IS ~銀色の彗星~   作:龍之介

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原作突入!


第19話

 携帯の、目覚ましが鳴っている。ベッドから立ち机の携帯を掴むと目覚ましを止める。時刻は7時だ。洗面と歯磨きをして制服に着替える。今日からはYシャツに青いネクタイをする。青いネクタイは1学年の証だ。その上に白を基調にした学園の制服を着た。これがIS学園の基本の着方だ。ただ学園の制服は改造が認められているらしい。

 

テレビをつけてニュースを見てみると俺と一夏のニュースで持ちきりだ。何か恥ずかしいので消した。

学園から支給されている鞄の中を確認してみる。筆箱とノート。鞄を持ち

「よし!行こうか」

俺は部屋を出る。

俺の新しい生活の始まりだ。

 

「あっ、トウヤさん、おはよう」

廊下には一夏が待っていた。

「ああ、一夏おはよう」

「一緒に朝飯行かないか?」

「ああ、良いよ」

俺達は2人で食堂に向かったが、食堂に向かう道中で俺達を見つけるとキャーキャー騒ぎながら後ろを付けてくる女子が増えてしまう。

「トウヤさん…俺予想以上にキツいんすけど…」

一夏の顔色が青くなってきていた。

「確かにキツいな。大丈夫か?」

俺は周りを見回すとまだまだ増えそうな状況に頭を抱える。

 

これはなんとかしないと俺達は保たないんじゃないか…

 

「一夏、購買でパンを買って教室で食べよう」

「うん。そうしよう」

 

俺達は食堂ではなく校舎の購買に向かうことにした。

 

 

 

教室に着くとまだ時間が早いせいか人は少なく俺達が入った瞬間はざわついたが俺達が疲れた顔でパンを食べ始めると遠目からそれを眺めるだけになった。

俺の席は窓側から3列目つまり真ん中の一番後ろで、一夏は『あ行』なのに真ん中の列の最前列になっていた。

千冬だな。あながちブラコンって間違ってないんじゃないか?

 

一夏の席の隣の席に座ってパンを食べている。

「これから毎朝あんな感じになるのかなぁ…」

「織斑先生にお願いして注意して貰うよ。さすがにあれは俺でもキツい」

「そっか…トウヤさん、頼みます」

一夏が少し復活した。

 

 

さっき座席割りを確認したが俺の左前に『布仏本音』の名前があった。更識の言っていた生徒会の役員で更識の部下だ。まだ教室に来ていないから顔は分からない。

それと窓際の前から3番目にまたまた謎の『さ行』の人物がいた。篠ノ之箒だ。

 

重要人物を一括りで纏めたようだ。

 

俺達は俺が座っている席の生徒が来るまで一夏と話しをしていた。

8時25分になると全員が席につき山田先生が入ってきた。

 

「みなさん、入学おめでとう御座います。私は皆さんのクラスの、副担任の山田真耶です。これから一年間宜しくお願いしますね」

黒板(ディスプレイ)に名前を映し出して挨拶をするが誰も返答をしない。

 

仕方ない。

 

「宜しくお願いします」

と俺は返答をして拍手を始めた。

俺の行動にみながつられて挨拶と拍手をしていた。

山田先生はこちらを観て『すみません』と言うような顔をしていた。

そしてその後は自己紹介が始まった。16歳の女子高生は元気が良い。みんな『彼氏がいない』を強調して自己紹介を終えていく。

一夏は篠ノ之箒の方をチラチラ見ては何かを訴えているようだ。

「次は織斑一夏君ですよ」

一夏の番になったのに一夏はうなだれて気付いいないようだ。

「織斑一夏君!」

山田先生がちょっと強めの声を上げた。

「え?あ、はいっ!」

やっと気づいたようだ。

「ごめんね、自己紹介なんだけど『あ』から始まって次は織斑君の番なんだけど自己紹介してくれないかなぁ?駄目かなぁ?」

 

…山田先生、なんでお願いなんですか…

俺はちょっと頭を抱えたくなった。

一夏は席を立ち上がり意を決したようで自己紹介を始めた。

「織斑一夏です!…」

え?もう終わり?

みんなの顔が

『もう終わりじゃないよね』とか『あとは!?』みたいな顔をしている。

後ろの扉から千冬が入ってきた。俺と目が合うとウインクをして俺の横を前に進んで行った。

そんな事を知らない一夏はあわあわした後に意を決したのか息を吸って

「以上です!」

とほざいた。

 

ズガガガガッ!!

 

と教室内に人が椅子から墜ちたり机に倒れ込む音が響いた。

 

奴はプロだ!きっとコメディアンなのだ!

 

そして千冬は右手に持っていた出席簿を振り上げるとシュッ!っと言う音とともに一夏の頭に振り下ろした。

 

パァーン!!

 

良い音が教室に響いた。

 

一夏は振り向き千冬の顔を確認すると

「げっ!張飛だ!」

と叫んでいた。

一夏の性格に自爆大好きを追加しておこう。

「誰が三国志の酒豪の無双将軍だ!って酒豪は否定出来んな…」

確かに。

 

「織斑先生、会議はもう終わられたのですか?」

山田先生は千冬に確認をとっている。

「ああ、ホームルームを押し付けてしまってすまないな」

「いいえ、構いませんよ。私は副担任ですから」

それを聞くと頷き教室中を見回して口を開いた。

「私がこのクラスの担任の織斑千冬だ。今日から君たち新人を一年で操縦者に鍛えるのが私の仕事だ。先生方の言うことは良く聞き良く理解しろ。分からないことがあれば聞きに来い。分かるまで教えてやる。先生方の指示には従え。逆らっても良いが指示に従え。逆らって死ぬ奴は今すぐ出て行って退学届けを書け。良いな」

千冬は有無を言わせぬ雰囲気で『命令』をしている。

あれは軍でもよく使われるフレーズだ。

女生徒達は恐怖で萎縮してしまったことだろう…と思いきや

「「「キャーーー!!!本物の千冬様よー!!」」」

「私はずっとファンでした!」

「千冬様に会うために来たんです!喜界島からです!」

「グヘヘヘヘヘ…」

なんか最後にヤバいの聞こえちまった。

「全く…毎年よくこんな馬鹿者ばかり集めるな。まぁ…今年は素晴らしい者も来たけどな…」

気持ち分かります。後半は何を言ってたか聞こえなかったが…

「キャァーーー!お姉さま!もっと叱って!罵って!」

「でも時には優しくして!」

「そして時にはつけあがらないように躾てください!」

「ジュルリ…」

ヤバい…この教室に可笑しいのがいる…

いったいこの女の園は何を飼っているんだ?

「で、おまえは満足に自己紹介も出来んのか?」

千冬はなかなか厳しい言葉を叩きつけていた。

「いや!千冬姉!俺…」

ズゴパァーン!!

おい!千冬その出席簿に何を仕込んでる!音がおかしい!

「織斑先生だ!馬鹿者」

「はい…織斑先生」

公私のけじめはつけようよ一夏…性格分析にお馬鹿を付け加えるぞ。

「え?もしかして織斑君と千冬様は姉弟?」

「じゃあ男性操縦者って遺伝?」

「いいなぁ~。変わって欲しいなぁ」

「妬ましい…」

遺伝で無いことは証明されてるだろ。

最後のは要注意だな。

 

「取り敢えずさっさと自己紹介をしろ。この後は入学式が体育館で行われる。9時30分には移動を開始するからな。それまでに終わらせろ。いいな」

そう言うと千冬は教室の端に置いてある椅子に座る。

「では次の方から再会してください」

山田先生は再開するように促して次の子が自己紹介をする。

俺の番までもうすぐだ。

自己紹介なぁ。ナデシコに乗ったときにブリッジと食堂(ホーメイガールズ相手)で自己紹介をしたな。整備班は名前言った瞬間に散られた…結構凹んだな…あれは。

さぁ、俺の番だ。

「初めまして。マツナガ・トウヤです。世界で2番目の男性操縦者として篠ノ之博士により発表されました。篠ノ之博士の護衛をしていました。年齢は20歳で皆さんよりはかなり上になってしまいますが年齢関係無く接して頂けると嬉しいですね。以上です」

無難だな。

 

「「「カッコイイーーー!!!」」」

「守られたい!!」

「ハグされたい!!」

「縛られたい!!」

「グヘヘ…グヘヘヘヘ!!」

 

耳がぁ!!

耳が何も聞こえない!

 

「静にせんかぁぁぁ!!!!」

 

ドゴォーーーン!!

 

いきなり物凄い音と声が教室に響いた…

千冬が出席簿を壁に叩きつけていたのたが…壁にヒビが入っている。

どんだけだよ…千冬…

 

「おまえ等何を騒いでおるか!!」

…千冬の目が赤く光っている。さすがにそれは怖いよ千冬さん。

生徒達は一気に静まりかえる。流石に千冬の顔を見ては騒げないだろう。山田先生なんか泡吹いて倒れてるし…衛生兵!!

 

「マツナガは従軍経験がある。パイロットだ。と言うことで所々で貴様等に教える側に回ることも。覚えておけ。それとマツナガに色目を使った奴は許さん。理由は禁則事項だ」

 

千冬の発言に教室がにわかにざわつく。

「従軍経験って元軍人?」

「凄い!エリート?」

なんて声が聞こえる。

 

また自己紹介が再開し9時20分には全員終わった。9時30分まで休憩となったので俺は急いで千冬の所に向かった。途中で色んな子に話しかけられるが断った。

「織斑先生、少し話があるのですが宜しいですか?」

「構わないが場所は変えるか?」

「いえ、問題ありません」

「そうか。で、話とは?」

仕事モードの千冬だ。

「俺と一夏の事ですが、朝の寮から食堂の間で集団に付いて来られてしまったのです。これだと警備的に問題が起こるかもしれませんので安全上を理由に全校で注意して頂きたいのです。していただかないと周りの生徒の生活にも影響が出てしまいます。大集団で食堂に詰めかけたり、トイレの前が渋滞したりなどです。本音は俺達が参ってしまうなんですが」

 

俺の話を聞いた千冬は頭を抱えた。

「やはり起きてしまったか。すまない、懸念はあったが大丈夫だろうと判断してしまった。分かった、通達を出しておく」

「宜しくお願いします」

俺は頭を下げると千冬はフッと笑う。

「生徒のお前もなかなか良いな」

すれ違いざまに耳元で呟いた

「千冬先生も格好いいですよ」

と言い返すと顔を少し赤くしていた。

 

 

それからの俺はクラスメイトに囲まれて質問責めで休憩時間を終えてしまった。

 

 

 

 

 

 


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