今回は遺跡回、移動パートです。
話は変わりますが、遊戯王に精霊っているじゃないですか。
オリキャラだったり、ヒロインだったり…何故恋するドラゴンはいないのか。
ゲージ技つながりで、銀河眼とかいけそうな気が。
それでは、どうぞ。
「なんか、荒れてないか?」
「ええ…」
俺達を乗せた船は長距離移動のため、何時ぞやの異空間に突入している。
だが、先日侵入した時の、何処までも静寂に包まれていたのが嘘のように、いたるところでバチバチとスパークを起こしている。
「アストラル、このスパークは船に影響はないのか?」
『この程度ならば大丈夫だろう。しかし、これは一体…』
…このタイミングでの異空間への影響。
十中八九、奴が目覚めているということなのだろう。
しかし、目覚めただけでここまで荒れるのなら、封印が解けた場合、一体どうなるのだろうか。
「なあアストラル、アストラル世界ってどんなところなんだ?」
『急にどうした?』
「なんとなく気になってさ」
遊馬のその言葉にアストラルは口を閉じて黙り込んだ。
アストラルなりに考えをまとめているのだろうか?
以前なら簡単に口を開いていたところだが…
やがて考えをまとめたのか、口を開く。
『…アストラル世界は全ての生物がランクアップすることで辿り着ける世界だ』
「ランクアップ?…って、俺達もランクアップできるのか?」
『そうだ。人間に限らず、全ての生物はランクアップの可能性を秘めている。生まれてから死ぬその瞬間まで、ランクアップを模索していると言ってもいい』
…そして、アストラル世界から弾かれた全てのモノが行き着くのがバリアン世界。
バリアン世界には、アストラルの言うランクアップは無い。
だが…
「………」
俺はデッキホルダーから1枚のカードを取り出した。
RUMーリミテッド・バリアンズ・フォース…このカードはモンスターをランクアップさせる。
アストラル世界のランクアップとは違うが、バリアン世界にもランクアップの概念はある。
アストラル世界が切り捨てた存在にも関わらず、だ。
本質的に、バリアン世界とアストラル世界はカードの表と裏のような関係だ。
アストラル世界がランクアップを起こせば、当然バリアン世界にもランクアップは起こる。
違いがあるとするならば、そこに加わる感情だろう。
七皇はその際たる存在といえる。
バリアン七皇は、その出自に関わらず、全員が非業の死を遂げている。
その時の怒りや恨みといった感情がアストラル世界から零れ落ちる原因となり、バリアンとなるのだ。
「…どうした、真月?」
「いや…なんとなく、俺にアストラルの言うランクアップはあるのかなと思ったんだ」
俺は、バリアンだ。
このことは何処まで行っても覆すことはできないだろう。
そんな俺にアストラルの言うランクアップができるとは…
「できるさ、真月なら」
そう、なんでもない風に遊馬が俺に言った。
「真月はベクターから離れた。それだけで、もう既にランクアップしてるじゃねぇか」
『ああ。おそらく真月なら、ランクアップできるだろう』
遊馬、アストラル…
「ったく、そんなくだらねぇこと悩んでんじゃねぇよ」
シャーク…
「…だな。悪い、なんか最近後ろ向きに考えることが多くてな」
「零君、1人で悩むの禁止。いいわね?」
そうやって璃緒が人さし指を俺に突きつけてくる。
首を横には振らせないといった気迫が目を通して、伝わってくる。
何を言っても無駄らしい。
「わかった。何か悩みがあれば、打ち明けるようにする」
「ええ」
そう言うと璃緒は笑みを浮かべた。
それだけで俺の中にあった暗い気持ちが薄れていき、明るい気持ちで満たされていく。
これが惚れた弱み、というやつだろうか?
「………」
「ま、そういう遊馬はランクアップできてないけどね」
「お、俺だってなぁ‼」
そうやって空気を変えるように小鳥が言った言葉に対して、遊馬が絡む。
「まあまあ」
そうやって俺が遊馬を宥めようとした瞬間、何か光が視界の端に入った。
「あれはなんだ…⁉」
シャークの声に全員がそちらを見ると光の塊は段々とこちらに近付いているのがわかる。
「ん…? 光の中に…あれは人影か…?」
そう俺が光を見て呟くと、光はこちらに気付いたのか慌てて船底に向けて降下していったが下から聞こえた爆発音と共に船が大きく揺れた。
「くっ…⁉」
「きゃあっ⁉」
「うおっ‼」
「零君‼」
「璃緒さん、つかまって‼」
そうして大きく揺れた船は、舵をとられたのか、そのまま進路を外れ、落下していった。
いかがでしたでしょうか。
…別に時間稼ぎのつもりはないのに、書きたいことが多くてゆっくり進行になるのは何故なのか。
それでは。