何故こんなに早く投稿できたかは私自身分かりません(キリッ)
感想、アドバイス、ミスの指摘などよろしくお願いします
部下1人を連れて、ガチャガチャと鎧を鳴らして走っていくと既に事が始まってしまったようだ。怒鳴り声が聞こえてくるあたり、どうにも状況はよくないらしい。俺がネイルから聞いたのは、辺境諸国の連中が何かの要求をしているということ。そう言えば、ついさっき入った報告でまだしっかりと把握していなかったな。
「あぁあぁ。面倒なことになりそうだ」
「隊長。どうも辺境諸国の連中はうちの奴と揉めてるみたいです」
「みたいだな。兜を持っててくれ」
「はい」
素顔を晒して行った方が少しは落ち着くかもしれない。部下に兜を託し、喧騒の中へと足を踏み入れた。
「ちょっと通してくれ」
騒ぎ立てる辺境諸国の人々の中に分け入り、喧騒の中心へと進む。すると、親衛隊員の2人と胡散臭い参謀クロトワと辺境諸国の何人かが口論していた。
「お前ら、これはいったいどういう状況だ?」
「風の谷の者が行方不明になった姫の捜索をしたいと」
「・・・ナウシカが行方不明?」
親衛隊員と揉めていたミトじぃに目を向けると苦い表情でこっちを見てきた。やっぱり俺の印象悪いよなぁ。どうも谷の裏切り者みたいな雰囲気だし・・・。
「・・・そうじゃ。姫様は、先程の戦闘で墜落しそうになったパージを腐海の湖に誘導し、不時着させたのじゃが・・・」
と、そこでミトじぃガ口を噤ませた。何か言い辛そうなことでもあったのか?
「蟲の大群が近づいてきての・・・。その最中に姫様は行方不明に・・・」
「蟲に食われたに決まっています。捜索にかこつけて脱走するかもしれません」
「辺境だからといって馬鹿にしとるのか!?辺境とはいえ王族を侮辱するなど、ふざけるのも大概にせい!!」
「なるほど。状況は分かった」
まぁ、どっちの言い分も分かる。ただ少し疑問なのは、なぜナウシカが行方不明になったかだ。蟲に食われることは万に一つ無いと思うが・・・。
「それを取り成す為に、俺が殿下にお伺いを立てようと提案したところだ」
クロトワが何かドヤ顔で言っているが、何勝手に殿下に会おうとしているんだよ。俺はお前が殿下に色目使ったのを忘れてないからな。一応表情には出さないが。
「・・・殿下に伺いますか。ミトじぃ付いて来てくれ」
「おいおい。俺が行けばいいだけの話だろう?隊長様の手を煩わせる気はねぇよ」
またクロトワ何か言っているが、お前は殿下のことを全く理解してないな。まぁ、面倒くさいし好きにやらせるか。
「では、参謀殿、お願いできますか?」
「おう!まぁ、少しまってろよ」
意気揚々と歩いて行ったクロトワの背に軽く殺気を送ってから、ミトじぃに視線を向けた。
「殿下はミトじぃを直接お呼びになると思うから付いて来てくれ」
「・・・分かった」
俺が歩き始めると、周りの奴らは道を開けてくれた。また面倒事がおきないように願いつつ、その道を歩いて行った。
殿下の幕舎へ向かう間、特に会話も何も無かった。幕舎を守っている担当の親衛隊員が見えてくると、ちょうどクロトワが向こうから歩いてきた。何か驚いた表情でこっちを見ているが・・・?
「どうかされましたか?」
「い、いや。殿下が風の谷の者を連れて来いと・・・」
フハハ、ザマァwwwお前ごときに殿下のお考えが分かるわけないだろう!
唇が歪むのを抑えるのに苦労した。
「そうですか。じゃあ、ミトじぃ、中へ」
「・・・ああ」
神妙な面持ちになったミトじぃを連れて幕舎に入る。豪奢な造りの内装の中で、殿下はトルメキアの旗の下に設置された大きなソファに気だるげに横になっていた。鎧を脱ぎ捨たあの俺の心臓が持たない薄着姿で。
一礼すると、殿下はニヤリと笑ってみせた。やっぱりな・・・と言いたげなその表情。そのお姿と相まって・・・ヤベ、鼻血出そう。
「風の谷の者を連れて参りました」
「ご苦労。お前は下がっておけ」
「はい」
ミトじぃだけを残して幕舎から出ると、まだクロトワが残っていた。どうも中の様子が気になるみたいだな。
「殿下のご様子は?」
「分かりません。中に入ろうとしないで下さいね」
中に入ろうとした瞬間、斬り捨ててやる。少しだけ視線に殺気に篭めるとクロトワの表情が若干引きつっていた。
「おいおい、おっかねぇな。隊長様は気にならないのかよ?」
ヒラヒラと両手をあげるクロトワにはどうにも危機感はない。腹に何を隠しているんだか・・・。
「私を幕舎から出したということは、相当の機密ということです」
「殿下を信頼なさっている訳ね。はいはい・・・」
皮肉のつもりなのか分からないが、そんな言葉を残してクロトワは立ち去った。俺はミトじぃが出てくるまで待機しておくまで。
手持ち無沙汰になってしまったので周りの風景に目を向ける。何も異常は無い。だが、吹いている風に先程までにはなかった
ややあって、幕舎がミトじぃが出てきた。
「クシャナ皇女がお前を呼んでおる」
「分かった。1人で戻れるよな?」
「当たり前だ」
敵意が消え切らない微妙な表情でミトじぃは去っていった。それを見送ってから幕舎の中へ入ると、俺の心臓に悪い格好で殿下はソファに寝そべっていた。殿下は仰向けのまま話し始めた。
「奴は秘石の在り処を知らなかった。ナウシカとやらが持っていると踏んでいたが、確証が持てないな」
「はい」
失礼にあたらない程度に殿下を視界から外しつつ静かに頷く。
「風の谷の者には捜索を許可した。だが、条件を出した」
秘石をナウシカが持っていることを確認しなければならない。状況を確実に把握する者が必要だ。それは秘石のことを知っていて、殿下が信頼している者でなければ・・・つまり・・・
「ナギ。貴様もナウシカの捜索に加われ。それが奴らに出した条件だ」
「了解しました」
・・・・・・・・殿下のご命令だ。喜んで従おう。
たとえ、針の筵に突撃することになってもな!!!
ナギ「今日は風が騒がしいな」
隊員1「隊長が厨二になったったwww」
クシャナ「でも少し・・・この風・・・泣いています」
隊員2「ファ!?」