ベクター?誰それ、俺真月   作:野球男

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こんにちは。
アストラルvsNo.96 3です。
したいことがありまして、先にこちらから話を進めることにしました。

最近他のネタがふと沸くという。
片手間に読み切りを2本も書いてしまいました。
まあ私は長編数本並行して、モチベーションを一定に保ちながら完結させられる程器用ではないので、やるとしても本作が終わってからになりますが。
よければそちらもどうぞ。


第58話

「アストラル‼」

 

 悩む私に上階から遊馬の声が聞こえてくる。

 その声には僅かながらに怒りが含まれている。

 

『‼ …遊馬』

「アストラル‼ 俺のことは気にするな‼ 俺のせいでお前が自分のデュエルができねぇっていうことの方が俺は辛い‼」

『遊馬…』

 なんということだろうか。

 遊馬は自分よりも私のデュエルを優先しろと言う。

 …遊馬の目には確固たる意思がある。

 どうやらその場の感情で、というわけではないらしい。

 

「だが、どうする? 遊馬君よォ。底の見えない床に囲まれ、後退もできねェ。しかも振り子の刃が動き回っているときた。命でも投げ出そうってかァ?」

 ベクターの嘲笑混じりの言葉と共に遊馬の前を鋭利な刃が通り過ぎる。

 そう、遊馬は後退も出来ず、かといって下手に動けば振り子の刃に当たる危険性もある。

 遊馬は一体何を…?

 

「誰がそんなことすっかよ‼ いくぜ‼ かっとビングだ、俺ぇ‼」

 そう言うと迫るギロチンに向けて遊馬が大きく跳び、そのまま支持部にしがみついた。

 

「なっ…⁉」

『何⁉』

 ベクターとNo.96が驚きに声を上げているのをよそに、遊馬は別の足場へと飛び移った。

 

「させるかよ‼」

 慌てたベクターが仕掛けを作動させ、遊馬の頭上に大きな岩が降ってくるも、遊馬はそこから別の足場へと飛び移り、私の後ろへ飛び降りた。

 

『遊馬、なんて危険な真似を…‼』

「こうでもしなきゃ、アストラルの邪魔になっちまうだろ? いけ、アストラル‼」

 

 …まったく…

 

『…ああ‼ ダメージステップ時、リバースカードオープン‼ 燃える闘志‼』

 

 燃える闘志

 通常罠

 発動後このカードは装備カードとなり、自分フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体に装備する

 元々の攻撃力よりも攻撃力が高いモンスターが相手フィールド上に存在する場合、装備モンスターの攻撃力はダメージステップの間、元々の攻撃力の倍になる

 

『このカードをホープに装備‼ ホープの攻撃力は元々の2倍になる‼』

 

 No.39 希望皇ホープ 1250→5000→3750

 

『何⁉』

『迎撃しろ、ホープ‼』

 熱く燃え上がるホープが剣を抜くと、そのまま跳躍しすれ違い様にブラック・ミストを切り裂いた。

 ベチャッという嫌な音と共にブラック・ミストが床に落ち、四散する。

 

 No.96 LP2200→1200

 No.39 希望皇ホープ 3750→1250

 

『くっ…‼』

『ナンバーズが破壊されたので、ナンバーズ・ウォールを破壊‼』

「へっ、どんなもんだ‼」

『…ジャッジ・バスターを攻撃表示に変更‼ さらに死者蘇生を発動‼ 蘇れ、我が分身‼ ブラック・ミスト』

 何…?

 私の視線の先では守りを固めていたジャッジ・バスターが立ち上がり、墓地へと続く穴からブラック・ミストが現れる。

『1枚伏せてターンエンド…‼』

 

 No.96 LP2200

 手札 0

 モンスター 1

 No.65 裁断魔人 ジャッジ・バスター 守備

 魔法・罠 1

 ⁇?

 

『私のターン』

 攻撃表示…どういうつもりだ?

 ジャッジ・バスターの攻撃力は1300。ブラック・ミストにいたってはたった100。

 現在のホープの攻撃力1250。ジャッジ・バスターが辛うじて勝ってはいるが、決して安心できる攻撃力ではない。

 …ともかく、まずはドローだ。

 

『ドロー‼』

 ドローカードは…ゴゴゴジャイアントか。

『私は希望皇ホープを対象にオーバーレイネットワークを再構築‼ カオスエクシーズチェンジ‼ 現れろ、CNo.39 希望皇ホープレイ‼』

 

 CNo.39 希望皇ホープレイ

 ★4 光属性 戦士族

 ATK 2500

 DFE 2000

 光属性レベル4モンスター×3

 このカードは自分フィールド上の「No.39 希望皇ホープ」の上にこのカードを重ねてエクシーズ召喚する事もできる

 自分のライフポイントが1000以下の場合、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除く事で、エンドフェイズ時までこのカードの攻撃力を500ポイントアップして相手フィールド上のモンスター1体の攻撃力を1000ポイントダウンする

 

 ホープが召喚前の姿に戻ると回転しながら空に開いた穴へと吸い込まれていくと爆発が起こり、何かが落ちてくる。

 落ちてきたソレは爆煙を散らし、黒く鋭い翼を伸ばし、シルバーメタリックな身体を見せ、姿を現した。

 

『ホープレイか…それで、どうするつもりだ?』

『…‼』

『いいんだぜ? 攻撃してきても。ジャッジ・バスターの攻撃力は僅か1300。ホープレイの2500には遥かに及ばない。破壊すれば大ダメージだ』

『………』

 …攻撃力の低い2体を攻撃表示。

 これは明らかに罠だ。

 手札に破壊系のカードが無い今、見え透いた手に乗るとホープレイを失うことになる。

 

『1枚伏せてターンエンド』

 

 アストラル LP3400

 手札 2

 モンスター 1

 CNo.39 希望皇ホープレイ 攻撃

 魔法・罠 1

 ⁇?

 

『じゃあ答え合わせといこうか‼ エンドフェイズ時、リバースカードオープン‼ 捨て身の宝札‼』

 

 捨て身の宝札

 通常罠

 自分フィールド上に表側攻撃表示で存在するモンスター2体以上の攻撃力の合計が、相手フィールド上に表側表示で存在する攻撃力が一番低いモンスターよりも低い場合、自分のデッキからカードを2枚ドローする

 このカードを発動するターン、自分はモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚する事ができず、表示形式を変更する事もできない

 

『なんだと…⁉』

 罠ではなかった…⁉

『俺のフィールドにいるモンスター2体の合計攻撃力は1400。対してホープレイは2500。よって俺は2枚ドローする‼ 残念だったな、アストラル。攻撃していれば勝っていたのになぁ』

 そう言うとNo.96は人を馬鹿にしたような笑みを浮かべた。

 くっ…たしかに、臆して慎重になった私のミスだ。

 

『俺のターン、ドロー‼ 貪欲な壺を発動‼ 墓地のモンスターを5枚デッキに戻しシャッフル‼ 2枚ドローする‼』

 

 戻すカード

 マリスボラス・ナイフ×2

 マリスボラス・スプーン

 マリスボラス・フォーク

 キラー・トマト

 

『2枚ドロー‼』

 そう言ったところでNo.96の顔の笑みが深くなった。

 ドローフェイズも合わせて、計5回のドロー…

『まさか…‼』

 あのカードを引いたのでは…‼

『そのまさかだ‼ カードをセット‼ そしてRUMーバリアンズ・フォースを発動‼』

 くっ、この場面で来るというのか…‼

 

『おっと、チェーンして連続魔法を発動‼』

 

 連続魔法

 速攻魔法

 自分の通常魔法発動時に発動する事ができる

 手札を全て墓地に捨てる

 このカードの効果はその通常魔法の効果と同じになる

 

『手札を捨て、連続魔法はバリアンズ・フォースへと姿を変える‼ 俺はジャッジ・バスターでオーバーレイネットワークを再構築‼ カオスエクシーズチェンジ‼ 現れろ、CNo.65‼ 数多の怨念をまといし裁きの魔王‼ 裁断魔王 ジャッジ・デビル‼』

 

 CNo.65 裁断魔王ジャッジ・デビル

 ★3 闇属性 悪魔族

 ATK 1600

 DFE 0

 闇属性レベル3モンスター×3

 1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除き、相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して発動できる

 選択したモンスターの攻撃力・守備力を1000ポイントダウンする

 また、このカードが「No.65 裁断魔人 ジャッジ・バスター」をエクシーズ素材としている場合、以下の効果を得る

 ・このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、相手フィールド上の効果モンスターは効果を発動できない

 

 ジャッジ・バスターが大きく跳躍すると暗い光が放たれる。

 私達が目元を覆い、光が止むのを待つとそこには片手に大鎌を持ち、もう片手にはジャッジ・バスターの名残である刃をギラつかせ深紫の上着を羽織ったモンスターが立っていた。

 

『バリアンズ・フォースの効果により、ホープレイのORUを1つ貰う‼』

 くっ、ホープレイのユニットが…‼

 

『まだだ‼ バリアンズ・フォースとなった連続魔法の効果により、俺はブラック・ミストでオーバーレイネットワークを再構築‼ カオスエクシーズチェンジ‼ 現れろ、CNo.96‼ 混沌なる嵐を巻き起こし、今ここに舞い降りよ‼ ブラック・ストーム‼』

 

 CNo.96 ブラック・ストーム

 ★3 闇属性 悪魔族

 ATK 1000

 DFE 1000

 闇属性レベル3モンスター×4

 このカードは戦闘では破壊されず、このカードの戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは相手も受ける

 また、このカードが「No.96 ブラック・ミスト」をエクシーズ素材としている場合、以下の効果を得る

 このカードが相手モンスターと戦闘を行う攻撃宣言時に1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる

 その相手モンスターの攻撃力を0にし、このカードの攻撃力はその相手モンスターの元々の攻撃力分アップする

 

 闇色の球体となったブラック・ミストに6つの炎が灯ると、腕や足が伸び、それはそのまま二足歩行の姿から四足歩行へと形を変える。

 元の暗い闇色から濁ったような闇色へと色が変わると尾を動かしながらこちらへと顔らしきものを向けた。

 

『うおおおおおおお‼』

 

 No.96の叫びが聞こえ、そちらを見るとNo.96から異様なまでの力を感じる。

 迸る紅い光がNo.96へと注ぎ込まれると、私を形どった姿に筋肉が盛り上がり共に背中に翼が生え、顔を除き、元の姿がわからない程にがっしりとした姿へと変貌を遂げた。




いかがでしたでしょうか?
アストラルは明らかな罠には除去できなければ踏み込まないイメージ。
まあ堅実なプレイングをするということでもありますが。

No.96のデュエルマッスル化による1番酷いところは綺麗な顔を保ったままなったところ。
どうせやるならマリク→6歳くらいの変化をつけようぜ。
それでは。

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