ナウシカのアニメ見てからの漫画って相当衝撃くるよね
俺は覚えている。
行商人だった父に連れられて訪れたトルメキア王国王都トラス。そこで俺はパレードを見た。父に肩車された俺の目に写ったのは装甲騎兵の行進だった。全身を甲冑で覆いマントをはためかせる騎士と同じく全身を甲冑で覆ったトリウマ。
壮健な彼らの姿は幼い俺を魅了した。
だが直後に俺はさらに強烈な者を見た。
装甲騎兵の後に現れた豪華な馬車。
そこに彼女はいた。
俺より少し大人びて、なのにまるで全てを悟ったかのような目をする少女。俺は彼女に釘付けになった。
そしてフッと目が合った。
俺と目が合うと彼女は口元を弛め、寂しそうに微笑んだ。
俺はあの時の彼女の顔が忘れられなかった。
時が経ち、俺は装甲騎兵となった。トルメキア王国第三軍親衛隊。
第三軍の長たる彼女を守る為に剣を捧げる部隊。
そう、トルメキアの白い魔女と共に戦場を駆ける部隊。
俺は彼女にこの剣を捧げよう。
「我が身は殿下と共に」
兜を脇に抱え跪く。
「私と共に来い、ナギ」
そう言って殿下、トルメキア王国第四皇女クシャナはマントを翻して進んでいく。
俺も進んで行こう。地上を舞う風として白い魔女について行こう。
どこまでも・・・
俺はコルベットの窓から腐海を眺めていた。地表に小さく点々と見えるのは羽蟲の類いだろう。
・・・見慣れた景色だ。本当に・・・。
俺はトリウマでよくこの地を駆けた。蟲を怒らせて必死に逃げ回ったこともあった。
その時はあいつがよく助けてくれたっけ・・・
「どうした、ナギ?望郷の風に吹かれたか?」
俺をからかうのを楽しむような声が聞こえた。
このお方は・・・
「ご冗談を、殿下」
俺は頭を下げながら殿下、我が主であるトルメキア第四皇女クシャナに向き直った。船室の中央に設けられた玉座に座る彼女はからかうような目で俺を見ていた。
「嘘を言うな。風の谷がお前の故郷であることは知ってるのだ」
兜の下の俺の表情は苦笑しているだろう。全く殿下、あなたは分かって言っているだろ・・・
「ですが、今の私は殿下が全てです」
「ふん」
殿下は満足そうに鼻で笑って視線を俺から外した。俺も一礼して殿下から視線を外すと、同じ部隊の同僚達が兜の下から羨ましがる視線と嫉妬の視線が突き刺さった。
お前らどんだけ殿下が好きなんだよ・・・。俺もだけどさ。殿下の為に大陸をトリウマで横断してきましたけどなにか?トリウマと船を乗り継いで半年かかりましたけどなにか?
隣の奴が気持ち悪いような目で見てきたけど、気にしない気にしない。
「風の谷を視認した。およそ15分で到着する予定です」
観測員の報告が聞こえた。もうそんなに近づいていたのか・・・。
「ナギ。『蟲使い』共に準備をさせろ」
「はい」
早速の殿下の命令だ。俺は踵を返して操縦席から出ると、着ている装甲をガシャガシャと音をたててコルベットの後部へと向かった。そこには今回、コマンドとして雇った蟲使い達が待機しているのだ。
やれやれ、ろくなことにはならなさそうだ。
トルメキア王国第三軍親衛隊隊長、ナギ
とんだ帰郷になりそうで怖い。
どうも三笠と申します。
今回、見切り発車ですが始めさせていただきました
何故書こうかと思ったというと・・・
装甲騎兵(ボトムズじゃないよ)かっこいい!
と、思ったからです!それだけです!