ベクター?誰それ、俺真月   作:野球男

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こんにちは。
十代ストラクの宣伝眺めていたらテイクオーバー5らしきものが。

テイクオーバー5(アニメオリジナルカード)
通常魔法
このカードは以下の効果を持つ。
・このカードを発動した時、デッキからカードを5枚墓地に送る。
・このカードが墓地に存在する時、このカードを除外することで1枚ドローする。
このカードの効果は1ターンに1つずつしか使用できない。

アドしかないんだが。
それでは、どうぞ。


第48話

「遊城、十代…」

 

 遊城十代

 遊戯王シリーズ第2作「遊戯王GX」の主人公。

 他の寮よりも格段に冷遇されているオシリスレッドにやってきた底抜けに明るいデュエル馬鹿。

 破滅の光やユベル等、様々な道中で一度は自分のデュエルを見失うも、最後には「楽しむもの」というデュエルの本質を思い出した。

 

「零君?」

「あ、ああ…悪い」

 璃緒の声に現実に引き戻された。

 マッハはかつてここに訪れた決闘者の再現をしていると言っていた。

 ということは、かつて遊城十代はここに訪れたことがあるということになる。

 

 一応、学校での歴史や余暇のネットサーフィンで、デュエルアカデミアと呼ばれる施設があったことや、万丈目準、エド・フェニックスといったプロ決闘者達がいることを調べたりもしたが…

 

「璃緒さん」

「何かしら?」

「最後のデュエル、俺に任せてもらえないか?」

 気付けば俺は、内側から震え上がる想いをそのまま、璃緒さんに伝えていた。

 

「…零君、ひょっとして目の前のあの男を知っているの?」

「ああ。俺の…憧れの人なんだ」

 俺は今、湧き出るワクワクを止められそうにない。

 

 なにしろ、遊城十代。

 彼を知る決闘者なら、誰しも

 

「一度は向き合ってデュエルをしてみたい」

「自分の可能性を試してみたい」

 

 こう思っても不思議ではないはずだ。

「…じゃあ零君、任せるわ」

 少し黙っていた璃緒が俺にそう告げる。

「ありがとう、璃緒さん」

「ただし‼ 必ず勝って」

「勿論」

 

 いくら相手が、知る人ぞ知る、伝説の決闘者遊城十代だったとしても、俺達も負けるわけにはいかない。

 俺達の勝敗が、そのままシャーク達の生死へと繋がってくるのだ。

 

 俺が一歩前に踏み出すと、俺の腕にそれまでとは形の違う、十代の使っているデュエルディスクと同じ形のデュエルディスクが現れた。

 手札とモンスター、魔法・罠が現れる。

 

 十代 LP1600

 残りデッキ枚数 10

 手札 2

 モンスター 2

 E・HERO ネオス 攻撃

 E・HERO シャイニング・フレア・ウィングマン 攻撃

 魔法・罠 4

 ⁇?×4

 墓地 7

 E・HERO 6体

 ミラクル・フュージョン

 除外 2

 E・HERO フレイム・ウィングマン

 E・HERO スパークマン

 EX 0

 

 真月 LP500

 デッキ残り枚数 0

 手札 5

 モンスター 3

 暗黒魔族ギルファー・デーモン 攻撃

 カオス・マジシャン 攻撃

 サイバー・ヴァリー 攻撃

 魔法・罠 2

 ⁇?×2

 墓地 4

 ダークゾーン

 ブラック・マジシャン

 ブラック・マジシャン・ガール

 クリボー

 除外0

 EX 3

 幻想の黒魔導師

 マジマジ☆マジシャンギャル

 ガントレット・シューター

 

 このターン中に勝利せよ

 

 俺の手札は闇紅の魔導師と終焉の地、闇の誘惑、機雷化、疾風の暗黒騎士ガイア。

 リバースは転生の予言と次元誘爆。

 …なんか、十代を意識したのか随分と武藤遊戯を意識したカードが多い気がするが…まあいい。

 

 十代の手札はハネクリボーにE・HERO エッジマン。

 リバースは禁じられた聖衣、闇の呪縛、ヒーロー逆襲、ヒーローバリア!か。

 

 墓地にE・HEROが6体いるのか…なら、シャイニング・フレア・ウィングマンの攻撃力は4300といったところだな。

 

 E・HERO シャイニング・フレア・ウィングマン 2500→4300

 

 さて、どうする。

 なんの躊躇いもなく進むなら、ヴァリーをリリースし、闇紅の魔導師をアドバンス召喚。

 その後、ギルファー・デーモンとカオス・マジシャンか闇赤の魔導師でガントレット・シューターをエクシーズ。

 ガントレット・シューターの効果でシャイニング・フレア・ウィングマンを破壊する…と、言いたいところだが、禁じられた聖衣がそうはさせてくれない。

 仮に通っても、攻撃に対して闇の呪縛やヒーローバリア!があるし、それをかわしてネオスを破壊しても今度はヒーロー逆襲が待っている。

 ハネクリボーが手札に残ればいいが、十代である以上そんなことが起こるとは思えない。

 

 それにしても、終焉の地に闇の誘惑…

 なんとなくだが、この2枚の動かし方がキーになる予感がする。

 

 しかし、闇の誘惑は転生の予言に使えるが…ドローしたところで手札に集まるのはブラック・マジシャン・ガールかクリボー、もしくはブラック・マジシャン。

 この状況で使い道があるとは思えない。

 終焉の地も、サイバー・ヴァリーがいればダークゾーンをなんとかできる。

 攻撃力500アップは中々大きい。

 しかし、どちらにせよリバースカードを越えないことには…

 

 ん? そういえばEXの2体、ブラック・マジシャン、ブラック・マジシャン・ガールに似ているような…?

 そんなことを考えながら、効果に目をやったところで、自分の中で何かがピッタリとハマるのを感じた。

 

 これなら、なんとかなるはずだ。

 だとするなら、まず俺がしないといけないことは…

 

「転生の予言を発動‼」

 

 転生の予言(制限カード)

 通常罠

 お互いの墓地のカードを合計2枚選択して発動できる

 選択したカードを持ち主のデッキに戻す

 

「俺はブラック・マジシャンとブラック・マジシャン・ガールをデッキに戻す‼ そして、闇の誘惑を発動‼」

 

 闇の誘惑(制限カード)

 通常魔法

 デッキからカードを2枚ドローし、その後手札の闇属性モンスター1体を選んでゲームから除外する

 手札に闇属性モンスターが無い場合、手札を全て墓地へ送る

 

「2枚ドローし、ブラック・マジシャン・ガールを除外する‼ そして、サイバー・ヴァリーの効果発動‼」

 

 サイバー・ヴァリー

 ☆1 光属性 機械族

 ATK 0

 DFE 0

 以下の効果から1つを選択して発動できる。

 ・このカードが相手モンスターの攻撃対象に選択された時、このカードを除外して発動できる

 デッキからカードを1枚ドローし、バトルフェイズを終了する

 ・自分のメインフェイズ時に発動できる

 このカードと自分フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して除外し、その後デッキからカードを2枚ドローする

 ・自分のメインフェイズ時に、自分の墓地のカード1枚を選択して発動できる

 このカードと手札1枚を除外し、その後選択したカードをデッキの一番上に戻す

 

「俺は手札の機雷化とサイバー・ヴァリーを除外し、墓地のダークゾーンをデッキに戻す‼」

 これで俺のデッキはダークゾーン1枚。

 これでいい。

「ギルファー・デーモンをリリースし、闇紅の魔導師をアドバンス召喚‼」

 

 闇紅の魔導師

 ☆6 闇属性 魔法使い族

 ATK 1700

 DFE 2200

 このカードが召喚に成功した時、このカードに魔力カウンターを2つ置く

 このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、自分または相手が魔法カードを発動する度に、このカードに魔力カウンターを1つ置く

 このカードに乗っている魔力カウンター1つにつき、このカードの攻撃力は300ポイントアップする

 1ターンに1度、このカードに乗っている魔力カウンターを2つ取り除く事で、相手の手札をランダムに1枚捨てる

 

 俺のフィールドにいた悪魔が消え去り、ダークレッドの服を着た片手に杖を持つ男が現れた。

 金の被り物を目深に被り、目を隠してしまっており、どのような感情がこもっているのかはわからない。

「闇紅の魔導師の効果発動‼ 召喚成功時、魔力カウンターが2つ乗る‼」

 

 闇紅の魔導師 1700→2300

 魔力カウンター 0→2

 

「そして、闇紅の魔導師の効果発動‼ カウンターを2つ取り除き、相手のカードをランダムに1枚墓地に送る‼」

 そう言うと闇紅の魔導師の杖から赤い光線が飛び、十代の手札を1枚吹き飛ばした。

「俺の相棒を奪うか…やるな」

 そう言いつつも、十代は何処か楽しげにこちらを見ている。

 

 落ちたのはハネクリボーか。

 …どちらでもよかったが、やはり落とすならエッジマンの方が良かった。

 恐るべし、十代の運。

 まあいい、フィールドに魔法使いを2体揃えるという目的は達した。

 

「2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築‼エクシーズ召喚‼ 来い、マジマジ☆マジシャンギャル‼」

 

 マジマジ☆マジシャンギャル

 ★6 闇属性 魔法使い族

 ATK 2400

 DFE 2000

 魔法使い族レベル6モンスター×2

 1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除き、手札を1枚ゲームから除外して以下の効果から1つを選択して発動できる

 ・相手フィールド上のモンスター1体を選択し、このターンのエンドフェイズ時までコントロールを得る

 ・相手の墓地のモンスター1体を選択し、自分フィールド上に特殊召喚する

 

 2体のモンスターが球体となり、爆発が起こると全体的にブラック・マジシャン・ガールの衣服を黒くした、ブラック・マジシャン・ガールよりも色っぽさのある女性が現れた。

「マジシャンギャルの効果発動‼ ORUを1つ取り除き、手札の疾風の暗黒騎士ガイアを除外‼ このターン、相手フィールドのモンスター1体のコントロールを得る‼ 来い、シャイニング・フレア・ウィングマン‼」

 そう言うとマジシャンギャルが周囲を回るユニットの1つを杖に吸い込み、シャイニング・フレア・ウィングマンに振りかざした。

 すると、シャイニング・フレア・ウィングマンはフラフラと、操られるままに十代のフィールドを離れる。

 

「シャイニング・フレア・ウィングマン‼」

 さしもの十代も、これには意表を突かれたのか、驚きに声を上げる。

「シャイニング・フレア・ウィングマンの攻撃力は元の数値に戻る‼」

 

 E・HERO シャイニング・フレア・ウィングマン 4300→2500

 

「そして、マジシャンギャルを対象にオーバーレイネットワークを構築‼ 来い、幻想の黒魔導師‼」

 

 幻想の黒魔導師

 ★7 闇属性 魔法使い族

 ATK 2500

 DFE 2100

 レベル7モンスター×2

 このカードは自分フィールド上の魔法使い族・ランク6のエクシーズモンスターの上にこのカードを重ねてエクシーズ召喚する事もできる

 1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる

 手札・デッキから魔法使い族の通常モンスター1体を特殊召喚する

 また、魔法使い族の通常モンスターの攻撃宣言時、相手フィールド上のカード1枚を選択して発動できる

 選択したカードをゲームから除外する

「幻想の黒魔導師」のこの効果は1ターンに1度しか使用できない

 

 俺のフィールドに褐色肌のくるぶし辺りまである長い髪を振り乱しながら杖を振り回し、魔法使いが現れた。

「幻想の黒魔導師の効果発動‼ ORUを1つ取り除き、手札から魔法使い族通常モンスターを特殊召喚する‼ 現れろ、最強の魔術師‼ ブラック・マジシャン‼」

 

 ブラック・マジシャン

 ☆7 闇属性 魔法使い族

 ATK 2500

 DFE 2100

 魔法使いとしては、攻撃力・守備力ともに最高クラス

 

「ブラック・マジシャン‼ あの時以来だな。燃えてきたぜ‼」

 十代はそう言って楽しげに漏らした。

 俺も吊られて笑みを浮かべる。

 十代や遊馬ではないが、俺もワクワクしてきた。

 

「さあ、いくぞ‼」

「おっと、バトルフェイズ開始前にリバースカードオープン、禁じられた聖衣‼」

 

 

 禁じられた聖衣

 速攻魔法

 フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して発動できる

 エンドフェイズ時まで、選択したモンスターは攻撃力が600ポイントダウンし、カードの効果の対象にならず、カードの効果では破壊されない

 

「ネオスを選択し、ネオスは効果の対象にならない‼ 除外はさせないぜ‼」

 

 E・HERO ネオス 2500→1900

 

 だろうな、まずはそうくるだろう。

「シャイニング・フレア・ウィングマンでネオスに攻撃‼ 消え去れ、ネオス‼」

「そうはいかねぇ‼ リバースカードオープン、ヒーローバリア!」

 

 ヒーローバリア!

 通常罠

 自分フィールド上に「E・HERO」と名のついたモンスターが表側表示で存在する場合、相手モンスターの攻撃を1度だけ無効にする

 

 シャイニング・フレア・ウィングマンの固めた拳がネオスに当たる目前で現れた盾に阻まれた。

 しかし、それは見越していたこと。

「なら、ブラック・マジシャンで攻撃‼」

「それもさせない‼ リバースカードオープン、闇の呪縛‼」

 

 闇の呪縛

 永続罠

 相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象としてこのカードを発動できる

 そのモンスターの攻撃力は700ダウンし、攻撃できず、表示形式の変更もできない

 そのモンスターがフィールドから離れた時にこのカードは破壊される

 

 杖に力を込めていたブラック・マジシャンを鎖が縛り上げる。

 

 ブラック・マジシャン 2500→1800

 

「…ッ‼」

 わかっていたとはいえ、攻撃が通らないのは流石に堪える。

 しかし、これで防御カードは全て使わせた。

 

「幻想の黒魔導師で攻撃‼」

 幻想の黒魔導師が放った魔術は今度こそネオスに直撃し、破壊された。

 

 十代 LP1600→900

 

「くっ…やるな‼ リバースカードオープン、ヒーロー逆襲‼」

 

 ヒーロー逆襲

 通常罠

 自分フィールド上に存在す「E・HERO」と名のついたモンスターが戦闘によって破壊された時に発動する事ができる

 自分の手札から相手はカード1枚をランダムに選択する

 それが「E・HERO」と名のついたモンスターカードだった場合、相手フィールド上のモンスター1体を破壊し、選択したカードを自分フィールド上に特殊召喚する

 

「手札をランダムに1枚選んでそれがE・HEROなら特殊召喚する‼ といっても、俺の手札はこれ1枚だけどな。俺の手札にあるカードはエッジマンだ‼ よって、俺はシャイニング・フレア・ウィングマンを破壊し、エッジマンを特殊召喚する‼ 俺のヒーローは返してもらうぜ‼」

 

「させるか‼ リバースカードオープン、次元誘爆‼」

 

 次元誘爆

 速攻魔法

 自分フィールド上に表側表示で存在する融合モンスター1体を融合デッキに戻す事で発動する事ができる

 お互いにゲームから除外されているモンスターを2体まで選択し、それぞれのフィールド上に特殊召喚する

 

「そのカードはカイザーの使った…⁉」

「シャイニング・フレア・ウィングマンをエクストラデッキに戻し、除外されている互いのモンスターをそれぞれ2体まで特殊召喚する‼ 来い、ブラック・マジシャン・ガール‼ サイバー・ヴァリー‼」

 

 ブラック・マジシャン・ガール

 ☆6 闇属性 魔法使い族

 ATK 2000

 DFE 1700

 このカードの攻撃力は、お互いの墓地の「ブラック・マジシャン」

「マジシャン・オブ・ブラックカオス」の数×300ポイントアップする

 

 俺のフィールドにブラック・マジシャンとブラック・マジシャン・ガール。

 初代決闘王武藤遊戯の愛用する2体が並び、形容し難い感覚に包まれた。

 ソリッドヴィジョン越しに伝わる力の感覚に鳥肌が立つ。

 

「ブラック・マジシャンにブラック・マジシャン・ガール…‼ すげぇ、遊戯さん以外で使いこなせる奴がいたなんて」

 十代がまるで子供のように瞳をキラキラさせながらそんなことを言う。

 …なんというか

「本当にデュエル馬鹿、なんだな」

 十代の様子を見ると、そんなことを思わせられる。

 だからこそ、十代のデュエルに人は魅了させられ、ワクワクさせられるのだろうが。

 

「俺の除外ゾーンにはフレイム・ウィングマンとスパークマンがいる。でも、フレイム・ウィングマンは融合でしか召喚できないモンスターだ。よって、スパークマンを特殊召喚する。来い、スパークマン‼」

 十代のフィールドに青いフルフェイスをかぶった、青と黄色を基調とした戦士が現れた。

 

「シャイニング・フレア・ウィングマンがいなくなったことで破壊はできなくなったが、特殊召喚はできる‼ 来い、エッジマン‼」

 十代のフィールドにエッジマンが現れた。

 そのままファイティングポーズをとる。

 

「それを待っていた‼ 終焉の地を発動‼」

 

 終焉の地

 速攻魔法

 相手がモンスターの特殊召喚に成功した時に発動する事ができる

 自分のデッキからフィールド魔法カードを1枚選択して発動する

 

「俺はデッキからダークゾーンを選択し、発動する‼」

 

 ダークゾーン

 フィールド魔法

 フィールド上に表側表示で存在する闇属性モンスターの攻撃力は500ポイントアップし、守備力は400ポイントダウンする

 

 周囲が遺跡から時折稲光の起こる紫色の雲が立ち込める曇り空へと変化した。

 

 幻想の黒魔導師

 2500→3000

 2100→1700

 

 ブラック・マジシャン

 1800→2200

 2100→1700

 

 ブラック・マジシャン・ガール

 2000→2500

 1700→1300

 

「いけ、ブラック・マジシャン・ガール‼ スパークマンに攻撃‼」

 

 十代 LP900→0

 

「勝った…」

 情報アドバンテージがあり、展開が読めたからこそ勝利できたといった印象だ。

 もし、リバースがわからないという状態なら、今頃おっかなびっくりにデュエルをしていただろう。

 

「あーあ、負けちまったか。強いな、お前」

「貴方こそ。とても強かったです、十代さん」

 そう返すと十代はフッと表情を緩めた。

「ガッチャ‼ 最高に楽しいデュエルだったぜ」

 そう言って俺に中指と人差し指を向けると、十代は消え去った。

 

「ガッチャ、か」

「お疲れ様、零君」

 そう言いながら璃緒が近付いてくる。

「とても強そうな決闘者だったわね」

「璃緒さん知らないのか? 伝説の決闘者の1人だ」

「伝説の決闘者⁉」

「ああ」

 驚く璃緒に俺は頷いて返す。

 まあ、十代は遊戯みたいな記録に残る派手な戦績は無いみたいだし、仕方ないか。

 

 しかし…十代を相手にしたとして、俺は勝てるだろうか。

 …ダメだな。いいところまではいけるかもしれないが、最後の最後に巻き返されそうだ。

 十代に勝つ決闘者なんて、それこそ遊戯や遊星くらいの伝説の決闘者レベルにでもならなけりゃダメなんじゃないか?

 少なくとも、俺や今の遊馬では歯が立たないだろう。

 

 そうやって喋っていると奥に続く道が開いた。

「開いたわね」

「行こう、璃緒さん」

「ええ」

 そう言うと俺達は奥へと歩き出し、しかし出口で俺は立ち止まり振り向いた。

 

「ガッチャ、次は普通にデュエルをしたいな」

 そう言って俺も十代がやったのと、同じようにやる。

 

「零君?」

「今行く、璃緒さん」

 

 そう言うと、今度こそ俺は璃緒を追って走り出した。




いかがでしたでしょうか?
次回、スカイ・ペガサスの遺跡篇最終回!
それでは。

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