ベクター?誰それ、俺真月   作:野球男

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こんにちは。
ハッピーバースデー!…私。

Q.誕生日も平常運転な私は大丈夫ですか?
A.調整中(2014/04/27)

それでは、どうぞ。


第40話

『遊馬』

「なんだよ、アストラル?」

『あのナッシュという男、気をつけた方がいい』

 

 俺達が真月・シャークと別れ、歩いているとアストラルがそう声をかけてきた。

「どういうことだ?」

『バリアンかもしれない』

 ナッシュがバリアン…?

 

『我々の乗った船に衝突した光の塊、そして現れたナッシュ…彼がバリアンである可能性は高い』

「でも、だとしたらなんでバリアンの姿じゃねぇんだよ」

『我々を油断させる為かもしれない。ベクターを思い出せ。彼は真月の内側に潜み、我々を油断させようとしていた』

「ナッシュが同じことをするっていうのか?」

『可能性はある』

 

 …たしかに、俺は真月への友情を逆手にとられ、ベクターに騙された。

 バリアンかもしれないナッシュを、そう簡単に信じるわけにはいかねぇのかもしれない…

「でも、俺は信じたい」

『遊馬』

「ナッシュはバリアンかもしれねぇ。でも、みんながみんなベクターみたいな奴ばっかじゃねぇのも知ってる」

 真月、アリト、ギラグ、ミザエル。

 この4人はみんなバリアンだ。

 でも、悪い奴らじゃなかった。

「ナッシュがもしバリアンだったとしても、悪い奴じゃないって信じたい」

 

 

「な、なんだ…⁉」

 

 小鳥と喋りながらしばらく歩いていると、突然、大きな広間に出た。

 取り付けられた階段の上にはペガサスの彫刻が飾られている。

 

「なんなんだ、この部屋…⁉」

『遊馬、あれを見ろ』

 アストラルに促されるまま、視線を向けるとペガサスの彫刻の上で光り輝く1枚のカードが回っている。

 あれはひょっとして…‼

 

「遺跡のナンバーズ…⁉」

 そう俺が呟くとカードが強烈な光を放ち、消えたそこには1人の騎士が立っていた。

 コイツは一体…⁉

 

「お前は…⁉」

「私はこの遺跡を守護するナンバーズの精霊、マッハ。このナンバーズ、そう簡単に渡すわけにはいかない」

 そう言うとマッハの持っていたカードが消えた。

 同時に片腕の甲冑が消え去り、デュエルディスクの形に変化する。

「君達がこのナンバーズを持つに相応しいか、試させてもらう‼」

 

 へっ、そういうことか‼

「挑まれたデュエルに応えないわけがないぜ‼ デュエルディスク、セット‼ Dゲイザー、セット‼」

 

「「デュエル‼」」

 

 遊馬 LP4000

 マッハ LP4000

 

「頑張って、遊馬‼」

「おう‼ 俺の先攻、ドロー‼ モンスターをセット‼ 1枚伏せてターンエンド‼」

 

 遊馬 LP4000

 手札 4

 モンスター 1

 ⁇? 裏側守備

 魔法・罠 1

 ⁇?

 

「ここは高貴な魂の眠る場所。君達が試練を乗り越えられなければ、代償として彼らの魂を貰う」

 そう言うと丸い大きな玉が2つ現れた。

 そこに、真月達と壁が迫るシャーク達の姿が映る。

「真月‼ シャーク‼」

 

「では、試練を始めよう。私のターン、ドロー‼ 手札抹殺を発動‼」

 

 手札抹殺(制限カード)

 通常魔法

 お互いの手札を全て捨て、それぞれ自分のデッキから捨てた枚数分のカードをドローする

 

 手札抹殺…

 手札を全て墓地に送るカード。

 何を狙っているんだ?

「俺は4枚ドロー‼」

「私は5枚だ。ドロー‼ 炎舞ー「天枢」を発動‼これにより、私は通常召喚に加え、獣戦士族を1体召喚できる」

 

 あれはたしか、片桐プロが真月とのデュエルで使ったカード。

 ということは、マッハのデッキは獣戦士族で構成されているんだな。

「幻獣ワイルドホーンを召喚‼」

 

 幻獣ワイルドホーン

 ☆4 地属性 獣戦士族

 ATK 1700

 DFE 0

 このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える

 

 マッハのフィールドに2本足で立つ筋骨粒々なトナカイが現れた。

 手に持った剣をこちらに向け、睨みを効かせている。

 

「更に、墓地の幻獣クロスウィングの効果発動‼」

 

 幻獣クロスウィング

 ☆4 光属性 獣戦士族

 ATK 1300

 DFE 1300

 このカードが墓地に存在する限り、フィールド上の「幻獣」と名のついたモンスターの攻撃力は300ポイントアップする

 

「私の墓地にクロスウィングは2体‼ よって、天枢の効果も合わせてワイルドホーンの攻撃力は700ポイントアップ‼」

 

 幻獣ワイルドホーン 1700→2400

 

 クロスウィングの加護を受けたワイルドホーンが鼻息を荒くする。

 

 ‼ 攻撃力が一気に上級モンスターのレベルまで上がった‼

『まずいぞ遊馬…‼』

「いけ、ワイルドホーン‼ セットモンスターに攻撃‼」

 

 そう言うとワイルドホーンは雄叫びを上げ、俺のセットモンスターに飛びかかった。

 セットカードが裏返り、守備状態のガガガガールに深々と刺さると、そのまま破壊される。

「うぐっ…‼」

 

 遊馬 LP4000→2400

 

「ワイルドホーンをリリースし、幻獣ロックリザードをアドバンス召喚‼」

 

 幻獣ロックリザード

 ☆7 闇属性 獣戦士族

 ATK 2200

 DFE 2000

「幻獣」と名のついたモンスターを生け贄に捧げる場合、このカードは生け贄1体で召喚する事ができる

 このカードが戦闘で破壊したモンスター1体につき、相手ライフに500ポイントダメージを与える

 相手がコントロールするカードの効果によってこのカードが破壊され墓地へ送られた時、相手ライフに2000ポイントダメージを与える

 

 ワイルドホーンが姿を消すと緑を貴重としたケンタウロスのような、しかし何処か爬虫類に近い印象を受けるモンスターが現れた。

 

『レベル7を1体で召喚だと…⁉』

「幻獣ロックリザードは幻獣をリリースする場合、1体のリリースでアドバンス召喚が出来る。そして‼ クロスウィングの効果により攻撃力アップ‼」

 

 幻獣ロックリザード 2200→2900

 

「1枚伏せてターンエンド」

 

 マッハ LP4000

 手札 1

 モンスター 1

 幻獣ロックリザード 攻撃

 魔法・罠 2

 炎舞ー「天枢」

 ⁇?

 

 

「ん…?」

「零君? どうかしたの?」

「いや、今…」

 遊馬の声が聞こえたような…?

 

 そうやって考えていると俺達の前に巨大な球体が2つ現れた。

 そこに、遊馬達の姿、そして狭まる壁に挟まれそうなシャーク達の姿が映し出される。

「遊馬‼」

「凌牙‼」

 

 

『わかっているな? 遊馬』

「ああ」

 あのベクターとのデュエル、俺は熱くなって危うく負けそうになった。

 今大事なことは頭を冷やすことだ。

 真月とシャーク達なら大丈夫。

 俺は仲間を信じる‼

 

「…よし、いくぜ‼ 俺のターン、ドロー‼」

『遊馬、まずは奴を突破するぞ』

「おう‼ ガガガシスターを召喚‼」

 

 ガガガシスター

 ☆2 闇属性 魔法使い族

 ATK 200

 DFE 800

 このカードが召喚に成功した時、

 デッキから「ガガガ」と名のついた魔法・罠カード1枚を手札に加える事ができる

 また、このカード以外の自分フィールド上の「ガガガ」と名のついたモンスター1体を選択して発動できる

 選択したモンスターとこのカードは、エンドフェイズ時までそれぞれのレベルを合計したレベルになる

「ガガガシスター」のこの効果は1ターンに1度しか使用できない

 

 俺のフィールドにそれまでのガガガとは雰囲気の違う白を貴重とした大きなリボンがトレードマークの少女が現れる。

 

『遊馬、ガガガシスターの効果だ』

「ああ。ガガガシスターの効果発動‼ デッキから、ガガガリベンジを手札に加える‼ そして、そのまま発動だ‼」

 

 ガガガリベンジ

 装備魔法

 自分の墓地の「ガガガ」と名のついたモンスター1体を選択して発動できる

 選択したモンスターを特殊召喚し、このカードを装備する

 このカードがフィールド上から離れた時、装備モンスターを破壊する

 また、装備モンスターがエクシーズ素材になる事によってこのカードが墓地へ送られた時、自分フィールド上の全てのエクシーズモンスターの攻撃力を300ポイントアップする

 

「蘇れ、ガガガガール‼」

『これで突破の方程式は完成した。遊馬‼』

「おう‼ ガガガシスターの効果発動‼ ガガガガールを選択し、2体のモンスターのレベルを合計する‼」

 

 ガガガシスター ☆2→5

 ガガガガール ☆3→5

 

「2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築‼エクシーズ召喚‼ 来い、No.61 ヴォルカザウルス‼」

 

 No.61 ヴォルカザウルス

 ★5 炎属性 恐竜族

 ATK 2500

 DFE 1000

 レベル5モンスター×2

 1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除き、相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して発動できる

 選択した相手モンスターを破壊し、破壊したモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手ライフに与える

 この効果を発動するターン、このカードは相手プレイヤーに直接攻撃できない

 

 ガールとシスターが球体になり、フィールドで爆発が起こり、巨大な恐竜が現れた。

 大きな咆哮を上げ、低く唸りながらロックリザードを睨む。

「墓地のガガガリベンジの効果により、ヴォルカザウルスの攻撃力を300ポイントアップ‼」

 

 No.61 ヴォルカザウルス 2500→2800

 

「いくぜ‼ 俺はヴォルカザウルスの効果を」

 

 

 遊馬のフィールドに爆発が起こり、ヴォルカザウルスが現れる。

「これで2体のモンスターの攻撃力は同じ…」

 だが、ヴォルカザウルスを召喚…

 おそらく、効果により破壊を狙う算段なのだろう。

 

 しかし、何か引っかかる。

 たしかロックリザードの効果は…

[いくぜ‼]

 そう遊馬が声を上げたところで俺の脳裏にロックリザードの効果が思い出される。

 そうだ、あのモンスターは…‼

 

[俺はヴォルカザウルスの効果を]

「やめろ‼ 遊馬‼」

 

 

[やめろ‼ 遊馬‼]

 ヴォルカザウルスの効果を発動する直前、真月の叫ぶ声が聞こえる。

「真月?」

[ロックリザードを効果破壊するのをやめろ、遊馬]

 

「どういうことだよ、真月」

 ヴォルカザウルスの効果を発動すれば相手のライフを2200削ることができて、追い込むことができるっていうのに。

 

[あのモンスターは効果破壊された時、2000ポイントのダメージを与える‼]

『なんだと⁉』

 じゃあ、俺が今効果を使っていたらヴォルカザウルスの効果で破壊していたら2000ポイントのダメージを受けて、残りライフは400。

 対するマッハは2200ポイント削っても1800。

 次のマッハのターン、何かされていたら、負けていたかもしれねぇ。

 

「悪い、助かったぜ。真月」

[いや、いい。頑張れ、遊馬。こっちもなんとか脱出口を探す]

「ああ‼」

『遊馬、どうする?』

「決まってるだろ? 攻撃だ‼いけ、ヴォルカザウルス‼ 幻獣ロックリザードに攻撃‼」

「攻撃力は僅かに足りないが?」

「わかってるさ‼リバースカードオープン‼スキル・サクセサー‼」

 

 スキル・サクセサー

 通常罠

 自分フィールド上のモンスター1体を選択して発動できる

 選択したモンスターの攻撃力はエンドフェイズ時まで400ポイントアップする

 また、墓地のこのカードをゲームから除外し、自分フィールド上のモンスター1体を選択して発動できる

 選択した自分のモンスターの攻撃力はエンドフェイズ時まで800ポイントアップする

 この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できず、自分のターンにのみ発動できる

 

「ヴォルカザウルスの攻撃力を400ポイントアップだ‼ いけ‼」

 

 No.61 ヴォルカザウルス 2800→3200

 

「くっ…‼」

 

 マッハ LP4000→3700

 

「どうだ‼」

「見事。だが、ただではやられん‼ リバースカードオープン‼道連れ‼」

 

 道連れ

 通常罠

 フィールド上に存在するモンスターが自分の墓地へ送られた時に発動する事ができる

 フィールド上に存在するモンスター1体を破壊する

 

「消えろ、ヴォルカザウルス‼」

 そうマッハが叫ぶと地鳴りと共に、ヴォルカザウルスの足元が崩れ落ちた。

「ヴォルカザウルス‼ くっ…ターンエンド‼」

 

 遊馬 LP2400

 手札 4

 モンスター 0

 魔法・罠 0

 

「罠に臆せず、見事な攻撃だった。これにより、君達は2つ目の試練を受けることになる‼」

『2つ目の試練…⁉』

 まだ何かするっていうのか…⁉

 

「フッ…受けるのは君達ではない。彼らだ‼」

 そう指さした先には真月達の映る球体があった。

 

「真月達が…⁉」




いかがでしたでしょうか?
ここから、何話かデュエルパートが続きます。
お楽しみに。
それでは。

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