ベクター?誰それ、俺真月   作:野球男

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こんにちは。
今回スペシャルゲストを用意しました。
前々回辺りに出した時代背景を読んでいれば、なんとなくわかるかもしれません。
最後までお楽しみに。
それでは、どうぞ。


第47話

「お前は…ドルべ‼」

 

 バリアンじゃないかとずっと疑ってはいたが、まさかドルべだったとは…‼

 待て、ならさっきの言葉は…‼

 

「遊馬、騙されるな‼ コイツはバリアンだ‼」

 ドルべが何故バリアンなのを隠していたのかはわからねぇ。

 だが、今はそんなことよりもさっきの言葉だ。

 

 仲間を守り、信じる心だと…⁉

 そうやって真月を信じたことで、遊馬はベクターにあわや敗北しかけた。

 あんな事態、二度と起こさせるわけにはいかねぇ。

 

 

 ナッシュがドルべだった…?

 でも、ならなんでシャークを助けるような真似をしたんだ?

 取り入ろうとした?

 いや、でもだとしたらさっきの真剣な眼差しは…

 

『遊馬、私は君の決断を信じよう』

 アストラルがそう言い、俺に決断を委ねる。

 …俺は

「ライフを1000払ってスカイ・ペガサスの効果を無効にする‼」

 

 遊馬 LP1400→400

 

[遊馬、お前…‼]

 ドルべに引き上げられたらしいシャークが俺を睨む。

「わかってる‼ 無闇に信じれば、また、真月みたいなことが起こるかもしれないってことぐらい‼ でも、俺は疑えない。疑いたくないんだ、誰も‼」

 

 ベクターに真月との友情を逆手に取られた時、俺はこれ以上ないくらいに打ちのめされた。

 多分、あのままだったなら、俺はアストラルと巻き込んじまったみんなへの後悔と絶望で、誰かを信じることを止めてしまっていたんじゃないかと思う。

 

 でも、そんな俺を真月は信じてくれた。

 帰って来いと言ってくれた。

 なら、俺は信じてくれた俺でいたい。

 

「貪欲な壺発動‼ 墓地のモンスターを5体選択しデッキに戻す‼」

 

 デッキに戻すカード

 幻獣ワイルドホーン×2

 幻獣ロックリザード

 暗炎星ーユウシ

 ジェネティック・ワーウルフ

 

「2枚ドローする‼」

 ドローカードを見たところで、マッハの顔つきが少し変化する。

 …何を引いたんだ?

 

「ゆくぞ‼ スカイ・ペガサスでアトランタルに攻撃‼」

「なっ…⁉」

『攻撃力1800のモンスターで攻撃力2600のアトランタルに攻撃だと⁉』

 スカイ・ペガサスが嘶き、アトランタル目掛けて駆け込んできたが、アトランタルが拳を振るうとスカイ・ペガサスに当たり、砕け散った。

 

 マッハ LP1850→1050

 

「許せ…しかし、天馬の魂はこのモンスターに受け継がれる‼ 墓地の幻獣王ガゼルを2体取り除き、現れろ‼ 森の狩人 イエロー・バブーン‼」

 

 森の狩人 イエロー・バブーン

 ☆7 地属性 獣族

 ATK 2600

 DFE 1800

 自分フィールド上に存在する獣族モンスターが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、自分の墓地に存在する獣族モンスター2体をゲームから除外する事で、このカードを手札から特殊召喚する

 

 周囲からザワザワという草を掻き分けるような音と低い唸り声と共に、弓を構える二足歩行の肌の黄色い獣が現れた。

『攻撃力2600…‼』

「ゆけ、イエロー・バブーン‼ アトランタルに攻撃‼ ダメージステップ開始時、収縮を発動する‼」

 

 収縮

 速攻魔法

 フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して発動する

 選択したモンスターの元々の攻撃力はエンドフェイズ時まで半分になる

 

 アトランタルが半分ぐらいの大きさまで小さくなると、そこにイエロー・バブーンの放った矢が突き刺さり、爆発が起こった。

 

「遊馬‼」

 小鳥の悲痛な叫びと共に爆煙が上がる。

 

 遊馬 LP400

 

「何⁉」

「俺はガード・ブロックを発動したのさ‼」

『この効果により、ダメージは0になり、1枚ドローする』

「やはり削ることができなかったか…ターンエンド」

 

 マッハ LP1050

 手札 0

 モンスター 1

 森の狩人 イエロー・バブーン 攻撃

 魔法・罠 1

 炎舞ー「天枢」

 

 

「なんとか首の皮1枚繋がったわね」

「ああ」

 相変わらずというかなんというか…綱渡りなデュエルをするもんだ。

 マッハの判断ミスに救われたが、ダメージステップ中の発動ならどうなっていたことか。

 見ているこっちの胃が痛くなりそうだ。

 

「零君、見えたわ。多分、ここが最後の場所になるんじゃないかしら」

 次の遊馬のターン、何もできなければこのデュエル遊馬の…いや、俺達の負けだ。

 しかしマッハのライフは1050。

 遊馬が動けば勝つこともできるだろう。

 となれば、勝っても負けても、俺達への試練もおそらくこれが最後になる。

 

「さて、最後の相手は…⁉」

 そんなことを言いながら、Dゲイザーの視界を見た先にいた相手を見て、俺の思考は驚きに止まった。

 

 そこには、それまでの探検家然とした姿とは全く異なる赤い上着を着込んだ、街中を歩けばそんな格好をした人間がいそうな服装の明るい栗毛色の髪の背の高い男がいた。

 こちらを見つめるその顔を、俺は一方的にだが知っている。

 

「遊城…十代…⁉」

「へへっ、最高に楽しいデュエルにしようぜ‼」

 

 そこには、こちらに不敵な笑みを向けるーー遊城十代がいた。




いかがでしたでしょうか?
詰めデュエルの内容は次回でおしまい。
どういった展開になるかは…待て、次回!
それでは。

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