ベクター?誰それ、俺真月   作:野球男

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こんにちは。
今回は真月側 2です。
ただいま遊星のデッキ作成中。バスターモードがシンクロモンスターと明記されていなければなぁと思うこの頃です。
Sinの登場を見越していたんなら、KONAMIマジ預言者。
いやまあ、ファントム・オブ・カオス対策でしょうけど。
それでは、どうぞ。


第64話

夕暮れにさしかかった時間帯、俺は瑠那と喫茶店に入った。

 

ストローで冷えたコーヒーを飲む瑠那の整った顔立ちになんとなく見惚れていると視線に気付いたのか、瑠那がこちらを見た。

 

「どうかしたの?」

「いや…」

まさか顔に見惚れていましたというわけにもいかないだろう。

何かないか…?

 

「あ、あー…いや、瑠那さんと付き合ってるっていう現実味が無くてさ」

「私と貴方はちゃんと付き合っているわよ。零君」

そう言うと瑠那は俺に笑みを向けた。

 

「私が不良に絡まれていた時にたまたま通りかかった零君が私を助けてくれたのよ」

そう言って瑠那はその時を思い出すかのように目を閉じ、もの思いにふけり始めた。

 

あれ…?

そうだった…か?

たしか、俺は絵の世界で助けに…ッ⁉

 

「零君⁉」

急な頭痛に俺が思わず頭を押さえると、それに気付いた瑠那が心配気な表情をして俺を見た。

 

「大丈夫⁉」

「あ、ああ…大丈夫だ」

あれだけ感じた頭の痛みがスッと消え去った。

…今の頭痛は一体…

 

「…出ましょう、零君」

「え?」

そう返すも瑠那は俺の手首を握り、歩き出した。

足を取られそうになるも、なんとか歩調を合わせ、歩き出す。

そのまま、しばらく歩くといつも通る土手に辿り着いた。

握らあれた手首はそのままに、並んで座る。

 

「零君」

「は、はい」

一言も喋らなかった瑠那が唐突に喋り始め、俺は思わず敬語で返す。

すると瑠那は流し目でこちらを見るとクスリとした。

「明日、遊園地に行きましょう?」

 

明日?

「いや、瑠那さん明日は平日じゃ」

「たまには息抜きしたって誰も文句は言わないわ。 …ダメ?」

 

………

 

「…わかった。瑠那さん、明日は遊園地に行こう」

瑠那の不安気な顔に溜め息を吐き、俺が折れる。

すると、瑠那は俺を抱きしめ、そのまま押し倒した。

 

「る、瑠那さん⁉」

俺よ顔の真横に瑠那の頬がある。

俺の胸板で瑠那の胸が潰れる。

俺の脚に瑠那が脚を絡めてくる。

瑠那が、まるでじゃれるように頬をすり寄せてくる。

 

こ、これは美味しい。

美人な女性が俺の恋人で、しかも身体を絡めるように抱きついてきたのだ。

これが美味しくなくてなんだというのか。

 

「瑠那さんは甘えん坊だ」

「いいの。零君にだけだから」

 

そう、たしかに美味しい。

…美味しい、はずだ。

しかし、俺は先程から喉に小骨が刺さったような、言いようのない違和感を感じている。

 

ほんの小さなものだ。

吹けば消えるロウソクのような小さく、朧げなものだ。

 

…俺の恋人はこんなに大きかったか?

 

胸とかそういう下世話な話ではない。

単純に背丈の話だ。

もっと小柄だったような気がするのだ。

 

瑠那は俺の彼女だ。

そこを疑ってはいない。

しかし、俺はどうにも収まりが悪く感じている。

何かズレているというか…そういう奇妙な感覚だ。

 

そう、ズレといえばもう1つある。

俺のデッキについてだ。

俺のデッキは【セイクリッド】だけだったか?

何か…そう、何かが足りない。

 

「零君」

「…何?」

「好きよ。大好き」

そう言うと一度顔を上げた瑠那は再び俺を抱きしめた。

俺はといえば、なおも耳元で続く愛の言葉を聞きされるがままだ。

 

…まあ、些細なことか。

瑠那が俺の彼女なのはきっと間違いないのだろうし。

デッキが無いかもしれないというのも、気のせいという気がしないでもない。

なにせハッキリしないのだから。

 

「………」

だから俺は、頭の片隅に残った違和感を取り敢えず他所へとやり、俺を抱きしめる瑠那の背中へと腕を伸ばした。

 

「好きよ。零君…大好き」

 

そう耳元で囁く瑠那の目が先程までのエメラルド色の輝きがなく、暗く濁っていることなど気付きもせずに。




いかがでしたでしょうか?
真月君メッチャ愛されてるゥー!(震え声)
…いやでも、ヤンデレって上手くコントロールできたらすごく尽くしてくれる恋人になると思うんですよ。
それでは。

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