ベクター?誰それ、俺真月   作:野球男

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こんにちは。
本日、私のGW最終日。
明日から大学しんどいなぁ…
それでは、どうぞ。


第45話

 相手のフィールドは

 魔法を無効にするホルスの黒炎竜 Lv.8。

 

 トラップの発動を無効にする人造人間 サイコ・ショッカー。

 

 モンスターの効果発動を強制的に無効にする死霊騎士 デスカリバー・ナイト。

 

 こちらのモンスターゾーンを3ヶ所使用不可能にしているおジャマ・キング。

 

 戦闘破壊されず、裏側状態で攻撃した時1000ポイントダメージを与えるマシュマロン。

 

 という、早々たる面々。

 対するこちらのフィールドはモンスター無し。

 手札のラヴァ・ゴーレムを使っても、ライフを削りきれない。

 どうすれば…‼

 

「璃緒さん」

 その時、背後から零君の声が聞こえる。

「零君…?」

「歴代でも最強と謳われた、初代キング・オブ・デュエリスト武藤遊戯はこんな言葉を残している」

 急に何を…?

 

「『見えるんだけど、見えないモノ』」

「え…?」

 見えるんだけど、見えないモノ?

 それってどういう…?

 

 そういった視線を零君に投げかけたが、零君は何も言わずそのまま黙りこくった。

 

『見えるんだけど、見えないモノ』

 

 見えるけど見えない…

 零君と私の繋がり…違うわね。

 こんな場面でいきなり惚気るわけがないわ。

 

 じゃあ…リバースカード?

 いえ、リバースカードはサイコショッカーに封じられているだけ。

『見えるけど見えない』というよりは『見えるけど使えない』という感じかしら。

 

 じゃあ…デッキとカード?

 たしかにしっくりくるけれど…でも、私にドローのチャンスはもう…

 

 そう考えながら、手札を見返した。

 

 溶岩魔神 ラヴァ・ゴーレム

 サンダー・ドラゴン

 成金ゴブリン

 

 …成金ゴブリン?

 

 その瞬間、私の中で何かがピタリとハマる感触を感じた。

 ‼…そう、そういうこと。

「『見えるんだけど、見えないモノ』ね。たしかにその通りだわ」

 そう呟いた私の口元に笑みが零れた。

 なるほど、言い得て妙だわ。

 

 大きく深呼吸をして目を開く。

 さあ、凌牙を助ける為に動き出すとしましょう。

 

「私は相手のデスカリバー・ナイトとホルスの黒炎竜 Lv.8をリリースし、溶岩魔神ラヴァ・ゴーレムを特殊召喚‼」

 そう言うやいなや、デスカリバー・ナイトとホルスが煮えたぎる溶岩の手で掴まれ、2体が溶岩の中に消えるとラヴァ・ゴーレムが相手フィールドに召喚された。

 溶岩の奥にある目は何処を見ているのか、虚空を眺めたまま微動だにしない。

 

「手札のサンダー・ドラゴンの効果発動‼」

 

 サンダー・ドラゴン

 ☆5 光属性 雷族

 ATK 1600

 DFE 1500

 自分のメインフェイズ時に、このカードを手札から捨てて発動する

 自分のデッキから「サンダー・ドラゴン」を2体まで手札に加える

 

「デッキからサンダー・ドラゴンを2枚手札に加えるわ‼」

 これで残るデッキは1枚。

 そして、その1枚はおそらく…

「成金ゴブリンを発動‼」

 

 成金ゴブリン

 通常魔法

 自分のデッキからカードを1枚ドローする

 その後、相手は1000ライフポイント回復する

 

「ドロー‼」

 

 男 LP5400→6400

 

 …‼

 やっぱり、そういうことだったのね。

 

『見えるんだけど、見えないモノ』

 

 それはさながら裏返しになっているカードのようなもの。

 デッキトップのカード、それが『見えるんだけど、見えない』未来。

 臆せず引くことができた時、私は足を踏み出すことができる。

 

「私はおジャマ・キング、サイコ・ショッカーをリリースし、2体目のラヴァ・ゴーレムを特殊召喚‼」

 男のフィールドに、今度はおジャマ・キングとサイコ・ショッカーを飲み込み、煮えたぎる溶岩魔神が現れる。

 これで、トラップも使えるようになった。

 

「リバースカードオープン‼ 全弾発射‼」

 

 全弾発射

 通常罠

 このカードの発動後、手札を全て墓地へ送る

 墓地に送ったカードの枚数×200ポイントダメージを相手ライフに与える

 

「私の手札は2枚のサンダー・ドラゴンのみ‼ よって、400ポイントのダメージよ‼」

 

 男 LP6400→6000

 

「リバースカードオープン‼ 洗脳解除‼」

 

 洗脳解除

 永続罠

 このカードがフィールド上に存在する限り、自分と相手のフィールド上に存在する全てのモンスターのコントロールは、元々の持ち主に戻る

 

「戻ってきなさい、ラヴァ・ゴーレム‼」

 そう言うと2体の虚ろな眼差しに力がこもり、相手のフィールドを離れると私のフィールドに現れた。

 これで全て整った。

「リバースカードオープン‼ 火霊術−「紅」‼」

 

 火霊術−「紅」

 通常罠

 自分フィールド上の炎属性モンスター1体をリリースして発動できる

 リリースしたモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手ライフに与える

 

「さらにチェーンしてもう1枚の火霊術も発動‼ 2枚の対象は2体のラヴァ・ゴーレムよ‼」

 そう言うと赤髪の我の強そうな女性が現れた。

 燃え盛る杖を掲げると魔法陣が現れ、ラヴァ・ゴーレムを囲う。

 すると、ラヴァ・ゴーレムは杖に飲み込まれていき、女性が杖を相手に向けるとそこから猛烈な勢いで炎が飛び出し、男をそのまま飲み込んだ。

 

 男 LP6000→0

 

「ふぅ…」

 玉越しに、しゃがんでいた凌牙達は開かれた穴に素早く飛び込んでいる映像が映し出される。

 間一髪、だったわね。

 

「ありがとう、零君」

「俺は何もしちゃいないさ。ただ、先達者の言葉を借りただけさ」

 そう言うと零君は肩を竦めた。

 

「フフッ…私、まだまだね。零君から踏み出す勇気をもらったのに」

「そうやって悩んだり、迷ったりするものだろう?」

 そう言うと、零君は私の頭に手を置いた。

「大体、璃緒さんがガンガン進むような奴だったら、俺の出る幕がないじゃないか」

 そういうのは遊馬だけで充分だ、そう零君が少し不満気に言う。

 

[真月、聞こえてるぞ‼]

[だが、事実だ]

[お前なぁ‼]

 どうやら聞こえてしまっていたらしく、遊馬君が文句を言おうとし、アストラルにやり込められてしまっているらしい。

 

「さ、行こう璃緒さん。まだ終わっちゃいない」

 そう言って零君は私に手を差し出した。

「…ええ‼ 行きましょう、零君」

 そう言って私も手を握ると、そのまま走り始めた。

 

 これからも、きっと私は悩むし迷う。

 でも、恐れる必要はない。

 

『見えるんだけど、見えないモノ』

 

 この答えを私が見失わない限り、私は間違えたりはしない。




いかがでしたでしょうか?
正解している人が感想欄に既にいましたが、そんなに難しくもなかったですかね?

今更ですが、本作の時代背景を活動報告に載せましたのでよければそちらもどうぞ。
それでは。

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