IS ~銀色の彗星~   作:龍之介

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今回は千冬回です。

お気に入り150件overです!
ありがとうございます!
がんばって気に入って頂ける様な作品にしていきますので皆さん、今後ともよろしくお願いします。



激闘!クラス代表決定戦の章
第18話


 今日は山田先生に早く帰るように言われて仕事を早めに終わらせて私達の愛の巣に帰ってきた。確かにトウヤは愛の巣から飛び立ってしまう。こんな時は嬉しくもあり悲しくもあると言っていたが私は悲しみしか無いじゃないか!!

 

 

トウヤは午後から外出をしているがもう戻ってきているのだろうか。部屋の扉を開けるとトウヤは部屋にいた

「お帰り、千冬」

トウヤは笑顔で『お帰りと』言ってくれた。心が温かくなる。

「た、たたいまトウヤ」

 

あぁ!もう幸せだ!!

このまま今日がずっと続けば良いのに!!

けど、部屋を見回すとトウヤの私物が一切無くなっている。もう次の部屋に持って行ってしまったのだな。

「もう荷物の移動は終わったのだな」

現実が悲しい。

「うん。もう終わっている。後は俺が移るだけだよ」

 

本当は行かないで!と言いたい。けど立場的に言えない。

明日から私とトウヤは先生と生徒という立場になる。先生を辞めたいと思ったのは今回が初めてだ。

「そうか。明日は8時30分に教室だからな、遅れるなよ」

 

教師としての言葉が出てしまった。

 

「大丈夫だよ。それでだな…」

 

トウヤが急に緊張した面もちになった。

 

「ん?なんだ?」

 

何かあるのか?

トウヤが緊張しているのを見てるとこちらも緊張してしまう。

まさか…

 

「千冬に…」

綺麗な小さな紙袋を差し出してきた。

「今までありがとう。千冬のおかげで今日まで楽しく過ごせた。今日までのお礼とこれからも宜しくってことでプレゼントしたいんだけど受け取ってくれるかな」

 

「え?すまないな…」

 

なんだ…プロポーズかと期待してしまったではないか!

 

袋の中を取り出すと見たことのある店の名前だ。

「え?この店は…」

確かレゾナンスの宝石店じゃないか!?

包装紙を開けると中にメッセージカードが入っていた。

カードには

『これまでのあなたに感謝を。これからもあなたの側に。トウヤ』

 

胸の奥が熱くなった。

これからもトウヤが側に居てくれる。

嬉しくて涙が込み上げてくる。

 

「ありがとう、トウヤ」

私もトウヤとずっと一緒にいたい。

涙が頬を伝ってしまった。

「いいよ。千冬、箱の中身も見て欲しいな」

黒い箱の蓋を開けると中にはプラチナのイヤリングとネックレスが入っていた。しかもこの透明な石は…ダイヤモンドじゃないのか!?

ダイヤモンド!?婚約指輪に使われる愛の結晶!

トウヤは私に愛を贈ってくれたのか!?

あまりの嬉しさに

キターーーーー!!!

と叫びそうになって慌てて口元を抑えた。

 

それにしてもこれは…婚約の意味ではないのか?

これは何かの間違いではないのだろうな!?

 

「…トウヤありがとう。こんな高価な物を貰ってしまっていいのか!?」

「勿論だよ。千冬に渡す為に買ってきたんだよ」

 

私のために…トウヤ…

 

イヤリング…私の為に買ってくれた。

 

イヤリングを箱から取り出し耳に付けてみる。

そして鏡に向かって見てみると耳にトウヤから貰ったダイヤのイヤリングが光っている。

 

幸せだ…

こんなに幸せで良いのだろうか…

 

「どうだ?似合っているかトウヤ!?」

「似合っているよ千冬」

ネックレスはトウヤに付けて貰いたい。

「ネックレスはトウヤが付けてくれないか」

 

トウヤにネックレスを渡すとトウヤは私の首にネックレスを回す。

ゾゾっと快感の鳥肌が立ってしまった。

私の首にトウヤの腕が回る。

私はもう幸福絶頂。

 

ネックレスを付け終えると髪の毛を抜いてくれた。トウヤが髪の毛に触れてくれた…

 

あぁ〜なんて気持ちが良い…

 

鏡を見ると胸もとに耳と同じようにダイヤモンドが光っている。

 

トウヤに見せる。

「うん、とても良く似合っている」

トウヤはとても良い笑顔で笑ってくれた。

嬉しい…本当にうれしい…

また涙が溢れ出してしまった。

 

「どうしたんだ千冬?」

トウヤが困った顔をしていた。

慌てて笑顔になる。

「こういうプレゼントは初めてだったから…感動してしまったんだ」

本当に嬉しかったのだ。

 

「そっか。甘えたい時は何時でも言ってくれ。背中か胸ぐらいは貸すからな」

そう言うとトウヤは私の頭を撫でてくれた。

 

とても気持ちが良い。

 

トウヤがずっと一緒にいてくれる。これはもう決まりなんだよね!

 

嬉しくなって私はトウヤの胸に飛び込んで泣いてしまった。なかなか涙が止まらない。息も落ち着かない。でもとても落ち着く胸だ。厚くて広くて逞しい。トウヤの匂いもとても良い。なんて言うか…ナニかが込み上げてくるな…

暫く堪能しているとトウヤが

「膝枕しようか?」

と言ってくれたので私は遠慮なくトウヤに膝枕をしてもらった。

もうこのまま死んでしまいたい。

 

死なないけどな。

 

トウヤの匂いに包まれながらトウヤとの幸せな生活を想像しながら私は寝てしまった。

 

 

 

 

「千冬、千冬、起きて」

トウヤの声だ。

目を開けると微笑んだトウヤがこっちを見ている。

私はこの笑顔がとても好きなんだ。

「夕食は食べないのかい」

「そうだったな。行こうか。トウヤと、食べられる最後の食事だしな」

暫くはトウヤと一緒に食事が出来ない。

「休みの日に外に行けば食べられるんじゃないかのか」

誘ってくれる気があるのか。楽しみにしていよう。

「それもそうか。楽しみにしていよう」

私達は部屋を出た。

 

またデートが出来るのか…クフフ…

トウヤとデート。

一緒にご飯。

今度一夏に…!!

 

私は腕時計を見ると7時30分を指していた!

「しまった!」

一夏が事務棟で待っているんだった!!

「どうした!」

トウヤが驚いた顔でこちらに聞いてきた。

「一夏が事務棟の入口で待っているんだ」

私は急いで事務棟に走る。一夏が心配で仕方がない!

後ろからトウヤが付いてきている。

「トウヤは食事を3人分用意しておいてくれ!」

そう言うと私は事務棟に目一杯走った。

暫く走ると事務棟が見えてきた。事務棟の入口に一夏が立っている。

「一夏!済まなかった!」

入口に到着すると頭を下げる。

「いや、忙しかったんだろ?俺は大丈夫だよ」

一夏は気を使ってくれているのか怒っていない。

 

本当は寝坊なんだが…言えない。

 

「すまんな。それじゃあ行こうか。食事を用意して貰っている」

私と一夏は並んで職員食堂に向かう。

一夏と会うのはどれくらい振りなのだろうか。たや

忘れたな。

「まさか千冬姉がIS学園の教師だったなんてビックリしたよ」

「まあな」

言ってなかったか。

そうか。

 

食堂にはトウヤが待っていた。

私の大好きな人だ。

 

私の胸と耳にはトウヤの気持ちが光っている。

私の大切な人から貰った大切な物だ。




入学前は今回で終了です。
次回から原作突入です。

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