ベクター?誰それ、俺真月   作:野球男

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こんにちは。
遊星vs璃緒 4となっております。

さあ、今再び飛翔せよ!
それでは、どうぞ。


第69話

「来なさい、No.17 リバイス・ドラゴン‼」

 

No.17 リバイス・ドラゴン

★3 水属性 ドラゴン族

ATK 2000

DFE 0

レベル3モンスター×2

1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除く事で、このカードの攻撃力を500ポイントアップする

このカードのエクシーズ素材が無い場合、このカードは相手プレイヤーに直接攻撃する事はできない

 

大きな眼球のような形態の一部から翼が伸びると、バラバラと下から解け、龍としての全景が露わになった。

右側の角には自身のナンバーである17の数字が書かれている。

 

「…ッ」

身体が熱を帯びたかのように熱い。

これがナンバーズの力…‼

こんな力を遊馬君や凌牙、零君は制御していただなんて…‼

 

 

 

『君にこのナンバーズを預ける』

「リバイス・ドラゴン…?」

 

『真月が倒れた今、真月を狙いバリアンが動く可能性はある。だが、私達は遺跡のナンバーズを探さなくてはならず、常に真月の側にいることはできない』

「………」

 

『だから、君にリバイス・ドラゴンを預けておく。君のデッキなら、生かすことのできる道があるはずだ』

「ありがとう、アストラル」

 

『だが、くれぐれも扱いには注意してほしい。ナンバーズは強力なカードだ。君の助けになることもあるだろう。だが、扱いを誤れば自身の身に危険を及ぼすことにも繋がる』

「…奥の手というわけね。肝に命じておくわ」

 

 

 

まさか、もう奥の手を切らなくてはいけなくなるとは思ってもいなかったけれど…

でも、この男は強い。

奥の手を温存させたまま、というわけにはいかない‼

 

「リバイス・ドラゴンの効果発動‼ ORUを1つ取り除き、攻撃力を500ポイントアップする‼」

 

No.17 リバイス・ドラゴン 2000→2500

 

「いきなさい、リバイス・ドラゴン‼ スクラップ・ビーストに攻撃‼」

「ぐっ…‼」

 

遊星 LP2900→2200

 

リバイス・ドラゴンの口から放たれた強力なブレスはスクラップ・ビーストを一瞬で破壊した。

「1枚伏せてターンエンド‼」

 

璃緒 LP600

手札 0

モンスター 1

No.17 リバイス・ドラゴン 攻撃

魔法・罠 1

⁇?

 

「それがお前の切り札か」

ドローカードを確認した男はふいに、私に顔を向け話しかけてきた。

 

「ええ。悔しいけれど、今の私じゃ貴方みたいに余裕をもってデュエルはできないみたいね」

そう言うと男は少し目を大きく開いた。

…何かしら、その反応は?

 

「それに、貴方についてわかったこともある」

「わかったこと?」

「貴方は泥棒じゃない」

 

私はこの目の前にいる男と数ターン交えただけだけれど、この男から感じるものはあった。

誰だったかがこんな言葉を残している。

 

『決闘者ならカードで語れ』

 

この言葉通り、この目の前にいる男はあまり口数が多そうではないが、しかしその分というか…カードでの語りは雄弁だ。

 

「貴方は何をしにここへ来たの?」

先程とは違い、心を落ち着かせると私は聞いた。

 

「…俺は真月を助けに来た」

「零君を…?」

助ける?

泥棒とはまた違ったインパクトに私はしばし黙り込んでしまう。

 

零君を助けに来た。

 

零君は今、ナンバーズに取り込まれてしまっている。

それは零君が1枚のナンバーズそのものと化してしまったということ。

そこから零君だけを助けることはアストラルにすらできなかった。

それをこの男が助ける?

 

「正確には助けるキッカケになるかもしれない、だ。俺と真月はある1枚のカードが結ぶ絆で繋がっている。少なくとも、俺はそう信じている。そのカードを通せば、上手くいけば助けるキッカケになるかもしれない」

 

キッカケ…

変わらず起き上がるかどうかは零君にかかっている。

でも…‼

 

「…信じてくれるか?」

「信じるわ。それで零君が意識を取り戻す可能性があるなら」

 

ナンバーズの専門家であるアストラルにすら不可能なことをこの男は可能性があるといった。

光明すらささない暗闇に朧げながらも光が灯った。

 

「そ、それで何をするの?」

「落ち着け」

そう言うと男は私を片手で制した。

そ、そうね。今はデュエル中。

落ち着かないと…ああ、でも。

 

「…真月はかなり愛されているみたいだな」

「え?」

「顔が綻んでいる」

そう言われ、窓ガラスを見ると口角が上がっていた。

慌てて口元を隠し、少し赤くなりながらも目線を相手に向けると小さく笑みを浮かべていた。

 

 

「俺のターン‼」

俺は彼女が何かを言おうとしているのを察し、デュエルへと戻ることにした。

…あの表情はアキがたまにしている。

あれはこちらがペースを握らなければ、そのまま文句を言う顔だ。

 

「ドロー‼」

ドローカードは…?

「…来たか」

どうやら条件を満たせるカードが来たようだ。

 

「スクラップ・ゴーレムの効果により、墓地のスクラップ・ビーストを特殊召喚する。再び蘇れ、スクラップ・ビースト‼」

そう言うとスクラップ・ゴーレムの冷蔵室が開かれスクラップ・ビーストが飛び出す。

 

「そしてスクラップ・ゴブリンを召喚」

俺のフィールドにはレベル5とレベル4、そしてレベル3のチューナーが1体ずつ。

…準備は整った。

 

「…俺は今からエクシーズとは異なる召喚を行う」

「異なる召喚?」

相手の訝しげな表情に頷いて返す。

 

「この方法は、今よりも少し前には当たり前のように行われていたが、とある事件を境に存在自体を闇に葬られた方法だ」

 

俺の脳裏に爆発する巨大なタワーのイメージがよぎる。

…ゼロ・リバース。

俺の両親も少なからず関わっていたらしい、未知のエネルギーの暴走による未曾有の大災害。

 

今なお、俺の中に朧げながらに残る記憶。俺のトラウマ。

…今でも、俺は何処かで迷っているのかもしれない。

俺はこの召喚を忘れないことで、過去を忘れないようにしているのかもしれない。

 

だが…今回は違う。

何の因果か、1枚のカードによる絆で紡がれた俺と真月の絆。

そして、彼女と真月の絆の為、俺は今再び召喚する‼

 

「…いくぞ‼ レベル5スクラップ・ゴーレムにレベル3スクラップ・ゴブリンをチューニング‼」

 

スクラップ・ゴブリンが空中へと飛び上がり光になると3つのチューニングリングへと姿を変える。

 

「集いし願いが、新たに輝く星となる。光さす道となれ‼」

 

3つ並んだチューニングリングにスクラップ・ゴーレムが入り、無色透明の線だけで形取られたスクラップ・ゴーレムの中心に5つの瞬きが見える。

 

「シンクロ召喚‼」

 

掛け声と共にチューニングリングの中を光が通り、スクラップ・ゴーレムの姿が消えた。

その光は俺のフィールドへと真っ直ぐに落ちる。

 

「ーーー飛翔せよ、スターダスト・ドラゴン‼」




いかがでしたでしょうか?
デュエルもいよいよ佳境です。
でもこれ、まだ1つ終わっただけなんだぜ?
ヒント:主人公

それでは。

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