたみたいだね。
銃から手を離し一夏に近づくと汗だらだらの一夏がこっちを向いた。
「どうした一夏?」
話し掛けて気付いたが一夏の部屋のドアが穴が沢山開いている。銃撃戦にでもなったのだろうか。
「トウヤさん…すみません。箒を怒らせてしまいこんな感じです」
こうしてる間に他の女性とが集まってきてしまった。
「あっ!織斑君にマツナガ君!こんなところで何してるの?」
「織斑君達の部屋ってここなの?」
「まさかの織斑子猫展開!ヤバッ!鼻血が…」
みんなが好き勝手言っている…
「いや…箒は何をどうしたらこんななるんだ?」
俺はドアを指差して尋ねると突然ドアが開き箒が道着姿で腕を組んで一夏を睨み付けて
「入れ!」
と怒鳴っていた。
一夏は部屋に入る。
「箒、俺もいいか?」
「構わない」
俺は一夏に続いて部屋に入り扉を閉める。
「それで何があった…ってなぜ箒が此処にいるんだ?」
此処は一夏の部屋なのになぜか箒がここにいる。
髪の毛が濡れている事を鑑みてこの部屋でシャワーを浴びたのだろう。
「私もこの部屋なのです。そしてシャワーから上がると一夏がいたので…その…」
箒は赤くなりながらも気まずそうな顔になった。
木刀が机に立てかけてあるって事は…
恐らくこうだ。
授業が終わり箒は部活に、一夏は教室で山田先生と補習をしていた。箒の方が早く終わり割り振られていた1024号室に戻った。そしてシャワーを浴びていた。そこへ補習の終わった一夏が部屋に戻ったところ恥ずかしい姿の箒に遭遇、箒が木刀で攻撃して一夏が廊下に逃亡した。
しかしいくら恥ずかしいとはいえ木刀で攻撃はまずい。ここは注意しなきゃならないよ。
「一夏に木刀で切りかかってしまったと…箒、気持ちは分かるがそれは武道家としてやってはならない事だろう?」
「分かっています。本当にすみません」
箒は謝って頭を下げた。
「謝るのは俺にじゃない。一夏にだ。一夏も間違ったとはいえ見てしまったのなら謝っとけ」
そう言ってお互いに謝らせると俺は携帯を取り出して千冬をよびだす。
『トウヤ?どうしたんだ?』
程なく千冬は携帯にでた。
「織斑先生、部屋割りで確認したいのですがなぜ一夏と篠ノ之箒が同室で間違いないのですか?」
『間違いはない。ちょっとまて………すまん移動をしていた。まだ公開していないが近い内に男性操縦者が転校してくる。そいつはフランスのデュノア社の御子息なのだ。だからトウヤと同室にさせることにした。と言うことで篠ノ之と一夏は幼なじみだから同室にした』
納得して良いのかな。
「はぁ…織斑先生がそう言うなら納得ですが篠ノ之には伝わってなかったみたいですよ?早速トラブったので寮部屋のドアの修理の依頼をお願いします」
『篠ノ之に伝わってなかったか…で、何でドアの修理が必用なのだ?』
「まぁ…色々とあったみたいで」
『…分かった。後でそちらに見に行く』
「了解しました。では」
通話を終えて二人を見ると実に申し訳なさそうな顔をしていた。
「織斑先生に確認したら事情が有ってこの部屋割りで合ってるそうだ。一夏、大変だろうがこのまま頑張ってくれ。俺もしばらくしたら同居人が出来るそうだ」
俺は箒と一夏が同室であると伝えると二人は驚きの顔をして顔を見合わせた。箒は真っ赤になり一夏は真っ赤の後に真っ青になっていた。
何に真っ青になるんだよ…
「そういうわけだから二人とも仲良くやるんだよ?」
俺は二人の部屋を出る。
外には女生徒達がまだたむろしていた。
「みんな、もうプライベートの時間なのだからそういうのは感心しないよ?」
みんなに注意するとバツが悪そうな顔をして退散していった。
それにしても…女の子のプライベートな時間の格好はなかなか目のやり場に困るな。
まぁナデシコ操舵士のミナト・ハルカさんもかなりだったけど…
部屋に戻ってから改めてシャワーを浴びてさっぱりしてから水を飲んでいるとドアをノックする音がしたのでドアを開けると千冬が立っていた。
「織斑先生どうかしました?」
俺が尋ねると千冬は僅かに曇った顔をしたので
「中にどうぞ」
と言い部屋の中に招いた。これはあまり宜しくないだろうとは思うが…
千冬は中に来ると机の椅子に座る。
「お茶でも飲むか?」
今はプライベートな時間。言葉をいつもの口調に戻す。
「あぁ、頼む」
ポットに水を入れてスイッチを押す。
「さっきはすまなかったな。山田先生に確認したら篠ノ之にも一夏にも伝えていなかったそうだ」
山田先生…この騒動の魂胆はあなたですか。
「謝らないくて良いよ。一つ疑問なのですがデュノア社の『御子息』と言うのは?男ならなぜ騒がれていないのですか?遅かれ早かれ結局は学園に来たらばれるじゃないか。ならば宣伝も兼ねて公表するのが企業ってものでしょう?」
先程聞いたデュノアの話の疑問点を聞いてみると、千冬は鼻で笑った。
「本当に男なら大々的に発表してるんだろうな。デュノア社のトップは余程頭が回らないとみえる。デュノア社の社長には息子がいた記録が無いのだ。これは私から更織に依頼して調べて貰ったのだが恐らくデュノア社からの転校生は女だ。男装させていると思われる。そこでトウヤには彼女の監視を頼みたい。もし学園の不利益になるような行為があれば知らせてほしい。嫌な役だろうが頼まれてほしい」
千冬は立ち上がると頭を下げる。
「分かったから頭を上げてくれ。普通に頼まれてもやるから心配しないでくれ」
俺は千冬の両肩をつかみ持ち上げる。
「ありがとう」
千冬の様子から見るにきっとこの監視は不本意なのかもしれない。
「御子息の名前は?」
「シュルル・デュノアだ」
「娘の名前は?」
「シャルロット・デュノア」
隠す気あんのかよ!
「分かった。それですまないんだけど二階堂さんと連絡取りたいんだが可能か?」
国際IS委員の日本の委員だ。
「構わないがどうしたんだ?」
「保険をかけておきたくてね」
「…トウヤ…まぁ良いか」
千冬は納得いっていない。もしかしたら俺がしようとしていることを理解しているのかもしれない。
さすが千冬だな。
まぁひとまずは一夏とオルコットをなんとかしなきゃな。
「それじゃあ私は戻るぞ?」
「お茶をまだ出していないぞ?」
「そうだったな。ならもう少しいよう」
どことなく嬉しそうにしている千冬が可愛く思える。
お茶を出し二人でお喋りをして千冬は出て行った。
さっきの件は更織の力が必要だ。
楯無は協力してくれるだろうか。更織家からしてみれば俺からの依頼を受けるメリットといえば俺が言うことを多少聞きやすくなる程度だ。何か動きやすく、いや動きたくなるようなメリットがあれば良いのだが。