ベクター?誰それ、俺真月   作:野球男

39 / 161
こんにちは。
ペンデュラム召喚上手く使えば、DMで1本小説書けそうなんて思うこの頃。
渡したら遊戯が初手オベリスクとか出してきそうなんですけどねw
そのうち書くかも。

それでは、どうぞ。


第39話

「………」

 

 この遺跡に来たのはドルべだったのか。

 ということは、おそらくあの光の塊もドルべで間違いないのだろう。

 その身で船を止めるつもりだったのか…?

 

 しかし、どうにも解せない。

 何故、ドルべは人間の姿をとり、共に行動している?

 バリアンの姿で遊馬やシャークと出会った場合、ドルべなら戦おうとするはず。

 

 油断させて背後から奇襲…

 いや、これがベクターならやりかねないが、ドルべならそういったことはしないだろう。

 奇妙なことだが、そういった点は信用できる。

 

 …だとすれば、ドルべにも何か問題が起こったと見るべきか。

 ぶつかった時の衝撃は中々に大きかった。

 もし、あの衝撃でドルべにバリアンとしての姿をとれない程の不都合が生じたのであれば、話の筋も通る。

 

「で? 何かわかったのか?」

 シャークがそう声をかけてくる。

「いや。ただ、奥に何かあるんじゃないかとは思う」

「根拠は?」

「特には無い。ただの直感だ」

「お前な」

 シャークが頭を抱え、壁に近付きながら俺に何か言いたげに視線を向ける。

 

「まあいいじゃねぇか、シャーク。ここが遺跡なら、きっと何かあるって」

 そう遊馬が俺のフォローをしながら、同じく壁に近付いた。

 すると、足元の一部がゆっくりと奥に沈んでいった。

 

「うおっ⁉ 沈んだ‼」

 遊馬が慌てて退くと、シャークと俺もそれに習って退く。

 すると、沈んでいた部分が再び浮き上がってくる。

「壁じゃなく足元だったのか」

 道理で壁にはなんの細工もなかったわけだ。

 

 試しにもう一度踏んでみたが、今度は沈む気配すらない。

 ただの硬い床に戻ってしまっている。

 

 そのまま待ってみるものの、沈黙ばかりで、なんの音沙汰もない。

「…何も起こらねぇな」

「ああ」

 …おかしい。

 ギミックはたしかに作動した。

 なんらかのギミックがあるはず。

 だが、なんの反応もないというのは…

 

 そう考えながら、璃緒を見ると天井を見上げたまま訝しげな表情をしている。

「璃緒さん?」

「天井が動いた気がしたのだけれど」

「天井が?」

 そう言われ、俺達は全員天井を見上げる。

 

 …?

 そう言われてみれば、なんとなく天井の一部が飛び出しているようなーーー

 

 そこまで考えた瞬間、脳裏に落ちてくる壁と分断された遊馬達とシャークとドルべがよぎった。

 まずい…‼

 

「シャーク‼ 早くこっちに‼」

「はぁ?」

「いいから早く‼」

 そう言い終えるとほぼ同時に天井から壁が2枚降ってきた。

 2枚…⁉

 

「なっ、これは…‼」

「シャーク、危ねぇ‼」

 シャークの頭上に迫る壁に遊馬が声を上げる。

 ダメだ、この距離じゃシャークを突き飛ばすことも…‼

 

 そうした焦りが俺を支配し、身体の動きを硬くさせると、ドルべが飛び出し、シャークと共に壁の向こうに消えた。

 遊馬と俺達の間にも壁が落ち、遮られる。

 

「っ…‼」

 分断されてしまった…‼

 それも、シャークとドルべという縁のある組み合わせで。

 

「真月、大丈夫か⁉」

 壁の向こうから遊馬の声が聞こえる。

 どうやら、遊馬達は無事なようだ。

「俺も璃緒さんも無事だ。シャークの方は?」

 

「…大丈夫だ」

 壁2つ挟んでいるせいか、くぐもっているがシャークの声も聞こえる。

 しかし、2枚の壁…

 俺が思い出した壁の枚数は1枚だった。

 記憶違いの可能性も、否定はできないが…どうなっているんだ?

 

「零君、壁が」

 璃緒がそう言うと、先程まで行き止まりの壁となっていた場所がゆっくりと沈んでいき、奥へと続く道が現れた。

 

「道が…」

「こっちもだ‼」

「…どうする? 零君。帰り道を探す?」

 

 ………

 

「いや、進もう。引き返す道もないし、ナンバーズを回収する必要もある」

 璃緒を巻き込みたくはないが、ドルべの存在が気がかりだ。

 とにかく、璃緒の身の安全と、ナンバーズ回収。

 2つを同時にこなすしかない。

 

「わかったわ」

「気をつけろよ。遊馬、真月。何が起こるかわからねぇ」

「ああ」

 そう言うと俺達は奥に向けて、それぞれの道を歩き始めた。

 

 

 10分程歩いただろうか。

 璃緒と取り留めのない話をしながら歩いていると、先程の分断された場所よりも妙に明るい、広い場所に出た。

 中央は吹き抜けになっており、ある程度までのところから暗闇になっている。

 穴の底を知ることはできそうにない。

 

「ここは一体…」

 どうやら、ここにはナンバーズがあるわけでも、それを守護する何者かがいるわけでもないようだ。

 しかし…だとしたら、ここは一体何なんだ?

 

 

 

 真月・遊馬と別れた俺は、助けられたナッシュとかいう旅行者と共に奥に向かって歩いている。

「テメェのことは認めねぇ。だが、さっきのことは礼を言わせてもらう」

 

 このナッシュとかいう男…一体何者だ?

 見た目はただの一般人だ。

 ともすれば、本当にただの旅行者にしか見えない。

 

 だが、俺達はついさっき襲撃を受けている。

 襲撃したのは、バリアンでほぼ間違いないだろう。

 そこに現れたコイツの存在…

 

 気になるといえば、真月の反応もだ。

 さっきのコイツを見た時のアイツの反応…

 なんとなくだが、驚いていたように見えた。

 

 コイツと真月が知り合い…という感じでもなかった。

 知り合いなら、名前を聞いたりはしないはずだ。

 なら、やっぱり…

 

「先程の借りを返したまでだ」

 そう言うナッシュの声で思考を切られる。

 …まあ、いい。

 コイツがバリアンならコイツより先にナンバーズを回収するだけだ。

 

「見ろ」

 ナッシュの言葉に意識を前に向けると先程の場所よりも広い空間に出た。

 相変わらず横道などはなく、一見ただの行き止まりにしか見えない。

「行き止まりか? それとも…」

 

 俺達が中に入りながらそう呟くと背後でガコンッという大きな音が聞こえた。

「道が…‼」

「チッ、閉じ込められちまったってわけか…」

 

 ゴゴゴ…という音も聞こえ始める。

「…どうやら、ただ閉じ込められただけではないようだ」

「壁か…‼」

 

 両側の壁を見るとスピードこそ遅いが、確実に迫ってきている。

 くっ、どうすれば…‼




いかがでしたでしょうか?
次回、いよいよデュエルパート突入!

長かった。
本当に本当に…なんて遠い、回り道…ありがとう、ジャ(ディモールトォ!

…結局修正来なかったんだっけか?
それでは。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。