地上の風と白き魔女と   作:長靴伯爵

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明けましておめでとうございます

どうも不定期すぎますが、気長に待っていただけると幸いです

感想の返事もボチボチ書いていきたいと思います

ではどーぞ


こんな船を正式採用した奴は誰だ!?(ブチギレ)

 

 

 

 

 

 けたたましく鳴り響くサイレン音が煩わしい。

 今がヤバイ状況だってのは分かってんだから、いい加減止めてしまえ。

 

「2番艦から通信!『ワレ、操舵不能』」

「敵機は太陽の中に隠れました!」

「船団の隊列を密集隊形に。弾幕を張りなさい!」

 

 飛び交う報告に、適時指示を出すネイル。あいつにしては声張ってるな。結構焦ってんんな・・・。まぁ、俺も普通の状態じゃないけど。だた妙に冷静になってしまっただけだ。

 予定通りに進んでいた進軍だったが、突如の現れた敵の奇襲により非常に拙い状況になってしまった。誰だよ。フラグ立てた奴・・・。既に1機の戦列艦落とされている。そして今しがた更に1機落ちた。

 

俺はチラリと太陽に入った敵機の影を見た。

 

「ペジテのガンシップか・・・。こりゃ俺らはただの的だな」

「ええ。この弾幕もどれだけ効果があるか・・・」

 

 ネイルが俺の言葉に反応した直後、艦の窓がビリビリと振動した。次いで爆発音と共に艦全体が激しく揺れる。

 

「4番艦がやられました!」

 見張りの声が伝声管を通して艦橋に響き渡った。立ち上がって窓から艦の後ろを見れば、炎を上げて墜落していく戦列艦の無残な姿が。

 

「チッ・・・」

 

 思わず舌打ちして視線を戻す。如何せん状況が悪すぎる。こんな時こそ、殿下がお乗りになっているコルベット必要何だが・・・。悲しいかな。機動力が高いガンシップに追随できる腕利きのパイロットは居ない。というか、殿下はご無事なのだろうか?そう思ってコルベットに視線を向けると・・・。

 何か加速して戦列から離れたし!?

 離脱したのかと思ったがどうも違う。というか、殿下は部下を置いて逃げるとかそんなこと絶対にしない。ということは・・・?

 

「あの新参者の参謀ですか?」

「クロトワって奴だ。庶民出だとは聞いていたが、まさかコルベット乗りだったとは・・・」

 

 この部隊にいる人員の情報は大体把握している。唯一把握し切れてないのはクロトワ。殿下に色目使ってたのは万死に値するが、まぁ許してやろう。あっちが敵機を何とかしてくれるのならこっちにもやりようがある。

 

「乱れた隊列を整えるか。再度、密集隊形でこの空域を周回。敵機を牽制する弾幕を張り続けろ」

「離脱はしないんですか?」

「お前は殿下を置いていくつもりか?」

「ですよね。辺境国のガンシップに援護させては?」

「奴等はパージを切り離せないから無理だろう。しかもさっきの戦闘で何機か巻き込まれているみたいだしな」

 

 さっき近くを飛んでいた風の谷のガンシップも見当たらない。ナウシカの事だから大丈夫だとは思うが・・・。

 

 船団は俺が指示した通りにゆっくりと隊列の穴を塞いでいく。しかも弾幕はさっきよりも更に激しく。皆、殺す気マンマンらしい。よし、これで何とか・・・と思ったらまたもや見張りから報告が・・・。

 

「敵機がコルベットの背後に回りました!」

「何!?」

 

 窓に張り付いてコルベットを見れば、敵機がしこたまコルベットに銃撃を加えていた。ヤバイヤバイ!殿下が危ない!?

 

「弾幕をあいつの鼻っ柱に集中させろ!こっちに引き付けろ!殿下を守るぞ!」

「了解!」

 

 俺が指示を出すと艦の弾幕が一点に集中し始めた。後続の艦に指示を出す暇がなく、弾幕も薄かったが、果たして敵機は狙いをこっちに変えてきた。やったぜ。

 さって、こっから何とかしないとな。まずはともかく・・・。

 

「総員、衝撃に備えろ!!!」

 

 伝声管に向かって叫んだ直後、艦橋の窓が砕け散り、多数の衝撃が襲い掛かってきた。弾け飛ぶ破片、飛び散る血肉、響き渡る悲鳴と絶叫の中、俺は視線を揺るがすことなく迫り来る敵機を見据えた。

 

 1秒にも満たない刹那の間にも敵は刻一刻と接近してくる。その距離は敵のパイロットの姿を捉えるまで縮まった。俺の視線とパイロットの視線が繋がる。

 その瞬間、頭に鮮烈なイメージが流れ込み、五感が何かに埋め尽くされていった。

 何も無い暗い空間。ただ1つある光。それは1人の少女・・・。蹲って泣き、そして走っていく・・・。あれは・・・ナウシカ?それだけじゃない。もう1人泣いている人が居る。誰だ?あの女性は・・・もしや・・・。

 

「・・・ギ。・・・ギ!ナギ!!」

 

 ・・・うるさッ!?耳元で叫ぶな!!

 一瞬にして五感が戻ってきた。若干ふらつく頭を振って周りを見れば・・・ひでぇ有様だ。瘴気が届かない高度で助かったな。完全に外気に晒されたボロボロっぷり。しかも所々に血が飛び散っている。これでよく操舵できてるな。

 

「ナギ!大丈夫ですか!?」

 

 そして血相を変えたネイル。何をそんなに焦っているのかと思えば左目から液体が垂れてきた。ボロボロになったマントで拭ってみるとベットリと血が・・・。飛んできた破片で切ったか。

 俺は取りあえずマントで傷口を押さえた。

 

「大丈夫だ。状況は?」

「敵機はコルベットが撃墜しました。このまま宿営地まで前進すると殿下からご命令が」

「分かった。取りあえず、全員に瘴気マスクを付けさせとけ。万が一に備えてな」

「はい」

 

 ネイルが指示を出しにいったのを見届けて、俺はホゥと溜息を吐いた。

 結構やばかったが、最悪の結末だけは逃れたな。

 ボロボロの窓から外を見ると、辺境国のガンシップたちが合流してきていた。だが、その中に、やはり風の谷のガンシップがいない。

 

「とんだ戦争だよ、まったく・・・」

 

 知らず知らずの内にまた溜息が出ていた。

 





戦列艦1機に何人乗ってるんでしょうね(白目)


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