ベクター?誰それ、俺真月   作:野球男

52 / 161
こんにちは。
狂戦士の魂のコレジャナイ性能にガッカリしてます。
いやまあアニメのままだと【狂戦士ワンキル】で時代を1つ築けてしまうんですが。
アニメ効果はTFでやっとけということなんですかね。
それでは、どうぞ。


第52話

「はぁ…」

 

本調子とはいかないが、なんとか落ち着いてきたようだ。

遊馬達は大丈夫だろうか…?

 

「真月君、大丈夫?」

「ああ…ありがとう。まだ本調子じゃないが、さっきよりは大分マシになった」

「そう…良かった」

そう言うと小鳥は顔をほころばせた。

 

それにしても…あの声は本当にベクターの仕掛けた罠なのか?

たしかに、ベクターならやりかねないような悪質なものではあった。

けど、サルガッソでの計画のバラしからわかるように、ベクターの策は決して雑なものではない。

下準備に時間をかけ、万に一つの漏れもないよう入念に行っている。

そんなベクターが、着いた時にかすかに聞こえた声もそうだが、璃緒にも聞こえるようなトラップを仕掛けるか?

 

「あれ?」

そう呟く小鳥に意識をやると小鳥がポケットを触っていた。

 

「どうした?」

「ハンカチを落としたみたい」

「ハンカチを?」

「さっきまではあったから、多分近くにあると思う。ちょっと探してくるわね、真月君」

そう言うと小鳥は立ち上がった。

 

「なら、俺も」

「真月君は動いちゃダメ」

「でも、一緒に探した方が」

「真月君はまだ調子が悪いんだから。大丈夫。近くを探すだけだから」

小鳥もあれで頑固な一面がある。

…仕方ないか。

 

「わかった。でも、あまり遠くへは行かない方がいい」

「ええ。すぐ戻るわ」

そう言うと小鳥は1人、来た道を戻って行った。

 

 

「あ、あったあった」

小鳥がウロウロしながら探していると、木の影にハンカチの端が見えた。

「良かった、見付かって…あら?」

 

ハンカチを拾うと、ハンカチの中から裏返しになった1枚のカードが落ちてくる。

「カード? 私、何か挟んでいたかしら?」

そう呟きながら、拾うと裏返した。

「怨念集合体…?」

 

怨念集合体

☆2 闇属性 悪魔族

ATK 900

DFE 200

恨みを持って死んでいった人の意識が集まってできた悪霊

人を襲いその意識をとりこんで巨大化していく

 

カードの絵柄には、叫び声を上げる悪霊の姿が描かれている。

「私、こんなカード持っていた覚えは…」

そう小鳥が呟いた瞬間

 

ー身体、借…‼ー

 

そう言う声が小鳥の耳に聞こえると抵抗するような間もなく、意識が急速に遠退いていった。

 

 

階段を降り切った俺達の前に現れた広間と6つの階段を前に俺達は立ち止まった。

これは…

「6つの階段…どれか1つが正解で後はフェイクってところかしら?」

「だろうな」

 

当然そうなる。

問題はどの道に進むか、だが…

今回は別れるわけにはいかねぇ。

「こういう時はこうするに限るぜ」

そう言うと遊馬はDゲイザーとDパッドを起動させ、何か操作し始めた。

俺と璃緒もDゲイザーを起動させると、視界に大きなサイコロが映し出される。

6つの階段の上にはそれぞれ、1〜6が割り振られていた。

…っておい、まさか

「それで決めるつもりか?」

「ああ。ここでこうやってたって先に進めねぇ。なら、丁度6つあるし運試しだ」

 

…まあ、たしかにここでこうするよりはマシかもしれねぇ。

璃緒も何も言わないってことは文句がないということだろう。

 

「よし、いくぜ‼ ダイスロール‼」

そう遊馬が言うとサイコロが回転しながら宙へと舞い、床に落ちると転がりやがて『4』が出たところで止まった。

 

『4が出たな』

「よし‼ じゃあ行こうぜ」

そう言いDゲイザーとDパッドを片付けると、遊馬とアストラルは歩き出した。

俺達も後を追って歩き出す。

 

「…この道、やけに広くないかしら?」

「…たしかに」

人が通るにしてはやけに幅が広く感じる。

すれ違えるよう…って感じでもないだろう。

微かに、壁に擦れた跡のようなものがある。

…嫌な予感がする。

 

そんなことを考えながら歩いていると踏み出した遊馬の足場がガクンと下がった。

後方でドスンという大きな音も聞こえ、広間から照らされていた光が遮られる。

…まさか

 

そう考えながら振り向くと大きな岩が転がりながらこちらに迫ってきた。

「やっぱりトラップか…‼」

「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ‼」

「逃げろォ‼」

 

そう言うと俺達は階段を一直線に駆け下り始めた。

追いかけっこのまま進むと壁が見えてくる。

ハズレのルートだったらしい。

 

「おい、行き止まりだぞ‼」

「何処かに抜け穴とかはないの⁉」

「そんなもんあるわけが…」

「あった‼」

そう遊馬が声を上げ、見ると大きな抜け穴があった。

…あるのかよ。

 

俺達が飛び込んだ直後、岩が壁にぶつかった。

「なんとかかわせたみたいね」

「…とにかく、元来た道を戻って別の道を行くぞ。遊馬」

「ああ。じゃあすぐに」

そう言いながら遊馬が壁に手をやった瞬間、今度は壁はめり込んだ。

 

「え…?」

「なっ…⁉」

「まさか…⁉」

 

遊馬が慌てて手を放したが遅かったらしく、床に穴が開くとそのまま俺達は落下していった。




いかがでしたでしょうか?
余談ですが、遺跡篇終わったら何かやろうかなと思っています。
まあまだ先は長いですが。
それでは。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。