ベクター?誰それ、俺真月   作:野球男

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こんにちは。
真月君vs瑠那 2となっております。

次にお前は
「これがやりたかっただけだろ」
という!


第75話

「俺のターン、ドロー‼」

 

…ダメだ。

今の俺の手札にはあのメリアスの木霊を破壊できるカードはおろか、ローズ・トークンの処理すらできない。

「…全てのローズ・トークンとアクベスを守備表示に変更‼ 2枚伏せてターンエンド‼」

 

真月 LP2850

手札 2

モンスター 4

セイクリッド・アクベス 守備

ローズ・トークン×3 守備

魔法・罠 2

⁇?×2

 

「フフフ…増え過ぎたローズ・トークンに手も足も出ないってところかしら? 私のターン、ドロー‼ あら…」

瑠那はドローカードを見て笑みを深めた。

…一体何をドローした?

 

「まずはメリアスの木霊の効果発動。ORUを1つ取り除き、デッキからフェニキシアン・クラスター・アマリリスを墓地に送るわ。そして、エネミー・コントローラーを発動‼」

 

エネミー・コントローラー

速攻魔法

以下の効果から1つを選択して発動できる

・相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択し、表示形式を変更する

・自分フィールド上のモンスター1体をリリースして発動できる

相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択し、エンドフェイズ時までコントロールを得る

 

「私はメリアスの木霊をリリースし、セイクリッド・アクベスのコントロールを貰うわ」

瑠那のフィールドに現れたコントローラーから伸びる入力端子がアクベスにささると、アクベスは守りの体制を解き、瑠那のフィールドに降り立った。

「零君、ローズ・トークンが邪魔なら私が消してあげる。セイクリッド・アクベスをリリース‼ ローズ・テンタクルスをアドバンス召喚‼」

 

ローズ・テンタクルス

☆6 地属性 植物族

ATK 2200

DFE 1200

このカードは特殊召喚できない

自分のバトルフェイズ開始時に相手フィールド上に表側表示で植物族モンスターが存在する場合、このターンこのカードは通常の攻撃に加えて、その植物族モンスターの数だけ攻撃する事ができる

このカードが戦闘によって植物族モンスターを破壊した場合、相手ライフに300ポイントダメージを与える

 

瑠那のフィールドにいたアクベスが消え去ると巨大な薔薇のモンスターが現れた。

ウネウネと葉を揺らす薔薇の花弁の根元には目のようなものがあり、それが不気味に輝いている。

「ブラック・ガーデンの効果発動」

 

ローズ・テンタクルス 2200→1100

 

「零君? ローズ・テンタクルスの効果はわかっているかしら? バトルフェイズ開始時の相手フィールドの植物族の数だけ通常攻撃に加えて攻撃できるのよ?」

「‼」

俺のフィールドにはローズ・トークンが4体。

ということはローズ・テンタクルスの攻撃は…5回⁉

 

「ローズ・テンタクルスで攻撃表示のローズ・トークンに攻撃‼ ソーン・ウィップ1‼」

「リバースカードオープン‼ ダメージ・ダイエット‼ このターン俺が受けるダメージは全て半分になる‼ ぐあっ‼」

 

真月 LP2850→2550

 

「フフ、ローズ・テンタクルスで守備表示のローズ・トークンに攻撃‼ ソーン・ウィップ2‼」

 

真月 LP2550→2400

 

「ソーン・ウィップ3‼」

 

真月 LP2400→2250

 

「ソーン・ウィップ4‼」

 

真月 LP2250→2100

 

「うっ、ぐっ…‼」

俺を襲うダメージに黙って耐える度、俺の身体はローズ・テンタクルスから伸びる触手に絡め取られていく。

もはやまともに動かすことができるのは顔と両手だけだ。

 

「フフフ…ローズ・テンタクルスで、ダイレクトアタック‼ラストソーン・ウィップ‼」

「ぐっ…‼」

 

真月 LP2100→1550

 

最後のしなる触手が俺を叩き、身体にグルグルと巻きつくと高く持ち上げられる。

まさか…‼

 

「ぐあっ‼」

勢いよく床へと叩きつけられ、視界が一瞬暗くなる。

「まだ私の攻撃は終わっていないわ‼ ギガプラントでダイレクトアタック‼」

ローズ・テンタクルスによって床に叩きつけられ身動きのとれないところへギガプラントの触手が振り下ろされる。

「がっ…‼」

ギガプラントの攻撃に俺は吹き飛ばされると壁に叩きつけられ、床に転がった。

 

真月 LP1550→950

 

「墓地のフェニキシアン・クラスター・アマリリスの効果発動‼ 墓地のメリアスの木霊を取り除いて特殊召喚する‼」

 

フェニキシアン・クラスター・アマリリス

☆8 炎属性 植物族

ATK 2200

DFE 0

このカードは「フェニキシアン・シード」またはこのカードの効果でしか特殊召喚できない

このカードは攻撃した場合、そのダメージ計算後に破壊される

自分フィールド上のこのカードが破壊され墓地へ送られた時、相手ライフに800ポイントダメージを与える

また、自分のエンドフェイズ時、このカード以外の自分の墓地の植物族モンスター1体をゲームから除外する事で、このカードを墓地から表側守備表示で特殊召喚する

 

瑠那のフィールドに巨大な彼岸花をモチーフにしたようなモンスターが現れた。

「ブラックガーデンの効果を受けるわ」

 

フェニキシアン・クラスター・アマリリス 2200→1100

 

「ターンエンドよ」

 

瑠那 LP3450

手札 3

モンスター 3

ローズ・テンタクルス 攻撃

ギガプラント 攻撃

フェニキシアン・クラスター・アマリリス 守備

魔法・罠 1

ブラック・ガーデン

 

「零君。痛い?苦しい? サレンダーしてもいいのよ? そうすれば、もう痛いことも苦しいことも無くなるわ」

「…俺のターン‼」

俺はデッキトップに指をかける。

 

「…そう、まだ諦めないのね?」

「ああ、諦めるにはまだ早い。ドロー‼」

ドローカードは…

 

「待っていたぞ‼ セイクリッド・ソンブレスを召喚し、効果発動‼ アクベスを取り除き、グレディを手札に加える‼ さらに、この効果を発動したターンセイクリッドと名のついたモンスターを1体召喚できる‼ 来い、セイクリッド・グレディ‼」

ソンブレスの隣に墓地から手札に加わったグレディが再び召喚される。

 

「そして、グレディの効果により来い‼ セイクリッド・カウスト‼」

俺のフィールドにもはや見慣れた3体のセイクリッドが揃った。

「ブラックガーデンの効果を受けてもらうわ」

 

セイクリッド・ソンブレス 1550→775

セイクリッド・カウスト 1800→900

セイクリッド・グレディ 1600→800

 

「セイクリッド・カウストの効果発動‼ ソンブレスとグレディのレベルを1つあげる‼」

 

セイクリッド・ソンブレス ☆4→5

セイクリッド・グレディ ☆4→5

 

「2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築‼エクシーズ召喚‼ 来い、セイクリッド・プレアデス‼」

俺のフィールドにいたグレディとカウストが球体となり、天高く昇り爆発が起こるとマントを翻し、見慣れた背と共にプレアデスが降り立った。

「プレアデス…でも当然、ブラック・ガーデンの影響を受けてもらうわよ」

 

セイクリッド・プレアデス 2500→1250

 

「でも攻撃力は充分だ‼ カウストでローズ・トークンを攻撃‼」

 

瑠那 LP3450→3350

 

「プレアデスでギガプラントを攻撃‼」

「きゃっ」

 

瑠那 LP3350→3300

 

「さらにプレアデスの効果発動‼ ORUを1つ取り除き、ローズ・テンタクルスを手札に戻す‼ 1枚伏せてターンエンド‼」

 

真月 LP950

手札 0

モンスター 2

セイクリッド・プレアデス 攻撃

セイクリッド・カウスト 攻撃

魔法・罠 1

⁇?

 

「…よし、ここから」

反撃だ、そう続けようとすると瑠那の口から笑い声が漏れてきた。

 

「流石、私が惚れただけあるわ。貴方は素晴らしいわ、零君」

顔を上げたその顔には張り付いたような笑みが浮かべている。

「だからこそ、解せない」

「?」

「だって、私より零君を理解できて、愛せる存在がいるわけがないもの」

「………」

 

…怖い。

今まで色々と危険なことや恐ろしいことに遭遇してきたが、今まさに感じている恐怖に比べれば、なんということはない気さえする。

 

瑠那はズレている。

 

人間、大なり小なりズレるものではある。

しかし、コレはそういったレベルで済む話ではない。

これは、人間をダメにする愛だ。

囚われてしまえば、底なし沼のように愛という沼にズブズブと沈んでいってしまう。

 

瑠那がこうなった背景にはおそらくベクターがいるはずだ。

 

ベクターに裏切られたからこそ、瑠那は一方的な愛を与えようとしているのだろう。

幸か不幸か、お鉢は俺に回ってきた。

ならば、俺が瑠那に教えてやるしかない。

そしてーー

 

「はぁ…」

 

…とりあえず、次ベクターを見たら殴ろう。




いかがでしたでしょうか?

今更ながらACAHをプレイ中。
空戦楽しい…んですが、それを言うと友人に変な顔される始末。
私がおかしいのかな?
それでは。

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