ベクター?誰それ、俺真月   作:野球男

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こんにちは。
お待たせの真月君のパートです。
十代ストラクTUEEEE‼ パーツ単位で見ても優秀なカードが多いとかどうしたKONAMIw
なんでも新作の映画もあるとか、遊戯王追い風きてますね!
…終末針虫は制限いきましたが。
それでは、どうぞ。


第71話

「お待たせ」

 

あの後、されるがままに頷いた俺は帰るや洋服ダンスを開き、服を片手に鏡の前で睨み合いを続けた。

おかげでやや寝不足だったりする。

 

「早いわね、零君」

「瑠那さんこそ。まだ約束した時間よりも早い」

俺が1人待ち合わせで待っていると瑠那が現れた。

黒のニーソックスを履き、全体的に白でまとめた彼女は制服の時とはまた違った良さを感じる。

 

「どうかしら?」

「よく似合ってるよ」

そう返すと瑠那は照れたようにはにかみ、俺の腕をとるとそのまま抱き寄せた。

布越しに感じる感触に気恥ずかしくなる。

 

「さ、それじゃあ行きましょう?」

そう言うと俺と瑠那は並んで、ハートランドシティの中枢にある遊園地へと向かうバスへと足を向けた。

 

「学校をサボって遊びに行くなんて、初めてでドキドキするわね」

「俺も初めてだよ」

一応、親族トラブルということで学校には押し切ったが…

流石に鉢合わせになるのは怖いな。

 

「楽しい1日になるといいわね」

「ああ」

瑠那の楽しげな言葉に俺もそう返す。

ホントにそうなるといいな。

 

 

遊園地は平日だが予想していたよりも人が多いようで、あちこちから楽しげな声が聞こえてくる。

「2人で遊園地に来るのも久しぶりね」

その言葉に頷こうとして、はたと止まった。

そうだったか? 俺はここに来たのは初めてだったと思うが…

 

「…ッ」

また、だ。

何かを思い出そうとすると、頭に鈍い痛みが走る。

この痛みはなんなんだ…?

俺は何を忘れて…

 

「零君?」

瑠那の言葉にハッとして顔をあげると瑠那がこちらを見ていた。

「どうかしたの?」

「え? あ、ああ…何から乗ろうかなって」

とっさにしては我ながら苦しい言い訳を瑠那に返すと瑠那はニコリとした。

 

「零君ってそういうところは子供っぽいのね」

誤魔化せた…のか? 瑠那の顔に変化は見られない辺り、なんとも言えないが。

 

「変かな?」

「そんなことないわ。零君って大人っぽいところがあるから意外だっただけ」

「あはは…」

もう頭痛は止んでいる。

昨日といい今といい、本当になんなのだろうか。

 

「さ、じゃあ零君。行きましょう? 時間はいっぱいあるわ」

「ああ、行こう」

俺は瑠那に手を引かれるままに園内を歩き出す。

…まあ、いいか。今は頭痛よりも瑠那との1日の方が重要だ。

 

 

「絶叫マシンはこれで制覇ね。結構楽しかったわ」

「瑠那さん悲鳴上げてたけど?」

「あ、あれは…仕方ないじゃない」

可愛らしくむくれる瑠那を見ながら、俺は先程から感じる座り心地の悪さのようなものに違和感を覚え始めている。

 

俺達がアトラクションに入ると何故か人がほとんどいないのだ。

そして、俺達が係員の指示に従い、シートに座るとすぐに何処から現れたのか、人が大勢やってくる。

 

一度目は「まあこんなこともあるか」と思った。

 

二度目は「まだ開園してからそんなに時間が経っていない」という瑠那の言葉に納得することにした。

 

三度目はもはや違和感しか感じられなかった。

 

何かがおかしい。

思い出そうとすると痛む頭と、おかしな遊園地…

俺達の知らないところで、何かが起こっているのか?

 

「っと…」

考え事をしていたせいか、向こうから歩いてくる男性に思いっきりぶつかってしまう。

 

「すみません」

慌てて男性に謝るも、男性は隣を歩く女性と喋りながら歩き去ってしまった。

 

気付かなかった…?

いや、そんなはずはない。

俺がよろけてしまうくらい強くぶつかったのだ。

気付かないわけがない。

いや、あれは気付かなかったというよりもーーー

 

「あら、もうこんな時間」

瑠那の声と共に聞こえてきた大時計の鐘の音にそちらを見ると時計が正午を示していた。

 

「…瑠那さん、フードコートに行こう」

そう言うと俺は瑠那の手を取り、薄ら寒い考えに至った思考を振り払うように歩き出す。

 

「今日は珍しいことばかりね。零君から手を繋ぐなんて」

「そうかな?」

「ええ。いつも手を繋ぐのは私からだから」

嬉しそうに声を弾ませる瑠那の声を聞きながら、俺は内側から湧き上がる動揺を隠すことに必死になっていた。

 

本当にどうかしている。

『まるでゲームに登場するNPCのようだ』などと、思ってしまうなんてーーー




いかがでしたでしょうか?

ラストに向けてのホラーっぽさが少しでも伝わればいいなぁと思ったり。
…いやまさか、操作ミスで投稿寸前で今話が消えるとは思わなかった。これがホラー((((;゚Д゚)))))))
それでは。

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