ベクター?誰それ、俺真月   作:野球男

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こんにちは。
遊星vs璃緒 5となっております。

伝説の決闘者のOCG事情 上半期
遊戯:決闘者の王国とDPで強化(今だと使いにくいのも多いけど総じて悪くはない)
十代:新ストラクとDPで強化(エクストラの枠がヤバイ)
遊星・遊馬:DPで微強化(遊馬はともかく、強化されたのは遊星よりもクロウ)
遊矢:今後に期待(私的には遊矢よりも権現坂が楽しみ)
この遊星と他の差は一体…

それでは、どうぞ。


第70話

「ーーー飛翔せよ、スターダスト・ドラゴン‼」

 

スターダスト・ドラゴン

☆8 風属性 ドラゴン族

ATK 2500

DFE 2000

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

「フィールド上のカードを破壊する効果」を持つ魔法・罠・効果モンスターの効果が発動した時、このカードをリリースして発動できる

その発動を無効にし破壊する

この効果を適用したターンのエンドフェイズ時、この効果を発動するためにリリースしたこのカードを墓地から特殊召喚できる

 

瞬間、私と彼の間にあった光が吹き飛び、純白のドラゴンが現れた。

儚く、美しいその嘶きに何処かで聞いたような感覚を受ける。

 

「…シンクロ召喚?」

聞き慣れない言葉にオウム返しに尋ねる。

「シンクロ召喚はエクシーズ召喚とは違い、チューナーモンスターとそれ以外のモンスターのレベルを足した合計値のモンスターをエクストラデッキから召喚する」

「そんな召喚方法があっただなんて…」

チューナーという表記のモンスターは見たことはある。

でも、シンクロ召喚だなんて、聞いたこともなかった。

そこまで確立しているなら、知れ渡っていても良さそうだけれど…

 

「団結の力を発動‼」

 

団結の力

装備魔法

装備モンスターの攻撃力・守備力は、自分フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体につき800ポイントアップする

 

「スターダスト・ドラゴンに装備する‼ 俺のフィールドに存在するモンスターは2体。よって攻撃力は1600ポイントアップ‼」

 

スターダスト・ドラゴン 2500→4100

 

「…‼」

攻撃力がリバイス・ドラゴンを上回った…‼

 

「いけ、スターダスト・ドラゴン‼ リバイス・ドラゴンに攻撃‼ 響け、シューティング・ソニック‼」

「…‼ まだよ、まだ負けるわけにはいかない‼ リバースカードオープン‼強制終了‼ リバイス・ドラゴンをリリースし、バトルを終了する‼」

フィールドにいたリバイス・ドラゴンがスターダストの音波に晒される直前で姿を消した。

対象を失った攻撃は私の脇を抜けていく。

 

「まだ終わらないわ。最後の最後まで私は諦めない‼」

「…俺はこれでターンエンドだ」

 

遊星 LP2200

手札 0

モンスター 2

スターダスト・ドラゴン 攻撃

スクラップ・ビースト 攻撃

魔法・罠 2

スクラップ・ファクトリー

団結の力(スターダスト・ドラゴン)

 

「私のターン、ドロー‼」

ドローカードはマジック・プランター。

自分フィールドの永続トラップを墓地に送り、2枚ドローする通常魔法。

…セットして乗り切る?

いえ、それはできない。

相手はとても強い決闘者。このままターンを回したとして、私が次ターンまで生き残れるとは思えない。

 

相手のフィールドには2体のモンスター。

こちらのフィールドは強制終了があるとはいえ、空。

ライフも残り僅かしかない状況で、引っ込むような私はもういない‼

 

「マジック・プランターを発動‼ 強制終了を墓地に送り、2枚ドローするわ‼」

 

…このドローに全てがかかっている。

お願い、この場をひっくり返す逆転のカードよ‼

 

「ドロー‼」

「‼ …ディスティニードロー…」

相手が何か小さな声で呟くも、私の耳には届かない。それどころじゃない。

ドローカードは…?

 

「来た‼ 私は忘却の都ーレミューリアを発動‼」

私が発動宣言をすると共に地響きが聞こえ、工場が流れ込む海水に飲み込まれ始めた。

やがて壁が海水に負け、崩れ落ちるとそこには荘厳な遺跡と暖かな陽射しがさす、穏やかな世界が広がっていた。

「さらに死者蘇生を発動‼ 蘇りなさい、大皇帝ペンギン‼」

 

私の声と共に開かれた穴から大きなペンギンが現れる。

「そして大皇帝ペンギンの効果発動‼ このカードをリリースし、デッキからペンギンと名のつくモンスターを特殊召喚する‼ 来なさい‼ ボルト・ペンギン、ペンギン・ナイト‼」

 

ペンギン・ナイト

☆3 水属性 水族

ATK 900

DFE 800

このカードが相手のカードの効果によってデッキから墓地へ送られた時、自分の墓地に存在するカードを全てデッキに戻してシャッフルする

 

私のフィールドに腕を電気ムチへと取り替えたベンギンと剣を握るペンギンが現れる。

「レミューリアの効果により、私のフィールドの水属性モンスターはエンドフェイズまで自分フィールドの水属性モンスターの数の合計分レベルが上がる‼ 私のフィールドの水属性は2体‼ よってレベルは2つ上がる‼」

 

ボルト・ペンギン ☆3→5

ペンギン・ナイト ☆3→5

 

これで逆転への準備は整った。

後はひた走るのみ‼

「2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築‼エクシーズ召喚‼ 来なさい、始祖の守護者ティラス‼」

 

私のフィールドにいたペンギンが球体となり、フィールドに開いた穴へ飛び込むと爆発が起こった。

爆煙の向こうから黄金色の翼を背から生やした1人の天使が現れる。

「いくわよ‼ ティラスでスクラップ・ビーストに攻撃‼」

「くっ…‼」

 

遊星 LP2200→1200

 

「バトルフェイズ終了時、ティラスの効果発動‼ 相手フィールドのカードを1枚破壊する‼ 私が選ぶのはスターダスト・ドラゴン‼」

そう宣言すると、ティラスが黄金色の羽をスターダストに向けて一斉に放った。

 

「スターダスト・ドラゴンの効果発動‼ このカードをリリースすることで、カードを破壊する効果を無効にし、破壊する‼ ヴィクテム・サンクチュアリ‼」

「なんですって…⁉」

「消えるのはお前だ‼」

スターダストが姿を消すと同時にそれまで飛んでいた羽が方向を変え、こちらへと飛んできた。

 

「ッ…‼ ティラスはORUがある限り、カード効果では破壊されない‼」

ティラスが剣と盾を振るうことで、羽を全てはたき落とした。

「ターンエンド‼ エンドフェイズ、ティラスはORUを1つ取り除く」

 

璃緒 LP600

手札 0

モンスター 1

始祖の守護者ティラス 攻撃

魔法・罠 1

忘却の都ーレミューリア

 

「スターダスト・ドラゴンの効果発動‼ 自身の効果で墓地に送られたターンのエンドフェイズ時、特殊召喚できる‼ 飛翔せよ、スターダスト・ドラゴン‼」

男のフィールドに墓地へと続く穴が開くとそこから再び純白のドラゴンが飛び出した。

何かあるとは思っていたけれど、リリースすることでカード破壊の無効に加えて、リリースしたターンに復活するだなんて…‼

 

「俺のターン‼」

そう叫びデッキトップに手をかける男の手に、うっすらと光が集まっているのが見える。

あの光は一体…?

 

「ドロー‼」

思いきりカードを引き、光がドローの軌跡を描く。

「スクラップ・キマイラを召喚し効果発動‼ 墓地からスクラップ・ビーストを特殊召喚する‼」

フィールドにチューナーモンスターとそれ以外のモンスターが並ぶ。

またシンクロ召喚? それともエクシーズ召喚?

 

「2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築‼エクシーズ召喚‼ 来い、鳥銃士カステル‼」

 

鳥銃士カステル

★4 風属性 鳥獣族

ATK 2000

DFE 1500

レベル4モンスター×2

「鳥銃士カステル」の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。

・このカードのX素材を1つ取り除き、フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる

そのモンスターを裏側守備表示にする

・このカードのX素材を2つ取り除き、このカード以外のフィールドの表側表示のカード1枚を対象として発動できる

そのカードを持ち主のデッキに戻す

 

男のフィールドで爆発が起こると、そこには片手にマスケット銃を銃口を上に向けた男が現れた。

 

「カステルの効果発動‼ ORUを2つ取り除き、相手のティラスをデッキに戻す‼」

その指示にORUは2つともマスケット銃に収められた。

その銃をカステルが構え、発砲するとティラスに直撃しフィールドから姿を消す。

 

これでフィールドはガラ空き。

手札と墓地にリカバリーのカードもない。

「いけ、スターダスト・ドラゴン‼ シューティング・ソニック‼」

「きゃあああああ‼」

 

璃緒 LP600→0

 

スターダスト・ドラゴンの口から放たれる白い攻撃の奔流に飲み込まれた。

決着の合図であるブザーが 鳴り響き、ARビジョンが消え去っていく。

 

「私の負け。 …強いわね」

「お前こそ。久しぶりにデッキと強い絆で結ばれた決闘者を見た」

そう言うと先程の人をおちょくるような笑みとは違う、柔らかい笑みを浮かべた。

少し気恥ずかしい。

「それで、零君を助けるキッカケを作ると言っていたけれど、どうやって?」

 

「こいつに頼る」

「スターダスト・ドラゴンに?」

そう言うとセットされたままのスターダスト・ドラゴンを私に見せた。

白いカードフレームの中に先程のドラゴンの姿が描かれている。

 

「エクシーズとは違うフレームなのね」

「ああ」

そう返事をすると男は零君のデッキを触り、1枚のカードを見せた。

 

「Sinスターダスト・ドラゴン?」

そこにはスターダスト・ドラゴンによく似たドラゴンがあった。

スターダスト・ドラゴンの嘶きに聞き覚えがあったのは、零君がこのドラゴンを使っていたからだったのね。

 

「さっきのデュエルで感じたスターダスト・ドラゴンの力がSinスターダスト・ドラゴンを通して真月へと伝われば、意識が戻るかもしれない」

 

「なるほど…」

この2枚のスターダスト・ドラゴンの力で零君の意識に働きかけるというわけね。

なら後は零君次第。

お願い、伝わって…‼




いかがでしたでしょうか?
ようやく今回も折り返しまで到達しました。
次回からは空気主人公の活躍なのでお楽しみに。

それでは。

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